梓「5秒でメール返ってきましたけど
あの人、このコピペ ケータイに登録してるんですかね」
紬「コピペより澪ちゃんの精神そのものが怖いわね」
梓「これは怒ってますね」
律「悲しんでいるのかも知れないな」
唯「悪いことしちゃったかなぁ」
紬「それよりお茶にしよっか」
唯「そうだね!!」
梓「ポット持ってきたんですか」
唯「はぁ~、お茶おいしいねぇ、あずにゃんや」ズズッ
梓「そうですね~」ゴク
紬「部室以外でくつろぐのも なんだか新鮮ねぇ」
律「こうやって、友達同士で視聴覚室に隠れてましたっていうのも
いい思い出になるのかもなぁ」
梓「さすがに30分もぼーっとしてると退屈ですけど」
唯「ふっふっふ、甘いよあずにゃん」
「こんな場所でも楽しもうと思えば いくらでも楽しみはあるんだよ」
梓「たとえば?」
唯「床に落ちてるホコリの数を数えてみたり
窓からどれだけ遠くにオシッコを飛ばせるか試してみたり」
律「お前は界王さまか」
唯「空よ!大地よ!私に元気をわけてくれー!!」ガラリ
律「あっ、コイツ窓を開けて…」
「本気でオシッコを飛ばす気か!?」
唯「もちろんだよ~!!」ヒャッホー
律「おい、みんな止めるぞ!!」
紬「なぜ?意味が分からない」
梓「唯先輩の好きにさせましょう。だって唯先輩の人生ですから」
律「しまった、こいつら 唯の放尿シーンを見たくて やまない病んだ変態だった」
「くそ、こうなったらアタシもウンコするしかねぇ!!」ズルリ
唯「…あれ?」
律「どうした!?今さらためらってんのか!?」ミチ…
「アタシはもうドキドキが止まんないフルスロットルな脳内ぃぃぃぃっ!!」ブチミチ
唯「ねえ、ひょっとして……あれって海?」
律「え?」ピタ
梓「うみ?」
紬「学校から海なんて…」
梓「あっ、本当に海だ!!」
律「へぇ~、視聴覚室からだと海が見えるんだ」
「高校生活最後の冬にさしかかるこの時期にして初めて知ったよ」
唯「すごいすご~い!!」
紬「みんな、この教室の同じ窓から海を見てたハズなのに
誰も気づかなかったのね~」
梓「山の隙間からかろうじて見える程度ですし
遠くてぼんやりとしてますからね」
梓「毎日、部室でムダにダラダラしてましたけど
こんな身近な景色も ゆっくり観てなかったんですねぇ」
律「ダラダラしているようでアタシたちは
毎日、かけ足で生きてたって事さ」
「立ち止まってる時間なんてなかったんだよ」
紬「ホント。そういえば中学生のときの3年間と
高校生の3年間って密度が違わない?」
「たくさん思い出があるの~」
唯「私も私も~」
唯「中学の頃は家でゴロゴロしたりアイスを食べながらゴロゴロしたり
テレビを見ながらゴロゴロしてたけど
高校でけいおん部に入ってからは、部室でお茶したり あずにゃんにスリスリしたり
アイスを食べながらゴロゴロしたりテレビを見ながらゴロゴロしたりと
大忙しだよ~」
梓「結局 ほとんどゴロゴロしているように思えますが本当にかけ足なのでしょうか」
唯「でも本当に色んなことがあったんだよ」
梓「でしょうね」
「私も色々ありました」
唯「ギー太を買うためにみんなでバイトしたり、合宿にいったり」
梓「私は海で埋められましたけどね」
律「学園祭でライブをして、ライブハウスでもライブして」
梓「私は打ち上げで校庭に埋められましたけどね」
紬「修学旅行も楽しかったし、夏フェスもすごく感動した」
梓「私は山でも埋められましたけどね」
唯「クリスマス会もおもしろかったね」
梓「私は雪に埋められましたけどね」
律「梓は埋められてばっかりだったな」
紬「でも、おもしろかったわね」
唯「そうだね」
梓「私の高校生活を返せ!!」
唯「あ~ぁ」
律「どうしたんだ?」
唯「せっかく学校で海が見えるスポットを発見したのに
あと少しで卒業なんだー」
紬「そうね」
律「みんなで集まって いいトシこいて
かくれんぼしようなんてバカやってられるのも あとわずかか~」
梓「私はあと1年以上ありますけどね!」
律「そうだな」
梓「そうです。私だけ1年以上もあるんですよー!!」エッヘン
律「アタシらが卒業しちゃったら寂しいだろう?」
紬「いい気味ね」
梓「意味がよくわかりません」
唯「あ~ずにゃん」ギュ
梓「フヒヒ…」シュン…
ガラララララッ
澪「見つけたぞクソどもおおおおああおおおおあ!!」
梓「ぎゃあああああああああああああああああああ」
唯「わぁあぁあああ!?澪ちゃん!?」
律「マ、マジでおどろいたああ」
