私の前の席、琴吹紬ちゃん。ムギちゃんって呼んでます。

席が前後なので最近良くお話もします。

紬「はい、どうぞ」

しずか「ありがとう」

配布のプリントを回してくれる時に彼女が振り返ると、

とてもいい笑顔で癒されます。

ふわっといい香りも漂ってきます。


そう言えば先日。文化祭の時、こんな事がありました。

ちずる「お墓がない・・・!」

律「えーっ!」

唯「今から作る!?」

和「さすがに間に合わないわ・・・」

えーと・・・変わりのもの・・・変わりのもの・・・

最近どこかで見た・・・うーん・・・どこだっけ・・・

律「無しでやるか?」

美冬「さすがにそれは・・・ラストシーンだし」

うーんと・・・

そうだ!!

しずか「オカルト研でお墓みたいなの見た気がする!」

「「「!!」」」

しずか「私、オカルト研に知り合いいるから行ってくる!」ダッ

律「頼んだ!」

和「木下さん、役は!?」

しずか「あっ…ゆ、唯、任せたっ!」


唯「任せといて!」

紬「待って!私も行くっ!」ダッ

はぁ・・・はぁ・・・。

講堂から、校舎に入って・・・えと2階だっけ。

紬「しずかちゃん、こっちの方が近いわ!」

しずか「ムギちゃん・・・!来てくれたの」

紬「私荷物運びには自信あるから~」

しずか「そう、ありがとうねっ」

タッタッタ・・・

しずか「はっ・・・はっ・・・」

紬「はぁ・・・はぁ・・・」

しずか「もうちょっとで着くのに・・・ちょっと走れないかも・・・」

紬「あとちょっとだから、がんばろう!」ギュッ

そう言ってムギちゃんが手を引っ張ってくれて、二人で階段を駆けてく。

しずか「あ・・・あそこっ」

紬「やっと着いたわ・・・」

しずか「失礼します!」

オカ研「あら、しずかさん」

しずか「あ、あの、この前見せてくれた大きなお墓みたいなの貸してくれないかな!?」

オカ研「あぁ、これはロゼッタストーン・・・」

しずか(はぁ・・・はぁ・・・)

紬(はぁ・・・はぁ・・・)

