りっちゃん「脚だ! 脚の駆動部分は装甲が薄いらしい!」
スネーク「よぅし!!! りっちゃん! 武器はあるか!?」
りっちゃん「実弾はPSG-1しかない!!!」
スネーク「ならこいつを使え!!!」
スネークはどこからか取り出したものを律に地面を滑らす様に投げた。
りっちゃん「これは……!!!」
スネーク「スティンガーだ!!!」
りっちゃん「FIM-92、スティンガーミサイルか! ってどっからこんなもの!?」
スネーク「細かいことはいい!!! 使い方はわかるな!?」
りっちゃん「VR訓練で残存する兵器は大方訓練済みだよ!!!」
スネーク「VRと実戦は違うのを忘れるな!! 空気抵抗や摩擦などが加わることを覚えておけ!!」
りっちゃん「わかった!!! スネークは!? 武器あるの!?」
スネーク「俺はRPG-7がある!!!」
りっちゃん「武器庫かよあんたは!!!」
スネーク「弾は無限にあるがバッテリーの持続時間に気をつけろ!!!」
りっちゃん「大丈夫!!! 赤外線がなくったって手動でやってやる!!!」
スネーク「頼もしい限りだ!」
リキッド・オセロット「何をごちゃごちゃ喋っているぅぅぅぅ!!!」
チャンチャンチャカチャーン───
チャンチャンチャカチャーン───
(ボス戦のテーマ)
リキッド・オセロット「こいつを喰らえ!!!」
両足を固定し、背中をやや丸めたメタルギアVOICE。
スネーク「ミサイルが来るぞ!!!」
りっちゃん「わかってるよ!!!」
シュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッ
打ち上がった16発のロケット弾は律とスネークに狙いを定め飛んでいく。
それと同時に律は止まる。
スネークは走ったままだ。
この手の追尾式ミサイルの避け方は三種類ある。
一つはスネークの様に走り回って追尾させないやり方。大抵のミサイルはスピードの慣性が追尾能力を上回るので最後まで追尾出来ず素早く動く小さな物には当たりにくい。
二つ目はチャフグレネードなどで電波障害を起こし追尾させないやり方。
三つ目は今律がやっているものだ。
ミサイルが律に近づく。
残り10.8.5.3m……
りっちゃん「とぉっ!!!」
ギリギリのところで前転回避し事なきを得る。
そう、三つ目は見てもらったようにギリギリまで引き付けてから避けるというやり方だ。
この方が体力の温存にはなるがミサイルの爆破の威力次第では爆風にも巻き込まれる可能性がある為初見でやることではない。
ただ律は16連装ってことで一つ一つの火力は少ないと見たのだろう。
実際その通りで爆破自体は小さなものだった。
りっちゃん「今度はこっちから行くぜ!」
ミサイルを避けた律がそのまま寝そべりながらメタルギアVOICEの脚部をロックオンする。
りっちゃん「行ってこーーいっ!」
バシュウッ!!
弾き出された弾丸は音速を越え狙ったメタルギアVOICEの脚部へと吸い込まれる様に刺さった。
ゴオッと言う破壊音と共に少し巨体が揺らいだ。
リキッド・オセロット「生意気な!!!」
スネーク「いいぞりっちゃん!!」
りっちゃん「ど~んなもんだいっ」
スネークにガッツポーズしてみせるのも束の間、
リキッド・オセロット「貴様ァ……!!!!」
次の攻撃、地走式Sマインが襲いかかる。
メタルギアVOICEからボトボトと何かが落ち、それが地面をスライドしながらこちらに向かってくる。
りっちゃん「あれが地走式Sマインかっ」
スネーク「Sマインなら厄介だ!! 拡散する前に止めるぞ!!! 」
りっちゃん「どうやって!?」
スネーク「恐らくあれは熱源でこっちを捉えてる! センサーがあるだろう? あれを狙い撃て!」
りっちゃん「無茶苦茶言って!」
律とスネークはPSG-1とSOCOMを構え狙いを定める。
カンッ! カンッ!
