一同「はいー!?」
律「黙ってて悪かった」
和「何を言うかと思えば……」
紬「まさかの」ハァハァ
憂「し、信じられません」
唯「りっちゃん、おかしくなった?」
澪「そ、それでも私は構わないぞ!律がなんであろうと、私のモノに変わりない」
律「あと、明日の晩。月から迎えが来るんだ」
唯「えっ?」
律「明日は満月だ。月と地球が唯一、繋がる日なんだ。だから、帰らなくちゃならないんだ!本当に急ですまん!!」
唯「りっちゃん……」
和「そうなんだ……」
紬「お別れは辛いわね」ハァハァ
憂「帰る場所があるなら、やっぱり帰るべき……」
澪「やだ!」
唯「澪ちゃん?」
澪「律が帰るなんて、こんなんじゃダメだー!」バタバタ
和「我が儘言わない!」
唯「気持ちは分かるけど」
紬「仕方ないかも」ハァハァ
律「澪……すまん」
澪「うわーん!!」バタバタ
その後も、澪は泣き続けたと言う。
平沢家の門前では、梓とさわ子が正座させられたままでした。
梓「……」シュン
さわ子「……」クスン
翌日の夜。とうとう、律が帰る時がやって来ました。
空には綺麗な満月が出ています。
律「澪……」
澪「なんだよー、バカ律ぅー」
律「すまんな」ナデナデ
澪「りつぅー」グスッ
紬「はぁー、律×澪。いや澪×律。もう、どっちでもいいや」ハァハァ
和「あんたは何やってんのよ?」ハァー
紬「わちゃんには分からないわ」
和「『わ』じゃねぇよ!『のどか』だよ!」
律「喧嘩すんなって」ヤレヤレ
憂(何か良い方法はないかな……)
唯「りっちゃん!」
律「唯、ありがとな」
唯「うんうん。私も楽しかったよ」ニコッ
律「ありがとな」ニコッ
憂「うーん」
律「憂ちゃんも、ありがとな」
憂「あっ、はい。いえ、お元気で」
シャランラ、シャランラ♪
澪「な、なんだ?」
律「来たんだよ、迎えが」
空から牛車と使者がやって来ました。
風子「姫様、お迎えに来ました」
エリ「元気してますかー」
姫子「やっほー」
いちご「……ふっ」
律「あぁ、私は元気だ」
唯「あれが、月の人」
和「私達と変わらないわね」
紬「そうね」
律「心配かけて悪かった」
エリ「いえいえ。そうだ、姫様に弟が出来ましたよ」
律「なにー、私に弟だと!?」
いちご「……聡」
律「そうか。帰ったら、とりあえず挨拶代わりに……」
澪「律、行かないでくれ!」ダキッ
律「澪?」
澪「律、地球に残って」
律「ごめん。私にも家族があるから」
澪「唯達は家族じゃないのか!?」
律「もちろん家族だ。だけど、産んでくれた親は悲しんでるかもしれない」
澪「確かにそうだけど……」
姫子「『おお娘な。誰だっけ?』って、私達に冗談混じりに言ってたけどね」
エリ「私には『息子最高や!娘なんかいらんかったんやー』とも言ってたよ」
律「」
澪「なら律、帰らなくても……」
律「ふざけんな!」
澪「お、おい」
律「とりあえず帰って親殴りに行く!」
唯「りっちゃん!」
律「私の育児カプセルを誤って地球行きの宅配に出す親だぞ。ぶん殴らないと気が済まない!」
和「だからって、暴力はダメよ!」
律「離せコラ!」バタバタ
澪「離すもんか!」ダキッ
風子「そういえば、なんで姫様を誤って宅配に出したんだっけ?」
姫子「確か、なんかのチケットの応募券を出す予定が、間違えて……」
いちご「……AKB」
律「なんだそりゃー!!」
和「AKB。私も以前、オーディションに出たけど、落ちたわ」
律「そんなの、どうでもいいわー!!」バタバタ
澪「律、暴れるな!」
唯「憂、どうしよ……」
憂「……」
唯「憂?」
憂「あっ、良い解決方法が浮かんだ」ポン
一同「?」
憂「私達も月に移住すれば良いんだよ」
一同「えっ!?」
さわ子「なんか騒がしいわね」
梓「ほんとです」
ドッカーン!ゴゴゴッ
さわ子「じ、地震!?」
梓「ち、違うです。あれです!!」
梓が指差すその先には、牛車と小型ロケットが月へ向けて飛び立つ瞬間でもありました。
唯「見て、地球だよー」
憂「綺麗だね」
律「にしても、凄い発想だな憂ちゃん」
憂「いえ、こうした方が丸く収まる気がして……」
エリ「牛車の乗り心地はどう?」
唯「うん。快適だよ」
風子「良かった。月まで、ゆっくりして下さいね」
唯・憂「はーい」
エリ「あれ、後方のロケットが月コースからの軌道を……」
唯「あっ、あの二人忘れた……まっ、いいや」
澪「狭すぎるだろ。このロケット」
姫子「仕方ないじゃない。緊急用のロケットなんだし」
澪「てか、なんで唯と憂ちゃんは律と同じ牛車なんだよ」
和「あみだくじだから、仕方ないでしょ」
いちご「……狭い」
紬「狭い空間で五人が……」ハァハァ
和「あんたね」
紬「なーに、なごみちゃん?」
和「『なごみ』じゃねぇよ!『のどか』だよ!落とすぞ」
姫子「あぁ、暴れれんな!」
エリ『姫ちゃーん。軌道からずれてるよ』
姫子「えっ、やばっ!」
和「な、何!?」
姫子「あんたらが騒ぐから、月コースの軌道から外れ始めてる」
澪「な、なんだって!?」
いちご「……」
姫子「修正可能だから、心配しないで」
澪「良かった」ホッ
その後、軌道修正したはずのロケットは、火星に不時着したらしい。
それから月日は流れた。
今、一人の男が月に降り立とうとしていた。
男「ここが月。ようやく、来れた。長い年月の結晶……」
姫子「ようこそ、月へ」パーン
男「な、なんだ!?」
姫子「あなたは、私達以外で月に降り立った人類第一号です」
エリ「記念品に、この石を差し上げます」
男「えっ?」
律「おーい、どうしたー?」
姫子「地球からお客さんだよ」
律「なんだ。つか、その服脱いだら?」
男(宇宙服なし、だと……)
唯「りっちゃーん」
澪「律ぅー」
男(な、ここは月なんだよな!?なんで、人間が!?)
和「月に人が来るなんて」
紬「珍しいわねー」
男「えっと、君達は……つか、宇宙服は?」
憂「そんなのなくても平気ですよ」ニコッ
男「」
男(そうだ……これは夢だ。宇宙服もなしに人間が……)
男(多分。厳しい訓練で疲れて……今頃、僕は自分の部屋で寝てるはず)
男(なら、こんな夢から覚めなくちゃ!)
男「じゃあ、僕は夢から覚めます!あなた達の事は、見なかった事にします」ダッ
男「お母さーん!僕は今から、地球に帰還しまーす」
ロケット、ファイヤー!
律「帰っちまったよ」
澪「律、律、律ぅー」スリスリ、チュッチュッ
律「うぜぇー、やめろ澪!」
澪「なんだとー!?」
和「見てられないわ」
唯「そうだね」
律と澪は結婚してませんが、毎日、ラブラブです。
それでも、唯達は何不自由なく、仲良くみんなと月で暮らしています。
また、エリが男に渡した石が「月の石」として大阪万博で人気を博した事は有名な話である。
~かぐや姫編・終~
最終更新:2010年10月28日 05:17