唯「んー、はっ!」あーでもない

唯「むー、ほっ!」こーでもない

唯「あぁーもー、なかなか上手にセットできないよぅ」

唯「ねぇー、うーいー?」

憂「ん? どうしたのー? お姉ちゃん」

唯「七三分けっ!」

憂「……うん」(何してるんだろう)

唯「きょ、今日はそのね! あの」

唯「りっちゃんと二人っきりでおでっお出かけな……なんです」

憂「あー! だから張り切って髪の毛セットしてるんだー」

唯「う~ん、そうなんだけど」

唯「あ、見て見て! 憂の真似ー」

憂「それじゃあ律さんと私のデートになっちゃうよー」

唯「……あっ! それはダメですっ!」

憂(お姉ちゃん可愛いなぁ♪)

憂「はい、じゃあ鏡の前に座って?」

唯「お~! 姉に似ずよく出来た妹~♪」

憂(律さんとお姉ちゃん二人きりで出かけることって今まであったかな?)ブォー

唯「~♪」

憂(よーし、とびきり可愛くしてあげなきゃ!)ブォー


憂「……はい! いかがでしょー?」

唯「おぉ!」キラーン

唯「憂はドライヤー上手いねぇ~」

憂「えへへ~」

唯「じゃあーピンを――」

憂「あ! ダメだよ、お姉ちゃん!」

唯「えぇー、ピンが無いと何だか落ち着かなくて」

憂「めっ! 今日は私がつけておきます!」

唯「うぅー」

憂「大丈夫♪ 今日のお姉ちゃんはすごく可愛いからっ」

唯「むぅー、そうかなー?」


唯「あ! もうこんな時間」

唯「では、いってまいりますっ!」ダダッ

憂「いってらっしゃーい♪」ふりふり


憂「…………」ふりふり

憂「えへへ、お姉ちゃんのマネ~♪」

   *   *   *


唯「ほっはっひぃ~」

唯「ふぅー」

唯「へぇ~ま、間に合った~」ぜぇぜぇ

  「いーや、間に合ってないっ!」

唯「えぇ~、りっちゃん来てないし~」

  「時計と前をよーくみろー」

唯「んへー? ちょっと遅れただけ……」

唯「っえ゛! り……りっちゃぁん?」

律「そーだい、あたしはとっくについてたんだぞぉー」

唯「どど、どうしたの? 今日はその」

律「だぁー! もう、それ以上は言うな!」

唯「かっこいいねっ!」

律「はぁ……、あたしだってこれでも女なんだぞ?」

律「お世辞でも可愛いとか言って欲しいお年頃だぞ?」

唯「うん! カッコ可愛いよっ!」きらきら

律「やめろー、そんな目で見たってあたしは何もくれてやらないぞっ!」

唯「えっえー? いいじゃないのぉ~、私とりっちゃんの間でしょぉ~♪」

律「いつから私たちはそんな間柄になった!?」

唯「うっ、……そ、それはさっき目を合わせた瞬間からだよっ!」ふんす

律「いーや、ありえね……」

律(ってなんだー?)

律(なんでだぁー? 今日の唯、その……)

律(か わ い い)


律「!?」

律「お、お前さっ さては憂ちゃんだろ!」

律「そーだ、そーだぁ! 
  唯がこんな小奇麗なわけない! あたしの知ってる唯はこんなんじゃなーい!」

律「ほら、"うんたん"ってやってみろー! できないだろー!」

唯「うんた……って、そんな! しどいよりっちゃん!」がびーん

唯「だっ、だったらねぇー、今日のりっちゃんだってぇー!」

唯「私の知ってるりっちゃんだって、もっとガサツで、がに股で」

律「なぁーにー!?」ほっぺつねり

唯「うぅ~! あって、いったんがさいひょにいったんでひょ~!」ふがふが


唯律「…………」

唯律(見つめあうとますますカッコいいよぅ)かわいいじゃねーか!)


