律「お、おい!唯、どうしたんだ!?唯!?!」

唯 ユッサユッサ

澪「律!あまり乱暴するな!」

律「あ、すまん!唯、大丈夫か?」

唯「…」

律「!!!!

  大変だ!息をしてない!!!!!」

梓「えっ!?!」

澪「嘘だろっ!?!」

律「間違いない… 唯は…… 死 ん で る !!!!」


唯「…」 チーン


              ____
          ,  ' ´/      ` ヽ
        /,∠ / | .ト、  ',    ヽ
       / / フ'´⌒| .|`マ .',  ',  ヽ
        /  {__/   | .| ∨ ', ', }.   ',
      j  .∧{γぅ  \|γぅ  } }/ l   }
      { /  l弋_ノ    弋_ノ∨ / .| .| j
      ∨  j xxx    xxx/W  j) レ'
       {  (    ヘ    { ./  /|  !
       {   ヽ       |/  / ,'  |
       ∨  ∨> r―┐´{  / /\ |
          ∨\ ∨ /ゝ/lヽ{_/l/l/
           /|/}{\/ |\
         /{ //x仆、 〉 |   ヽ
        /   ヽi//ハ」/iー┘   }

        平沢 唯    享年17


唯「…」 チーン


梓「そ、そんなどうして…」

澪「唯… 今日のお菓子は特別楽しみにしてたから…

  そのショックが大きすぎて…」 ポロ ポロ

梓「唯先輩…」 ウルウル

律「皮肉にもこれで唯が犯人じゃないと言う事が証明されたな…

  そして…」

律「…ふぅー」

澪「律?」

律「…今の時刻は」

時計「17時だよ! 17時18分だよ!」

律「17時18分… 現時刻をもって

  『軽音部室お菓子つまみ食い事件』は…

  殺 人 事 件 として取り扱う!!!」

梓「!! さ、さつじん!?」

澪「なんだって!?!」

律「だってそうだろ?唯はお菓子が食べられなくなったショックで死んだんだ…

  つまりこれは間接的な殺人事件……」

梓「そ、そんな…それはつまり…

  この3人の中に殺人鬼がいるって事にっ!!!?!」


澪「…ふざけるな!!」

律梓「!!」

澪「私達の中に殺人鬼がいる?なんだよそれ…!!」 ワナワナ

澪「殺人鬼なんかと一緒にいられるか!!私は先に家に帰る!!!」 スタスタ…

律「よせ澪!それは死亡フラグだ!!」


澪「…」 ガシッ

ドア『ガチャガチャ』

澪「…? あ、あれ?」

澪「…開かない?」

律梓「!!!」

律「まさか 密室殺人!!?!」

梓「そんな事って」


澪「いや、小芝居はもういいから ちょっと待てくれ…」 

ドア『ガチャガチャ』


律「えー なんだよー、これから面白くなる所だったのにぃー」 ブーブー

梓「ノるだけノっておいてなんですけど… 不謹慎じゃありませんでした?」

律「確かに…ちょっとこれは無いかな~とは思ったけど

  でもまさか澪と梓まで乗ってくると思ってなかったし…」

梓「すみません、つい…

  でも元々は律先輩が唯先輩を死んでるなんて言うから!」

唯「…」

律「すまんすまん、まさか唯がショックのあまりに気絶してるとは思わないから…ついな」

唯「…」 グッタリ


澪「ふぅうん!!!」 ググッ

ドア『グググ…』


律「つーか、いつまでやってるんだよ

  小芝居はいいんじゃなかったのか?」


澪「いや、本気で開かないんだよっ!」 グググッ

ドア『…グググ』


律「鍵がかかってるとか」

澪「かかってないのは確認してる!!」


梓「と言うより…さっきから思ってたんですけど


  そのドア… 喋 っ て ま せ ん か 」

律澪「!!」

律澪「突っ込んでよかったのか、そこ!」

梓「え、ええ… いいと思いますけど」


律「それならせっかくだから…」

澪「突っ込ませていただこう…」


ドア『ニコ』

律澪「ドアが喋った!!!!?!!?」


ドア『ニコニコ』


律「ど、ドアが喋るってどう言う事だ!?」

梓「わ、わかりません!」

澪「も、もしかすると 昨日唯が言ってたことが当って……」


ドア『ニコッ』

地面「ぴゅー」

澪「えっ わわっ!!!!」 ススス…


澪「わぁああっ!!」 ピュー

ビターン!

