憂「和さ~ん!」

和「あら憂、どうしたの?」

憂「クッキー作ったんですけど、貰ってくれますか?」

和「わざわざ私に?」

憂「和さんにはいつもお世話になってますので」

和「ありがとう。高校には慣れた?」

憂「はい何とか。和さんが勉強を教えてくれたおかげです」

和「そういう気遣いというか、相変わらずね憂は」


憂「でも本当の事ですよ~」

和「そう?じゃあ感謝の気持ちを早速一枚いただくわね」

憂「あっ、ど、どうぞ」

和「ん、おいしいわ。オレンジピール入ってるの好きなんだ私」

憂「はい知ってます」

和「へえ~、私の好みに合わせてくれたんだ。感心ね」

憂「あの、良くやったって頭なでてくれますか?」

和「ええ?」

憂「ダ、ダメですか?」

和「お安い御用よ」ナデナデ

憂「ありがとうございます」

和「こう言っちゃなんだけど、結構甘えんぼよね」

憂「のっ、和さんの前だけですよ!」カァッ

和「ふふっ、そういう事にしておくわ」

憂「あー、和さんってたま~にいじわるですよね」

和「憂をかわいがってるのよ、これは」

憂「そういう事にしておきます。えへへっ」


放課後

律「うしっ!今日の練習終わりぃ~!」

澪「唯、今日は絶好調だったな」

梓「唯先輩良かったです」

唯「へっへ~!これが実力ですよ!」

律「なあ私も調子良かったろ、澪~?」

澪「あー、そうだな」

律「ちゃんと目を見て言えよ、このう」グググ

澪「や、め、ろ」グググ

紬(澪律も絶好調ね)ニコニコ

澪「いい加減にしろ!」ゴッ

律「いってぇ~……容赦ねーなあ澪は」

澪「しつこいんだよお前は!」

唯「あははっ!りっちゃんよわー!」

律「何だと?お前には負けないぞ唯~!」

唯「こわーい!ムギちゃん助けて!」

紬「りっちゃん暴力はダメよ」

律「ほら、ムギも言ってるよ暴力はダメって」

澪「ホントしつこいなお前……」

律「だって痛かったんだもんマジで」

澪「ああ……悪かったって」

律「まあいいよ。今日は本屋寄るからさ、澪付き合ってよ」

澪「ふぅん別にいいけど……また漫画か?」

律「漫画のどこがいけないんだよ。なあ唯~?」

唯「そういうの偏見って言うんだよね~」

律「ね~」

澪「わ、悪かったよ……」

梓「澪先輩は悪くないです」

律「何だよ、梓はまた澪の味方か~?」

紬「ホント梓ちゃんは澪ちゃんを慕ってるよね」ニコニコ

梓「いやらしい言い方はやめて欲しいですね」

澪「気をつかわせちゃったかな……」

梓「か、勘違いしないでください。客観的にそう判断したまでです」

澪「いつもの事だから気にしてないぞ。ありがとう梓」ニコッ

梓「澪先輩……」ポー

唯「あずにゃんは優しいんだねえ」スリスリ

梓「横から抱きつかないでください唯先輩」



……

和「さわ子先生、今お帰りですか?」

さわ子「あら和ちゃんも?一緒に帰る?」

和「よろしいんですか?」

さわ子「そんなかしこまらないでよ」

和「普通だと思いますけど……」

さわ子「私の素をさらけ出せる、数少ない生徒の一人でしょ」

和「クリスマスのあれは、忘れようと思ったんですが」

さわ子「ん~、さすが優等生的な考えね」

さわ子「でも落第よ。先生に構ってね」

和「そ、そうですか……」

さわ子「しかし和ちゃんはしっかりしてるわよね」

和「ありがとうございます」

さわ子「ホントなめてんのかって位、しっかりしてるわよね」

和「……」

さわ子「強くてニューゲームでも、和ちゃんになれる自信はないわ」ビッ

和(そんなキリっとした顔で親指立てられても……)

