晴れた空、透き通った青。

バトン部の私には天候は関係ないけど。

でも天気がいいのは悪く無い。

律「いちごーおはよー」ダッ

澪「お、おはよう!待てーりつー!」ダッ

いちご「おはよ」

軽音部はいつも忙しない。

唯「あ、いちごちゃんおはよー!」

和「おはよう」

いちご「おはよ」

このクラスはみんな仲が良く、催し物にも全力。

もうすぐ始まる文化祭、今年はすごく楽しくなりそう。

恥ずかしくて表には出さないけど。

そこが私の悪いところなのかな。

姫子「ゆいー!妹さん来てるよー」

唯「はーい!ういー!お、あずにゃんまで!」

いちご(・・・)ピクッ

あずにゃん、軽音部の部員。

良く聞く名前なんだけどなんであずにゃんなんだろう。

そして唯はいつも抱きついている。

梓「ちょっと唯先輩!こんなところでやめてください!」

唯「えへへ、あずにゃん分補給だよー!」

補給・・・か。

補給するとどうなるんだろう。

そんな事を考えていると、後ろの席に澪が座った。

澪「ふぅ・・・」

いちご「朝あんなに走ってどうしたの」

澪「あ、いや、昨日二人で演技の練習をしようと思ってたんだけど、台本をどこかに忘れてしまってて」

いちご「あったの?」

澪「うん、部室にあったよ」

いちご「そう、よかった」

澪「うん・・・ほんとによかった」

澪にあずにゃん分の事について聞こうと思ったけど、さわ子先生が入ってきたので会話が出来なかった。

唯が抱きつく、あずにゃん分を補給、補給しなかったら・・・?

動かなくなる?と言う事は唯は毎日あずにゃん分を補給している・・・?

一度考え出すと止まらない妄想で授業中に、

先生「えーと、じゃあ若王子、この式の答えは?」

いちご「x=7です」

先生「はい、正解」

別に支障をきたす程の悩みでもなかった。


お昼休み。

今日はパンを買いに行く、あいかわらずすごい列だ。

遠くからどこかで聞いた声が聞こえる。

純「あー!もうゴールデンチョコパン売り切れちゃったよ」

梓「仕方ないよ、教室出るの遅かったんだもん」

憂「2年の教室からだとちょっと遠いからね・・・」

あずにゃんと唯の妹とジャズ研の発表で見た事ある子だ。

ゴールデンチョコパンか、私も食べた事ないな。

買えるチャンスはいくらでもあったけど一人では大きいから食べれない。

買ってあげて、代わりにあずにゃん分を補給させてもらう?

