スネーク「…俺は生まれてからずっと戦場で生きてきた…」

スネーク「常に戦場に身を置いて戦い続けて来た。そんな中あいつ(メタルギア)に出会った。あれは世界を脅かす。だから壊して回っている。それだけだ」

りっちゃん「そうじゃなくてさ~! う~ん……そうなった動機? みたいなのが聞きたいんだよ私は。だってあんたがやる必要ないだろ? 他の誰かが…」

スネーク「りっちゃん、とか言ったな」

りっちゃん「う、うん(こそばゆい……)」

スネーク「誰かがやってくれる、自分じゃなくていい……そんな考えをみんながしてるとしたらどうなる?」

りっちゃん「そりゃ誰も動かない…」

スネーク「そうだ。それに誰かに任せてそれが失敗したら……お前さんならどうする?」

りっちゃん「う~ん…事にもよるけど…やっぱり怒る…かな?」

スネーク「やらなくて失敗したら怒るか。まあそいつのせいで失敗したのは事実だからな。当然と言えば当然だろう。…なら自分でやればいい」

りっちゃん「えっ?」

スネーク「自分でやって失敗したら仕方ない。自分がやったことにあれこれ文句はつけれないだろう?」

りっちゃん「そりゃあまあ…そうだけど」

スネーク「俺は何も英雄になりたいからこんなことをしてるわけじゃない」

スネーク「メタルギアが当たり前に戦争で使われる世界になればまた冷戦時代の幕開けだ。下手をすれば核戦争に発展するかもしれん。どの国も核を持ち、撃たれたら撃ち返す……そんな世界にしたくはないだろう?」

りっちゃん「…うん」

スネーク「自分が嫌だからそうして来ただけだ。だから俺は英雄でもなんでもない。ただの臆病者だ」

りっちゃん「違うよ……あんた…やっぱり英雄だよ」

この人ほど世界を見ている人はいないだろう。
自分が嫌だからそうする、これが本当に出来る人間なんて今の時代に果たして何人いるだろうか。世界の意見に流され、怖くて動けなくてがんじがらめになるのが普通だろう。
人は何故彼を英雄と呼ぶのか……わかった気がする。
この人に比べたら私はなんてちっぽけで…恥ずかしくなる。

思えば澪も…同じだ。
ただあいつは違う、あいつのやり方で本当に幸せになるやつなんていないんだ。
それを私が良く知っている。

だから、止めないと。

スネーク「話が長くなったな。爆破するぞ」

りっちゃん「私がここにいる理由は聞いてくれないの?」

スネーク「他人の過去を詮索する趣味はない」

りっちゃん「そっか。なら勝手に話すよ。私は友達を取り返しに来た、それだけ。他にはな~んもない! 世界がどうとかも知らない。私は私の世界を守る為にここにいる」

スネーク「……そうか」

スネーク「(こんな子供が武器を取る時代にしてしまったのは俺達の責任だ。それを終わらせるまで戦場を降りるわけにはいかないな…。)」

「ハッハッハ。こんなものでこのメタルギアVOICEをどうにか出来ると思ってるのか? 相変わらずめでたい奴だな……スネークゥゥ!」

スネーク「!!!」

スネークはすぐさま積み荷から飛び出し、銃を構えながら何かを探す。憎しみが混じった顔つきで「リキッドォォォ!!!」と吼えた。

リキッド・オセロット「久しぶりだな兄弟! まだ生きているとはさすがにしぶとい」

りっちゃん「お前はっ!」

リキッド・オセロット「始末に失敗したか、澪め。所詮はただの少女に過ぎんか。つまらん情に流されるなど」

バシュンッ

リキッド・オセロット「ほぅ…」

リキッドが立っている脚橋の手すりに火花が飛ぶ。

りっちゃん「お前が澪を呼ぶな…!」

律がスタンドアップで構えたPSG-1のスコープ越しにリキッドを睨み付ける。

スネーク「メタルギアVOICE……と言ったな?」

リキッド・オセロット「そうだ! 最新技術を駆使し最強最高のメタルギア、それがメタルギアVOICEだ」

スネーク「お前にはそいつにつけられているC4が目に入らないらしいな! REYの装甲でも軽々と破壊できるC4で……」

リキッド・オセロット「あのゴミ(REY)と一緒にしてもらっては困る。REYなど所詮はプロトタイプに過ぎん。このメタルギアVOICEは琴吹家の総力を結集し造られたものだ!」