オカ研「・・・これが役に立つなら、どうぞ」

しずか「あ、ありがとう!」

紬「絶対返しますから~!」

紬「やったねしずかちゃん!」

しずか「うん、ありがとうねムギちゃん着いてきてくれて」

紬「お礼は後で、ね!間に合うか心配だから!」

しずか「うん、そうだったね!」

借り物だから慎重に。

二人で小走りで講堂に運んでいく。

律「まだかな・・・」

ちずる「もうすぐこのシーン終わっちゃうよ・・・!」

美冬「仕方ないわね、お墓無しでやるしか・・・」

バンッ

しずか「お、お待たせ!」

紬「借りてきたわ!」

ちずる「!!」

律「間に合った!」

美冬「これは変わりになりそう!二人共ありがとう!」

和「じゃあ急いで準備しましょう!みんな手伝って」

「「「おー!」」」

こうしてオカルト研に借りたロゼッタストーン・・・

詳しくは何かわからないけど、変わりのお墓がラストシーンで活かされました。

澪「ジュリエット・・・君を一人で死神のところへ行かせはしない・・・!」

澪ちゃんのロミオは練習とは見違える程カッコよくて、

律「・・・ロミオ・・・何故私の分の毒を残しておいてくれなかったの・・・!」

りっちゃんのジュリエットは普段のりっちゃんと見違える程キレイでした。

そして、終幕。


澪「あー!恥ずかしかったよぅ・・・」

和「澪、お疲れ様。すごくかっこよかったわ」

美冬「うん!練習とは見違える程ね!」

律「あー・・・髪がうっとおしい・・・!」バサッ

紬「りっちゃんお疲れ様、はいお水」

律「さんきゅー、ムギ」

ちずる「しずかありがとうね!おかげで大成功だよ!」

しずか「あ、ううん、みんなのおかげだよ!」

劇は大成功。さて、お片付けの時間です。

しずか「じゃあ私オカ研にお墓返してくるね」

姫子「よろしく!」

律「ありがとー」

紬「しずかちゃん、私も行くわ~」

しずか「うん!ありがとう」

二人で駆けて来た道を次はゆっくりと歩いて行く。

紬「しずかちゃん」

しずか「うん?」

紬「ありがとう、助かったわ」

しずか「ううん、私よりオカ研のおかげだよ!」

紬「そんな事ないわ、しずかちゃんが思い出してくれなかったら、唯ちゃんがお墓役だったかも~」

しずか「あははっ、そんな~」

皆で力を合わせて一つの事をやり遂げた達成感。

その達成感は皆の気持ちも高ぶらせていました。

しずか「ロゼッタ・・・ストーンだったっけ、ありがとう!助かったっ!」

紬「ありがとうございました!」

オカ研「ううん、お役に立てて嬉しい」

しずか「また今度帰りお茶しようね!」

オカ研「うん、またね」

紬「私も!私も行きたいっ!」

オカ研「はい、是非」

ムギちゃんもテンション上がっちゃってるのかな。

その達成感は、同時に終わった事への喪失感へと繋がって行きました。

しずか「こう・・・終わってみると寂しいね・・・」

紬「そうね~、クラスみんなで一致団結して頑張ったものね」

しずか「うん・・・もうすぐ卒業だし・・・」

紬「うん・・・」

しずか「みんな・・・離れ離れになっちゃう・・・」グスッ

その喪失感に私は寂しくなり、涙が出てきました。

紬「しずかちゃん?大丈夫!?」

しずか「うん・・・大丈夫。なんかやり遂げた後って寂しくなるよね」グスッ

紬「しずかちゃん・・・」

その時でした。


紬「このクラスで、ほんとに良かったわ」ダキッ

しずか「ムギちゃん・・・うわぁん・・・」

紬「よしよし、ちょっと泣いたらみんなのとこに行こうね」

しずか「ごめんね、ごめんね・・・」

紬「ううん・・・ぐすっ・・・あれ・・・私も」

しずか「あはは、ムギちゃんも泣いてる・・・」グスッ

紬「うふふ、しずかちゃんだって」グスッ

誰も居ない空き教室で、二人で笑いながら泣きました。

抱き合ったまま。

しずか「ムギちゃん」

紬「なーに?」

しずか「私このクラスでほんとによかった」

紬「うん、私も!」

しずか「ムギちゃんと同じクラスでよかった・・・」

紬「うん、私もしずかちゃんと同じクラスでよかったわ」

しずか「えへへ」

紬「ふふっ」

ムギちゃんいい香り・・・

紬「しずかちゃんいい香り~」

しずか「えっ///」

心の中読まれてた!?

紬「ずっとこうしてた~い♪なんちゃって~」

嬉しいけど・・・は・・・恥ずかしい!

そんなムギちゃんが顔を覗き込んできます。

近い・・・どうしよ・・・。

紬「まだ目は赤いけど泣き止んだわね」

しずか「う、うん・・・ムギちゃんも・・・だね///」

紬「じゃあみんなのところ戻ろっか~」

しずか「あ、うん、そうだね」

紬「うん、行こう行こう」ギュッ

自然な流れだったと思います。

ムギちゃんに手を引っ張られて私達は講堂へと戻りました。

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紬「しずかちゃーん?」

はっ!ムギちゃんの香りが漂ってきてから、私は思い出にふけっていたようです。

しずか「あ、ご・・・ごめんね!」

紬「ううん、はい、プリント」

しずか「ありがとう」

あの柔らかいぬくもりは今でも忘れられません。

ムギちゃんも覚えてくれてるかな。

ちょっと思い出して切なくなったので、ムギちゃんに八つ当たりする事にしました。

しずか「えいっ」

ぷにっ。わき腹につんっ。

紬「きゃっ!」

やっぱり柔らかい。

紬「もう、しずかちゃん何するの~///」

しずか「えへへ」

ぷにっ。

紬「きゃっ!うぅ~しずかちゃん・・・」

しずか「ムギちゃんかわいい」

あ・・・心の声が出ちゃいました。

紬「えいっ!」プニッ

しずか「きゃっ!」

紬「おかえしっ!」プニッ

しずか「きゃはは、やめてー!」

紬「しずかちゃんかわいいわ~」

しずか(!!)ピクッ

紬「わき腹弱いからもうしちゃダメ」ナデナデ

なんか・・・なでられました。

しずか「子供扱いしないでっ!」プニッ

紬「きゃははっ!しずかちゃんだめ~」

しずか「えいっ!」プニッ

紬「ひーもうだめーきゃはは」

コホンッ

先生「琴吹さん、木下さん自習中は静かに」

授業中だったの忘れてました・・・

しずか「す、すみません・・・」

紬「すみません!廊下で立って反省します!」

えっ!ムギちゃん・・・

先生「いや、そこまでは・・・」

紬「立ちたいんです!」

紬「学校で廊下に立たされるの夢だったの~」

しずか「立たされると言うより自ら立ったって感じよね」

紬「えいっ!」ダキッ

しずか「ム、ムギちゃん・・・!」

ドキ・・・ドキ・・・いい香り。

紬「こちょこちょこちょ~」

しずか「きゃははははは、やめてムギちゃん~」

紬「あれ?くすぐり合いしたかったんじゃないの?」

しずか「くすぐられて嬉しい人なんていないと思うよ?」

うん、いないと思います。私以外は。

紬「そう?しずかちゃんなら私されたいけど」


前言撤回です。ここにもいました。

・・・って・・・しずかちゃんになら・・・?

しずか「えっ!///」

ガラッ

先生「あなた達・・・廊下では静かにね・・・もう入りなさい」

「「は~い」」

その続きはお預けになりました。

残念です。


放課後になりました。

今日も学校は楽しかったです。

私の前の席の琴吹紬ちゃん。通称ムギちゃん。

席が前後なので、明日は何を話そうかな。

紬「しずかちゃん」

しずか「どうしたの、ムギちゃん?」

紬「また明日ね、ばいばい」

しずか「うん、また明日、ばいばい」



おわり



最終更新:2011年10月18日 11:20