和「でも先生も大変ですよね」

さわ子「何が?」

和「吹奏楽部と軽音部の顧問、掛け持ちしてるでしょう?」

さわ子「ああ……別にそんなでもないわよ」

和「そうなんですか?」

さわ子「軽音部は澪ちゃん達に任せっきりというか」

和「えっ?それで大丈夫なんですか?」

さわ子「澪ちゃんとムギちゃんはしっかりしてるから安心よ」

和「いやそうかも知れませんけど……」

さわ子「もちろん何もしてない訳じゃないわよ」

和「そ、そりゃそうですよね」

さわ子「例えば顧問として、衣装作りには余念がないわ」

和「それ自分の趣味なんじゃ……」

さわ子「はぁ……でも見せる相手がいないのよね」

和「……」

さわ子「ああ、圧倒的に出会いが足りない」

和「え、えっと、先生は綺麗ですからその……」

さわ子「どこかに私の面倒、見てくれる男はいないかしらね?」

和「面倒って……」

さわ子「家事もやってくれる憂ちゃんみたいな感じの~」

和「そういうのを男の人に求めるのはどうかと」

さわ子「この際、女の子でもいっか。和ちゃん私の嫁にならない?」

和「お断りします……」

さわ子「ノリ悪いわね~」

和「先生の場合、冗談が本気になりかねません」

さわ子「まあ確かに、和ちゃんならありっちゃありなのよね」ギュウッ

和「あの……光栄ですけど困ります」カァッ

さわ子「そうね。でもあ~、落ち着くわ~」

和(そりゃ、さわ子先生ならまんざらでもないけど……)

さわ子「和ちゃんって癒し系かも」

和(いい歳した女性に甘えられるって、どうなんだろ)

さわ子「ねえ和ちゃんからも抱きしめてよ」

和「はいはい……」ギュッ

さわ子「あっ、何だろう……お母さん?」

和「勘弁してください」


平沢家

憂「カレー出来たよ~」

唯「ご飯よそいました。憂の分も」

憂「ありがとうお姉ちゃん」

唯「じゃあいただきます……うまい!」

憂「えへへっ、良かったぁ~」

唯「……で、でも、ちょ~っと辛いかも」

憂「あれっ、本当だ……」

唯「うぅっ……鼻が抗議デモ起こしてるよぉ~」

憂(張り切って本格的なの作ろうとしたのが仇に……)

唯「……」パクパク

憂「ご、ごめんねお姉ちゃん……作り直すから」

唯「大丈夫、癖になってきた」

憂「あんまり無理しない方が……」

唯「これ位の辛さに耐えられない様じゃ、また和ちゃんに子供扱いされるよ」

憂「和さんに……そうだねお姉ちゃん食べよう!」

唯「えへへ~、これで私も大人……ごほっ!ごほごほっ!」

憂「おっ、お姉ちゃん!?水!はい水!」


翌日

律「よう唯!おはようさん!」ポンッ

唯「あ~、りっちゃ~、お~は~……」

律「何だその幽霊みたいな挨拶は」

唯「そうかな……」

律「そうだぞ。朝から不快だ」

紬「どうしたの唯ちゃん?」

唯「最近、和ちゃん分が足りないんだよ」

律「和ちゃん分だと~?」

唯「和ちゃん分とは、和ちゃんとお話したりすると貰える養分です」

紬「それはつまり、りっちゃんの澪ちゃん分みたいなものね?」

唯「はい……私は和ちゃんに栄養を貰って育つ草なのです」

律「おい、それだとまるで私も澪に依存してるみたいじゃないか」

紬「うふふ、じゃありっちゃんは澪ちゃんがいなくなっても平気?」

律「あっ、当たり前だろ~……」

唯「いつも一緒だから気がつかないだけだよ、りっちゃんは」

紬「澪ちゃんいなくなったらって想像してみて?辛いでしょ?」

律「……」ガーン

唯「ぷくくっ、りっちゃん泣きそうじゃん」

律「もうっ!分かったよ唯の気持ちは!」

紬(りっちゃんかわいい)ハァハァ

律「でも言っとくけど、私は澪のオマケじゃねーぞ!」

唯「今はそんな事より和ちゃんだよ」

律「あ、ああ……そか」

紬「放課後、会う約束とかしたらどうかしら?」

唯「あう~……でも和ちゃん生徒会で忙しいだろうし」

紬「大丈夫よ。唯ちゃんの為ならきっと時間を作ってくれる」


唯「うん!ありがとうムギちゃん!私メールしてみるね!」

紬「頑張って唯ちゃん!」

唯「あっ!返事来た!」

紬「どうだったの?」

唯「やった!OKだって!」

律「こんなにあっさり済むなら初めからそうしろよ」

紬「すごい!良かったね唯ちゃん!」

唯「えへへっ!ムギちゃんのおかげだよ!」ガバッ

紬「うふふ、私は何もしてないよ~」ニコニコ

律「いやホントに大袈裟だって」


昼休み

梓(へへっ、あんパンゲット~♪)

