憂「人と人との関係は、まず対話から。なんでも力任せでは、誰とも仲良くなれません」
憂「しかし、怖く思う気持ちも当然ではあります。中に本当の魔女がいたなら、
このお話はどうなっていたでしょう?」
憂「未知の存在というものは、恐ろしくもあり、同時に魅力的でもあります」
憂「次のお話の彼女は、そんな未知の刺激を知ってしまったのでしょうか」
『あずにゃんがさずけてくれたもの』
むかし、むかし、ずっとむかし。
日本のどこかに唯というニートが住んでいました。
ある日のこと、唯が山の頂上にある湖の近くを通ったとき、とても可愛らしい猫耳を拾いました。
辺りを見回すと、湖に、天の国からおりてきた三人姉妹の天女がセッションしているではありませんか。
梓「洗濯するんじゃ…!」
純「とか言って、梓もギター持ってきてんじゃん♪」
梓「そ、それは…」
憂「じゃあ今日も『むすんでひらいて』やろっか!」
梓「ねえ、私たちそれしかできないの?」
♪~
「あんまりうまくないですね!」そう言いたい気持ちをおさえながら、
唯は猫耳を水辺の木にぶら下げて様子をうかがうことにしました。
さて、天女たちは天に戻ろうとしましたが、末娘の天女梓の猫耳がありません。
純「アレなくしたらヤバいでしょー…」
憂「梓ちゃん、私たちも一緒にさがそうか?」
梓「大丈夫、二人とも先に帰っててよ。すぐ行くから」
憂「じゃあ先に帰るけど…あんまり無理しちゃだめだよ?」
純「憂、早く帰ってドーナツ食べようよ!」
梓は一人残って水辺を探し歩いていると、水面に猫耳を見つけました。
梓「あっ、私の猫耳!湖に落ちてたんだ…よっと」パシャッ
梓「あれ…あれ?どうして?とれないよう…」パシャパシャ
それもそのはず、木にかかった猫耳が水に映っているだけなのですから。
唯(バカにゃん///)
それを見ていた唯は、梓の足りない子ぶりがあまりに愛おしいので、思わず抱きしめてしまいました。
梓「ひゃっ!あなたが私の猫耳に変なことしたんですね!?ていうか離してくださいー!」
唯「離したくなーい♪」
梓「うう、じゃあ猫耳だけでも返してください…欲しいものは何でもあげますから…」
唯「特にないよ。強いて言うなら、キミかな」キリッ
梓「えっ///」キュン
梓は唯を天宮へ連れて帰り、そっと門の隅に隠しました。天王に見つかるのが怖かったのです。
それから、梓は天王に隠れて唯に食事を運ぶ毎日でした。
梓「唯先輩、ご飯ですよ」
唯「わーい!……んあっ」パカッ
梓「え?」
唯「…んぁー!」アーン
梓「え、えー?///……しょ、しょうがないですねえ///はい♪」
唯「んふー」モグモグ
しかし、そんな幸せな日々も長く続きませんでした。
憂「梓ちゃん最近機嫌いいね」
梓「そ、そうかなあ?へへっえへへ」ニマニマ
純「(気持ち悪っ)でも何て言うか、女の顔になったよね。悪い人に騙されてなきゃいいけど」
梓「なっ…、唯先輩は悪い人なんかじゃないもんっ!!」
純「oh…」
さわ子「唯先輩いぃ~?」ヌゥ
ついに天王に見つかってしまったのです。
さわ子「ガキの癖にサカってんじゃないわよ!しかもヒモじゃないの!」
梓「違います!唯先輩は夢に向かって頑張ってて、私がいないとダメで…えへへ、唯先輩…」
憂「素敵な人だね!」
純(駄目だコイツら…)
さわ子「ぬぐぐ…私は貢ぐ一方だっつーのに!働かざるもの以下略よ!」
天王は怒って、唯に難題を課しました。
さわ子「まずは山の木を切りなさい。一日で。全部!」
唯「一日で全部なんて無理だよ~」
梓「唯先輩、真面目に頑張りましょう!」
唯「…きっと私たち離れ離れになっちゃうね。それでも、愛してるよ…あずにゃん」グスッ
梓「!!…だ、大丈夫です!唯先輩きっと疲れてるんです!一休みしたらどうですか?」
唯は言われたとおりにしました。
すると、次の日の朝、不思議なことに山々の木々は、一本残らず切られているではありませんか。
梓「ハァ、ハァ…おはようございます、唯先輩!」
唯「あれ、木がみんな切られてる…?」
梓「きっと素敵な唯先輩のために、妖精さんがかわりにやってくれたんです!」
唯「…そっか。じゃあ、可愛い妖精さんにご褒美、あげなきゃね」チュッ
梓「あっ///」
さわ子「……梓ちゃん、切ったわよね?」
梓「唯先輩、頑張りましたから」
さわ子「いや、そうじゃなくて、唯ちゃんに切れって私言ったんだけど…」
梓「唯先輩の頑張りにはそれだけの価値があるということです!」
憂「まだ会ったことないけど、きっと頑張る姿はカッコイイんだろうね~♪」
純(何言ってるんだこいつら)
さわ子「……まあいいわ。次は山に火をつけて、焼畑に仕上げるように」
唯は試しに小さく火をつけてみましたが、
火は大変な勢いで唯に襲い掛かり、危うくやけどしそうになりました。
唯「無理、死ぬ」
梓「そんな!私が危険な目には会わせませんから頑張りましょうよ!」
唯「あーあ、また妖精さんが助けてくれたら、もっとすごいご褒美あげるのにな~」胸元チラッ
梓「今回だけですからね///」
やはり梓にも火は容赦なく燃え、体の毛にも火がつきました。
それ以来、梓の体の毛は生えていないままです。やったね!