りっちゃん「ムギの…? 白髭! ムギはどこだ!?」

リキッド・オセロット「最後の最後に彼女は君につくと言い出したのでな。少々眠ってもらっているよ」

りっちゃん「お前っ…」ギリッ

スネーク「下がれ! 律!」

りっちゃん「!?」

スネークが律に覆い被さるように飛び込み、その瞬間にC4の爆破ボタンを押した。

ズオオオオオオオオ──────


───────

スネーク「……大丈夫か?」

りっちゃん「いきなり爆破させるから心臓がビックリしただろ!」

スネーク「すまんな。ただあの位置ならリキッドもただではすまない。メタルギアにダメージを与えられなくとも奴は……」

リキッド・オセロット「不意打ちとはやられたよスネーク」

スネーク「!?」

脚橋の中央に居た筈のリキッドはいつの間にか端に移動し、爆風から難を逃れていた。
その傍らには黒いコートを着こんだ黒髪の女の子が日本刀をダラりと持ちながら佇んでいる。

りっちゃん「澪!!」

澪「お怪我は?」

リキッド・オセロット「問題ない。さすが奴の代用、いい動きをしている」

澪「代用…?」

訝しげに聞く澪に対しリキッドはしまったしまったと軽く笑い呆けている。

リキッド・オセロット「失言だったよ。まあこれが完成した今もうお前に用はない」

澪「えっ、一体どういう……」

リキッド・オセロット「私は今から『歌』を取り戻しに行く。世界の『歌』をな!」

澪「取り戻しに行くって…どうやって? 世界の皆が歌うのを待つんじゃ……」

リキッド・オセロット「フフフ……ハッハッハ……!!!!」

澪「何がおかしい!」

リキッド・オセロット「私の取り戻したい歌とお前の取り戻したい歌は違う。私の取り戻したい歌、それは即ち……」

リキッド・オセロット「戦争だ!!!!!!」

澪「何を……」

リキッド・オセロット「今の世界は腐っている。やれ平和だのやれ核廃絶だの、そんな出来もしないことを掲げている。人間は戦争をして生きて来たのだ。平和でいる時間など人類を考えれば僅か数時にしか過ぎん。だから俺がもう一度引き金を弾く! 核戦争への火蓋を落とす!!!」

スネーク「何が目的だリキッドォ!!!」

リキッド・オセロット「俺がお前を越えた証を世界に刻み付けてやるだけだ!!!」

スネーク「ビッグボスはもういない!!!」

リキッド・オセロット「ビッグボスを越えたお前を殺し世界を崩壊に追いやることで俺はこの遺伝子から解放される!!!」

スネーク「わけのわからんことを!!!」

澪「じゃあ……私は……私達は何のために」

リキッド・オセロット「お前達のおかげで随分上手くことが運んだ。その事だけは感謝しよう。琴吹家のバックアップがなければメタルギアVOICEは完成しなかったからなァ!!!」

澪「き、貴様ァ!!!!!!」

ブンッ

リキッド・オセロット「フンッ!!!」

澪「ぐぅはっ……」

リキッドのボディブローがコート越しに澪の体にめり込む。

リキッド・オセロット「人形は人形らしくしていればいい。歌を取り戻す? 笑わせるな。お前達のような弱者には何も出来ん。何かを成し遂げられるのは優れた遺伝子を持つものだけだ!」

りっちゃん「澪!!!!」

澪「私達は……こんな奴の為に…」

お腹を抑えながら悔しさに顔を歪める澪。

澪「(律……ごめんな……でも……)」

意識が霞んで行く。

澪「(全部……夢ならいいのに……。)」

りっちゃん「お前……っ!!」

スネーク「リキッドォォォ! 今ここで終わらせてやる!!」

リキッド・オセロット「貴様らに見せてやろう!!! メタルギアVOICEの力をな!!!」

リキッドが脚橋からメタルギアに飛び乗る。

スネーク「本当に無傷とはな……。りっちゃん、やれるか?」

りっちゃん「……。」

スネーク「今は奴を倒すことに集中しろ。いいな?」

りっちゃん「…わかった」

澪、負い目…感じてるだろうな。
澪を騙し、ムギを騙し……世界を陥れようとする全ての元凶……!!!

