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│ ‘(●)’^(●)^爪(●)爪 (●) │
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│ RA YA MA HA NA TA SA KA A │
│ RI I MI HI NI TI SI KI I │
│ RU YU MU HU NU TU SU KU U │
│ RE WA ME HE NE TE SE KE E │
│ RO YO MO HO NO TO SO KO O │
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│ J
じ窓から見てた解
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number~〇 〇 〇 〇 〇~number
「おはよう律、テストはどうだ?」
「テヘッ」
「おどけんな……だめなんだな」
暑くなり始めた七月の朝、さっそうと家を出た私は幼なじみと学校へ向かう。
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||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||〔かつてのまばゆい部活時間は険悪なムードを纏い 彼女らを待ちかまえる〕|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「りっちゃんおいっす」
「うっす!」
「おはよう唯」
「りっちゃん! テストが終われば夏休みですぞ!」
「待たれぃ唯隊員! そのテストが厄介なのだ!」
「唯?」
「大丈夫だよりっちゃん! 六角君4号郎が私を救う!」
「私が救われない!」
「おい二人とも、テスト前に知識の確認ぐらいしろよ?」
「へいへえい」
「ぐで~」
「おっと、澪さま辞書貸して」
「自分の持ってこいよ…ほら」
「サンキュ」
「りっちゃん、一緒にやろ~」
「おっいいな、速読やろうぜ」
「単語の暗記がいいなぁ」
「ん? ちょっと待ってくれ、澪~この辞書Sがないんだけど」
「はっ? ちょっと貸して……なんだ、普通に見つけたぞ」
「どれどれ……SってRの次だっけ?」
「…中学生に戻ろう律?」
「りっちゃん……ぷっ」
「こら唯! 冗談だよ今のは!」
「そういえば唯、一昨日送ってくれた歌詞なんだけど」
「冗談なのぉ? じゃ言ってみて、ABCの並び順!」
「いいぜ、ABCD――。」
「……唯?」
「おはようみんな」
「…ムギおはよう」
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|||AT THIS TIME||Outside school||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「二人とも、願い通り楽園に住めたね」
「結局警察送りでしたけど」
「警察が楽園なんだよきっと」
「ずいぶんと病んだ思想ですね」
「…厳しい言葉どうも」
「まいいや。それより試しに作ったこの世界、微妙だね」
「そんなこと言わないでください、ノリノリで作ったのは唯先輩でしょう」
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||||||A TIME PASSED|||||||||||||||||||||||||||||||||
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「試験オワった……」
「一夜漬けじゃ無理だろ、三年の期末だしな」
「りっちゃんどうだった…聞くまでもなさそうだね」
「打ち上げられた魚みたいね」
「おお、そっくり!」
「ぱくぱく……なにさせてんだおまえら」
「律が勝手にしたんだろ」
「そうそう今日で部活解禁日よね? 早く部室に行きましょう」
「わ~い一番乗りしよぉ!」
「ほら唯が先に部室行ったぞ、律起きろ」
……さて、一つの懸案事項を話し合う時がきたか。
私は珍しくピシッと立ち上がり澪の目を見て話す。
「澪、ちょっとトイレにきてくれ」
「……私にナニしたいんだ?」
「なにって……!? ナニしないよ!! おびえないでくれよ!」
「…ふぅ、気持ち悪いこと言うなよな」
「澪ちゃん、それは聞き捨てならないわ」
「ムギもいっしょに来てくれ、唯たちのことで相談したい」
「…ええ」
「…それなら私も、さっき気づいたことを話したい」
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〔訪れてしまった時間を
彼女らは話し合いの果てに過ごすことになる〕
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||AT THIS TIME in Music preparation room|||||||||||||||||
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「このころは平和だね」
「裏ではどろどろしてますけどね」
「思いは違っても行き着く感情は同じだしね、対立しちゃうんだよ」
「……その人と似た別種の業者……」
「うん、ねたみは相手がうらやましくって邪魔に思うこと」
「それを受けた人はぶつけた人を恨んで邪魔に思う」
「…共通点は、相手を邪魔に思うこと」
「…足音だよ、みんな部室に来たみたい」
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私たち四人が席に座った直後、部室のドアが開いた。
梓「…こんにちは」
律「おっす梓」
澪「試験お疲れ様」
梓「…先輩方もお疲れ様です」
紬「今日は梓ちゃんの好きなお菓子を用意したわよ~」
梓「私の好きな? …楽しみです」
唯「……」
梓が来たにも関わらず、唯は素知らぬ顔でカップに口をつけるだけだ。
他のみんなもそれに気づいたのか表情がくもる。
紬「…じゃ待っててね」
澪「…うん」
唯「楽しみ~」
梓「……」
梓のテンションが半端なく低い……これでは唯以外が引きずられて気分が滅入る。
暗くなるなみんな!
