……

ジリリリリリ!!


憂 お姉ちゃん 起きて! お姉ちゃん!


唯「うーん…ムニャムニャ あと1時間だけ…」


憂 そんなに寝てたら遅刻しちゃうよ?

   ほら、起きて!お姉ちゃん!


唯「いやーん… いけずぅ~…」


憂 お姉ちゃん! 起きて!

   起きて!

   起きろ! 唯!

唯「ほぇ?」


  唯!起きろぉ!!

唯「わわっ!!!」

―――

――



保健室!

律「唯!起きろぉ!」 ユッサユサ

唯「わわっ!!!」 ガバッ


唯「り、りっちゃん!?!どうして私の部屋にいるの!!?」

律「…はぁ?」

唯「って…あれ??ここは…」

澪「保健室だよ」

唯「澪ちゃん!保健室?保健室ってどうして…

  あ!…確か…私達さわ子先生に… もしかして夢?」

紬「…ううん、夢じゃなかったわ」

唯「ムギちゃん!そっか…じゃあ私達どうしてここに…」

梓「…どうやら私達… 昨日部室でさわ子先生に負けたあと…

  ここまで運ばれたみたいなんです…」

唯「あずにゃん!… ってえ? 昨日? そ、そう言えば外が明るいような…」


律「ああ、起きたら日付が変わってた…

  つまり…私達は一日中寝てて…

  憂ちゃんやさわ子先生との戦いは昨日の出来事…なんだ」

唯「なんとっ!」

唯「て言うか…なんでりっちゃん達メイド服なの?」

律「おまえもな…」

唯「うぉっ! 本当だっ!」

澪「…たぶん… さわ子先生の仕業だ…」

唯「えっ」

澪「制服を奪ったんだ……私達がケイオンジャーに変身できないように…」

唯「そ、そんな…」

紬「…」

律「…」

梓「…」



唯「つまり寝ている間に着替えさせたって事だよね」

律「あ、ああ…そうなるな」 カーッ

梓「き、きっと色んな所見られて触られてますよね…」 カーッ

紬「うふふ」 ポワ ポワ

澪「もう… お嫁いけない……」 ズーン


和「皆、気がついた?」

唯「! 和ちゃん!!」

和「しっ! 静かに…」

唯「えっ…」

和「…廊下の外をね… 先生達が見回っているの…

  ……ここが見つかったらまずいわ…」

唯「先生に見つかったら…まずい?」

和「……ちょっと様子がおかしくて…

  たぶんだけど…先生達は…さわ子先生に通じてるわ…」

唯「!!!」

和「だから静かに」

唯「…!」 コクコク


唯「和ちゃんはどうしてここに…?」

和「アンタねぇ…忘れたの…? 憂の事は任されたって昨日言ったでしょ」

唯「はっ そうだった! ごめんね和ちゃん…

  って あれ? 昨日?