りっちゃん「リキッド・オセロット!!! あんたは私が倒す!!!」

リキッド「死ねぇいスネークゥゥゥゥ!!!!!」

ギィン、ウィン、ガウウウウウウウン

二足歩行の兵器が動き出す。

ガシャン!ガシャン!

肩口についている巨大なスピーカーの様なものが突き出される。

スネーク「来るぞ!」

身構える二人に対しリキッドは声高らかにこう言った。

リキッド・オセロット「聞け!!!!! これが世界の歌!!!! WORLD OF SONGだ!!!!」


ウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタン


スネーク「なんだ……っ……これは」

りっちゃん「体が……動かない!?」


リキッド・オセロット「メタルギアVOICEは音によって直接神経にアクセスし聴く人間の自由を奪えるのだ!!! それだけではない!!! それを利用し操ることも出来る!」

スネーク「そいつを利用して核を撃つつもりか!!!」

リキッド・オセロット「いいや違うな! 核を発射する為にロックされているものを特定の音を出すことでこいつは解除することが出来る!!!」

スネーク「ロシアの核はそれでか…!」

リキッド・オセロット「動けない貴様達にこれ以上話すことはない! 死ねぇいスネーク!!!」

スネーク「オオオオ動けッッ」

りっちゃん「くっ」

ボスンッボスンッボスンッボスンッ
何連装かのロケット弾が上空に発射される。それはやがてロックオンされている二人に向かって降り注ぐだろう。

りっちゃん「(万事休すかっ……)」

バアアアアアアアアン!!!!

リキッド・オセロット「何ぃ!?」

スネーク「動けるぞっ! りっちゃん!」

りっちゃん「うん!」

甲高い音が一気に流れたと思うと二人は自由を取り戻し、思い切り走ってロケット弾を避ける。

リキッド「どういうことだ!!!」

トゥルルトゥルル……

りっちゃん「通信……?」

見知らぬ番号に戸惑いながらも出る律

ピュンッ──

紬『りっちゃん! 大丈夫!?』

りっちゃん『ムギ?! どうして…まさかさっきの!』

紬『うん! 私が妨害音を流して止めたの! 私達が犯した罪は消えないけれど…今はりっちゃんの為になりたい!』

りっちゃん『ムギ……』

紬『今からメタルギアVOICEの特徴や弱点を言うわ!』

りっちゃん『頼むよ、ムギ!』

紬『メタルギアVOICEは私(琴吹)家の技術を集約しているわ…。武装から説明して行くわね。基本的にはメタルギアRAYに近いかしら。』

紬『16連装追尾式ロケットランチャー、大口ガトリングガン、水圧カッター、四散型レールガン…更に地走式Sマイン何かも装備しているわ』

りっちゃん『RAYの資料は見たことあるけど大体一緒だな』

紬『油断しないでりっちゃん。どれもRAYより格段に強化されているわ。海水を抽出しないとすぐなくなっていた水圧カッターも今ではほぼなくなることはなくなったの』

りっちゃん『そうなのか!?』

紬『ええ。容量タンクが大きくなったのとあの装甲が産み出しているのよ』

りっちゃん『装甲が!? どうやって!?』

紬『りっちゃん、夏場に冷たい飲み物何かを常温に晒していたコップ何かに注いでしばらく経つと周りに水滴がついてたり……なんてことはない?』

りっちゃん『あるある! 冷たいのが逃げた~ってなるよなぁ』

紬『ふふふ、りっちゃんらしい。あれと同じ原理なの。周りの温度に合わせてメタルギアRAYは発熱したり凍結したりするの。それによって産み出された水分を内部のタンクに取り入れるの』

