N女子大学食

律「よう澪、今日はメシ少ないな」

澪「ああ、最近新歓続きで太っ…お金なくてな!」

律「ふうん、何キロ?」

澪「えっと…2…って言わせんな!」ポカッ

律「あはは!ごめんごめん」

澪「ちゃんと減食だけじゃなくて運動もしてるんだよ…」

?「その心意気やよし!」

律「さわちゃんどうしてここに!?学校は!?」

さわ子「あんまり気にしないで」

澪「いや、気にしないのは難しいですよ…」

律「…まさか軽音部で何かあったのか?」

さわ子「そんなことないわよ、あなた達も結構会ってるんでしょ?」

澪「まぁ軽音部も今年は憂ちゃん純ちゃんに加えて2年と1年が1人ずつ入って順調そうだし…
  私達もスタジオで会ってるから何かあったら気付きそうなもんだよね」

律「かなり説明っぽいな」

澪「ここで説明しておかないといけない気がして…」

さわ子「実は…異世界人の干渉から世界を守ってほしいの」

律「…は?」

さわ子「実はあなた達が高校生の時から異世界人はこの世界に干渉してきていたの」

さわ子「でもそれは最低限度の干渉でこの世界の人が気付くことはほとんどなかった」

さわ子「でも最近彼らはこの世界に強く干渉して、この世界を乗っ取ろうとしてるわ」

律澪「」

さわ子「そこで…澪ちゃんに戦ってほしいの」

澪「…へぅ!?私!?」

さわ子「あなたにはこのなりきりブレスレットを着けてもらうわ」

さわ子「このブレスレットをしてコスプレするとその衣装に合った能力を得るわ」

澪「何で…私が…?」

さわ子「コスプレさせがいがあるからよ」

律「そんな事だろうと思った…」

さわ子「名付けて、なりきり魔法少女マジカル澪ちゃんよ!」

澪「いやだーーーー!恥ずかしいーーーー!!」

澪「律!そんなのおかしいよな!?私じゃなくていいよな!?」

律「…ごゆっくり~」ソソクサ

澪「薄情者~!」シクシク

さわ子「さぁ、早速変身してみなさい」

澪「嫌だぁーーーー!」



澪「MMQ!」キュピーン

さわ子「完璧ね、変身解除」パチン

澪「はっ!いつの間に!」

さわ子「動作チェックは完璧だったわよ」

澪「ううう…せめて記憶が消えてれば…」

澪「だいたい魔法少女って…年齢的にギリギリアウトですよ…」

さわ子「大丈夫よ、まだ澪ちゃんは十分若いんだから」

澪「だいたい何で私が…異世界人なんて私には関係ないですよ…」

さわ子「それが…関係あるのよ」

澪「!?」

さわ子「その異世界人たちはあなた達の高校生活を観賞するのが趣味だったのよ」

さわ子「あなた達が卒業したのが、彼らの暴走の原因なのよ」

澪「そんなこと言ったって…私達はそりゃ卒業しますよ…」

さわ子「そんな理屈が通用する相手じゃないのよ」

澪「そんな…」

さわ子「彼らの名はモエブター」

澪「…一気にギャグっぽくなったな」

さわ子「仕方ないじゃない、そういう名前なんだから…」

バリン!