  じゃ、じゃあ…和ちゃんもしかして…」

和「ええ、昨日からここにいるわ」 

唯「な、なんとっ!そ、それじゃあ今までずっと憂に付きっ切りで…」

和「憂だけに付きっ切りだった訳じゃないわよ

  あなた達が気絶して運ばれてきたから、そっちもね」

唯「の、和ちゃんっ!!ありがとぉっ!」 ウルウル

唯「そ、それで憂は!?」

和「今もまだそっちのベッドで寝てるわ、だから静かにね」

憂「くー…」 スヤスヤ

唯「うん」

唯「憂の事、私達の事 本当にありがとうね…和ちゃん」 ギュッ

和「別に私は出来る事をやっただけよ」 ナデナデ



律「さて、全員起きた事だし状況を確認するか…」

唯澪梓紬「…」 コクッ

律「昨日、私達は怪人化した憂ちゃんと戦った…」

唯「巨大化した憂とケイオンガーで戦ったんだよね」

梓「ケイオンガーは崩れ落ちましたけど…

  でも憂は元に戻ったので、これは解決しました」

紬「問題はそのあと…」

澪「ああ、近くのビルの屋上から…

  ケイオンジャーが…私達の戦いの様子を伺っていたんだ」

律「…デビルラベンダーを名乗るそのケイオンジャーの正体は

  さわ子先生と同期の軽音部に所属していた川上さんだった…」

梓「川上さんは、憂を暴走させた原因”怪人の力”を持ち去ろうとしていました…

  それと…憂に”怪人の力”を与えた犯人についても知っているみたいでした…」

律「で、私と澪と梓で川上さんと戦ったんだけど……逃げられちゃったんだよな」

唯「その後、皆で合流して 憂を寝かせてあげるために学校に戻ってきたんだよ!」

和「その時に私に連絡が来たのね」

唯「うん!和ちゃんに保健室を開けてもらって憂を寝かせたんだったね!」

澪「……そして…私がさわ子先生に今回の事について聞きに行こうって提案した」

梓「…」

紬「…」

唯「…」

律「何があっても私達5人なら大丈夫…そう思ってた…けど……」

梓「……部室についた時、さわ子先生は何も知らないみたいでした…」

紬「そう、知らなさ過ぎるくらいに… だから、それが嘘だって見抜けたのよね?」

澪「うん…その嘘について言及したら…

  先生は自分が犯人だってあっさり…

  自分が怪人の力を集めて憂ちゃんに与えた犯人だって…あっさり認めたんだ…」

和「そう…やっぱり先生が…」

唯「…さわちゃん……どうして」

梓「……”怪人の力”の実験のためって言ってましたね……その実験台に憂を使ったって……」

和「…実験台ですって……」

唯「うん…それであずにゃんと…私が怒って、先生と戦おうとしたんだけど……」

紬「…先生は”怪人の力”を今度は自分自身に注入した…」

律「”怪人の力”はさわ子先生の力を引き上げて…

   さらにケイオンジャーに変身したさわ子先生に私達は……何も出来ずにやられたんだ…」

和「……そう…だったの…」

澪「…あっさり犯人だって認めたのも 思えばあの力を持っていた余裕だったのかも…」

律「……さわ子先生はあの”怪人の力”のパワーを確かめるために今回の騒動を起こしたんだ…

  その力を…自分自身に使ってパワーアップするための……その前段階として」

唯「…」

紬「…」

梓「…」


和「…成る程ね、だったら今の状況も説明がつくのかしら」

唯「和ちゃん…」

律「? どういう事だ?」

澪「今の状況か…… 昨日からずっと寝てたからわからないけど…

  先生達が見回ってるって…? 何か…大変な事になってるのか…?」

和「ええ それについてはは私が、昨日から今までの経緯を追って説明するわ」



和「あなた達がここを出て行った後…

  私はあなた達が帰ってくるまでしばらく憂の介抱をしようと考えてた…

  1時間くらいした頃だったかしら… 保健室のドアが開いて誰かが入ってきたの…

  最初は皆が無事に帰ってきたのかと思ってたけど……違った

  あなた達は 無事じゃなくて… 気絶した状態で運ばれてきた…」


紬「私達を運んできたのは…さわ子先生…?」


和「いいえ、違う人… たぶんさわ子先生の仲間の人でしょうね…

  その人は私にあなた達の介抱をまかせて… そしてこう言ったわ」


…回想…


???「それじゃあ、後はよろしくね」

和「ちょっと待ってください!!!一体何があったんですか?!!!

