――――
律の部屋
律「皺になるから制服脱いどけよ」
唯「う、うん」プチ
律「……いや、やっぱ私が脱がす」
唯「あぅ……」
唯「ね、ねぇりっちゃん……するの?」
律「……何をだ? 唯にベッドを貸してやるだけだ」ゴソゴソ バサッ
唯「そ、そだよね! 変なこと言ってごめんね?」
唯「よいしょ……」モゾモゾ
律(ほら、早く眠れよ)フフッ
唯「えへへ、りっちゃんのベッド……」
唯「枕、りっちゃんの匂いがする……安心するね」スンスン
唯「いいにおいだなぁ……」
律(こいつ……誘ってるとしか思えないって)
律「なんなら私が添い寝してやろうか? ん?」
唯「そ、それはいいよ……寝れなくなっちゃう」
律「唯。そこは私のベッドなんだぞ?」
唯「わ、分かってるよ! ……え、何? どういうこと?」
律「所有権がないってことは拒否権もなし、って訳だな」ゴソッ
唯「り、りっちゃん、入って来ちゃだめぇ……」
律「いいじゃんか。おやすみ、唯」
唯「あぁう……だめなのに」
律「照れちゃってもう、かーわいいなぁ」ダキッ
律(さて、寝たふり寝たふり)
律「すー……すー……」
唯「ちょ、りっちゃん……寝る前に離れてよう」モゾモゾ
律(やーだよん)ギュウッ
律「すん、すん……ふすー」
律(いい匂いだな……)
唯「ね、寝ちゃったのかな。ほんとに」
唯「り……りっちゃん?」プニプニ
律(近づいてきた……?)
唯「はぁ、はぁ……」
律(唯の息が顔にかかってる)
律(ま、まさか……唯から来るか?)ドキドキ
唯「……」ゴクッ
唯「だめ、だめ……」
律(来ない……か?)
唯「ふ、ふぅ……」
律(息の感じからして、唯の顔はここにあるな)
律(ちょっと近づいてやるか)モゾッ
唯「ひぇ!」
律(明らかに息が荒くなった)
律(唯もドキドキしてるな)
唯「りっちゃん……」
律(あぁ、唇が乾く……)ペロッ
唯「う……うぅ」
唯「……ごめんね、起きちゃだめだよ」ナデ
律(約束はできんな)
唯「好きだよ、りっちゃん……」
律(えっ?)チュッ
律(……そう、なのか)
律(まぁそりゃそうだよな。何の感情もなかったら、目の前で寝られたってキスしたいとは思わんわな)
唯「んむ……ちゅぅ」
律「ん……」
律(声が、でちゃう)
唯「!」バッ
律(あっ、逃げられた……)パチ
唯「ふー、ふー……」プルプル
律(何してんだ? 寝たふり……なのか、これ?)
唯「ぐぅ、ぐぅ」
律(そのつもりらしいな)
律「あれー、寝てたか……」シラッ
律「……唯ももう寝てるか」
律「……寝てるよな?」ツン
唯「ぐぅぐぅ……」
律「よし、大丈夫そうだな。……よいしょっと」ギュッ
唯「んん……」
律「唯の寝顔かわいいなぁ、ほんと」ナデナデ
唯「……」プルプル
律「ちっちゃいけど綺麗な唇だな……グロスも塗ってないくせに」
律「こんな、ぷるぷるでつやつやで……おいしそう」
唯「……」ドキドキ
律「寝てるよな」
律「起きるなよ、唯……」スッ
唯「……」ドキドキドキ
律「ごめんな……我慢できないよ、唯」
律「んっ」チュゥ
唯「んふ……」
律(これが唯のくちびる……)
律「あぁ、すげぇ……あむっ」
唯「んぅ、あ……」
律(舌も入れちゃお)ニュム
唯「ふむ、あぁう……それらめぇ」
律「んぢゅ……あ、おいしぃ……唯」
唯「んんうぅー……!」
律(唯の口、あったかくて……舌がきもちくなる……)
律(意外と歯並びいいなぁ。つるつるだし、歯を舐めるのもいいな)
唯「んぶ、あぁ……」
唯「もっ、りっひゃ……んんっ!」ガバッ
律(うおっ……)
唯「ごめん、りつ……ごめんね」
律「ごめんって……むぐっ!」
律(やばいやばい、また意識飛ぶって……)
律(……また?)
