川上「なっ!ち、ちがうっ!」 アセアセ

川上「艶美なる妖花!!」

唯「えんび…なる ようか? それってどう言う意味?」

川上「えっ…

    えっと… あ、あでやかでだけど、

    ちょっ、ちょっと怪しげな…って言うか…

    み、ミステリアスな雰囲気の……綺麗なお姉さん的な…」 ゴニョゴニョ…

唯「ほうほう…なるほど」

梓「余計なお世話かも知れませんけど……

  自分で説明すると恥かしくありませんか…?」


川上「っ!!!!!!!!!!!」 カーッ

川上「うぅ……名乗るんじゃなかったぁ…」 メソメソ


澪「…川上さんも私達を止めに?」

川上「…そうだと言ったら?」

唯「お願いします!」

川上「…」

紬「私達を通してください!私達はさわ子先生を止めたいんです!!」

川上「どうしても…?」

梓「どうしてもっ!!」


川上「……そう、なら通っていいわよ」

律澪唯紬梓「!」

澪「えっ、いいんですかっ?!!」

川上「クリスを倒したんでしょ?

    ケイオンジャー最強だったあの子があなた達を引き止められなかったのに

    私に止められる訳無いじゃない」

律「そ、それはそうかもしれないけど…」

梓「実は罠だったり…」

川上「しないしない、そんなに疑わなくても…

    あ、でもあなたは一度私に騙されてるんだっけ…

    それじゃあ慎重になっても仕方ないか…あの時はごめんね」

梓「…」


梓「いえ…あの時はありがとうございます」

川上「へっ?」

梓「どんな毒でも作り出せるあなたの必殺技…

  それがあればあの状況を切り抜ける手段はいくらでもあったはずです

  でも…あなたが一番最初に使ったのは効くまでに時間もかかって効果も薄い毒でした

  おかしいですよね、まるで私の事を気遣っていたみたいです」

川上「…」

澪「…そう言えば、最後の煙幕にしたって 本当に猛毒を使っていれば…

  律には効かなかったとしても…私達には効果抜群…死ぬのはやり過ぎだとしても…十分に足止めだって出来たはず」



川上「…お礼を言われる事なんてないわよ…

    私は…あなた達を試そうとした…だけだから」

紬「試した?」

川上「もしかしたら…私達に出来ない事も

    あなた達なら出来るかも…… キャサリンを止められるかもって…そう思ったから…

    だからあなた達の力を試す様な真似もしたし… 足止めもしなかった…」

澪「…」

律「そこなんだよなぁ…」

川上「?」

律「どうして…紀美さんも川上さんも、さわちゃんを止めて欲しそうなのに…

  さわちゃんの手伝いしてるのかなって…」

川上「うん、変な話よね… 自分でもそう思うわ」

梓「じゃあ…なんで…」


川上「……結構ね、後悔してるのよ

    あの子だけに責任を押し付けてしまった事」

唯「後悔?」


川上「…3年前、あの子はその時も軽音部の顧問でケイオンジャーの司令官だった」

唯律澪紬梓「!!!!」

律「そ、そんなの初めて聞いたぞ?!」

川上「そうね… きっとあの子は話したがらないと思うわ

    と言うのもね その時の軽音部は廃部したのよ」

澪「…それは知ってます、前の軽音部は3年が全員卒業して廃部…

  廃部寸前になったって… でもそれがどうして…」

川上「…キャサリン……その事にずいぶん責任感じてたみたい

    軽音部が廃部したは自分のせいだってね…」

梓「それは……ぶ、部員が集まらなかったら仕方ないんじゃ…」

川上「そうね、確かにそう……仕方ないこと……

    でもキャサリンはそうは思わなかった、思えなかった」

梓「…どうして」

川上「当時の事は……私にはわからない…

    未だにその時の…詳しい状況は教えてもらってないから…

    あの子は当時の軽音部の顧問だったから…その子達に申し訳なかったのかもしれないし…

    ……それに軽音部は元々は…私達にとっての思い出の場所だったから…

    それが一度無くなった事も原因の1つかもしれない…」

紬「廃部したから… 思い出の場所が… 無くなったから…」