澪「あれっ?梓もパンなの?」

梓「み、澪先輩っ!」

澪「偶然だね」

梓「は、はい偶然ですね!」カァッ

澪「そうだ良かったらさ、お昼一緒に食べない?」

梓「澪先輩と!?」

澪「あっ、何か約束あった?」

梓「ないないないです!」ブンブンブン

澪「じゃあ私の教室に来てくれるか?」

梓「はっ、はい!(上級生の教室に行くってドキドキ!)」

澪「そうだ和も紹介するぞ」

梓「和……先輩ですか?」

澪「ああ。唯の幼馴染で私と同じクラスの子なんだ」

梓「そうですか(唯先輩の幼馴染……律先輩みたいな感じだろうか?)」

澪「言っておくけど唯と違って、凄くしっかりしてる人だぞ」

梓「それはそれは……(何だか緊張してきた)」

和「澪おかえり……そちらは?」

澪「軽音部の後輩なんだけど、購買部で偶然会ってさ」

梓「初めまして!中野梓と申します!」

和「あらご丁寧に。私は真鍋和、よろしくね」

澪「私が昼食に誘ったんだ。たまにはいいだろ?」

和「いいわよ。澪から噂は聞いているわ」

梓「どうもです!図々しくもやって参りました!」

和「ふふっ、まじめな子って聞いてたけど、おもしろいのね」

梓「はいっ!(落ち着いてて大人っぽい人だな~)」

和「梓ちゃんはギター凄く上手なんだってね」

梓「あ、あのそんな……(まだまだです私なんか)」ゴニョゴニョ

和「でしょ澪?」

澪「そうなんだ。後輩だけど私達に教えられる程だよ」

梓「からかわないでください澪先輩!」カァッ

澪「謙遜しなくたっていいんだぞ」

和「かわいいわね。澪が気に入る訳だわ」

梓「えっ?」


澪「おい和!本人の前でそういう事はだな!」カァー

和「いいじゃない照れなくても」

梓(澪先輩が私の事を……)ポー

澪「だって恥ずかしくなるだろ!もう!」

和「怒った?ほら卵焼きあげるから許して」

澪「もう……かなわないな和には」

梓(あ、あの澪先輩が甘えてる……!?)

和「そういえば唯とも仲がいいのよね」


梓「仲がいいと言うか、懐かれてると言うか」

和「ふふっ、大体想像つくわ」

梓「昔からああいう人なんですか?」

和「そうね……でも憎めないでしょ?」

梓「そりゃあ……」

澪「梓は唯の演奏に惹かれて、入部決めたんだもんな」

梓「ま、まあそうですけど」

和「へえ~、唯も凄いのねえ」

梓「でもだらしない所は尊敬出来ないです」

和「ハッキリ言うわね」

梓「あっ、し、失礼しました先輩に対して……」

和「ううん、梓ちゃんのそういう所いいと思うな」

梓「そそ、そうですか?」ポッ

澪「和も気に入ってくれると思ってたよ」

和「これからも唯共々よろしく頼むわね、梓ちゃん」

梓「はい!和先輩っ!(澪先輩もいいけど、和先輩も素敵だな~)」



放課後

唯「ムギちゃんのお茶おいし~♪」ニマニマ

紬「ありがとう唯ちゃん」

梓「唯先輩なんか今日は、いつも以上にご機嫌ですね」

律「この後、唯は和ちゃん分とやらを補給出来るらしい」

梓「和ちゃん分?」

唯「和ちゃんと二人っきりで、お茶する約束したんだ~」

律「あー、和ちゃんというのは唯の幼馴染で……」

梓「知ってますよ。お昼ご一緒したので」

唯「えっ、何で?」

澪「私がお昼に、梓を誘ったんだ」

梓「澪先輩と購買部でバッタリ会いまして」

唯「ふ~ん……それでどうだったの?」

梓「外見は凛々しいけど、独特の包容力があると言うか」

律「私みたいなタイプだよなぁ~」

澪「……」ゴッ

律「いひゃい」

梓「……一緒にいて落ち着く人ですね」

唯「私の事、何か言ってなかった?」


梓「あ、凄く気に掛けてましたよ唯先輩の事は」

唯「ホント?」

梓「本当ですよ~、何だか羨ましいですね」

唯「そ、そう?えへへ……」

澪「というか和は、唯を溺愛してるよな~」

紬「詳しく」

梓(ムギ先輩の目の色が変わった)

澪「この前も和に将来の夢を聞いたんだ。何て答えたと思う?」

律「ん~……ICPOとかか?」


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最終更新:2010年01月07日 19:41