唯「りふぅ、りふぅ……」ピチャピチャ
律(あ、だめ……きもちよすぎてなんも考えられな……)
律「っ、く、あはぁっ!」ビクビクッ
唯「んううっ……律ももっと舌出してよぉ!」
律「やだあっ、そしたらおかしくなっちゃう……!」
唯「出してよう……!!」
――――
コンコン ガチャ
聡「姉ちゃん、めし……」
律「……」ジロ
聡「I see」
パタン
律(聡よ、お前は大きな勘違いをしている)
律(だが訂正してやるのもめんどくさい。あと人の裸を見た以上、一言謝るくらいしろ)
律(……)
律(……落ち着いて考えると、やっぱりあれは夢じゃなかった)
律(昨日部室やアイス屋であったことは全部現実で)
律(私が中途半端な優しさ……いや、自己満足で唯を傷つけたことも)
律(付き合うことになったのも、部室でディープキスしたのも、全部現実……)
律(……)ハァ
律(いや、実際……私は唯のことが好きになりかけてるんじゃないか?)
律(エロいキスは失神するくらい気持ちいいし……)
律(律って呼び捨てにされると心が高ぶる)
律(セックスは何回イッても満たされないくらい欲してた)
律(唯と一緒にいるのはすごく楽しいし……)
律(そうだな。唯のことが好きなんだよ)
律(……今なら本気で好きだって言える気がする!)
ブー ブー
律「っ、なんだよこんな時に……」
律「よっと……澪か。もしもし?」
澪『律……気分はどうだ? 倒れたって聞いたけど』
律「あぁ、どうってことないよ」
澪『そうか……』
律「なんだよ、心配してくれたのか?」
澪『いや、時候の挨拶みたいなものだな』
律「ひでぇな……っくしゅん」
澪『おい』
律「あー……体冷やしちゃったみたい」
律「待っとけ、いま服着るから」
澪『なんで裸なんだよ』
律(……)
律「知りたいか?」
澪『別に興味はないぞ』
律「あ、そ」
律「よいしょ……ふぅっ。それで? 本題はなんなんだ?」
澪『単刀直入に訊くぞ。……唯とのこと、どうするつもりなんだ?』
律「……あぁ」
律「そりゃあ、これからも付き合い続けるさ」
澪『……それでいいのか? 良いと思うのか?』
律「確かに私は、唯のことが好きじゃないのに告白を了承したよ」
律「でも、よく考えてみてさ、私は唯に惹かれてるんだと思うんだ」
澪『律……そういうのはさ』
律「一時の気の迷いかもしれない。でも、澪には言われたくない」
律「私の気持ちの話だ。澪に否定されることじゃない」
澪『悪いけど、唯と約束したんだ。律が二度と嘘をつかないように懲らしめるって』
律「二度とあんな嘘は言わない」
律「それに……もう一度同じ言葉を言ったとしても、嘘にはならない」
律「私は唯を愛してるから」
澪『……分かったよ。律を信じてみる』
澪『けど、律のほうでももう一回、自分の考えを整理してみて欲しい』
律「整理した結果なんだってば」
澪『もう一回だよ。唯のことを考えるなら……』
律「そうか? ……まぁ、そこまで言うんだったら」
律「少し、考えるよ……」プツッ
ツー ツー
律(また唯を傷つけるところだったんだろうか……)ポイッ
律(でも、私は……確かに唯を求めているはずだ)
律(……「求めている」と「好き」は違うってか?)
律(違うって話はよく聞くけどさ、どう違うって言うんだよ)
律(セックスとかキスができるって、好きってことの証明じゃないのかよ)
律(私には分かんねえよ。そんな厄介なこと、私に理解しろってか)
律(だけど、澪があそこまで言うなら……やっぱりおかしいのか?)
律(いや……だからって。分からないからって、付き合ったら駄目なのかよ)
律(唯のことが好きなんだ。唯も私を好きだって言ってくれた)
律(それなのに、はっきりしない事のせいで引き離されちゃたまんねぇよな)
律(私に分かんないんだ。澪にだって分かっちゃいないだろ)
律(それこそ、私たちで確かめていくことなんだ)
律(……唯とメールでもしようかな。携帯、携帯っと)モソモソ
律(お、既に唯から来てたっていう)ニヤ
パッ
唯『お友達になろう?』
律(……)
律(嘘だ……)
律(こんなの嘘だ)
最終更新:2010年10月15日 01:42