律「いやー、こうして見ると・・・」

澪「ん?」

律「澪ってスタイル抜群だよな~・・・胸もあるし、背も高いし・・・」

澪「そ、そうか? 律だって・・・」

澪「・・・いや、何でもない」

律「うわーん! 澪ひどーい!」

澪「あ、ごめんごめん・・・」

律「そういえば、何でそんな格好して走ってたんだ?」

澪「それは・・・えっと・・・」

律「よし! じゃあ勝負!」

律「ここから私の家まで競走だ! 私が勝ったら、今まで隠してた事全部白状してもらうからな!」

澪「分かった・・・」

よし、これでやっと聞き出せる。

澪は運動が苦手だったはずだ。

律「位置について・・・よーい、ドン!」

澪「・・・」

律「・・・?」

あれ?澪ってこんなに速かったっけ・・・

澪「・・・♪」

律「・・・!?」

ヤバい、このままだと引き離される・・・、私もスピードアップしよう。


澪「・・・」

律「・・・!」ハァ・・・ハァ・・・

澪のやつ・・・ずっとハイスピードで走ってるのに、何でバテてないんだ・・・?

ゴールの私の家はもうすぐ・・・

律「・・・!」ハァッ・・・ハァッ・・・

澪から、聞き出すためにも、負ける訳には、いかない・・・

律「・・・」フラフラ


律「・・・」バタッ・・・


目が覚めると、私は澪の部屋のベッドで横になっていた。

確か、澪とマラソン対決してて、それで・・・

ガチャッ

澪「律! 大丈夫か!?」

律「大丈夫だよ、そんなに気にすんなって」

澪「律に何かあったら・・・私・・・」グスッ

律「はいはい、分かったから」


澪「夜ご飯は食べれるか?」

律「ああ、平気だよ」

澪「じゃあ、もうリビングに用意してあるから・・・」

律「ほーい」

律「この包み焼きハンバーグうめー!」

澪「そ、そうか?」モジモジ

律「最近のインスタントってすげーなー!」

澪「えっ・・・」


澪「それ、私の手作りなんだけど・・・」


律「えっ!?」

澪「・・・」グスッ

律「今日は澪のお母さんやお父さんいないからてっきりインスタントかと・・・」

澪「せっかく、頑張って、作ったのにぃ・・・」ポロポロ

律「ごめんごめん! でも確かに美味いぞコレ」

澪「・・・ほんとぉ?」グスッ

律「ああ、マジで!」

澪「・・・!」パアアッ

律「澪~、もっとおかわりないの~?」

澪「食い過ぎだ!」

ゴチン!

律「だって、澪の手料理が美味しいんだもん・・・」

澪「そ、そうか?」モジモジ

律「じゃあおかわりを・・・」

澪「いい加減にしろ!」

ゴチン!


律「じゃあ、そろそろ帰りますか」

澪「えっ・・・」

澪「今日、うちに泊まるんじゃないの・・・?」

律「無理無理、明日中学の入学式だぞ?」

澪「でも・・・今日パパもママも帰ってこないから・・・」

澪「ひとりぼっちは、ヤだよぉ・・・」グスッ

律「でもなぁ・・・」

澪「り~つ~ぅ・・・」ウルウル

その上目遣いは反則だろ・・・

律「分かった分かった!じゃあ荷物取ってくるから!」


律「おまたせ!」

澪「お風呂の準備しといたから・・・先に入ってて」

律「え~、一緒に入ろうぜ~」

澪「じゃあ、洗濯が一段落するまで待ってて」

律「ほーい」


何か、澪の家の中がいつもより綺麗になったような気がする。

澪が掃除したのかな・・・?


律「澪~、終わった~?」

澪「ああ、あとは明日干すだけだから・・・」

律「じゃあ一緒に風呂入ろうぜ~!」


澪「・・・」

律「・・・」ヌギヌギ

律「澪~、早く脱げよ~」

澪「だ、だって・・・恥ずかしい・・・」

律「いいから早く脱げ!」

澪「わ、分かったよぉ・・・」


律「ふ~・・・お風呂の後はやっぱ牛乳だよな!」グビグビ

律「澪も飲め飲め!」

澪「あ・・・うん」ゴクゴク

律「そういえば・・・澪っていつから特訓してたんだ?」

澪「・・・!?」ブフッ!

