紬「唯ちゃんがトンビに油揚げをさらわれて泣いていたわ」

梓「『待ってよ~!!』とか わめきながら

  涙目で鳥を追いかける唯先輩が印象的でした」

紬「まさか本当に油揚げをさらわれる人間がいるなんて…」

梓「でも よく起こりうる事だから諺になったんじゃないですか?」

紬「犬も歩けば棒に当たるのかしら」

梓「あっ。私 子供のころ、犬を棒で叩いて遊んでましたよ!!」

紬「なにこの子こわい」

梓「怖くないですよー、あずにゃんですよー」ピョンピョン

紬「なにこの子 気が狂ってるの?」

  「地面に勢いよく叩きつけたいわ」





※ただし澪はのぞく




梓「そうやすやすと地面に叩きつけられるものか!!」

紬「1000円あげるわ」

梓「さぁどうぞ」

紬「しゃらんらああぁ!!」

┣¨┣″ォォン!!


ガチャ

律「おーすクズども!!」

 「ん?」

 「梓に地獄の断頭台(※1)を炸裂させてどうしたんだムギ」

紬「私、梓ちゃんを地面に  

  勢いよく叩きつけるのが夢だったのかしら?」

律「アタシに聞かれても知らん」


※1 スピン・ダブルアームで相手が垂直になったところを上空に投げ飛ばし、
逆さになった相手の首にギロチンのように自分の膝を落とし、そのままリングに叩き付ける技。

古代に一度だけ悪魔超人が地球の支配に成功した時代において
捕虜の正義超人を実験台とし、完成させたとされる。


律「なるほど、また梓の気が狂ったのか」

紬「壊れたテレビにチョップをしたら治るって のび犬のママが言ってたの~」

律「それで壊れた梓は治ったのか?」

梓「もちろんですとも。ムギ先輩のおかげで正常なあずにゃんに戻りました」

紬「狂人はみな そう言うわ」

梓「デュヘヘwwww」


ガチャ

澪「ごめんごめん、遅くなったよ」

唯「わんわん!」

紬「えっ、唯ちゃん…?」

律「おや、唯の様子がおかしい……?」

唯「わふ?」

梓「わははは!!唯先輩が狂った!!唯先輩が狂った!!」

律「どうすればいいんだ」

紬「唯ちゃん、どうしたの?」

澪「いや、教室で唯をイメチェンさせて遊んでたら

  例の犬の髪型になってさ」

律「犬の髪型って……いつだったか和が『犬みたい』って言ってたヤツか」

澪「それで本当に 唯が犬みたいになっちゃたってワケさ」

律「なっちゃったってワケさ、とか言われても納得できないけどな」

唯「うぉん♪」

紬「トンビに油揚げをさらわれる人類などいないと信じていたけど

  唯ちゃんが犬だったなら謎は全てとけたわね」

唯「わん!」

梓「なっとくなっとく」

澪「それより どうして唯はトンビに油揚げをとられたんだ?」

律「そりゃトンビも腹減ってたんだろうさ」

澪「いやいや、仮に食に貪欲なトンビがいたとしてだ」

 「油揚げって普通、家の中で食べるもんだろ」

 「トンビがゾンビみたいに平沢家に侵入して さらっていったのか?」

梓「違いますよ。○○町の広場でハイパーうどん祭りがあって

  みんなで行った時の話なんですよ、これって」

澪「えっ」

律「そこで みんなで 出店のきつねうどんを食べたんだよな」

紬「私、きつねうどんってキツネの肉が入っているのかと思っちゃったぁ」

梓「ベタですね」

律「あはは、あの時の残念そうなムギの顔、おっかしかったなぁ」

唯「わんわん♪」

澪「なるほど、状況はわかった」

 「しかし、今の会話の『みんな』の中に

  私が含まれていないのはどういうことだ?」

梓「あっ、しまった」

澪「なにがしまったんだ」

梓「私、歯医者に予約を入れていたので失礼します」

澪「返答次第では、梓の歯は全部なくなるから行かなくても大丈夫だよ」

紬「梓ちゃんから『澪先輩は受験のストレスで脱腸して

  口から大腸とウンコがハミ出てるから行けない』と

  聞いていたわ」

律「アタシも」

唯「わぅ」

澪「信じるなよ!!仮に信じても お見舞いに来てよ!?」

 「私、口から内臓がハミ出てるんだろ!?」

