梓「雪が降って来たなぁ……」

梓「今年は例年より早いんだなぁ……」

梓「唯先輩は……いつまで此処にいられるんだろう…?」

梓「私では……傍に居る事は出来ないのかなぁ……?」

梓「唯先輩……」


梓「はぁ~………」


― 昨日…


『あずにゃん、あずにゃん、見て見てっ!!』



梓「…唯先輩はそう言って、沢山の花々を私に見せて来た」

梓「…とても色美しく、キラキラと華やかな沢山の花…」

梓「私には、それがどんな名前の花なのか分からないけれど…」


―『あずにゃん、これあずにゃんにあげるねっ!』


梓「唯先輩は、私にそれを渡してくれた……」

梓「とても、嬉しそうに………」

梓「後で調べたら…ただの花屋さんでは手に入らない貴重な花だった……」

梓「花言葉は……かけがえのない絆人」


梓「唯先輩……」

梓「私に……それは当て嵌まるのでしょうか…?」

梓「私と唯先輩は……確かにお互いを信じ合っていますけど……」

梓「私は……特に、唯先輩の事を…」

梓「だけど、それは同じ部活動の仲間として…」

梓「同じ学校の仲間として…」

梓「………」

梓「絆、か………」

梓「そんな大層なもの、私には不釣り合いだと思いません……?」



― 平沢家 ―


唯「ねぇねぇ、うぃ~」

憂「なあに?お姉ちゃん」

唯「あずにゃんって、何であんなに可愛いのかな~?」

憂「ふふっ、お姉ちゃんったら、また梓ちゃんの話ばっかり」

唯「うぅ、だって~!!あずにゃんが可愛いすぎるんだもんっ!!」

憂「はいはい、お姉ちゃんの目には特にそう見えるんだよね~?」

唯「あぅ…///そんなんじゃないもん…っ!!」

憂「あはは、お姉ちゃん顔真っ赤だよっ♪」

憂「まあ、でも…梓ちゃんは本当に可愛いと思うよ」

唯「あの猫耳が似合いそうな感じが堪らないよねぇ…♪」

憂「またぁ…お姉ちゃんったら」

憂「………」


憂(本当に…梓ちゃんじゃなきゃ私は許せなかったんだから…)

憂(私の…最愛のお姉ちゃんを……誰かに譲るなんて……)

憂(……お姉ちゃん………)


ぎゅうぅ…


唯「憂ぃ?どうしたの~?…」

憂「うぅん、ただちょっと…悔しくて」

唯「憂……」


憂「梓ちゃんは良い子だもんね…」

憂「私にとっても、大切な大切な親友だもん……」

憂「反対なんて…できるわけ、ないよね……」

唯「憂……」

唯「私、憂の事も大切だよ?」

唯「憂と毎日一緒に生きていられて、私すっごく幸せだよ!」

憂「お姉ちゃん……」


憂「これからも……ぎゅってしてね?……」



― 学校 ―


唯「あずにぁああんっ♪」

梓「わわっ、唯先輩~っ!///」

唯「スゥスゥ…はぁ~、今日もあずにゃんは可愛いくて良い匂い…」ギュウ♪

梓「……///先輩…っ!最近スキンシップが激しすぎますっ!!」

唯「えぇ~?そんな事ないんじゃない~?」

梓「ありますよっ!///…前は匂いなんて嗅いでこなかったのに…」

梓「それに……」

梓(唯先輩の方が、いい匂いしますって……///)

唯「あずにゃあああん♪あずにゃあああん♪」ぎゅうう~!!



― 部室 ―


紬「唯ちゃん……」

唯「うん、わかってる…」

唯「私は、もう長くは此処に居られない……」

紬「………」

唯「でもっ……せめて、あの子にもう一度会うまでは……っ!」

紬「………唯ちゃん」

紬「期限はもう、迫っているわ……」

紬「それに、唯ちゃんの探し物なら…きっとすぐ傍に………」

紬「唯ちゃんが今、1番大切にしているものと共に…」

唯「ムギちゃん……」



――ガチャッ!


