紬「不思議な薬を手に入れたの!」

唯「なになに?どんな薬?」

紬「この薬を飲むと、若返るらしいの~!」

澪「らしい…って。確証はないのか?」

紬「うん!だから試してみようと思って~!」

梓「試す…?ま、まさか私たちのお茶に!?」

紬「ううん、みんなのお茶には入ってないわ。りつちゃんのお茶に入れるつもりよ!」

澪「何で律に…?」

紬「りっちゃんが一番可愛いから!」

唯「なるほど!」

ガチャッ

律「おーっす!遅くなりました~ん!」

紬「いらっしゃい!今、お茶を淹れるわね~」

コポコポコポ

サラサラサラ

紬「はい、どうぞ~♪」

律「おっ、サンキューむぎー!」

梓「(あのお茶の中に例の薬が…)」

唯「(ちびっこりっちゃん、かあいいんだろうな~♪)」

澪「(どうしよう…止めるべき…だよな…?)」

律「いっただっきま~す!」くぴっ

澪「あっ!」

律「ん…?なんか今日のお茶、苦くないか?」

紬「ふふっ、今日はね、特製のお茶だから~♪」

律「特製、ねえ………!?あっ!?」ドクン!

紬「始まったわ…!」

律「あっ…!ああ、あうっ!?はぁっ…!か、身体が…熱いぃっ…!」

澪「律!!」

紬「大丈夫よ澪ちゃん、心配しないで」

澪「な、何でそんなことが言えるんだよ!?毒じゃないって保証もないんだろ!?」

唯「澪ちゃん…友達を、仲間を信じようよ」

澪「唯…」

梓「そうですよ澪先輩。むぎ先輩の言葉に間違いはないです!」

澪「梓…うん、そうだな…わかったよ。私はむぎを信じる!」

紬「…みんな、ありがとう…!」

律「くあああああっ!!」

律「ひっ!?ひあっ!んんんんんんっ!!くうっ!!」

唯「あっ!りっちゃんの身体から湯気が出てるよ!!」

梓「すごい熱さです…」

唯「水かけてみようか」

澪「何でだよ!?」

紬「み、見て!みんな!」

律「ああああああああああああああ!!」

シュウウウウウウウウウウウウ

律「あっ!…っくあっ!!うああああああああああああああああ!!」

唯澪紬梓「!!!!」

律「あ、あうっ…はあ…なんなんだよ、これ…?」

律「おいむぎ!おまえ、わたしにいったいなにのませたんだよ!?」

梓「む、むぎ先輩…これって…」

紬「大・成・功!!」

唯「はう~!ちびっこりっちゃんかあいいよぉ~!」

澪「しょ、小2の夏休みの律だ…すごい…!」

律「はぁ!?おまえらなにいって…」こてん

律「う、うごきづらい…。あれ!?せいふくがでかい!?なんでだ!?」

紬「はわわ~」

律「あれ!?なんだこれ!?なんでおまえらそんなにでかいんだ!?」

梓「絵に描いたようなお決まりのリアクションですね…」

澪「私たちが大きいんじゃなくて、お前が小さくなったんだ」

律「はあ!?いみわかんねえ!!いみわかんねえぞ!!」

紬「もう、しょうがないわねえ…梓ちゃん、鏡貸してくれる?」

梓「あ、はい……はい、むぎ先輩」

紬「ありがとう。さありっちゃん、今の自分の姿をばとくと見やしゃんせ!」

律「…!?わあっ!?な、なんで!?なんでコドモだ!?なんでだ!?なんでだ!?」

澪「…やばい超かわいい」

唯「むぎちゃんのマジックポーションのおかげだよ!」

律「はあ!?なんだそりゃ!?」

梓「某探偵コナンの第一巻を思い出せばすんなり飲み込めるです」

律「……あぁ、あれか…なるほどな」

梓「納得いただけましたか」

律「うん!……ってなっとくできるかあ!!」

梓「ですよねー」

律「ふざけんなよ!むぎ!なんでこんなことするんだよ!?」

紬「りっちゃんが可愛いから~♪」

律「そ…れはりゆうになってない!なってないんだからな!」

梓「だぼだぼの制服着て両手ぶんぶん振り回してる…やっべ」

律「うう…もどせよぉ…もとのすがたにもどしてよぉ…ふえぇ」ぐすっ

梓「キュン!」

唯「キュキュン!」

澪「キュキュキュン!」

紬「フガーッ!」

律「ふぇーん!ふえーん!」

梓「どどどどうしましょう、泣いちゃったです」

唯「と、とりあえずお菓子をあげたらどうかな?」

紬「ほらほらりっちゃ~ん、今日のおやつはエッグタルトよ~♪はい、あーん!」

律「あーん…」もぐもぐ

律「ふえーん!パサパサしてたべづらいよ~!」

澪「うおお…」

澪「ほ、ほら律、そんなに泣くなよ…」ふきふき

律「ひぐっ、ひぐっ…みおぉ、ありがとぉ…」スン、スン

澪「はわわわわ」キュン!