三つ目の命令は、
さわ子「じゃあ今度は種を蒔いてちょうだい。たくさんのね」
というものでした。梓もこれには、
梓「これは今までのに比べたら簡単ですね。応援してます!」
と、手伝いませんでした。
しかしめんどくさがりの唯は、種をすべてほら穴に隠してしまいました。
唯「こんなにたくさんの種…めんどくさいよ」
唯「……お腹すいたなあ」
そして次の日。
唯「ぜ、全部終わったよ?ホントだよ?」キョドキョド
梓「やっぱり唯先輩はやればできるひとです!」
さわ子「あ、それなんだけどやっぱ昨日の取り消し。種全部返してちょうだい?」
梓「そ、そんな…!」
唯「はい、種持ってきたよ~」
さわ子「なん…だと…」
唯「こんなこともあろうかと、種はまかなかったのです!」エッヘン
梓「こうなることを予測してたなんて、さすが唯先輩です!!」
さわ子(ただのサボりじゃないの……ん?)
さわ子「ねえ、種が足りないんだけど」
唯「」ビクッ
さわ子「全部返さなきゃ打ち首よ」
唯「打ち首!?」ブルブル
さわ子「正直に言ったら命ぐらいは助けてあげるかも知れないけどねえ?」チラッ
唯「うぐっ、……じ、実は…」
梓「唯先輩!?」
純「ふわぁ…おはよ~。…あれ、その人が梓の恋人?」
梓(恋人、って周りの人に言われると何だか照れる…///)
唯「あっ!そ、その人!その人が食べちゃいました!」ビシッ
純「えっ」
さわ子「テメェ…私の顔に泥を塗りやがって」
純「」
次の日、その天女は打ちモップにされ、キャラが死にました。
そしてついに、天王は最後の命令を出しました。
さわ子「じゃあ最後はとっても簡単。私が山の上から転がしたまきを、受け止めるだけよ」
唯「それなら私にも出来そう!かんたんかんたん♪」
梓「……」
そして岩山の下で唯が準備していると、梓が唯に耳打ちしました。
梓「まず石を落として唯先輩を殺すつもりです。だから一つ目は見逃してください」
唯「ふえ~…わかった!あずにゃんは優しいね。これをあげよう。この前の種だよ!」
唯「これすっごくおいしいんだよ~♪」ニヘー
梓「あ、ありがとうございます。唯先輩だって、そのっ、優しいです///」
唯「それじゃ、頑張りますか!どんなまきでもこの胸で受け止めちゃうよ!」フンス
梓「……です」
唯「あずにゃん?」
梓「…嫌です。私以外をその胸で受け止めちゃ、嫌ですっ」
唯「……嫉妬深い子猫ちゃん。大丈夫、私の胸はキミのためだけにあるんだから」グイッ
梓「言葉だけじゃ、嫌です…」トサッ
そのころ、岩山の上では天王が岩を落とし、切り株に姿を変えて転がろうとしていました。
さわ子「今の岩で死んでなきゃ、次は私が直接手を下してやる…イヒヒヒ」ボワワン
しかし、岩山の下には誰もいないので、天王はそのまま下界へと落ちていきました。
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_|:三三三:|_
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. |::|||:|| ||:|||::|_ センパイー アンアン
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~~~~~~~~~人間界~~~~~~~~~~~~~~~
こうしてすべての難題を切り抜けた唯は、
唯「うーいーアイスー」
憂「はーいお姉ちゃん♪」
モブ「ねえ憂、前から思ってたんだけど、なんで唯先輩をお姉ちゃんって呼んでるの?」
憂「私、ずっとお姉ちゃんが欲しかったんだ~♪」
モブ「なるほど、わからん」
梓「あーっ、唯先輩またアイス食べてる!太っても知りませんよ?」
唯「私いくら食べても太らないから大丈夫だよお」
梓「またそんな適当なこと言って…」
唯「嘘じゃないよ。…だって、今夜もたくさん運動するんだから、ね?」
梓「もう///」
モブ「そりゃ私たちは今更気にしないけど、そういう話はもう少しこっそりさあ…」
憂「いいなあ…私も二人に混ざりたい」
モブ「……さいですか」
新たな天王となり、梓や憂、他一名と末永く幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。
最終更新:2010年10月24日 00:10