紬「」ドキドキドキ
澪「あ?え?マ?お前らなんだよなんでなんだよ!?」
「私がジャンケンで勝ったのになんで鬼なの!?」
「講堂のステージの天井裏に潜んでいた
私の気持ちをどうする?どうすんの私!?」
梓「チッ、申し訳ありませんでした」
澪「ん?なんか 梓 ちょっぴり涙目じゃない?」
「そんなに私、怖かった?」
梓「そうですね、さすがにビビりましたよ」ゴシゴシ
澪「ははっ、さぁて、次は誰が鬼をやるんだ?」ウキウキ
唯「ふふ、ねぇあずにゃん」
「今度の休みの日、一緒に海に行こっか?」
梓「ふぇ?」
唯「あずにゃんと もっといっぱい思い出作っておこうかなって」
梓「唯先輩…」
紬「私も行く!!いく!!イクゥゥゥウウウッ!?」ビクンビクン
律「じゃあ みんなで海に行くかー!!」
澪「えっ、なにこれ、どういう流れ?なんで海に行くの?」
「みんなの気持ちが分からないのは
私が本当の鬼になってしまったから…?」
律「おい、しっかりしろ」
澪「あおおおぉああああああ」
人とは思えぬ野太い声で咆哮をあげると
澪の体が むくりと膨らみ、その形相は本物の鬼のそれへと変貌する。
唯「あ、あぁあああ……澪ちゃん…」
紬「そんな…」
爪は長く伸び、髪を振り乱し、いびつにならぶ歯の隙間から
腐った魚のような臭気が漂ふ。
黄色く濁った瞳で獲物を品定めすると
ひゅぅっと飛び跳ね、哀れな標的の首をねじり、その口から華奢で か細い声が漏れる
梓「ぅげえあっ」
唯「澪ちゃん、やめてええええ!!あずにゃんが死んじゃうううう」
紬「しゃらんらああ!!」
ガシッ
澪「グェア!?」
律「あぁっ、ムギが澪にスピンダブルアームをしかけた!!」
ビュンビュンビュン
律「ダブルアームの体勢で澪の体を回転させるなんて
なみたいていのパワーじゃ不可能だ!!」
唯「これは巨大たくあんの力が はたらいているんだね!!」
紬「そりゃー!!」
ブゥゥン
澪「……!!」
唯「澪ちゃんを上に放り投げたああああ!!」
ガッ
紬「地獄の断頭台いぃぃぃ!!」
┣″カ″シャアアアアン
澪「グハッ、私は何を…?」
律「正気に戻るの早ぇ」
澪「私は友達失格だよ…」
「みんなが楽しそうに海の話をしているのに
私ときたら、『え、なんでコイツら人を鬼にしといて かくれんぼに興味を失って
海の話してるの!?死ね!!氏ねじゃなくて死ね!!』とか思ってムカムカして…」
唯「ごめんね…澪ちゃんの気持ちも考えないで…」
紬「確かに澪ちゃんはルール破りの最低の悪魔超人だけど私達も少しだけ悪かったわ…」
律「アタシはちっとも悪くないと内心 確信してるけどケジメだから謝っておくよクソが」
梓「サメの群れに突入しろよ」
澪「なんだろう、すごくモヤモヤするよ」
唯「ごらんよ澪ちゃん、あの窓を」
澪「唯……」
唯「ほら、何かに気づかない?」
澪「何かってなに?あのアパートのベランダにパンティが干してあるって事?」
唯「そうじゃなくてほら、海が見えるでしょ」
澪「見えるな」
唯「一年生の時、みんな この同じ窓から海を見てたんだよ」
澪「そうだろうね」
唯「ね?」
澪「なにが?」
唯「だからホラ……高校生活でいろいろあったでしょ?」
澪「そりゃあったけど」
唯「そんなことができるのも今だけなんだよ?」
澪「そんなこと唯に言われなくても分かってるよバーカ」
唯「だめだよ澪ちゃんはもうダメだよ」
律「分かってはいたけどさ…」
梓「まぁ話をするタイミングとかもありますし…」
澪「なにが?」
紬「もう澪ちゃん、帰っていいわよ」
澪「なにがだよなんでだよあの窓から海が見えるからなんだって言うんだ…あっ!!」
律「何か感じた?」
澪「いや、トンビがこっちに向かってきて…」
トンビ「ピーヒョロロ」
バサバサ
律「あっ、窓から入ってきたぞ!!」
唯「やぁあっ!?」
トンビ「ピョロロwwww」
バッサバッサ
梓「あっ、あのクソ鳥、唯先輩のヘアピンを盗んでいきました!!」
唯「わあぁん、返してぇぇぇ!!!ヘアピン返してぇええ!!」
澪「ばんざーいばんざーい!!」
「私も唯がトンビに何かをさらわれる光景を目の当たりにしたよ!!」
「これで私もみんなの仲間だね!!」
紬「よかったわね」ペッ
唯「その後、澪ちゃんはこれらの経験をもとに
新しい歌詞をルーズリーフいっぱいに書いてきましたが
りっちゃんがケツを拭く紙として使用しました」
「残念だなぁ」
おわり
最終更新:2010年10月06日 18:28