第一話

平沢唯の法則!

キンコーンカーンコーン

律「さぁて…今日もお勤めごくろうさんっと…そんじゃあ部活に行きますか!」

唯「あっ、りっちゃんごめーん!私、今日もダメなんだー…」

律「なんだ今日もかよー?用事があるなら仕方ないにしても最近ちょっと休みがちだぞー!」

唯「ホントにごめんねー…明日!明日は絶対に行くから!それじゃあまた明日ね!」

~~~~~~~~~

律「…ってわけで最近の唯はなんかおかしいと思うんだ」

澪&紬&梓「はぁ」

澪「まぁ唯にだって色々と事情があるんだろ」

律「にしてもだぜ?あの唯が一週間もムギのお菓子を食べに来ないんだぜ?おかしいと思うのが普通だろ?」

梓「部活動として「練習」じゃなくて「お菓子」って単語が出てくることも相当おかしなことだと思いますが…」

律「なにそれダジャレ?」

梓「違うです!っていうか最初に言ったのは律先輩です!」

紬「おかしいとは思わないけど確かに気になるわよね~。唯ちゃん今日も急いで帰ってたし」

律「…こりゃ男でも出来たか?」

梓「にゃっ!?」

梓「そ、そんな!唯先輩に限ってそんなこと…!!」

律「いや~年頃の女子高生がギターや部活よりも優先することと言ったら男しか無いだろ~!」

梓「う、うぅ~!!」

澪「おい、あんまり梓をいじめるな…でも、その線は否定出来ないな…」

梓「澪先輩まで!?」

紬「ふふっ。唯ちゃんたら恋する乙女ね~」

梓「~!!!」

律「こりゃ満場一致で男だな。そのうち唯から紹介されたり…」

梓「…しましょう」

澪「…えっ?」

梓「唯先輩のことを尾行しましょう!!」

澪「ええっ!?尾行!?」

律「なんだよ梓。そんなに唯の男が気に食わないのか?」

梓「まだ男と決まったわけじゃないです!!」

紬「まだ見ぬ唯ちゃんの恋人に嫉妬してムキになっちゃう梓ちゃん…いいわね~///」

梓「だ~か~ら~!!」ムキー

澪「でも尾行って言っても唯が今どこにいるかは…」

梓「今日は練習します!尾行は明日です!!」

律「いや別に明日も唯が来ないとは限らんぜ?」

梓「来なかったら尾行します!ゆ、唯先輩が何をしてるかとじゃなく、このままじゃ練習にならないから見つけ出して渇をいれてやるんです!」

律「唯先輩!私という可愛い後輩がありながら~!!もぅ~!!」ブリブリ

梓「そんなんじゃありませんです!」ウガー

紬「あっ、鼻血が…」タラー



よくじつ!

唯「りっちゃんごめん!ホントにごめん!」

~~~~~~~~~

律「ってわけで唯が今日も男のもとへと駆け出して行ったので梓の希望により今日は部活動は唯を尾行する活動に変わりました!」

梓「男じゃないもん!」

澪「おい…あんまり大声出すなよ…気づかれるだろ…」シーッ

律「案外ノリノリだな、お前」

紬「私でみんなで友達を尾行するのが夢だったの~」

律「あまり褒められた夢じゃねーな」

律「しかし唯のやつどこまで行くんだ?この先は自然公園しか…」

澪「自然公園で手を繋いでお散歩…良いなぁ」

律「右手にはキミの手 左手にはお気に入りのうさちゃん…ってか?」

澪「律、それ凄く良い!次の歌詞に組み込むよ!」

律「えっ、マジで」

梓「二人とも真面目にやってください!」

律&澪「シーッ」

梓「うぐっ…」

紬「あっ!自然公園の中に入って行ったわ!」



しぜんこうえん!