律「いや、マジメな話、アタシが遊びに行こうぜって電話したら

 『受験でクソ忙しいこの時期に遊びになんて行けるかこのダメ超人』と

  一方的に罵って切ったんじゃないか」

澪「そういえばそうだったね」

唯「クゥン…」スリスリ

澪「ゆ、唯……慰めてくれるのか…」

唯「わん」

澪「うっとおしいなぁ、あっち行け駄犬が!!」

唯「キャインキャイン;;」

律「最低のクズ野郎だなコイツ」

梓「しかし唯先輩はいつまで犬のままでいるんでしょうか」

律「髪型を元に戻せば元に戻るんじゃないか?」

澪「元に戻せば元に戻る?」

  「お前、なんかすごくアタマの悪そうなしゃべり方だね」

律「うるさいようるさいんだよクソ野郎」

梓「アンタ、なんかアソコがすごい汚物みたいなしゃべり方だな」

律「アンタってのは誰の事だ? チャンスは一回だけだぞ」

梓「アンタっていうのは 実は私の事でした」

律「よしよし、ガムやるぞ」

梓「キヒェwwww」クチャクチャ


紬「お手」

唯「わん」ポム

紬「お座り」

唯「きゅん」ストン

紬「はい、ケーキよ~」

唯「わふわふ♪」

紬「おあずけ」

唯「はっはっ」ピタ

紬「あぁあいいわ、いいわコレ……」ウットリ

唯「わんわん♪」ペロペロ

澪「おっと、梓が狂っている間にムギが唯犬のとりこだ」

紬「唯ちゃん、いいコいいコ~。1000円あげるわね」

唯「あぉん?」キョトン

律「がうがう!!」

澪「そして人間をやめたバカがまた一人」

紬「がうがうりっちゃんもカワイイわね」

 「1000円あげるわ」

律「わんわんwwww」

澪「欲に目がくらんでイヌになりさがったか」

梓「にゃんにゃん!!」

紬「あら、梓ちゃんはネコ耳をつけてネコあずにゃんなのね」

梓「にゃ~ん」

紬「バカじゃないの」


澪「さてと、おしゃべりはここまでにして久々に演奏するか」

唯「えぇ~っ」

梓「あまりの練習に対する拒絶反応で唯先輩が正気に戻った」

律「今日はそんな気分じゃないよなぁ」

澪「みんなはうどんを食べに行ってリフレッシュしたかも知れないが

  私は受験のストレスで口から大腸がハミ出そうなんだよ」

 「練習でスッキリしよう練習で」

律「バカヤロウ、お前ってヤツは口を開けば練習練習とバカヤロウ」

 「物書きがシコシコ文章だけ書いて おもしろい話が書けるか?」

 「よく遊びよく食べてよく笑った経験があるからこそ

  オリジナリティ溢れる作品が生まれるんだ!!」

澪「だから?」

律「なんだっけ?」

澪「知るか」

律「え、アタシ誰だっけ?」

澪「誰だよ」

梓「つまり人を感動させる音楽を奏でたいなら

  私達自身が色々なことを体験して感動しなければいけないと

  そこのオデコが特徴のポケットモンスターは言いたいワケです」

律「アタシはポケモンだったのか!?すげぇ!!」

唯「そこに7つのドラゴンボールがあるじゃろ?」

紬「願いが叶うわね!」

梓「唯先輩のパンティストッキングお~くれ!!」

唯「ちょっと待っててね、よいしょ」ズルリ

紬「」パチパチパチパチ

梓「」パチパチパチパチパチ

澪「だめだこいつら、本当になんとかしないと本当に」

紬「私も久々にキーボード弾くのはいいけど

  練習前にテンションをヒートアップさせるべく、何か一勝負しない?」

律「いいね」

唯「やろうやろう!!」

澪「はぁ、じゃあなんか一回だけやったら絶対に練習しような」

梓「それで何をするんですか?」

 「集団催眠オナニーですか?」

唯「かくれんぼしようよ!!」

紬「かわいい!!1000円あげるわ唯ちゃん!!」

唯「えっ、こんなお金 受け取れないよぉ」

紬「奥ゆかしい!!1000円あげるわ唯ちゃん!!」

唯「このメカニズムで一生、食べていけないかなぁ」

紬「全額没収よ」

唯「わぁああん」

紬「じゃあ かくれんぼに決定!!」

澪「やれやれ、子供じゃあるまいし……」

梓「でも童心に戻るのも、歌を作るのに役に立つかも」