川上「……どっちにしたって…キャサリンがその時辛い思いをしてた事だけは確か……

    なのに…その時は私達…誰もあの子の傍にいなかった……

    ……だから…キャサリン 全部1人で抱え込んじゃったのよね…

    廃部の理由は自分のせいだって…1人で…

    そして…誰にもその時の事を話したがらない…

    もし… あの時…あの子の気持ちに気付いてあの子の傍に居てあげれば……

    1人で抱え込む事なんてなかったかもしれないのに… ね……」

唯「…」


川上「それでね、最近になって そのさわ子から連絡が来たの 手伝って欲しいことがあるってね」

紬「…それが今回の」

川上「最初は 怪人が見つかったら連絡してほしい って程度のことだったんだけどね


    嬉しかったな… 仲間を頼ってくれた事は… 1人で抱え込まなかった事は…

    辛い時に居なかった私を まだ仲間だと思っててくれたことが…

    キャサリン、その時から何か企てたっけ……何をするつもりなのかは教えて貰えなかったけど

    私にとっては…教えてもらえなくても十分だったな」


澪「……さわ子先生と川上さんにそんな事が…」


川上「…キャサリンが危ない事をしようとしてるって気付いたのは…

    あなたの妹さんを浚ってから…」

唯「…」

梓「……どうしてその時に止めなかったんですか?」

律「梓…川上さんは…」

梓「で、でも!その時にでも止めてれば憂は……

  ……

  すみません…」

川上「ごめんね……止めようと思えばたぶん…きっと止められたんだと思う…

    でもね……私には…今になって私を頼ってくれたあの子を突き放す事ができなかった…


    ……


    …なんて言えばいい風に聞こえちゃうかもね」

梓「…」

川上「実際には……後ろめたかったの

    あの時駆けつける事の出来なかった私が…

    今更…仲間面して

    「お前は間違ってる、だから私が止めてやる」

    「どうしてこんな事をするんだ、理由を聞かせてくれ」 

    なんて…後ろめたくって言う事ができなかった……それだけ」

唯「…」

川上「こんな事……今更後悔しても遅いんだけどね」

唯「遅くないよっ!!!」

川上「!」

律「唯?」

唯「今からだって間に合うよ…

  友達が間違ってたなら…悲しいよ……引き止めてあげようよ……

  まだ間に合うよ…!」

川上「……そうかもしれないわね」

唯「だったら…行こうよ!一緒にさわちゃんを止めに行こうよっ!!」


川上「…ありがとう

    でも……私はいいかな…」

唯「! なんで…」

川上「…諦めたわけじゃないのよ…ただ

    キャサリンが今待っているのは…私じゃないもの」

唯「えっ…」

川上「キャサリンが今待っているのは駆けつけてくれる仲間……

    それなら…私が行かなくても もう間に合ってるじゃない」

唯「仲間…」

澪「それって…」

川上「キャサリンは… さわ子は…

    あなた達の軽音部の仲間で あなた達のケイオンジャーの仲間…でしょ?」

唯「…うん」

川上「あなた達が駆けつけてくれれば…きっとあの子にとってはそれで十分だと思うから」

紬「…でも川上さんは…」

川上「私が一緒に行けば、あなた達の邪魔しちゃうもの…

    きっと やっぱり さわ子の味方しちゃう… だからダメよ」

唯「……そっか」 シュン

川上「だから…私の事はいいから

    早く行ってあげて… キャサリンきっと待ちくたびれてるから」

唯「…わかった!きっとさわ子先生の事 私達が止めてきます!!」

律「よぉし、ケイオンジャー突撃だっ!!!」

唯澪紬梓「おぉっ!!!」


タッタッタッタ


川上「…」


唯「あ、そうだ!! 海老羊羹さん!!!」


川上「艶美なる妖花っ!!!!!!!」


唯「海老羊羹さんの気持ち、ちゃんと伝えてくるからっ!!」


川上「えっ」


唯「じゃあ行って来るっ!!」 タッタッタッタ


川上「……」



川上「本当にいい子達ね…

    キャサリン…今のあなた恵まれてるわよ」



……


講堂!