と金属がぶつかり合う甲高い音が聞こえた瞬間Sマインは力なく止まる。
スネーク「腕はいいらしいな」
りっちゃん「伝説の庸兵にお褒めに預かり光栄だよ」
リキッド・オセロット「やるな!!! ならこいつはどうだ!!!」
メタルギアVOICEが口を大きく開けだす。
スネーク「水圧カッターが来るぞ!!!」
りっちゃん「対処法は!?」
スネーク「ないっ!! 逃げ回れ!!!」
りっちゃん「ええええっ」
リキッド・オセロット「喰らえっ!!!!」
ジィィィィィ
物凄い水圧の水が律達に襲いかかる。
地面を切らない程度に設定してあるのだろうが触れれば人間の肉などプリンかの様に容易く千切れ飛ぶだろう。
りっちゃん「うわあっ」
スネーク「ぐっ!」
メタルギアVOICEの口から放出される水圧カッターをひたすら逃げながら回避する二人。
リキッド「逃げ回るだけかスネェェェェェクゥゥゥゥ!!!」
スネーク「思ったより放出時間が長いな…」
りっちゃん「RAYみたいに海水を補充しなくても自分で産み出して補充してるんだ! だからいつなくなるか……」
スネーク「さすが最新型と言うわけか…! りっちゃん! 裏手に回り込め! 俺が囮になる!」
りっちゃん「わかった!!」
スネークは走る速度を緩めながらメタルギアとの距離を測る。上手く水圧カッターを避けつつメタルギアの内側に入り込むことに成功。が、減速したスネークを捉えたメタルギアはそれを潰しにかかる。
リキッド「こいつ(メタルギア)に潰されるなら貴様も本能だろう! これで終わりだァ!」
ズガアアアアンッ
スネーク「うぉ……っ」
スネークはそれをギリギリの所で横っ跳び回避。
リキッド「なにぃ!!?」
スネーク「ウオオオオッ!」
受け身を取りながらもRPG-7を構え、水圧カッターを発水している開口部分を狙い発射する。
リキッド「させるか!!!」
メタルギアは瞬時に口を閉じると外の装甲に弾が当たる、も、大した傷もなくまたすぐに傷口が修復されていく。
スネーク「ちぃっ! 外したか…!」
リキッド「甘いわ!!」
ドゥフウウウウウ──
リキッド「なにい!!?」
巨体がガクりと揺れる。リキッドは慌ててその原因を確認する為にメタルギアを旋回させる。
りっちゃん「あ~らごめんあそばせ! こっちにもいるのを忘れるなよ!」
スティンガーから煙が上がり、不敵に微笑む律の姿。
リキッド「こざかしいわッ!!!」
開口、水圧カッターを噴出する機械部が唸りをあげる。
スネーク「……」
りっちゃん「……」
一瞬二人の目線が交差する───
それも束の間、瞬時に目線をメタルギアに合わせる律。
りっちゃん「まだまだっ!」
律は二発目をメタルギアの口に狙い定め引き金を弾く。スティンガーの重々しい重高音が響いた後、物凄い速度で弾は加速していく。
リキッド「バカめッ!!! そんなものは効かんわ!!!」
放水をするための作業を止め、先程と同じ様に口を閉じようとするメタルギア。
りっちゃん「どうかな?」ニヤッ
律がチラッと目線を送った先には、伝説の傭兵ソリッドスネークの姿があった。
スネークは既にSOCOMを構えており────
バンッ───
りっちゃん「バーンッ……」
律は手を拳銃のように型どり、撃ってみせた。
ズォォォォォォッ
リキッド「ぐうぅ……何が起こった……!?」
衝撃で叩きつけられたリキッドは覚醒を促すように首を横に二、三回振りながら状況を確認する。
リキッド「……ちぃっ、水圧カッターがやられたか」
メタルギアの口は爆発により原型を歪めていた。
特殊装甲は外側だけであり中は普通の金属のようだ。
りっちゃん「だから言ったろ? それはどうかなってさ」
話ながらもスティンガーで脚に狙いをつけ始めている律。
リキッド「(スティンガーは発射してからすぐには速度は上がらん……あのタイミングなら間違いなく間に合っていた筈だ。それに直撃したにしてはダメージが少ない。まるで手前で爆発したような……)」
リキッド「なるほど……やはり貴様か、スネーク」
スネーク「どうしたリキッド。ビッグボスを越えると言っている割にはそこの新兵一人に手こずってるみたいじゃないか?」
リキッド「貴様ァ……!」
リキッド「ククク……そうでなくてはな! 兄弟!!!」
リキッド「ならばこちらも本気で行くぞおおおお!!!!」
メタルギアの両肩から巨大なスピーカーせり上がる。
りっちゃん「スネーク! あれが来る! 大声を出してノイズを混ぜれば回避出来るらしい!!!」
スネーク「わかった! 大声には少し自信がある! 任せておけ!」
リキッド「行くぞおおおおおおおおスネークウウウウウウウウウ!!!!!!」
リキッド「ザ・ワールド!!!!!」
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
りっちゃん「あーーーーーーーーーーーー」
スネーク「おおおおおおおおおおおおおおおお」
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
りっちゃん「だあああああああああああああああ」
スネーク「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
