――外
純「ねえ、梓」
梓「なに?」
純「唯先輩ってほんとに平沢家当主の娘?」
梓「え、そうだけど……なんで?」
純「いや、なんか全然偉い人って感じしないなーって」
梓「ああー、たしかに」
純「なんていうか……天然って言うの?」
梓「うんうん」
純「さっき妹の方は凄いって言ってたけど」
梓「ああー、憂は凄いよ」
純「そうか……唯先輩よりすごいのか……」
純(ということは……すごい天然ってことか……)
純「いやー、はやく会ってみたいね!」
梓「そんなに会いたいの?」
純「うん!」
梓「ふーん」
純「あ、私こっちだから」
梓「あ、うん」
純「ばいばーい」
梓「うん、またね」
――うどん屋
律「みんな帰ったらすごい静かになったな」
澪「そうだな」
律「そういえばムギ」
紬「な、なあに?」
律「今日はどうしたんだ?急に」
紬「うん……ちょっと……」
律「?」
紬「あの……お願いがあるんだけど……」
澪「なんだ?」
紬「今日だけでなく、しばらく泊めてもらえないかしら……」
律「え?」
紬「やっぱり迷惑よね……」
律「いや、泊まるのはいいんだけど……」
澪「ムギ、どうしたんだ?」
律「なにかあったのか?」
紬「実は……」
律「……」
澪「……」
紬「私、家出したの!」
律「ええ!?」
澪「家出!?」
紬「うん……」
律「どうしてだ?」
紬「……」
律「……」
澪「……」
紬「その……」
律「わかった」
紬「え?」
律「理由は聞かないでおくよ」
紬「ごめんなさい……」
律「まあ、遠慮するなって!」
澪「そうだぞ」
紬「ありがとう……」
律「この話は終わり!」
律「夜ごはんにしよう!」
紬「うん!」
――平沢城
唯「ほえ~」プシュー
憂「どうしたの?お姉ちゃん」
唯「お母さんに凄い叱られた……」グデー
憂「ああ……」
唯「もう勝手に外出はしないよ……」
憂「そうだね」
唯「はあ~……」
唯「ねえうい~」
憂「なあに?」
唯「氷菓子~」
憂「ご飯食べてからっ」
唯「けち~」
憂「めっ」グッ
唯「あとねー、明日りっちゃんち泊まりたいんだけど、お母さんとか許してくれるかな?」
憂「うーん……聞いてみたら?」
唯「そうだね~」
唯「そう言えばりっちゃんのうどん屋さんの常連さんで、憂に会いたいって言う人がいたよ」
憂「え?私に?」
唯「うん」
憂「どんな人?」
唯「純ちゃんって女の子」
唯「多分憂と同じ年だよ~」
憂「へえ~」
唯「だから今度憂も一緒にいこうよ」
憂「うん!」
唯「やったー!」
――うどん屋
律「ある男の人が夜道を一人で歩いてたんだ」
紬「……」ワクワク
澪「……」ドキドキ
律「それでな……真っ暗な道に女の人が立っているのをみつけるんだ……」
律「男の人は後ろから声をかけた……『こんな夜中にどうしたんですか?』って……」
紬「……」ゴクリ
澪「な、なあ律……やっぱり怪談なんて……」ドキドキ
紬「静かに!」
澪「うう……」
律「女の人は答えない……男の人は回りこんで女の人の顔を覗きこんだんだ」
紬「……」ドキドキ
律「そしたらな……その女の人は……」
澪「ひいっ……」
紬「……」ドキドキ
律「のっぺらぼうだったのだー!」クワッ
紬「きゃー!」
澪「わあああああ!」ドカン
律「男の人は悲鳴を上げて逃げる!」
紬「そ、それでそれで!?」ワクワク
澪「もうやめてよう……」ブルブル
律「逃げながら後ろを振り返ってみると……なんと顔のない頭だけが追いかけてくるではないかー!」
澪「きゃああああ!」
律「その女はのっぺらぼうのろくろ首だったのだ!」
紬「男の人はどうなったの!?」
律「男のどうなってしまったかは……誰にもわからない……」
紬「す、すごいわ~……」
律「おーい、みおー」ユサユサ
澪「お星様いっぱい……はは……」グラグラ
律「ああ……当分帰ってこないな」
紬「もっと聴きたいわ!」
律「あー、でも澪がこんな調子だからなー……」
律「みおー」
澪「……」
律「澪?」
澪「zzz……」
律「あ、寝ちゃってる」
紬「澪ちゃん寝ちゃったの?」
律「うん」
律「はあ~、私達も寝るか」
紬「もう寝ちゃうの?」
律「明日はうどん屋休みじゃないからな」
紬「そうね……もっとお話ししたかったわ」
律「よいしょっと」バサ
紬「ねえ、りっちゃん」
律「んー?」
紬「明日、私もうどん屋さん手伝っていいかしら?」
律「お、手伝ってくれるのか?」
紬「うん!是非やりたいわ!」
律「じゃあ明日に備えて寝よう!」
紬「はーい!」
――翌日
律「う……」
律「……」
律「朝か……」
紬「おはよう、りっちゃん」
律「お、もう起きてたのか」
紬「うん」
澪「zzz」
律「みおー、朝だぞー」ユサユサ
澪「うーん……はっ!?」ガバッ
律「うお!?」
澪「……」
律「お、おはよう」
澪「私……いつの間に寝てたんだ……?」
律「どこか遠くに行ったと思ったら寝てたよ」
澪「え?」
律「なんでもないよ」
澪「そうか」
紬「ところで今日はどんな手伝いをすればいいのかしら?」
律「そうだなー、やっぱり注文取ったり運んだりかな?」
紬「わかったわ」
澪「どうしたんだ?」
律「今日はムギも手伝ってくれるんだ」
澪「へー」
紬「でもちゃんとできるか心配だわ……」
律「大丈夫だよ」
律「唯でも出来てたからな」
澪「ははっ」
紬「私頑張る!」
――――
客1「ごめんよ~」
澪「お、お客さんきた」
律「ムギ行け!」
律「練習の通りやれば大丈夫だ」
紬「う、うん」ドキドキ
紬「い、いらっしゃいませ~」
客1「おや、新人さん?」
紬「今日はお手伝いなんです~」
客1「そうかそうか」
紬「御注文は?」
客1「えーと……じゃあこの特製りっちゃんうどんを一つ」
紬「かしこまりました~」
客1「よろしく」
紬「りっちゃん、私ちゃんとできてた?」
律「ああ、完璧だ!」
紬「本当!?」
澪「本当だよ」
紬「よーし!」
――――
紬「おまたせしましたー」
客2「お、ありがとう」
律「ムギだいぶ慣れてきたな」
澪「うん、なんか楽しそう」
客3「お水ちょうだーい」
紬「はいはーい」
律「でもみんなムギの正体には気づかないもんなんだな」
澪「う~ん」
澪「今まで露出が無かったから、名前は知っていても姿は知られてないんじゃないのか?」
律「それもそっかー」
澪「でも接客してるのが殿様の娘だなんて分かったらみんな驚くだろうな」
客4「うどんまだー?」
律「あー、もう少しです!」
紬「いらっしゃいませ~」
最終更新:2010年10月30日 21:42