梓「で、どうするんですか、これから…」

唯「とりあえず和ちゃん呼んでくる!」

梓「何で!?」

唯「和ちゃんにも見せてあげたい!」

律「やめろよぉ…!」

唯「は、はい…ごめんねりっちゃん」キュン!

律「むぎ…たのむから、もとにもどしてください。おねがいします…」ぐすん

紬「うーん…どうすれば元に戻せるのかしら~?」

律「えーっ!?」

梓「戻す方法、わからないんですか!?」

紬「私がもらったのはあの薬だけだもの」

律「だ、だれにもらったんだよ!?」

さわ子「私だ」

梓「お前だったのか」

澪「どういうことなんですか先生!?なぜこんな薬を!?」

さわ子「だって若返りの薬ってのが本当だったら素晴らしいじゃない?でも本物だって確証はないし…」

唯「つまり教え子を人体実験に使ったわけだね!」

さわ子「その通り!そしてその効果は実証されたわ!さあむぎちゃん、お薬の残りを返して!」

紬「全部りっちゃんのお茶に入れちゃいました~♪」

さわ子「何ですって…!?」

さわ子「終わった…何もかもが…!」

律「えーん!ふえーん!」

梓「…先生はあの薬をどこで手に入れたんです!?製造元に交渉すれば…」

さわ子「あれは私の実家の蔵から出てきたの…製造は天保年間だそうよ…」

梓「そんな…!」

澪「…というかそんなものを教え子に飲ませるなよ…!」

さわ子「ええい!もはや致し方なし!こうなったら…!」

澪「!?な、何をする気ですか!?」

さわ子「せめてロりっちゃんを思うままはぐはぐしてやるわぁっ!!」

律「ひいっ!?」

唯「あっ!さわちゃんずるい!私もはぐはぐしたいよー!」

紬「私だって!」

梓「じゃあその次は私です!」

澪「じゃ、じゃあ…私も…」

律「たすけてぇー!」

さわ子「待ちなさい!大人しくはぐはぐされるのよぉっ!!」

律「たすけて!たすけてぇ!みおたすけてぇ!」じたばた

澪「律!…い、今は大人しくはぐはぐされておいたほうがいいんじゃないかな…?」

律「そんなあ…はうっ!」

さわ子「やぁーん!ちっちゃくてやわらかくってかーわーいーいー!!」ぎゅっ

律「はなせ!はなして!さわちゃんおねがい!」

さわ子「だーめ!きゃーん!お肌もすべすべだわ~」すりすり

唯「わくわく!わくわく!」

紬「わくわく!わくわく!」

梓「みんな刹那的だなあ…まあいいけど」

澪「わくわく!!わくわく!!」

数分後

唯「はあ~、まんぞくまんぞく」

紬「絶妙の抱き心地だったわ~♪」

梓「まさか律先輩で萌える日が来るとは思いませんでしたよ~」

澪「う、うん!まあ…なかなかだったな!」

律「もうどうにでもするがいい…」くてっ

さわ子「ふう…で、これからどうするの?このままじゃ色々と問題じゃない?」

澪「確かに…元の姿に戻る方法を探さないと…」

唯「え~!?ロりっちゃんのままでいいじゃ~ん!」

律「よくないわ!」

紬「でも10年くらい待てば自然に元に戻るんじゃない?」

梓「それは単に成長といいますけどね」

律「おねがいだよぉ~、わたしはもとにもどりたいんだよぉ」

さわ子「しょうがないわね…実家に連絡して元に戻る方法探してもらうわ」

紬「私も何か探してみるね!」

唯「まあ元に戻すにしても…そんなすぐには戻らないよね。その間、りっちゃんはどうするの?」

梓「確かに…お家のかたも心配するでしょうし…」

さわ子「問題はそこね。学校のほうは私が何とかできるけど…」

さわ子「うん、とりあえず、私が直接ご両親にお話ししてくるわ」

律「だいじょうぶなの…?」

さわ子「任せなさい!可愛い教え子のためだもの、全力を尽くすわよ!」

梓「元はといえば先生が発端ですしね」

さわ子「あら、もうこんな時間なのね。そろそろみんな帰らないと」

梓「結局今日も部活にはなりませんでした」

唯「後悔してるの?」

梓「これっぽっちも!」

唯「ならばよし!」

澪「…で、律はどうするんだ?」

律「そ、そうだよ!わたしはどこへいけばいいの!?」

さわ子「お家には帰らないほうがいいから…そうね、私の家にいらっしゃいな」

紬「駄目よ!りっちゃんの貞操が危険だわ!」

梓「…確かにそうですね」

さわ子「そんなあ~」

唯「はいっ!だったらりっちゃんは私がお持ち帰りします!」