「キャーーーー!変態ーーーー!」

澪「あれは!?」

さわ子「早速お出ましね…丁度良かったわ、あなたが標的みたいよ」

澪「私が…」

さわ子「奴の名前はチュサーン、相手の国籍を変えてしまう恐ろしい能力を持っているわ」

澪「…何ですかソレ」

さわ子「あなた、高校時代に突然怒りっぽくなったり、キムチが食べたくなったことは?」

澪「…そういえば…たまに」

さわ子「それは奴があなたに干渉していたのよ」

澪「な、何だってーーーー!?」

澪「でもどうすれば…」

さわ子「変身よ、澪ちゃん!ここは…これなんてどうかしら」

澪「は…はい、やってみます!」

澪はさわ子から受け取った服を手に取ると目を瞑り、ゆっくりと深呼吸をした

澪「変身!」ピカー

澪「チマチョゴリ!」ジャーン

澪「って…こっちから国籍変えてどうするんですか!」

さわ子「目には目を、歯には歯をよ!」

澪「だいたいこれでどうしろと…」

モ「グヘヘ…秋山澪…お前は在日韓国人だ…」ブォォォン

澪「きゃ!なにこの悪寒…!」

モ「グヘヘ…さあ、学食でキムチを頼むのだ…」

澪「…」

モ「…何をやっている?早くキムチを…」

澪「チマチョゴリキーーーック!」ドゴォ

モ「ぐは!な…何故…効かない…」

澪「私はそんな攻撃くらわなくても」

澪「りっぱな韓国人だからニダ!」

モ「何だと…」シュワシュワー

澪「…消えた」

さわ子「もういいわね、これでもう彼らは干渉できないわ」パチン

澪「はっ!私は純粋な日本人だよ!」

澪「…これでもう開放されるんですか!?」

さわ子「いえ、奴はモエブターの中でも最弱」

澪「それって敵が言うもんじゃないんですか…」

さわ子「これからも頼むわね、マジカル澪ちゃん!」

澪「いやあああ!恥ずかしいいいいい!」


『プロローグ』完




休日、喫茶店

唯「今日はあずにゃんちに行く予定なんだ~」

律「梓かー、元気してるかな?」

紬「りっちゃんは先週街で会ったんじゃなかった?」

律「そうだけどさ、毎日会ってないとなんか久々って感じしない?」

澪「ああ、わかるわかる」

さわ子「そうよねぇ…」シミジミ

唯「うんうん…っていたのさわちゃん!?」

さわ子「ええ、ずっと」

律「やっぱこの人忍者かなんかなんじゃね?」

唯「で、どうしてさわちゃんがここに?」

さわ子「澪ちゃん、あなたも唯ちゃんについて行くのよ」

澪「え?何で…」

さわ子「次の標的は梓ちゃんみたいなの、だからマジカル澪ちゃん出動よ!」

紬「…」ジー

澪「い、いや…私は反対したんだ…さわ子先生が勝手に…」

唯「澪ちゃんも一緒に行こう!」

澪「え?」

唯「別に一人ぐらい増えても問題ないでしょ?会うだけだし」ニコ

さわ子「交渉成立ね」

梓「…で、何で3人もいるんですか」

唯「ごめんねあずにゃん、突然増えちゃって~」

さわ子「お邪魔するわ」

澪「ごめん…梓」

梓「まぁいいですけど…」

唯「さすがあずにゃん!太っ腹!」ダキ

梓「や、やめてください…もう大学生なんですから///」

唯「…でね、その教授の頭が…」

梓「もう、真面目に勉強してないんですか!」

澪「…本当に来るんですか、モエブター」

さわ子「多分ね」

澪「多分って…」

ピンポーン

梓「あ、誰か来た…ちょっと出てきますね」

唯「はーい」

梓「今開けまーす…ってぎゃあああああああ!」

唯「!?今あずにゃんの叫び声が!」

さわ子「…来たわね」

澪「玄関から…しかもチャイム鳴らして…」

唯「今行くからね!あずにゃん!」

さわ子「ダメよ唯ちゃん!ここはマジカル澪ちゃんの出番なんだから!」

澪「…もしかして変身しなくてもなんとかなるんじゃ…」

唯「あずにゃん!…ってあれ?あずにゃんは?」

梓『唯先輩!ここです!』カサカサ

唯「わ、ゴキブリだ…あとどこかからあずにゃんの声がする…」