唯「……」キョロキョロ

澪「…誰かを待ってるみたいだな」

梓「女友達かもしれません!」

律「お前も強情だなぁ梓」

紬「女友達ならそれはそれで…///」

律「あっ!唯が誰かを見つけたみたいだ!待ち合わせの相手か!?」

唯「……!」

中年男「……!」

律&澪&紬&梓「」

澪「え、援助こうさ…」

律「み、澪!それ以上は言うな!」

紬「そ、そうよ!おおおお父様かもしれないじゃない!」

澪「でも、それなら憂ちゃんも一緒なのが普通じゃ…」

律「ふ、複雑な事情が!…あるんじゃないかなぁ…なぁ梓?」

梓「」

律「返事が無い…ただのあずにゃんのようだ…」

澪「や、やっぱり援助…なのかな!?止めた方が良いかな!?」アセアセ

律「い、いや待て!繁華街ならともかくここは自然公園だ!!まだその線じゃない可能性も高い!!」

梓「…はっ!?」

梓「そ、そうです!まだわかりません!ぎ、ギリギリまでは尾行を…」

澪「あっ、我に帰ってきた…」

律「そうだな…まだわかんねぇな…あのオヤジ…変な動きを見せたらぶっ飛ばしてやる!」

澪「ぼ、暴力はよくないと…思うな…」

紬「……」

紬「(この自然公園…こんなに緑が多かったかしら?)」

唯「……!」テクテク

中年男「……!」テクテク

律「あっ!移動するみたいだぞ!」

澪「こ、この先の茂みで…」アワアワ

梓「澪せんぱーい!!」ムキー

紬「シッ!静かに…!尾行を続けましょ…」

紬「(…あのおじ様…それほど悪い人には見えないけど一体二人で何を…?)」

唯「……!」ガサッ

中年男「……!」ガサッ

梓「!?」

澪「ほほほほんとに茂みの中にっ!?」アワアワ

律「おいおい!?唯の奴マジで…」

紬「……」

梓「ゆ…ゆ…」

梓「唯せんぱーい!!!」ダッ…!

律「あっ!バカ!梓っ…!」

梓「唯先輩!!」ガサッ!

梓「……!?」

唯「えいっ!」パァッ…!バサッ!

中年男「おぉ。お嬢ちゃんの手品はホントに凄いねぇ」

唯「手品じゃなくてゴミを木に変える力!えーと…そう!ちょーのうりょくだよ!」

中年男「お嬢ちゃんの手品のおかけでこの自然公園が綺麗になったどころか緑も増えて…ホントに感謝してるよ」

唯「だから手品じゃなくてぇ!……まっ、いっか!」

梓「な、なにいまの…?」

梓「(唯先輩の手の中が光って木が生まれた…!?)」

律「…おい、今の見たか?」

澪「う、うん…」

紬「(あの力は一体…?手品…?いえ、そんな単純なものじゃ…)」

律&澪&紬「……」

律「そ、それにしてもさ!澪が思ってたようないかがわしいことが無くて良かったな!」アセアセ

澪「い、いかがわしいって!?だ、誰もそんなこと…でも良かった…」

紬「そうね…少し会話が聞こえたけど察するにあのおじ様は公園の管理者さんだったのね…」

梓「……」

律「ん?どうした梓?また固まって…」

梓「なんですか今の!?おかしいです!」

澪「こ、こら!声が…」

梓「手の中から木!?あり得ないです!人間が出来る技じゃないですよ!?」

紬「そうね…確かに普通の人間に出来るような技じゃない…何か特別な力が…」

梓「特別な力ってなんです!?そんなのぶさけてます!非科学的です!」

律「お、おい…梓…信じられないのはわかるけど何をそんなヒステリーに…」

梓「……」

梓「…だって」

梓「最近部活には全然顔出さないで何をしてるかと思えば…」

梓「得体の知らない力で木を生み出して…」

梓「…唯先輩のことがわからない」

梓「唯先輩がなんだがいきなり遠い存在に…なっちゃった気がするよぅ…」エグエグ…

律&澪&紬「……」

律「…まぁ確かに私も驚いちゃったけどさ」

唯「よぉし!ここらへんのゴミもすっかり無くなったね!」

中年男「お嬢ちゃんのおかけだよ。ホントありがとねぇ」

律「アイツの力で公園が綺麗になって緑が増えている…それは悪いことじゃないだろ?」

梓「ひっく…でも…」

澪「…そうだな。得体の知らない力…って言ったらちょっと怖いけど唯が侵略者とかそんな風には見えないし…」

紬「そうよ梓ちゃん。いくら唯ちゃんに凄い力があっても唯ちゃんは私たちけいおん部の仲間よ。唯ちゃんだってそう思ってくれてるはず。どこか遠い存在になんかなったりしないわ」

梓「…うぅっ」

梓「でも…でもっ…!私はっ…!!」ダッ…!

澪「あっ、おい梓!危なっ…」

梓「…きゃっ!?」ドンッ!

不良「あぁ?いってーな…」

律「…やっちまった…」

梓「あっ…ご、ごめんなさ…」

不良「あーいってぇ!こりゃ折れちまったかなぁ?…慰謝料払えよ?」

梓「ええっ!?そ、そんな…」

律「今どきヤンキーかよ…くそっ!」ダッ…!