澪「いや、ここは幼馴染の私が…」

梓「先輩がたにお手間は取らせません!このお役目は下っ端の私にお任せを!」

紬「りっちゃんモテモテね~♪」

紬「みんな!色々思うところはあるのだろうけど…りっちゃんは私の家に来てもらうほうがいいと思うのだけど」

澪「いや、ここは全員で話し合って誰が律を連れて…」

紬「そういうことじゃないの。私はりっちゃんのことを考えて言ってるのよ?」

律「わたしの…ため?」

紬「ええ。私の家にはお抱えの科学研究チームがあるの。そこに頼んでりっちゃんを元に戻す方法を探すのよ」

梓「さすが琴吹家…」

紬「そのためには、りっちゃんが家に来てくれるほうが都合がいい。当然のことよ」

澪「た…確かにそうだ…」

紬「それにね…りっちゃんがこうなってしまったのは…私のせいだから」

唯「むぎちゃん…」

紬「だから、私はりっちゃんのために、できるだけ力になりたいの!」

律「…むぎ」

紬「え?」

律「おいしいばんごはんをたのむぜ!」

紬「!…うん!任せて!」ニヤリ

唯「じゃあ…りっちゃんはむぎちゃんがお持ち帰り、と。いいなあ…」

律「おまえんちにはういちゃんがいるだろ!かわいがってあげなさい!」

唯「………」ニヤリ

梓「律先輩、服はどうするんですか?だぼだぼの制服のままむぎ先輩の家まで行くんですか?」

律「あ…どうしよう…」

澪「先生が作った服の上だけ着てくとかどうだ?ワンピースみたいにして」

唯「あ、それいいね!きっとかわいいよ!」

澪「かわいいかどうかは問題ではないんだが…一応」

ガラガラガラ

唯「どれが一番かわいいかな~?」

律「だからかわいいかどうかはもんだいじゃないんだってば!」

さわ子「着せるなら梓ちゃんのがいいわよ。一番近いはずだから」

梓「…なんかそれ軽くヘコむんですけど」

紬「じゃあ…これなんかどう?学園祭の時の…」

唯「お~、いいじゃん!りっちゃん着て着て~♪」

律「う、うん…」ごそごそ

梓「(あっ!おっぱい見えた!)」

律「こんなかんじだけど…どう?」

紬「…」キュン!

唯「つ、つぎはこれ!ここここれを着なさい!」

澪「そ、その前にこれ!これのほうがきっとかわいい!」

律「だから、かわいいかどうかはどうでも…」

梓「さわ子先生がどんどん服を作る気持ちが少しだけわかりました」

さわ子「でしょう?」

律「はい!もうよし!もうこれでけってい!」

唯「えー?もっといろいろ着せたいのに~!」

律「しゅだんともくてきをはきちがえるな!」

唯「おうっ?ちびっこのくせに生意気な口をきくもんですなあ」

律「むう~!」

梓「怒った顔がまた可愛いですね」

律「なかのぉ!」

さわ子「さ、もう帰りなさい?後のことは私とむぎちゃんに任せればいいから」

澪「…本当に大丈夫ですか、先生?」

さわ子「問題なし!さ、帰った帰った!」

唯「じゃあ、さわちゃんさよなら~」

梓「さようなら」

澪「失礼します」

紬「先生、さようなら~。さあ、りっちゃん帰りましょう?」

さわ子「あ、りっちゃん!ちょっと待って!」

律「へ?」

さわ子「おりゃ~!」はぐはぐ

律「ひゃあっ!?」

さわ子「はあ…この感触…素敵!」すりすり

律「や、やめてよぉ!」

さわ子「も…もう少しだけ…」ぎゅぎゅっ

唯「あっ!さわちゃんだけずるい!私も!」

梓「じゃあ私はその次です」

澪「じゃ、じゃあ…私も」

律「またかよぉ~!」

律「はあ…どうしてわたしだけこんなめに…」

唯「うつくしーさはーつみー♪」

紬「まあまあ…ほらりっちゃん、元気を出して?ね?」

梓「そうですよ!無理矢理にでもテンション上げてかないとです!」

律「う、うん…」

紬「じゃあ、私たち、こっちだから」

澪「あ、そうか…むぎ、律をよろしくな」

唯「お姉ちゃんの言うことはちゃんと聞くんだよ~?」

梓「お疲れ様でした!」

紬「みんな、また明日ね~!」

律「またな~」

紬「さて、と…ねえ、りっちゃん?」

律「ん?」

紬「手、つなごっか?」

律「…え?」


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最終更新:2010年11月06日 03:25