梓『私です!梓です!ゴキブリにされちゃいました!』カサカサ

唯「え…?このゴキブリがあずにゃん…?」

梓『そうです!助けてください!』カサカサ

さわ子「やっぱり奴ね」

澪「知っているんですか、先生」

さわ子「奴はニャンゴキー、人をゴキブリにする能力を持っているわ」

澪「なんですかそのトンデモ能力!ゴキブリにされたら何にもできないじゃないですか!」

さわ子「一応…耐性に個人差があるからなりにくい人はなりにくいのよ」

澪「梓は耐性が弱かったのか…」

梓『奴はもう家の中に入ってしまいました!カサカサと!』カサカサ

唯「あずにゃんにこんなひどいことをする奴は…許さない!」ダッ

澪「あ…唯、ダメだって…」

さわ子「追うわよ」

澪「はい」

唯「こ…ここか!出てこい化け物!」ガタガタ

梓『怖いんなら逃げましょうよ…多分あんな化け物かないませんよ…』カサカサ

唯「ダメだよ!…ここで逃げたらあずにゃんがゴキブリとして一生を終えちゃう…」

梓『ありがとうございます…唯先輩…』カサカサ

プシュー

唯「いや!何これ…」

さわ子「いたわ、澪ちゃん!」

澪「変身!」ピカー

モ「貴様らもゴキブリになりに来たか」カサカサ

さわ子「私達はそのつもりはないわ」

澪「新聞配達員!」ジャーン

澪「って何で新聞配達員?」

さわ子「ゴキブリといえば新聞でしょ」

澪「安直な…」

唯「あぅ…い…や…体が…硬く…なってく…」

さわ子「唯ちゃんが苦しんでるわ、早くやっちゃいなさい」

澪「はい…」

モ「ふ、俺の速さについていけるかな」カサカサ


澪「は、速い…」

モ「隙あり!」

プシュー

澪「きゃあ!」

唯「み…お…ちゃん…』カサ

梓『澪先輩!』カサカサ

モ「ククク、俺の勝ちだな」カサカサ

澪「…」

モ「ククク、ゴキブリになる時はちょ――っと痛いけど我慢しな」カサカサ

澪「…」ニヤ

モ「?」

澪「新聞スラッシュ!」ビュン

サッ

梓『避けられた…!』カサカサ

モ「グ…まだ抵抗する元気があったか、ならば時間稼ぎをさせてもらおうか」カサカサカサカサ

唯『逃げに徹し始めた!これじゃあ澪ちゃんもゴキブリになっちゃう…』カサカサ

澪「新聞スラッシュ!」ビュン

ブシュ

モ「ぐはあ…な、何故俺に当たった…!?」

澪「フフフ、目には目を…だ」カサ

モ「まさか奴…自らゴキブリになって…俺と同じ素早さ…を…」シュワシュワー

澪「…ふう」

梓「…体が戻った」

唯「良かった~、あずにゃん!」ダキ

梓「な、なんで抱きつくんですか!」

唯「やっぱあずにゃんは柔らかいほうがいいよ!」スリスリ

梓「わ、私も…唯先輩は暖かくて柔らかいほうが…」

さわ子「一件落着、ね」

唯「にしてもすごいよ澪ちゃん!敵を利用するなんて!」

澪「いやあれは…さわ子先生が助言してくれたんだ」

さわ子「澪ちゃんのなりやすさ次第の賭けだったけどね」

梓「だいたい先生はなんで敵のことに詳しいんですか」

さわ子「それは…いずれ言うわ、澪ちゃんに」

澪「私にだけ!?」

唯「まぁそのときじゃないんなら仕方ないよ」

さわ子「唯ちゃんは理解が早いわね」


澪「だいたいゴキブリにする能力って…そんな干渉アリですか?」

さわ子「異世界人にはいろいろ居るのよ」

梓「もうゴキブリは嫌です…」

唯「私もゴメンだよ…」

さわ子「奴を倒したからゴキブリにするっていう干渉はもうできないはずよ」

澪「良かったな、梓」

梓「はい!澪先輩かっこよかったです!」

澪「恥ずかしい…」テレテレ

唯「私は?」

梓「唯先輩も…ヘタレだったけどかっこよかったですよ!」

唯「あずにゃん…もう、素直じゃないなぁ」

『怪奇ゴキブリ男』完




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最終更新:2010年10月08日 00:45