紬「あっ、りっちゃん!」

不良「ほら、あるだけで良いから金出せよ?」

梓「あ…あ…」ガクガク

律「おいおい!今どきカツアゲなんて流行らないんじゃないの?」

不良「あぁ?なんだお前?」

梓「り、律先輩…」

律「ぶつかったのはコイツの不注意だけどさ…何もそこまですることねぇじゃん?謝ってんだしさ」

澪「り、律…なんて命知らずな…」アワアワ

紬「でも、りっちゃん素敵…///」

澪「ほ、惚れてる場合か!?」

唯「…ん?」

不良「見てたんなら聞こえなかったか?俺はコイツにぶつかってこられて骨折したの!その分の慰謝料を請求してるだけだっての!」

律「ちっ…話が通じねぇな。こんな小さい女の子がぶつかったぐらいで簡単に骨が折れるわけねぇだろうが!」

不良「ああ!?なんだいきなり出てきたと思ったらケンカ売りに来たのかねえちゃんよ!?」

律「あっ…ヤベっ…つい口が…」

澪「おおお、おい!これは絶対ヤバいって!?」

紬「確かにマズいわ…でも斎藤を呼んでいる時間は…」

不良「上等だよ!慰謝料はお前をぶっ飛ばしてからだ!いくぞコラァ!」ブンッ…!

律「…くっ!」

澪&紬&梓「きゃあああああ!?」

唯「!!」


ドコォ!!!

「がはっ!?」

澪&紬&梓「ひっ!?」サッ

澪&紬&梓「……」

澪&紬&梓「……えっ!?」

律「……」ポカーン

不良「」ピクピク

律「(木…の幹…?)」

律「(まさか…!!)」チラッ…

唯「私の友達になにすんだぁ!」フンス

律「ゆ、唯っ!」

唯「りっちゃん大丈夫!?」ダッ…

律「あ、あぁ…私は大丈夫だけど…」チラッ

不良「」

律「こっちは大丈夫…か?」

唯「……」

唯「ダメかも!人に向けて使ったのは初めてだし!」フンス

律「開き直ったぁ!?」ガーン

唯「それよりも、あずにゃん達も大丈夫?ケガとかしてなぁい?」

澪「あ…あぁ…」

紬「私と澪ちゃんは何もされてないし…」

唯「そっかぁ良かったぁ!…あずにゃんは?」

梓「あっ…わ、私も…」

唯「良かったぁ!安心だよ!」

梓「(唯…先輩…)」

梓「唯せんぱぁい!」ガバッ…!

唯「わっ!?あずにゃん!?」

梓「唯先輩…唯せんぱぁい…」エグエグ

唯「よしよし。もう怖くないよ」ナデナデ

澪「い、いつも通りの唯だな…」

紬「ええ…とっても優しい私たちが知ってる唯ちゃんね…」

律「そだな…けど……唯!」

唯「ん?どしたの、りっちゃん?」

律「その…あっ!助けてくれてサンキュな!」

唯「ううん!どーいたしたしまして!」

律「(あの力のことについて聞こうと思ったけど…)」

律「(そんなの別にどうだって良いよな?ヤンキーを木でぶん殴ったのは驚いたけど悪い力では無いみたいだし…)」

律「(それに唯は私たちの知ってる唯のままだしな!なんかあったら唯の方から話してくれるだろうよ!)」

唯「あっ、りっちゃん!私、明日は部活は行けるかも!」

律「お?そうか!久々に五人で合わせられるなぁ!」

澪「(律のやつ…力のことについて聞かないのか…まぁ確かに唯の方からそのうち話してもらうのが筋って奴か)」

紬「(素敵な力だけど一歩間違えたら人に危害も加える危険な力になるのね…でもこの力の所持者が唯ちゃんなら安心ね…)」

梓「……」グスグス

梓「(…唯先輩は私の知ってる唯先輩のままだった…ちょっと怒った時はビックリしたけど…何も変わってなかった…良かった…)」




さわ子「あちゃー…唯ちゃんたら一般人に力を使っちゃったのね…」

さわ子「まぁあの場面なら人として合格ね!」

さわ子「けど決まりは決まりなのよねぇ…教師としては心苦しいけどちょっと罰を受けてもらうわよ!」



第1話終了です!



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最終更新:2010年10月31日 22:23