  どうして唯達は気絶してっ!!!」

???「……起きたらその子達に聞いて頂戴」

和「…えっ」

???「ああそれと… この部屋からは絶対に出ないように」

和「えっ」

???「さわ子… また何かやらかすみたいだから

     ここから出てきた時の安全は保障しないわよ」

……


和「だから言われたとおり、私は昨日から保健室から出なかったのよ

  憂と貴方達の介抱をしないといけなかったのもあるけどね」

澪「その人って…もしかして川上さんか?」

和「いいえ、別の人だと思うわ 聞いてた特徴とは違ったもの」

梓「さわ子先生の仲間は…少なくとも2人いるって事ですね…」

唯「へー、どんな人?」

和「えっと…短い金髪の女の人で…サバサバした感じの…」

律「それって…もしかして」

澪「うん、たぶんあの人…だよな」

和「その人の忠告を受けて部屋から出なかったけど……その日は特に何事もなかったわ」


唯「じゃあ和ちゃんはずっとここにいたんだね」

和「だからそう言ったじゃない」

紬「大変じゃなかった?」

和「うーん…そうでもなかったわね、幸いベッドは人数分揃っていたから睡眠もとれたし

  ご飯もちゃんと食べられたもの… 強いて言うならお風呂に入れ

唯「ごはん!!!!??!」

和「えっ」

唯「ご飯があるの!?!どこどこ」

和「ちょ、ちょっと唯?」

律「おい、唯落ち着け」

唯「だってずっと真面目な話してるから…なかなか言い出せなかったけど…

  お腹ペコペコなんだもん…私達、昨日の夜から何も食べてないんだよ??」

紬「それは…確かに…」

澪「だからって、それくらいで騒いだりしなくても…」

澪 グー

唯紬梓和「…」

律「…あっれ~、今の音って もしかして! 澪ちゃんのお腹の音かしら~」 ニヤニヤ

澪「だぁあああっ!!!!!!う、うるさい!! しょうがないだろっ!!

  私だって昨日の夜から何も食べて…」

和「ちょっと澪、静かに」

澪「あ… ごめん」

律「まったく 澪は~ それくらいで騒いだりするなよな」

澪「なっ…誰のせいだよ誰の」

律「なにっ! 私のせいだって言いた…」 グー

唯紬梓和「…」

律「…」 カーッ

澪「ぷっ クスクス… おい 律、今の音は」

律「しょ、しょうがないだろっ!私だって…」

梓 グー

澪律唯紬和「…」

梓「なんですか」

律「いや、しらばっくれるなよ」

紬 グー

澪律唯梓和「…」

紬「ご、ごめんなさい」

唯「皆お腹ペコペコだね~」 ニヘラー

梓「お、お恥かしながら…」

律「面目ない…」

和「…貴方達の分の食事もあるから、それ食べながら話の続きをしましょうか」

唯律澪梓紬「本当!? わーい!」

グツグツ…


和「はい、召し上がれ」

唯「…」

律「…」

澪「…」

梓「…」

紬「…」

唯「和…ちゃん?」

和「あら? 食べないの?」

澪「えっと…和、これは?」

和「澪、食べたことないの?」

澪「いや、あるけど…」

梓「て言うか… なんで… この状況で…

   おでん なんですか?」


おでん グツグツ…


律「つーか!! このシリアスな状況でなんつーボケかましてんだっ!?!」

和「えぇっ…」 ガーン

梓「朝から…おでんってどうなんでしょうか…」

律「季節的にもまだ早いんじゃないか…? 涼しくなってきたけど…まだまだ熱いし…」

唯「ねぇねぇ、和ちゃん 他の食べ物は…」


和「文句あるなら 食べなくてもいいけど」

梓律唯澪紬「いただきます!!!!」


唯「あーん」

唯 ハムッ ハフハフ

唯「うーんっ!おいひぃー」

律「ダイコン、うめえ!」

紬「が、ガンモはある?!」


澪「…でも保健室になんでおでんがあったんだ…?」

和「話してなかったけど、澪達をここまで運んできてくれた人が持ってきてくれたのよ

  昨日の夜と、唯達が起きだしてくる前に

  『何も食べてないと辛いでしょうからコレ食べなさい』ってね」

澪(持ってきてくれたのはいいけど… なんでよりによって おでん なんだ……?)

澪「でも こうやって食事を持ってきてくれるなんて…

  ……親切な人だよな… さわ子先生の仲間で…

  私達の…… …敵… なのにな…」

和「澪…」

澪「…」

和「…その人にはその人の事情があるのかもね」

澪「うん…」

和「……それと澪… あまりそう言うことは考えすぎないほうがいいわ…

   誰かと敵対するのは…辛い…でしょ?それが信頼していた人なら特にね」

澪「うん…」

和「…先生にも先生の事情があるのかもしれないわよ?」

澪「そうなのかな…」


和「……安心して、私はあなたたちの味方よ」 

澪「和… ありがとな…」


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最終更新:2010年10月15日 20:58