ガチャ
唯「すぴー」
律(唯が寝てる……)パタン
唯「くかー」
律(ふむ)ソー
唯「……りう」
律(おっと)ビク
唯「りつ……」ムニャムニャ
律(……私か?)
律(私の夢を見てんのか?)
唯「おでこ取れてるよ……」
律(なにそれ怖い)
唯「ん……」ペタペタ
律(デコさわんな)
唯「えへへぇ」ニヘラ
律(……幸せそうな顔してんな)
律(おいっ)
唯「んー……」
律(待ってって!)
律(私のデコの初めてが!)
唯「ちゅっ」
律(ああああああああ)
律(唯め……)
唯「……」
律(つーか、そろそろ離しておくんなまし)
唯「あいふー」ガジガジ
律(齧るなげっ歯類)
律(おい、ツバが垂れてきてるし……ハンカチどこだ)ゴソゴソ
唯「ん……」ペロペロ
律(デコ舐めるなって!)グイッ
唯「へへへ……」ペロペロ
律(……机を舐めはじめちゃったよ)フキフキ
律(ちょっと、これを放っておくわけには)
律「ほら、こっち向け」スッ
唯「ん、おでこぉ」ペロペロ
律(世話が焼けるな……)
律(でもなんか落ち着くかも)
律(あったかくて柔らかいなぁ)
律(さすがにベトベトすんのは気持ちわりいけど)
唯「ふん、ふー」ペロペロ
律(よく舐めるな……夢の中でアイスでも食ってるのか?)
唯「りふぅ」
律(どうなんだろ)グイッ
律(!?)
唯「んー」ムチュ
律(……)
唯「ぱぁっ」チュッ
律(おい)
律(……おいおい)
唯「りひゅー」ガバッ
律(ちょ待っ)
ドタンッ
唯「むちゅちゅー♪」
律(ウェイト! この体勢はだめだ!!)
律(まだ起きてねぇのかよ!?)
唯「んうー」ニュル
律(こいつ、舌を……)
律(いい加減にしろって……!)ドンッ
唯「あうっ」
律(あぶなかった……)
唯「あー……りっちゃん?」
律「……」フキフキゴシゴシ
律「おいーっす」
唯「おいーす。んー、寝てたのかぁ。残念」ノビー
律「あ、あぁ」
唯「椅子から落っこちちゃった……のかな? えへへ」
律「びっくりしたぜ、ほんと。大丈夫か?」
唯「うん、平気だよ」パスパス
唯「りっちゃんも背中汚れちゃってる」パスパス
律「お、おう。サンキュ」
唯「りっちゃんも寝てたの? よだれ垂れてるよ」
律「もっとオブラートに包んで指摘しろよな」ゴシ
唯「りっちゃん、他のみんなは?」
律「ん? あー、何だったかな。ムギはバイトで、澪はさわちゃんに呼ばれてたと思う」
唯「あずにゃんは?」
律「またアレだってよ。何か変な……何だっけ? ラーメン丸?」
律「とにかく今日は来れないみたいだ。だからあと澪と三人だけだな」
唯「三人かぁ。もう今日の練習はやめにして、アイス屋さんいかない?」
律「よく食うなー、おい」
唯「さっきまでアイス食べる夢見てたんだ」
唯「りっちゃんと一緒に食べててさ、すっごくおいしかったのに途中で目が覚めちゃったんだもん……」
律(やっぱアイスの夢だったのか)
唯「ねぇー、行こうよりっちゃん」
律「ん? あぁ、澪が来たらな」
唯「ちっちっ、りっちゃん。まだまだだね」
律「はぁ?」
唯「これから練習しようって時に、澪ちゃんにそんなこと言ったらゲンコツだよ!」
唯「ここはメールで連絡を入れておいて、先にアイス屋に向かうべきだね!」
律「言われてみればそうだな……」
律(悪知恵が働くな、まったく)
律「よっし、澪は置いてくか!」
唯「おー!」
澪「誰を置いていくってぇ?」ゴゴォ
律「はっ!」
ドシャーン
律「うひょう!」
アイス屋
律「でも結局来るんだな?」
澪「だって3人じゃあんまり練習も出来ないだろうし……」ペロペロ
唯「澪ちゃん、おいしい?」
澪「……おいしいんじゃないか?」ペロペロ
律「素直じゃない子ねん」
唯「こんなにおいしいのに」ペロペロ
律「なー?」ペロペロ
澪「……どうでもいいけど、あまりべろべろアイスを舐めるものじゃないぞ。はしたない」ペロペロ
律「澪しゃん、鏡みたことありますかー」
澪「ん?」ペロ…
澪「……」ハムハム
律「バカでちゅねー」
唯「……」ハムハム
律「ん? どうした唯?」
唯「むーむ。はんえもあいお」ハムハム
律「そうか?」
唯「うん。ほっほおーっほひへたらけ」ハムハム
律「なら良いんだけど……」
澪「何故通じてるんだ」
律「愛がゆえに……かな」
澪「おめでとう」
唯「」ハムハムハムハム
澪「それじゃあ通訳、これはどういうことなんだ?」
律「んなこと分からねえって」
唯「……」ボー
律(唯の様子……やべぇな。やっぱキスしてたことに気付いてんのか?)