澪「む、確かに」

律「『少年時代』や『夏休み』然り、子供時代を歌詞にした名曲も多いもんな」

梓「澪先輩の作る歌詞ときたら『揺れる思いはマシュマロ』だとか

  『カレーCHOPPILIライスTAPPULI』だとかラリってんじゃねぇの?って

  感じのばっかりですからね」

律「でもあれ、シラフで作ってるんだぜ」

梓「正気を疑いますね」

澪「お前らの上履きにヤモリとイモリを100匹ずつ詰め込んでやるからな!!」

 「うわあああああ想像しただけで気持ちわるいいいいいいい!!」

 「ゲロロロロロロロオロロロロロロオロロr」ビチャビチャビチャビチャ

律「あれでシラフなんだぜ」

梓「疑いは確信に変わった」

紬「子供心を忘れ汚らしく汚れた天然シャブ中キング秋山澪をその気にさせるために

  かくれんぼキングには賞金10万円出すわ」

澪「マジで!?」

律「おっしゃああ!!オニ決めようぜ!!」

梓「最初はグー!!」

唯「ジャ~ンケン…」

律「エロ本何冊~!?」

梓「ぇあっ!?」パー

澪「わあああ梓、エロ本5冊も持ってるんだああ!!」

紬「やーいやーいwwww」

唯「えっち!!あずにゃんのえっち!!」

梓「小学生かコイツら」

律「じゃあ気を取り直してジャーンケーン…」

唯「ほいっ!!」

澪「あいこでしょ!!」

律「あいこでしょい!!」

梓「あっ」

紬「私の唯ちゃんの負けー!!」

唯「くぅ~、絶対にみんな見つけるもん!!」

澪「グララララwwww唯なんかに見つかるもんか!!」

 「とっておきのあの場所の隠れてこようっと!!」タッタッタッタッタッタッタッ

律「むむ、澪のヤツ、簡単には見つからないかも知れないぞ」

 「なにせアイツは一人で弁当を喰うスポットを見つける王者だからな」

梓「王様って孤独なんですね」

唯「じゃあ、みんなも早く隠れてきてね」

紬「それよりなんか澪ちゃんが勝利しそうだし

  かくれんぼ 今すぐ やめない?」

律「開始10秒でナイスな英断だな」

梓「賛成です」

唯「ぇあっ? 澪ちゃんは?」

律「アイツはずっと隠れ続けるさ」

梓「その方が幸せなんですよ。だって恥ずかしがり屋さんだから」

唯「そっかぁ」

唯「あっ、じゃあ逆に私達が澪ちゃんから隠れるっていうのはどうかな~」

紬「いいわね!!唯ちゃんもいい趣味してるわ!!」

唯「ほぇ?」

律「メールの一つも入れてやれば泣きながら探しに来るぞ」

梓「さすがに学校の外にまで出ると澪先輩に深いトラウマを作りそうなので

  あれっ、じゃあ絶対に学校の外に出ましょうよ!!」

 「いっそ、澪先輩抜きでカラオケにでも!!」

律「ヒッヒヒヒヒwwwwww怖いヤツだよ、お前は」

紬「それもいいけど澪ちゃんのあわてふためく顔が見たいから

  校内にとどまりましょう」

梓「はーい!!」

唯「なんだか 私の意図とは別の盛り上がりを見せてきたよー」


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梓「ここなんか いいんじゃないですか?」

ガチャ

唯「視聴覚室だね」

紬「目立たない場所だし、隠れ場所として悪くないわねぇ」

律「しっかし、なんか久々だな~。1年の頃は授業で使ってたけど」

唯「ヒアリングの授業、全然 わかんないから窓の外ばっかり見てたよ~」

律「ここはアタシらの教室とは逆側にあるから

  見える景色が違うんだよな」

梓「授業も聞かずに、まるで白痴のように窓の外を眺めている

  お2人の姿が目に浮かびますよ」

律「『多数決で 澪が かくれんぼの鬼になりました』っと」ピッ  

 「メール送ったし、これで澪のヤツ あわてて探しにくるぞ」

梓「はてさて泣きながら澪先輩がここにたどりつくのは

  いつになるやら…」

ピロリロ~

律「おっと、澪からメールが返ってきたぞ」

ピッ


律「うわああああああ!?」

唯「こ、こわいよ!!」


最終更新:2010年10月06日 18:26