律「おぃ~す!今日も練習がんばるぞー!」

澪「…すまない、少し遅れてしまったな」

唯「……ううん。待ってたよ、さあ早速始めようっ♪」

紬「ふふ、そうね」


……

梓「…………」

梓(今の会話は、一体……)

梓「私は特に耳がいい…」

梓「普通の人よりも、些細な会話を聞き取れてしまう…」

梓「今の会話は…」

梓「先輩が、何処かに行ってしまう……?」


ヒュゥゥゥ……


梓「………ヒッグ、グスッ…」

梓「…うぅ……うわわああ……」

梓「…唯先輩……」

梓「…どこかに、行っちゃうなんて、ヤダ……」

梓「いやだよおおおっ…………」


ヒラヒラ…‥


梓「雪が…降って来たんだなぁ…」

梓「今年は…早いんだなぁ…」

梓「あの時も、雪が降っていたっけ…」

梓「懐かしいなぁ……」

梓「唯先輩は……覚えてないだろうなぁ……」

梓「絆、か………」




……

憂「あっ、雪だ……」

憂「今年は早いなぁ……」

憂「………」

憂「ねぇ…お姉ちゃんは、どうして私のお姉ちゃんになってくれたの?」

唯「ふえ?憂が『お姉ちゃんが欲しい~!!』って言ってなかったっけ?」

憂「お姉ちゃん……」

憂「お姉ちゃんは、優しいんだね……」

唯「もうっ、何言ってんのよ憂ぃ~!」

憂「えへへっ…」


憂「……お姉ちゃん」



憂(私は本当は、お姉ちゃんを手放したくないの…)

憂(何処かへ飛び立つ前に、翼を折ってしまいたい程に…)


― 学校 ―


紬「あとの事は全部任せて…」

唯「うん……」

紬「唯ちゃん…これも決まり事なのよ」

唯「でもっ……!」

紬「探し物は……向こうから近付いて来てるわ」

唯「え?……」

紬「きっと向こうも…唯ちゃんの事が大好きなのね……」

唯「うぅ……うわあああん!!」

紬「よしよし…」ナデナデ

紬「早く、見付けてあげてね……?」

唯「うん………」


………

バサッ…バサッ…

唯「此処にもいない…」

唯「何処にもいない…」

唯「ムギちゃんは、近くにいるって言ってた…」

唯「どうして見付からないんだろう…?」

唯「おかしいなぁ……」

唯「ムギちゃんが嘘付くわけないし……」


唯「あっ…あずにゃんだ!」

スルスル…しゅたっ!!


唯「やっほーい!あずにゃん♪」

梓「え?……唯先輩?…」

梓「どうして此処に、唯先輩が……?」

唯「いや~、ちょっと通り掛かってさ~……」

唯「たまたまあずにゃん見付けちゃった♪」

梓「あはは…そうだったんですか」

梓「………」

梓「星が、綺麗ですね…」

唯「そうだね……」

梓「………」

梓「………唯先輩」

唯「なに?あずにゃん?」

梓「………いえ、何でもないです」

唯「………そっか」

唯「………」

唯「……あずにゃんってさ…」


唯「まるで野良猫さんみたいだね…」

梓「………」

唯「こんな所にボーッと座っててさ…」

唯「風邪引いちゃうよ……?」

梓「いえ……私は大丈夫です……」

梓「私は……本当に……」


ぎゅうぅ…


梓「ひゃうっ……///」

唯「えへへ~、こうすればあったまるよ~…」

梓「唯先輩っ……///」

唯「あんまり独りぼっちになっちゃ駄目だよ…?」

梓「………唯先輩……」


梓(唯先輩はあったかいなぁ……)

梓(唯先輩はいつも優しいなぁ……)

梓(唯先輩……)