澪「……」チラッチラッ
律(澪もなんか勘付いてるっぽいし、唯には調子を戻してもらわないと)
律「唯、もっとアイス食べたくないか?」
唯「うん、欲しい欲しい!」パアッ
律(既に期待してる目だ)
律(でも奢るなんて言ったら澪までついて来そうだし)
律「もう一本買おうぜ。澪はどうする?」
澪「私はいいよ。……太るし」
律「そっか。じゃあ唯、行こうぜ」
唯「うん、行く行く!」
カウンター
律「んじゃー、何にする?」
唯「んーとね……シトラスキメラ!」ズビシ
律「おぉー、センスのない商品名」
律(私も好きだけどな、これ)
律「んじゃ~私はどうしよっかなぁ」
唯「あ、りっちゃんりっちゃん」チョンチョン
律「ん?」
唯「二人ででっかいシトキメ買って食べようよ。キングサイズ!」
唯「……りっちゃんと二人で食べてる夢だったんだ」ゴニョ
律(部室で見てた夢か……って、なんで耳打ちすんだよ)
律「まあ……そうすっか」
唯「じゃ、割り勘ね。すいませーん、店員さーん」
律(……私と一つのアイスを食べる夢を見てたのか)
律(なんか可愛いな、それ)クスッ
唯「ほえ? どうしたの?」
律「いやぁ、何でも?」ニコニコ
唯「んー? ……えへへ」
律(そういえば、私のことを「りつ」って呼んでたな)
律(唯って、妹以外にはちゃん付けだよな)
律(何の夢見てたんだ、唯……!)ジー…
唯「ありがとうございまーす」ニコニコ
唯「りっちゃん、ちょっと量オマケしてもらったよ!」
律「お、さすが唯だな」
律「……その代わり、スプーンは減らされたようだけどな」
唯「えへへ。まぁそこは目をつぶってね」
律(なんでやねん)
唯「……りっちゃん? 怒っちゃった?」
律「いや。唯こそ、何かあったのか?」
唯「……」ペロペロ
律「私が何かしたんなら……いや、何かしちゃったんだよな。謝るからさ」
唯「ん」
律「……うん」ペロ
唯「……」エヘ
律(なんだよ)
唯「なんでもないよ、りっちゃん」
律「っ!?」
唯「ぜんぜん今までどおりだし、何か変わってたとしても、りっちゃんのせいじゃないよ」
律(あ、そっちか。心を読まれたかと思ったわ)
律「本当に何でもないのか?」
唯「うん……」
律(嘘つくの下手だなオイ)
律「……」
唯「もどろ、りっちゃん」
律(ほっといていいのか……?)
律(間違いなく種をまいたのは私のはずだよな)
唯「りっちゃん」
律「ああ、はいはい」
澪「なんだ、律は買わなかったのか?」
唯「ううん、二人でこれ一緒に食べるんだ」
澪「なるほどな。……カラメルアイス……ぶつぶつ」
律(あ、作詞が始まっちった)
唯「澪ちゃん?」
律「あー、すぐ戻ってくるから大丈夫だって」
唯「そっか。んあ、アイス溶けちゃう」ペロン
唯「ほら、りっちゃんも食べようよ。おいふいよ」ハムハム
律「だな」
律「……」ペロッ
唯「……ん」
律(変な声出すなよ……)
唯「おいしいねぇー、りっちゃん」ハムハム
律「あぁ、甘酸っぱいよな。さっぱりする」
唯「ん、は……」ピチャ
律(唾つけすぎだろって)ペロ…
律(近くで見たことなかったけど、唯の食べ方ってこんなに卑しかったか?)
律(あ、つーか近い)
律「おい、ゆ……」チロッ
唯「おっとぉ、失礼しやした」
律「……き、気をつけろい!」
律(いやいや、待てよ私!)
律(もっとこう、言うべきことがあるんじゃないのか?)
澪「舌を絡めるアイス……」ブツブツ
律「唯、あのさ……」
唯「ねぇ、りっちゃん」
律「……どうぞ?」
唯「んー……りっちゃんってさ、キスしたことある?」
律「ブフゥッ!」
ビチャア
唯「あうー……びちゃびちゃになっちゃった」
律「わ、わりぃ」
律「いま拭くから……」ゴシゴシ
唯「ん……」
律(……)
律「よし、取れたぞ」
唯「……ねぇ」
律「あぁ、わかってるよ」
律「……キスしたこと、あるよ」
唯「そうなんだ……誰と?」
律(いきなり核心かよっ)
律「それは……だな」
唯「うん」ジー
律(しょうがないな……)
律(この機会を逃したら、もう二度と唯に伝えられない気がする)
澪「ぶつぶつ……」
律(澪もいるけど、詩の世界に入ってるし大丈夫か?)
律「……唯だよ」
唯「……」
ボタッ
律(あーあ、まだ一口しか食ってないのによ)
唯「あ、っとと……落としちゃった」
唯「もう、りっちゃんが変な冗談言うから!」プンプン
律「冗談なんかじゃないんだ」
唯「……りっちゃん、目がマジだよ?」
唯「あ、そうだ。さっき舌が当たっちゃったの気にしてるの?」
唯「あんなのノーカンだよ、平気だよ!」
律「さっきじゃない……」
律「今日、部室であったこと……覚えてないか?」
唯「部室? 寝てたから全然……あっ」
律(気付いたみたいだな)
律(でも絶対誤解してるだろ、これ)
唯「私のこと……好きなの? りっちゃん」
澪「ん?」ピク
律(タイミング悪いぞバカ澪!)
澪「そうだな、そういう直接的な表現もたまには……」ブツブツ
律「……」
唯「答えてよ、りっちゃん……」
律「あ、あぁ……」
律(……)
律「違う。唯が私にキスしたんだ」
唯「……???」
律(まぁ解らないだろうな……)
律「何があったのか、説明するよ……」
唯「……」コクン
最終更新:2010年10月15日 01:39