いや、こんな考えはおかしい。っていうか今日あずにゃん分で頭いっぱいだな。

やっぱり誰かに聞いてみよう・・・。

純「いつか絶対ゲットしてやる!」

梓「そうだね、いつかは食べてみたいね!」

憂「うん!がんばろっ!」

遠くから見てたら全てのパンが売り切れてしまった・・・。残念・・・。



放課後。

バトンの練習もしなきゃだけど今日はクラス発表の準備。

エリ「いちごなんか元気なくない?」

いちご「そうかな」

エリ「そうだよ、ちゃんとお昼食べた?」

いちご「食べてない」

エリ「なんで食べなかったのよ!」

いちご「パン売り切れた」

エリ「あー、それなら今行っといでよ、放課後販売もちょっとあるよ?」

いちご「そうなの、じゃあ行く」

エリ「うん!食べたら戻っておいでー」

いちご「ありがと」


放課後もパン売ってるとは思わなかった。

と言うより売るパンがあるなら昼出してくれてたら助かったのに・・・。

そんな事を思いながら廊下を歩いていると、少し前にあずにゃんと呼ばれている子を見つけた。

まあ話した事もないし、声かける必要もないか、

梓「あ、すみません、唯先輩達のクラスの方ですよね」

声かけられたけど。

いちご「うん、そうだけど」

梓「今日も遅くまで練習されるんですか?」

いちご「どうして?」

梓「あ、先輩達軽音部来ないのかな・・・と思いまして」

いちご「来てほしい?」

梓「は、はい・・・そうなんですけど」

いちご「じゃあ伝えとく」

梓「え、いや、別にそう言うわけじゃ!」

いちご「最近毎日教室にいるから、部活も頑張ってもらいたい」

梓「ありがとうございます、でも忙しければほんと大丈夫ですから!」

いちご「伝えるだけ伝とく、あずにゃん」

あ、勢い余って本名しらないのに唯が言ってる名前で呼んでしまった。

梓「えっ」

いちご「ごめん。名前知らなくて、唯がそう呼んでたの聞いてたから」

梓「いえ、私中野梓っていいます!」

いちご「梓だからあずにゃんなのね」

梓「・・・そういう事だと思います」

いちご「わかった、じゃあ伝えとくから」

梓「はい!ありがとうございます」

思わぬハプニング。でも名前知れてすっきり。

あずにゃん分は聞き逃したけど。

あ、パン買うの忘れた。



教室。

いちご「律」

律「んー?どうした」

いちご「梓って子が今日も部活来れそうにないですかって言ってた」

律「あー・・・そうだな・・・最近練習してないや」

いちご「いってあげて」

律「で、でも」

いちご「ライブも大切だから、今日くらい」

姫子「そうだよ、今日くらい部活いきなよ」

エリ「うん、まだ衣装も出来てないし、ライブの方が見たいし!」

信代「どっちも完璧にしてくれよな!」

律「みんな・・・」

澪「みんなありがとう」

唯「和ちゃんまた後でー!」

紬「みんな後よろしくね~」

律「よっし、今日は練習するぞー!」

うん、なんとか成功したみたい。

あずにゃん喜んでくれるかな。

って私何考えてるんだろ、さて木を作らなきゃ。


部室。

律「おーっす!」

唯「あずにゃーん!」

梓「あれ!?みなさん来てくれたんですか!」

律「うん、いちごに行ってこいって言われてな」

梓「いちご・・・ってあの髪巻いてる人ですか?」

律「そう、今日話したんじゃねーの?」

梓「名前聞くの忘れてしまいまして・・・いちご先輩かぁ~」


教室。

エリ「いちご~パン食べれた?」

いちご「食べれなかった」

エリ「えっ!なんで!何してたの」

いちご「考え事」

エリ「いちごも考え事してて周りが見えなくなる事あるのね・・・」

いちご「悪い?」

エリ「いや意外」

いちご「そう」

エリ「うん」

ジャジャッジャジャッジャーン♪

姫子「軽音部の練習もなんか久々に聞くね」

しずか「うん、おもしろいライブにしてほしいね」

練習始まった、良いBGMになるかも。

これもある意味あずにゃん分補給なのかな。

よし、がんばろ。

エリ「いちご、今木何?」

いちご「木D作ってる」

あと3本、がんばろ。



翌日。

晴れた空。少し雲もあるけど良い天気。

今日は私も部活に行かないと発表間に合うか心配。

自分じゃなくて後輩達が。

唯「いちごちゃんおはよー」

憂「姉がいつもお世話になってますー!」

いちご「おはよ」

いつも仲の良い姉妹。

律「いちごおはよう、昨日はありがとな」

いちご「別に」

澪「おかげで練習しっかり出来たよ」

いちご「そう」

律「梓も感謝してたぜ、いちご先輩大好き~!ってな」

いちご「えっ///」ビクッ

律「ごめん、大げさすぎた」

いちご「そ、そう」

何反応してんだろ、私。

あ、そういえばあずにゃん分の事聞かなきゃ。

いちご「澪」

澪「うん?」

いちご「ちょっといい?」

澪「あ、うん、大丈夫」

いちご「あずにゃん分って何?」

澪「えーっと・・・何て言うか・・・唯の元気の源・・・かな?」

いちご「それが無くなるとどうなるの?」

澪「ごめん、そこまでは」

いちご「そっか、ありがと」

元気の源か。

澪「そんな事聞いて何かあったのか?」

いちご「唯がいつも補給してるから」

律「スキンシップだな!」

澪「割り込んでくるな!」ゴンッ

律「いってー!・・・まあこんな殴り合いみたいなもんじゃね」

いちご「そっか、ありがと」

澪「まあちょっと見てて照れるけどな・・・」

いちご「そう」

補給すると元気が・・・。なるほど。

じゃあ私が補給したら私も元気が出るのかな。

あ、でもさっきスキンシップだって言ってたから別に何もないのかな。

今日も止まらない妄想を授業中に繰り広げてるけど、

先生「若王子、32ページの5行目を訳してみて」

いちご「彼は彼女に駅までの道を教えた、です」

先生「お見事、正解」

予習してたので今日もばっちり。



お昼休み。

今日もパン。今日もすごい混んでるなぁ。

遠くからどこかで聞いた事のある声が近づいてきた。

梓「いちご先輩!」

いちご「あずにゃん」

梓「えっ!その呼び方にするんですか!?」

いちご「えと、何て呼ぼう」

梓「梓でいいですよ!」

いちご「あずにゃんは?」

梓「ちょっと恥ずかしいです・・・」

梓「そ、そんなことより昨日はありがとうございました!練習がすごく充実しまして!」

いちご「そう」

梓「練習不足の不安が吹き飛ぶくらい上出来でした!いちご先輩のおかげです!」

いちご「気にしないで」

梓「それじゃあパン売り切れちゃうのでまた!」

いちご「また」

今日はなんとか買えた。クロワッサンおいし。



放課後。

いちご「エリ」

エリ「うん?」

いちご「今日バトン部行くから」

エリ「うん、わかった!頑張ってね!」

いちご「うん」

今日はバトン部の発表もあるからさすがに練習しないと。

あれ。あのギター背負ってる子は。


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最終更新:2010年10月28日 02:44