りっちゃん『なるほど……』

紬『更に水圧カッターで放出された水は大量のイオンを含んでいるの。それを撒き散らした後の四散型レールガンで広域感電攻撃何かも注意して!』

りっちゃん『地走式Sマインってのは?』

紬『ただの地面を走る爆弾よ! りっちゃんなら問題ないわ!』

りっちゃん『一番問題あるよ……』

紬『一番大事なことを話してなかったわ! あの装甲だけれどあれはナノマシン装甲なの』

りっちゃん『ナノマシン装甲??』

紬『セラミックとナノマシン融合させた琴吹家特製の金属なの。タングステンやレニウムも配合されていて破壊される度ナノマシンが感知して自己修復を行うわ。RAYにも搭載されていたものに似てるけど修復率が段違いよ。破壊されたところを99.86%修復されるよう設定されているわ。ダメージコントロールってレベルじゃないわね』

りっちゃん『oh.....』

りっちゃん『ってそんなのアリかよっ!? だからC4でもビクともしなかったのか……』

紬『いえ、確かに世界一硬い金属とも言えるけど壊れないほどじゃないわ。世界中に存在する物質で今人間が破壊出来ないものはないのよ?』

りっちゃん『そうなんだ…ムギは物知りだな!』

紬『ええ。りっちゃんと別れていっぱい勉強したから……』

りっちゃん『…ムギも変わったんだな』

紬『ううん。変わってない。私はずっとりっちゃんがみんなを迎えに来てくれるのを待ってたの。ずっと……』

りっちゃん『ムギ……』

りっちゃん『ごめん、待たせちゃったかな?』

紬『待ちくたびれたわっ! なんて。今はそれ所じゃないわね。端的に言うわりっちゃん! 脚を狙って!』

りっちゃん『脚か!』

紬『あそこの駆動部分は部品が届いていなくて100%ナノマシン装甲じゃないの。だから上手く狙えば……』

りっちゃん『わかった! ありがとうムギ!』

紬『後さっきみたいな音にも注意して。メタルギアVOICEの両肩についている電子スピーカーから出される音は人間の精髄に直接働きかけられるの。さっき動きが止まったのも筋肉を硬直させる音波を出したからよ』

りっちゃん『対策は?! 耳を塞いだらいいのかな?』

紬『耳を塞ぐぐらいじゃムリよ! もしVOICEが体勢を取ったら思い切り叫んで! 自分が発する音が混じれば上手く伝達されない筈よ! 一々気を回すのが嫌なら歌いながら戦ったりしたらいいかも。もし動けなくなってもまた私が妨害音を流すから心配しないで!』

りっちゃん『わかった! 任せたぜムギ!』

紬『歌いながら戦うりっちゃん……素敵』

りっちゃん『歌いながら戦うこと決定してるんだ……』

紬『りっちゃん……澪ちゃんを……助けてあげて』

りっちゃん『……』

紬『私達には無理だった……出来なかったから。澪ちゃんを助けられるのはりっちゃんだなの』

りっちゃん『……わかってるよ、ムギ。メタルギアを倒して、澪を連れてみんなでここを脱出しよう。そしたらさ、また考えようぜ。これからどうしたらいいか。みんなが一緒に歩ける道を探そう。絶対に』

紬『りっ…ちゃん……』

りっちゃん『泣くなよ、泣くのは全部終わってからだ』

紬『うんっ! また何かあったらCALLして。周波数は269.15よ』

りっちゃん『つむぎいーこな!わかった!』

紬『///』

やっぱりっちゃんは変わってない。
あの頃のままだ。だから信じよう、この人を。

ピピュン……

りっちゃん「スネーク!! 生きてるー!?」

リキッド・オセロット「潰れろ!!! スネェェェェェク!!!!!」

ダンダンダンダンッ!

スネーク「何とかな! で、何かわかったか!?」

メタルギアに追いかけるのを逃げながら顔だけ律に向け問う。


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最終更新:2010年10月09日 21:56