ドア「キィイイ」


律「失礼しまーす…」 ソロリソロリ

唯「うわっ 真っ暗!!」

紬「…何も見えない…」

澪「本当にさわ子先生…ここにいるのか…?」

梓「……たぶん……間違いないかと……」

律「空気が違うもんな…ピリピリしてるって言うかさ…」


ドア「バタン!!!!!!」


唯律紬澪梓「!!!!!!」

律「おい、今誰が閉めたんだ?!」


ドア「カチャリ」


唯「か、鍵が閉まった!?」

澪「…独りでに鍵が閉るなんてそんな事…」

紬「!! これって…!」


ギュイイイイイイイイイイイイイイン!!!!!!!!!!!

唯律紬澪梓「!!!!!!!」

ピンスポ「ズバッ!」


さわ子『…』


唯律紬澪梓「さわちゃんっ!!」「さわ子先生っ!!!」


さわ子『…』

ギター「ジャアアン!!!!!」


律「ギター…?」


♪ジャラジャラジャラジャラ ジャラジャラ ジャジャン

    ジャラジャラ ジャラジャラジャラジャララ ジャジャン ジャーン♪

さわ子『…』 ギュアアアアアアアアアアン!!!


唯「わぁ!」 パァア

梓「……うまい」



さわ子『あなた達が来るのを…待っていたわ』

唯律澪紬梓「!!」


唯「…さわちゃん!」


さわ子『あら、唯ちゃん達 皆ケイオンジャーに変身できてるじゃない!

     クリスティーナったら何を教えたのかしら……

     せっかく 皆に似合うメイド服を着せてあげたのに…ねぇ、澪ちゃん?」


澪「…先生」


さわ子『やだ、そんな真面目な顔して睨まないでよ 何時もみたいに恥かしがって?』


梓「…ふ、ふざけないでくださいっ!」


さわ子『…梓ちゃんも真面目ねぇ もっと肩の力を抜いたら?』


紬「先生…私達は…」


さわ子『私を止めに来たんでしょ、ムギちゃん?』


律「…ああ、私達はさわちゃんを止めに来た!」


さわ子『ふふ、そう でもりっちゃん、一度私に敗北したあなた達に私を止められるのかしらね?』


さわ子『…』 ジャラアアアアアアアアン!!!


唯澪梓紬律「…」

唯「止めて見せるよ…」


さわ子『…』


唯「私達はケイオンジャーだからっ!!」


さわ子『ふっ ふふっ ふふはははっ!

     そうね、ケイオンジャーはそうじゃなくっちゃあ!!』

さわ子『…』 スッ

ぽいっ

ギター「すとん」


さわ子『それじゃあ早速……戦いを始めましょうか』 スッ


律「その前に…」

さわ子『?』


澪「…理由を聞かせてもらえませんか?」

さわ子『理由?』


梓「怪人の力を手にして…この学校を支配しようとした理由です…」


さわ子『学校を支配した理由ねぇ…

     興味本位 かな?』


紬「興味本位で… ここまでの事をしたんですか?」


さわ子『そう、怪人の力を手にした私にどれだけの事ができるか!!

     それを試したかったっ!!! そして…学校を支配して作りかえる!こんな事もできるようになった!!

     私にできない事はもう何も無い!!

     この力なら私は…私は…』


唯「さわちゃん…どうして

  どうして怪人の力を求めたり…したの?」


さわ子『それはね! 世界を救うためっ!! 世界を作り変えるためよっ!!!』


律澪梓紬唯「!」

唯「世界を……救う…?」

さわ子『そう… この世界は間違ってる』


律「世界が間違ってる?」


さわ子『私は…今までケイオンジャーとして活動してきてわかった事があるわ』


紬「わかったこと?」


さわ子『この世界は不幸で満ちている』


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最終更新:2010年10月15日 21:58