唯「ねえ…?今度デートしよっか!」

梓「………え?」

唯「だ・か・らっ!デートだよデートっ!!」

梓「えっ?えっ?……唯先輩と私がっ…!?」

唯「もぅ~、そうだよぅ………私とじゃイヤ?…」

梓「いえっ!?嫌なんて事…何一つ無いです!むしろ喜んでっ…!!」

唯「ふふっ、やったぁ!!」

梓(唯先輩とデート……ほんとに?やったぁ!!……)ドキドキ

……

憂「お姉ちゃん…近頃帰りが遅いなぁ…」

憂「きっとまた…探しに行ってるんだろうな…」

憂「お姉ちゃん……」


憂「私達にも、絆はあるって思っていいよね…?」

憂「私の事…置いていかないよね……?」

憂「私……もう独りぼっちじゃ……堪えられないよぅ……」ぽろぽろ


憂「お姉ちゃん…………」


……

律「よーし、今日も練習再開するぞ~!」

梓「はいっ!」

澪「おっ、今日は梓がやけにやる気あるなー」

紬「あらあら、うふふっ♪」

唯「私もがんばるよーっ!!」


ジジャーン!!…


梓「みんないいかんじですね!」

澪「この分だと今度の発表会はいい出来になりそうだなっ!」

紬「ええ、…そうね……」

唯「うんっ…………」


― 帰り道 ―

唯「あずにゃん……」

梓「唯先輩………」

唯「そろそろ…ペロペロさせてくれてもいいんじゃない?」

梓「良くないですよっ!!だんだんエスカレートして来てるじゃないですかっ!」

唯「えぇ~?!だってぇ…あずにゃんが可愛いすぎるんだもんっ!!」

梓「だからって……っ!!」

梓(唯先輩にそんな事されたら……)

梓(私っ……///)


唯「……まぁペロペロは今度させてもらうとして…」

梓「…結局するんですかっ!?(…うわー、うわー///)」

唯「明日はデートだねっ、あずにゃん♪」

梓「そ、そうですね……///」

唯「ふふっ、楽しみだなぁ♪」


シーン…‥シーン…‥

梓「唯先輩は優しいなぁ…」

梓「明日は唯先輩とデートかぁ…」

梓「夢が一つ叶っちゃったなぁ…」

梓「唯先輩………」

梓「どうして、私にそんなに優しくしてくれるんですか…?」

梓「私は……本当は……ただの猫なのに」

梓「唯先輩………」


梓「絆なら…憂のが適任でしょう…?」


― デート当日 ―

梓「ひゃあっ///……な、なんで手を…つ、繋いでいるんですかぁ!?」

唯「だぁって~…デートだよ?手ぐらい繋ぐに決まってるじゃんっ♪」

梓「はは、恥ずかしいですよ…///」

唯「ん~、私達のラヴラヴっぷりを見せ付けてやろうよっ♪」

梓「うぅ……もぅ///」

唯「あっ、やっぱ止めた」パッ

梓「え?……ヤダ‥」

唯「やっぱり腕組みにしよう♪」

梓「ひゃああぅ!?唯先輩……!??」ドキッ

唯「~~~♪」

梓「…ぁぅぅ……///」ドキドキ



― 服屋 ―

唯「あずにゃん、あずにゃん!これ着て~♪」

梓「ちょ、ちょっと!何ですかこの白黒フリフリな服はっ!?」

唯「メイド服だよ、あずにゃん♪」

唯「あずにゃん、あずにゃん!これも着て~♪」

梓「にぁああ!?何ですかこの白赤の着物みたいな服はっ!?」

唯「巫女服だよ、あずにゃん♪」

唯「あずにゃん、あずにゃん!これも着て~♪」

梓「ちょ、ちょっと待って下さい!これはバニーガールじゃないですかっ!?」

唯「うん、そうだよっ♪」

梓「着ませんよ、こんな服!っていうか何なんですかこの店はっ!?」

唯「ただの服屋さんだよ?」

梓「明らかに普通の服屋さんじゃないぃぃ!!?」

唯「着ないのなら着せてあげるっ♪」

梓「にぁああ!?やめてっ?脱がさないでっ!!唯先輩ぃ~!!?」


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最終更新:2010年01月07日 18:30