澪「ななななな、何の事だ?」

律「最近あんまり遊ばなかったのも、特訓してたからだろ?」

澪「え・・・、えーっと・・・」

律「ごまかしてもムダだ」

澪「何で、バレてるんだ・・・?」

律「いきなり完璧超人になってたら誰でも気付くだろ」

澪「そ、そうか?」

律「でも、何でそんな事したんだ?」

澪「そ、それは・・・」


澪「中学校の次は、高校だろ?」

澪「律と同じ高校は無理だと思うから、律と離れ離れになっちゃうだろうから・・・」

澪「今のうちに、律に頼らなくても生きていけるようになりたかったんだ・・・」

澪「それでも、恥ずかしがり屋だったり、怖い話や痛い話が苦手だったりするのは克服できなかったんだけどな・・・」

律「澪・・・」

澪「変わろうと思っても、完全には変われなかった・・・」

澪「私って、ダメなやつだよな・・・」


律「・・・いや、澪は十分変わったよ」

律「運動もできるようになったし、家事もこなせるし・・・」

律「私なんて、もう不要なんじゃないのかな・・・」


澪「そんな事ないよ・・・律は、私を孤独から解放してくれたヒーローなんだから・・・」

澪「私の唯一無二の友達・・・いや、親友だから・・・」

澪「これからも、ずっと一緒にいてくれる・・・?」


律「当たり前だろ!」


律「じゃあ、私はリビングで寝るから」

澪「・・・」ジーッ

律「?」

澪「・・・一緒に寝てもいい?」

律「いいけど・・・私、寝相悪いぞ?」

澪「別にいいよ、律と一緒がいいから・・・」


律澪「「おやすみー」」


澪「・・・」zzz・・・

澪の寝顔・・・可愛いな

私も寝ようっと・・・


澪「律!起きろ!」

律「う~ん、あと3時間・・・」ムニャムニャ・・・

澪「早く起きろ!遅刻するぞ!」

ゴチン!

律「なんとか間に合った・・・流石私!」

澪「お前のせいでこんなギリギリになったんだろ!」

ゴチン!

律「いって~!」


そして、入学式後のクラス分け発表。

今年は・・・どうなったかな?

また澪と一緒だといいけど・・・


澪「よかったぁ~! また律と一緒だよぉ~!」

律「でも、そろそろ別の友達も作らないと・・・」

澪「律だけでいい!」

律「あのなぁ・・・」

教室に入ると、澪のところに男子達が殺到した。

まあ無理もない。

澪「ひぃぃっ!」

澪「り、律! 助けてぇ~!」


澪「もう死にたい・・・」

律「死ぬな」


担任「では自己紹介をして下さい、まずは秋山さんから・・・」

澪「え・・・え~っと・・・」アタフタ

澪「あ、秋山澪です!」アタフタ

澪「よ、よろしくお願いします・・・」アタフタ

男子達「(きゅるるるりん!)」


何でもできて容姿端麗な澪は、校内で絶大な支持と人気を得た。

当の本人は全く望んでいないが。

まさに、澪は学校のアイドル的存在だった。


それに対して私の方は、小学校の時と大して変わらなかった。


そんなある日、私はとあるライブのDVDを入手して澪と一緒にそれを見た。

律「バンドやろうよバンド~!」

澪「・・・」

澪「はぁ・・・仕方ないな」


そして、私達は楽器を買うために貯金を続け・・・

半年後、ようやく楽器を手に入れた。

律「私がドラムで・・・澪がベースか」

律「ギターもキーボードもボーカルもいないじゃん・・・」

澪「それに、ベースはまだしもドラムなんて誰に教わるんだ?」

律「ああ、それならマキちゃんに頼んであるから」

澪「律のくせに用意周到だな」


律「バンドを組めるのは高校に入ってからかなぁ・・・」

澪「でも、この辺で軽音部のある学校は桜高ぐらいしかないぞ?」

律「だったらそこに行けばいいじゃん」

澪「あのなあ・・・」

律「偏差値70・・・だと・・・!?」

澪「律には無理だろ?」

律「いや、私は諦めない!」

律「澪、勉強教えてくれ!」

澪「分かったよ・・・」

この時の熱意はわずか三日で冷めてしまったが。


そして、中3になると・・・

澪「志望校どこにした?」

律「桜高」

澪「無理があるだろ・・・」

律「澪は私と同じ高校に行くのが嫌なのか!?」

澪「そうじゃないけど・・・」

律「じゃあいいじゃん!」

澪「だったら今日から猛勉強だな!」

律「え~・・・」

澪「私が教えてやるから・・・」

律「さっすが澪~!」


それから約一年間、ひたすら(?)勉強し・・・

ついに、運命の時がやってきた。

合格発表の日だ。


律「・・・」ジーッ

澪「・・・」ジーッ


律「あっ・・・あった・・・」

澪「私も・・・」

律「合格だぁー!!」

澪「良かった・・・」ホッ

____
___
__


律「・・・という感じだな!」

律「どうだ!感動しただろ!」


紬「私達の過去に」

唯「比べれば」

梓「まだまだですね」


律「こういう時だけ連携するな!」


律編おわり



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最終更新:2010年10月18日 22:26