澪「いたたた…」 ヨロッ

律「…何やってんだ?」

梓「急にこっちに走ってきて…」

澪「ち、違う!! 今のは走らされたんだよ!!」

律「…走らされた?」


梓「はっ! さっき地面がぴゅーって言ってました…まさかそれのせい?」

律「そんな馬鹿な」

澪「本当だって!律やってみろよ!」


律「よし、見てろよ」

スタスタスタスタ… ガシッ

律「なんなくドアノブを掴めたな」


ドア『ニコ』

地面「ぴゅー」

律「えっ…わぁぁああああっ!」 ピュー

ビターン!

律「いっ つー…」

澪「…な?」

律「な、なんてこった!」 ガバッ

梓「でもこれではっきりしましたね」

律「ああ、あのドア…間違いなく怪人だ!!」


ドア『ニコ』


澪「…怪人って言うよりは怪物って言うのが正しいんじゃないか?」

律「ま、まあその辺はどっちでもいい」

梓「部室のドアが一体どうして…」

律「それも気になるが……

  どう言うつもりだ? 開かなくなったり…私達を吹き飛ばしたり…」

澪「…もしかして私達閉じ込められたんじゃ…」

律梓「…!!」


ドア『ニッコリ』

梓「お菓子がなくなったのも…きっとアイツの仕業ですよね…」

澪「ああ、一見内部犯にしか出来ないように見えた犯行…

  でも部室のドアが犯人なら…鍵を開ける必要が無い!!」

律「盲点だったな…」

梓「むしろそこに着目してたら、頭がおかしいかと…」


ドア『ニコ』


律「しっかし…参ったな、閉じ込められたとなると…アイツをどうにかするしか無いんだけど…」

澪「近づかないことにはどうしようもない…」

律「けど、近づくと地面がぴゅーってなって吹き飛ばされるんだよな…」


律「梓…梓の『スピード』ならなんとかならないか?」

梓「えぇ…使うのはいいですけど…ここで変身するんですか…?」

律「裸くらい、私達何度か見てるだろ」

梓「もう、仕方ないですね……」


梓「…変身!」

キラキラキラー 裸 シュピーン!!

梓「ちょっぴりビターなチョコレート! 放課後ブラック!」 シュッ

梓「続けて必殺、『スピード』!」 ギュイイイイイイイン


梓「突撃!!」 シュッ

梓「…掴んだ!」 タッ ガシッ

ドア『ニコ』

地面「ぴゅー」

梓「!!」 ピューーーーー

びたーん!!

梓「に゙ゃっ!!」


律「…ダメだったか」

澪「むしろ勢いよく近づいた分 吹き飛ばされた時もスピード出てたから痛そうだな……」


梓「きゅぅぅ…」 グッタリ

澪「どうするんだ?」

律「梓で無理なら私の必殺技も意味無いし…

  澪の必殺技も…ドアを相手に通じるかどうか…」


律「仕方ない、携帯で助け呼ぶか!」 スッ

梓「!! その手があるなら最初から使ってください!!

  吹き飛ばされ損じゃないですか!!!」 ガバッ

澪「でも助けを呼んでなんとかなるのかな…?

  向こうから開けようとしても私達みたいに吹き飛ばされるんじゃ…」

律「いや、たぶんコイツは部室の中の物しか動かせないと思うんだ」

澪「どうしてそう思うんだ?」

携帯「ピッポッパ…」

律「部室のドアだし……部室の物しか動かせないんじゃないかなぁって」

澪「つまりは勘か」

律「そうだが……まあとりあえず誰か呼んでみてから、その辺は考える事に…」

ドア『ニコ』

携帯「ポロッ」

律「あっ」


携帯「スタコラサッサ」


律「え」

梓「携帯が走っていきましたね」

澪「なるほど…部室の中の物なら何でも動かせるみたいだな」

律「私の携帯ぃ…!」

澪「ドアは開かないし、そもそも近づけない…

  助けも呼べない…となると完全に閉じ込められたな」

律「誰かが気付くのを待つしかないのか…」

梓「さわ子先生…今日来てくれるでしょうか…」

唯(大丈夫だよ、きっとなんとかなるよ!)