りっちゃん「息があああああああああああああ」
スネーク「太陽おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
スッ────
ウ゛ンタンウ゛ンタン
りっちゃん「しまっ……」
息継ぎの瞬間に音が入り込み、律の体が止まる。
スネーク「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
りっちゃん「(どんな肺活量してんだよっ!!!)」
リキッド「死ねぇぇぇぇ小娘!!! 」
顎の辺りについているレールガンに電撃が集中する────
バアアアアアアアアアアアアアンッ
りっちゃん「っと! 動ける!」
リキッド「ちぃっ!! 小娘が!!!」
しかし、発射されたレールガンは水圧カッターで噴出された水を伝い電染する。
スネーク「飛べッ! りっちゃん!!!」
りっちゃん「了解ッ!」
二人は中空に高く飛ぶとその下を電撃が走って行く────
プルルップルルッ……ピュンッ
りっちゃん『サンキュムギ! でもあんな長い間音を出されたら……』
紬『あの音を止めるには何個かやり方があるの。一つは私みたいに衝撃音を出して音を相殺するやり方。ああ云う強い衝撃音は鼓膜に響くわ。今もぐわんぐわんってなってない??』
りっちゃん『なってるなってる』
紬『そうなるとしばらくの間神経を操るような精度は出せなくなるの。』
りっちゃん『なるほど、後は?』
紬『体勢を崩したりかな? デリケートな音だから高さや位置が一瞬ズレるだけで動けなくするなんてことは出来なくなるわ』
りっちゃん『そう言えば大声出すのに夢中で攻撃するの忘れてた……』
紬『ふふ、だから歌いながら戦うりっちゃん……』
りっちゃん『わかったわかった! 確かに歌いながらの方がリズムも生まれるしやりやすいかもな! やってみるよ!』
紬『妨害音もそこのスピーカーを壊されたら鳴らせないわ。だからそう何度も使えない……だから気をつけてねりっちゃん』
りっちゃん『了解!』
ピピュン……
リキッド「思ったよりもやるな。本当はもう少し楽しみたかったが……時間が押していてな。そろそろ終わりにしてやる!!!」
スネーク「…見たところ薄くだがあの装甲で覆ってあるようだ。一撃一撃撃ってもすぐに再生される。二人同時に叩き込むぞ」
りっちゃん「わかった! やってみるよ!」
スネーク「……りっちゃん、新米だと思ってたのは俺の見誤りだったらしい。お前さんは立派な戦士だ。だがこんな生き方は似合わない。この戦いが終わったら武器じゃなく、もっと相応しいものを持って生きろ」
りっちゃん「……うん、わかってる。ありがとう…スネーク」
スネーク「……来るぞッ!!」
リキッド「止まれえええええええ!!!!」
巨大なスピーカーが律達の方を向く。
紬「(妨害音を……!)」
制御室内にいる紬が妨害音を鳴らそうと手を伸ばした時だった、
リキッド「させるかあああッ!」
ババババババッ───、
メタルギアの腕についているガトリングがけたたましく回転し格納庫内のスピーカーを撃ち潰す。
紬「くっ」
リキッド「用済の蝿がウロウロと。資金援助に免じて命までは取らないでやったものを」
ゆっくりと扉を開け、強化ガラスに包まれていた制御室を出て橋脚に降り立つ紬。
りっちゃん「ムギッ!?」
紬は下にいる律に微笑んだ後、メタルギアに乗っているリキッドに向かって話始めた。
紬「あなたは以前音楽を取り戻したいって私達に近寄って来ましたよね? あれは嘘だったんですか?」
リキッド「嘘ではない。ただ貴様らの求める音楽と俺の求める音楽が違っただけだ」
紬「ならもう……私達に協力するつもりはないと?」
リキッド「くどいな紬嬢! 俺はあんなママゴトの音楽など知ったことじゃない!!」
紬「そうですか……なら仕方ないですね…」
紬は懐から何かを取り出し、リキッド見せつける。
紬「これはメタルギアの自爆装置よ。万が一と思って隠して作ってたの」
リキッド「なにぃ……?」
りっちゃん「でかしたぞムギッ!!!」
紬「私は元からあなたなんて信じてなかった。ただ利用していただけよ。確かにあなたのやり方は本当に音楽を奪還出来たかもしれない。けれどもう必要ないの。りっちゃんと…正気に戻ったみんなでまたやり直す。だからもう……メタルギアなんていらないわ!!! 伏せて! 二人とも!!!」ピッ
りっちゃん「うわあっ」
スネーク「わかった!」
リキッド「やめろおおおおおおおおっ!!!!」
────────、
紬「……なんで?」ピッ
紬「なんでッ!! なんでッ! 自爆……」ピッピッ
リキッド「しなーーーーーーーーーっい!!! ククク、貴様が寝ている間に外させてもらった。どうださっきの演技は? お嬢様の夢を壊さぬようアカデミー賞並みの演技力を披露したつもりだが」
紬「リキッド……オセロット!!!」
リキッド「目障りだ!!! 消え失せろ!!!」
右腕のガトリング砲が紬に狙いを定める。
りっちゃん「えっ…、おい……!!! やめろよ!! ムギには関係ないだろっ!!!」
それに気付くも橋脚の上にいる紬をどうにかすることも出来ず、虚しく銃砲が鳴く────
ババババババ────
りっちゃん「ムギイイイイイイイッ!」
最終更新:2010年10月09日 21:57