唯「じゃあ、りっちゃんに問題ですっ」

唯「てれって♪ 今私は怒ってます! それは」

律「あたしがほっぺたをつねってたから! はい、しゅーりょー!」

唯「むぅ! ……でーすーが! 
  今日のりっちゃんがかちゅーしゃをしてないのはなんででしょー?」

律(むりやりだなー)

唯「ちっくたっくちっくたっく♪」

律「わあったわあった! 話すからその"ちっくたっく"をやめろー!」

   *   *   *

律「それは今朝のことだったぁ――」


聡「んー? 姉ちゃんもめかす年頃になったとさー」

律「あんだよ? そんなお姉さまを見てドキドキする弟だったとさー」

聡「あー、これはきっと不出来な姉をもったことによる心労、
  それの動悸で可愛い弟は天に召されるのであった、十五歳という若さだったとさー」ダダッ

律「んだとー! 待ちやがれクソガキー!」だだだっ


聡「あ! 姉ちゃんカチューシャおちて……」

律「はーい、そんな古典的な罠にあたしはかかりまっせーん!」聡げっと

  ぱきょ

律聡「あ゛……!」

   *   *   *

律「それは突然の別れだったー!」

律「中学生の頃から連れ添ったりっちゃんカチューシャ1号の訃報」おーいおいおい

唯「それってりっちゃんが殺し……」

律「よーし! いい子だからそれ以上は言わなくていいぞー? そうだアメちゃんをあげよう」

唯「うわぁーい♪」


律「そんでどこいくんだよ?」

唯「んー?」コロコロ

律「特に行き場所決めてなかったよな?」

唯「あ!」ぽろっ

  ....コロコロ

唯「……それはあめちゃんの突然の訃報でしたっ!」.

律「お前が落としただけじゃねーかぁー!」

唯「わたし、映画館に行きたいっ!」

律「おーし、じゃあそれで」

唯「えぇー? もっとなんかあるでしょぉー?」

律「べっつにあたしは何処でもいーし」

唯「でーとなんだよっ!」

律「! ――デートなのか!?」

唯「あっ……」

律「え……?」

唯律(目が合っちゃったよぅ)合った、かっかわい過ぎるだろっ!)

律「てーなーわーけーでー?」

唯「はいっ!」

律「映画館に着きましたっ!」

唯「着きましたっ!」

唯律「えへへ~♪」

律「空いてるみたいだなー」

唯「そうです! 狙ってましたからっ!」ふんす

律「どー考えても嘘だろ!」

唯「えへへ~♪」


律「じゃーあたしは飲み物とか買ってくるわ」

唯「了解ですっ! りっちゃん隊員!」びしっ


律「たーだいまー、ってそこあたしの席だろー? 何やってんだよ?」

唯「殿の為に温めておきましたっ!」キリッ

律「はぁ~、邪魔だ邪魔だ! どけどけっ!」

唯「あ~ぅ~、いけず~」はわわ


律「ほら」

唯「あー、ありがとーりっちゃーん!」

律「…………」ぱくぱくもぐもぐ

唯「ひょ、ひょっとして、それはあのキャラメル味のぽっぷこーん!?」

律「そーだけど?」にしし

唯「あ……」ごくり

律「あー、おいしーなー! 映画館っていったらコレだよなー、コレにつきるよなー?」ひょいっもぐもぐ

唯「おぉぉ、ちょ……ちょっとだけ」じゅるり

律「はーいストップ! いい匂いだろ? んっ? 
  でーもでも世の中キビシー、そんな顔したってあげまっせーん!」いしし

唯「あぁ~う~、りったんがぁ~」じたばた

律「いい子にするか?」

唯「っ! します、します! 絶対にしますっ!」

律「じゃあそんな唯ちゃんには今回、 特 別 に十個だけあげまし」

唯「はむっはむっ」もふもふもふ

律「だぁー! おいー! 食いすぎだって! も、……もうやめてくれ!」

唯「ん!」

律「どーした! つまったか? コーラなのかっ?」


唯「ふぇいがはひまふよっ!」ふがふが

律「はーいはい、わかったから口の中を空っぽにしてから喋ろうなー」


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最終更新:2010年10月29日 23:47