澪「そうだな…唯の言うとおりだ

  きっとなんとかなる…そう信じよう」


梓「て言うか、唯先輩起きたんですね!」

唯(うん!さっき起きたの!)

律「まったく、気絶してたから心配したんだぞ」

唯(ごめんね、りっちゃん…でももう大丈夫だよ!) フンスッ

澪「? 唯、なんだか存在感薄くないか?」

唯(そうかなぁ? でもなんだか体が軽いよ、よく寝たからからかな?)

梓「て言うか足無いですよね」

唯(あ、ほんとだ)

澪律梓 クルッ

唯「…」 グッタリ

律梓「幽体離脱してるっ!!!!!」

唯(ほぇ?)

唯(本当だ!! 凄いよ!!今私幽霊になってるよ!!)

澪「ひっ…幽霊!?」

律「まさかお菓子が食べられないショックのあまり幽体離脱してるとは…」

唯(えへへ~)

梓「褒めてませんよ」


ドア『ニコ』


律「ここに来て余計な問題が増えたな…」

梓「とりあえず幽霊の先輩をそこに倒れてる先輩の体の中に突っ込めば戻れますかね…」

唯(え~、戻っちゃうの? 勿体無いよ!!

  せっかく幽霊になったんだから楽しまないと!) フンス

律「正直あのドアだけで手一杯だから、今はさっさと戻って欲しいんだが」


唯(澪ちゃん ば~っ!) スーッ

澪「こわいこわい!」


律「って聞いてねぇ…」

律「はっ! 今の足が無い唯なら 地面「ぴゅ~」 の影響を受けないんじゃないか!?」

梓「!! それは盲点でした!!」

唯(ほぇ?)

律「かくかくしかじか」

唯(なるほどなるほど)


梓「かくかくしかじかって便利ですよね、それだけで事の概要がわかるんですから」

唯(うん、よくわかったよ!つまり四角いムーブって事だよね!) フンス

梓「あ、全然わかってなかった」

唯(冗談だよ~ 私が助けを呼びに行けばいいんだよね!)

梓「はい、頼みますね」

唯(うん、任せといて~!) フワリ フワリ


ドア『ニコ』

地面「ぴゅー」

唯(?)


律梓澪「!!」

澪「地面「ぴゅー」に吹き飛ばされてない!」

律「これなら何とかなるかもしれないな!」

梓「はい! 唯先輩、頑張って!」

ドア『???』

唯(じゃあ助け呼んでくるねー)


唯 スッ スカッ

唯(あ、あれ?)

唯 スカッ スカッ

唯(はっ! どうしよう、りっちゃん!!

  私、幽霊だからドアノブつかめないよ!!)


律「……幽霊ならドア自体を通り抜けられるんじゃないか?」

唯(あ、そうか) スーッ


梓「大丈夫そうですね」

律「これで後は助けが来るのを待つだけか」

澪「ああ、さわ子先生なら きっとどうにかしてくれると思う」


唯(ねぇみんな見てみて! 首だけっ!) ニョキッ

律「遊んでないで早く行けっ!!」

唯(ちぇー) スー


ドア『ニコ』


澪「だけど…唯…大丈夫かな

  幽霊の状態で… ちゃんと助けを呼べるのか…?」

律「大丈夫… とは言いがたいな… 何しろ唯だからな…」

梓「と、とにかく 今は信じて帰りを待ちましょう!」


…10分後…

澪「…」

梓「…」

律「…」

…20分後…

澪「…」

梓「…」 ウズウズ

律「…」 イライラ

…30分後…

澪「…」

梓「…」 モジモジ

律「遅いっつーの!!!」


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最終更新:2010年10月15日 19:56