男は脳天を撃ち抜かれ、その場に倒れる。

恐らく死んでいるだろう。

目を覚ました男子生徒達も突然の出来事に唖然としている。

      • それよりも、憂は!?

唯「憂!憂~!」

憂「お姉・・・ちゃん・・・?」

唯「憂、大丈夫!?」

憂「大丈・・・夫・・・だよ・・・」フラフラ

唯「大丈夫じゃないよ! 私が家までおんぶしてってあげる!」

憂「(大丈夫かなぁ・・・?)」



憂「・・・」zzz・・・

家についた時、憂は私の背中で既に寝ていた。

唯「うう・・・階段は無理だよぉ」

和「仕方ないわねぇ・・・手伝ってあげるわよ」

唯「本当!?・・・っていうかいつの間に!?」

和「その代わり、明日二人のその怪我について説明しなさい」


次の日、私は和ちゃんに昨晩起こった出来事を全て話した。

警察の事情聴取も受けたけれど、もちろん逮捕されたりはしなかった。

どうやら、犯人は今も逮捕されていないらしい。

そして、銃撃事件がきっかけで学校に家宅捜索が入り、学校全体でイジメを隠蔽していた事が明るみに出る事となった。

その体制が問題視され、ついに学校の閉鎖が決定。

在校生は離散して、周辺の中学に転校する事となった。

和「唯はどこの中学に転校するの?」

唯「和ちゃんと一緒がいい!」

和「・・・ちゃんと考えなさい」

唯「だって和ちゃんと一緒がいいんだもん!」

和「そんなんじゃこれから先大変よ?そろそろ私以外の友達も見つけないと・・・」

唯「そんなの無理だよぉ・・・」

唯「だって、私、嫌われてるもん・・・」グスッ

唯「何で嫌われてるのかだって、分からないんだもん・・・」ポロポロ

和「唯・・・」

唯「ねぇ和ちゃん、教えてよ・・・! 和ちゃんなら何か知ってるんでしょ・・・?」

和「・・・分かった、全て教えてあげる」

和「教えてあげる、唯が嫌われている理由を・・・いや、唯と憂が嫌われている理由を・・・」

唯「えっ!? 憂が!?」

和「憂の場合、あの男みたいなのに遭遇しなかったから嫌われてるのが表面化しなかっただけよ」

和「・・・唯と憂が嫌われている理由、それは・・・」

和「二人がデザイナー・ベビーじゃないかっていう噂よ」

え?何で・・・?

和「二人とも、本気でやれば何でもできちゃうでしょ?」

和「その上、唯達の両親はバイオテクノロジー関連企業の研究員よね?」

和「その二つが結び付いて、そういう噂が生まれ・・・」

和「皮肉にもそれが蔓延してしまった・・・、そんな感じよ」

何でそんな事になるの?

私達は何も悪くないのに・・・

和「多分、みんなは何でもできちゃう唯と憂が妬ましかったんでしょうね」

それだけの理由で?

唯「・・・」

和「・・・唯?」

唯「それだけの理由で?」

唯「それだけの理由で私と憂はずっと苦しめられてたの・・・!?」

和「人間なんてそんなもんよ、仕方ないじゃない」

唯「和ちゃんまでそういう事言うんだ・・・」

唯「もう人なんて信じない・・・!」タッタッタ・・・

和「ちょっと、唯~!」

和ちゃんから真相を聞いてから数日間、私は自室に引きこもったままだった。

唯一信用できるのは同じ思いをしていた憂だけ・・・

もう、死のうかなぁ・・・

一度根付いた噂は、そう簡単には消えないんだよね・・・

死ぬと生まれ変わるんだっけ。

生まれ変わるんだったら、今度は普通の女の子に生まれ変わりたいなぁ・・・

あ、でも憂と一緒がいいや。

とりあえず駅に行こう・・・


数分後、駅前の広場に到着した。

あとは駅に入り、ホームを飛び出して、向かってくる電車に突っ込むだけ。

死ぬ前に何かをして気持ちを落ち着かせよう。

      • ?、どうやら今日はどこかのバンドが路上ライブをやっているらしい。

桜ヶ丘女子高等学校・・・?軽音楽部・・・?

ガールズバンドか・・・

あ、演奏が始まった・・・



みんなが大好きっ!!
延々続行 ルララ Miracle Sing Time
歌って 歌って 愛伝える最強手段
つたない曲でも 微妙な歌詞でも
届けたい 精一杯のsoulを

どうしよう オートマティックに決められてる
時間割じゃ追っつかないの
夢無限 したいこと怒涛 廊下もダッシュで集まるよ

お行儀悪かったらsorry! でもなりふりも構わずに
どっぷりハマっちゃうplay キラリって もしやこれが青春
ever ever・・・Forever Shine

ほんとに大好きっ!!
テンション上昇 ルララ Powerful Gig Time
ハートって ハートって ワクワク探す天才
アレッ!?って言われても ミス連発でも
放ちたい 沸いてくるbraveを
しかけるトレモロ 応えるフラム
いいじゃん いいじゃん ノリノリでいいんじゃない
ハッピーはいつだってね 「今」感じるもの
生きろ乙女 本能で、裸の

大好き 大好き 大好きをありがとう
歌うよ 歌うよ 愛をこめてずっと歌うよ



凄い・・・

高校に行ったら、この歌みたいに楽しい学校生活が待ってるのかな?

いや、転校先の中学でもきっと・・・

和「唯!」

憂「お姉ちゃん!」

あ、二人に見つかっちゃった。

唯「えへへ」

和「えへへじゃないわよ、遺書なんて書いて・・・」

憂「お姉ちゃん、本当に自殺しようとしてたの!?」

唯「うん、でも・・・やっぱりやめた!」

唯「あと、憂、和ちゃん・・・」


唯「大好きをありがとう!」

____
___
__


唯「・・・っていう事があったんだぁ」

律「ゆいぃぃぃぃ!」ダキッ

梓「唯先輩!」ダキッ

唯「え?え?」

律「寂しかったらいつでも遊びに来ていいんだよ・・・」

梓「寂しかったら私に抱き着くです」

澪「落ち着けお前ら」


紬「(斎藤が結果的に助けたあの姉妹はもしかして・・・?)」

唯編おわり



3
最終更新:2010年10月18日 22:21