そんな泥沼を掻き混ぜようと、私は菓子の準備をするムギに声をかける。
「そのおやつはなんだムギ!」
「! たいやきにしてみたの、京都のお店の店長さんにいっぱいゆずってもらってね」
「いいな」
「たいやき久しぶり~」
「…おいしそうです」
「実はたいやき片手にお勉強っていう夢が試験期間中に叶ったの~」
「なんとピンポイントな夢だことで」
「私もよくアイス食べながら勉強してたな~」
「私もときどきお菓子つまみながら」
「おいおい澪ちゅわんは唯と違って太っちゃうぜ?」
「りっちゃん……?」
「ひょえっ!? ムギがこわいむぎがこわいこわい――」
「律先輩、ムギ先輩が鬼の顔してますよ」
「落ち着いてムギちゃん! ムギちゃんのことじゃないよ!」
「同じことよぉ唯ちゃん」
「ぅ~…明日は合宿だな!」
「強引な話題すり替え!?」
「フフフフ」
「暗い、暗いですムギ先輩」
それは梓の方だよ……とは言えないな。梓は話しには入るけど楽しんでる顔をしていなかった。
「海楽しみだね~」
「夏フェス行きたい……」
「澪先輩諦めましょう、多数決では勝てません」
「私の味方は梓だけだ……」
「はいみんな、たいやきおまたせ~」
「きたきた! …四つだけ?」
「今日私はやめとくわ、ちょっとお腹の調子が悪くて…ねぇ?」
「りっちゃん! ムギちゃんに謝って!」
「そうだ律! 女の子の心配事で遊ぶなんて!」
「律先輩ってほんと男みたいですね」
「中野後で覚えとけ。ごめんムギ! さっきの冗談だってば!」
「うんうん冗談よね? 理解してくれてうれしいわ~」
「ははは…」
表面上でもこのワイワイ楽しめる雰囲気が欲しかったんだ。
でもまだだ、梓が楽しんでいない……生意気なツッコミは相変わらずだったけど。
早く問題解決しないとな…。
「ふぅ…もう律先輩、言っていい冗談と悪い冗談の区別つけてくださいよ」
「梓には言われたくないぞぉ」
「なんで私?」
「去年の夏休み……っ」
「?」
「いやなんでもない」
「はぁ…?」
危ない危ない。今憂ちゃんの話題は梓には禁句だった。
ハンバーガーショップで梓が憂ちゃんに、私のことはパス、なんて生意気なこと言ってたのを思い出した。
「ではムギちゃんの機嫌も直ったことだし、いただきま~す」
「召し上がれ~、私も自分の分用意しなきゃ」
「白い餡だ~おいしいよぉ」
「おいしい」
「おいしいな」
「うっめ~」
「もぐもぐ……食べ終わったら久しぶりに練習しような」
「ムギちゃ~ん飲み物のお代わりおねが~い」
「は~い」
「ゆいせっ……ふん」
「っ……」
あちゃー……目の合った梓と唯が互いに顔を背けた。
大方梓は練習を優先するよう言いかけたんだろうな。
「りつ…」
「……」
「おまちど~さま~」
「ムギちゃんども~」
〔軽音楽部員が飲んでいる物は 72 93 23〕
顔をしかめた梓が唯を見たあと私をちら見した。その目は明らかに自分のせいで淀みかけた空気を変えたがっていた。
さっきの三人での相談の内容は梓にメールで伝えた。
唯が梓だけでなく澪のことも無視してることを梓は知っている。
だから私かムギが頼られることになる。
でもムギは遊び以外を率先してするタイプじゃない。
消去法で私しか唯を動かせない。
お代わりを飲み終えた唯に練習を促そうとした……が、唯の方が一手早かった。
「ねえりっちゃん、明後日の合宿に憂も行っていいよね」
「っ!?」
「どうしたのりっちゃん?」
これは想定外だ。
憂ちゃんは軽音部の合宿に去年も一昨年も同伴しなかっただろ。
それより梓に憂の話は……やっぱり、視界の隅で梓が沈んでる。
「うっういちゃんは軽音部じゃないし……」
「い い よ ね」
唯の目はまっすぐ私を睨みつけている。 唯でもこんな目になるんだな……。
こりゃあ腹を据えなきゃいけないみたいだ。
「……いいぞ」
「りつ!」
「わ~い」
……これは賭けだ。合宿中に唯、憂ちゃん、梓、おまけで澪の問題を解決できるか…?
「うい……」
「梓ちゃん…」
ごめん梓。 だけどここまでこの問題を引きずってるのは梓にも原因があるんだ。
とりあえずいつものさわやかりっちゃんを演じよう。
「海行ったらいっぱい遊ぼうぜ!」【377107063】
「ふんふん♪」
「……」
やばい…梓が泣きそうだ。練習するんです!、とツッコミを入れて欲しかったのに…。
「私トイレ~」
「…行ってらっしゃい」
我らの心使いを何も知らない唯は、のんきな足取りで部室を出て行った。
「……」
「……」
「……」
「……」
唯がいない間に梓からまた原因を聞き出すか、
さて、ここから梓にどう切り出すか…。
「ごめん梓」
「…律先輩は悪くないです」
最終更新:2010年10月26日 16:42