放課後・軽音部部室 収納庫
澪「この辺は唯か?全く、溜め込むなって言ってるのに」
紬「澪ちゃん、どうかした?」
澪「見てくれよ、これ。あっという間に、物で埋まりだした」
紬「唯ちゃん、可愛い物を集めるのが好きだから♪」
澪「それは良いけど、程度問題だろ。これをこうして、これをこっちに持って来てと」
律「ムギー、お茶淹れてくれー。って、なにやってんだ?」
澪「片付けだよ。律、お前も自分の分はちゃんと持って帰れよ」
律「ああ、分かった」 きゅっ
澪「どうして私の手を取る」
律「いや。私の物だから」
澪「馬鹿言ってないで、全部持って帰れよ」
律「わーった、わーった。ムギ、お茶頼むなー」 すたすた
澪「全く」 くすっ
紬「お待たせー♪」 こぽこぽー
唯「ありがとー。あれ、澪ちゃんは?」
紬「収納庫を片付けてるわよ。ちょっと荷物が溜まってきてるから」
唯「困った人もいるんだねー」 ずずー
澪「お前の荷物が一番多いんだ」 ぐいぐい
唯「ひぃーっ」
律「やれやれだぜ」
澪「お前もだ」 ぐりぐり
梓「済みません、遅れました」
澪「梓の私物は殆ど無いな」
梓「え、何の話ですか?」
紬「収納庫。また、物が溜まってきてるの」
梓「どうせ、唯先輩と律先輩の私物ばかりなんでしょう」
唯「だってここは、私の部屋みたいな物だからね」
律「そうそう。だから、つい甘えちゃうんだよな」
唯「だよねー」
梓(それって、私が部室に思い入れが無いって事なのかな) たらー
澪「とにかく今日は、収納庫の整理。それと、部室の掃除」
唯「えーと、ギー太のチューニングをと」
律「ちょっとペダルの調子を見てみるかな」
唯「面倒だよ。掃除は本当に面倒なんだよ。澪ちゃんは最後までそれをやり抜く覚悟があるって、私に誓える?」
澪「怖いから、真顔で言うな。そんなの当たり前だろ」
紬「私、掃除道具を借りてくるわね」
唯「和ちゃんの所なら、私もー」
澪「分かった。こっちは整理を始めてるからな」
生徒会室
和「持って行く道具の名前と数を、用紙に書いておいてね。消耗品は、そのまま持って行って構わないわ」
紬「分かったわ。……これで良い?」
和「ええ。唯、ちゃんと掃除するのよ」
唯「もう、和ちゃんまで。私はやれば出来る子なんです」
和「自分で言わないでよね」 くすっ
唯「えへへ。澪ちゃん達が先に始めてるから、本当に大丈夫だよ」
和「だったら平気か。紬も、唯の事よろしくね」
紬「ええ、任せて♪」
軽音部部室 ドアの前
紬「ただ今戻りましたー・・・。あれ?」
唯「入れないね」
紬「これは棚かしら。・・・よいしょ」 ひょい
唯「おおっ」
律「我々は助かったぞー」
梓「律先輩、大げさです」 ひょっこり
唯「あずにゃん?何してたの?」
梓「それが、その。えーと」
澪「・・・」
紬「結構広がってるわね」
唯「荷物が溢れ出てるね」
澪「・・・」 びくっ
律(しー。澪がまずは収納庫の荷物を全部出せって言い出してさ。そうしたら、部室中が荷物で溢れかえった」
紬(それで落ち込んでるって訳。棚は?」
梓(右に同じです。棚の後ろも掃除しようって事になって運んだんですけど、ドアの前で力尽きました)
紬(そうだったのー)
唯「・・・」 とたとた
唯「澪ちゃん、澪ちゃん」 ぽんぽん
澪「や、やあ。唯」 びくっ
唯「大変な事になっちゃったね」
澪「ああ。威勢の良い事を言っておいて、この様だ。さっきは済まな・・・」
唯「もう大丈夫だよ」 撫で撫で
澪「え?」
唯「ムギちゃんも戻ってきたからね。私達が力を合わせれば、出来ない事なんて何も無いよ」 にこっ
澪「・・・うん。ありがとう、唯」 にこっ
唯「てへへ。じゃ、力を合わせて頑張ろーっ」
澪「おー」
梓「これ、唯先輩のです」
紬「これは、唯ちゃんのね」
律「これ、唯のだな」
唯「う、うう」
澪「まあまあ。唯、それは私が片付けてやるよ」
唯「ありがとー。澪ちゃんありがとー」
澪「もう、そんなにひっつくなよ♪」
梓(無いわー、それは無いわー)
律「この辺は、プリントか。また随分古いのばっかだな」
紬「始業式、遠足、プール開き。なんだか、懐かしくなってくるわね」
律「それは良いけど、もういらないだろ。全部捨てるぞ」
澪「駄目駄目、駄目だ。いつか、このプリントを必要とする時が来るかも知れないだろ」
律「いつなんだよ、それは」
澪「だったら律は、プリントをどうしてるんだ」
律「ふっ。私って女は、もらった端から捨てていくぜ」
梓「言い方を恰好良くしても駄目ですよ」
律「とにかく古いプリントは、全部捨てる事。唯、紐で縛ってくれ」
唯「私、こういうの苦手なんだよね。絶対指を結んじゃうから」
梓「ギターの弦を押さえるみたいに、ささっとやれば良いんですよ」
唯「あずにゃんは良い事言うね」 ささっ、むにっ
梓「・・・まあ、失敗するとは思ってましたけどね」
唯「あーん。あずにゃんがいじめるよー」
澪「よしよし。私が押さえててやるからな」
唯「澪にゃーん♪」
梓(あはは、冗談ばっかり)
唯「大体結べたけど、運ぶ時が大変そうだね」
律「任せとけ。そういう時こそ、ムギの出番だぜ」
澪「お前が威張るな。ムギ、行けそうか?」
紬「全然平気♪」 ひょい
唯「さすがムギちゃん。だったら、私も・・・」 よろよろ
紬「あらあら」 はしっ
唯「ありがとー。やっぱりムギちゃんには敵わないな」
紬「うふふ♪唯ちゃんは、梓ちゃんと一緒に運んでみたら?」
唯「あ、そだね。あずにゃん、一緒に頑張ろ-」
梓「ああ、はい」
紬「うふふ♪」
階段
唯「・・・結構大変だね」
梓「一枚一枚は軽くても、相当な数を束ねてますからね」
唯「私達も紙に負けないように、力を合わせて頑張ろうよ」
梓「なんですか、それ」 くすっ
紬「私、先に戻ってるわねー」 すたすた
唯「ムギちゃん、2往復目だね」
梓「私達って、何なんでしょうね」
唯「紙より軽い存在って事じゃないのかな・・・」
軽音部部室
律「よう、お疲れ様。先に、お茶してるぞ」
唯「・・・」
澪「二人とも、大丈夫か?」
梓「・・・」
紬「はい。今日はラズベリータルトよ♪」
唯・梓「・・・」 がつがつがつ
律「食べるのかよ、おい」
唯「あー、疲れた。・・・これ、アルバム?」
澪「棚の奥から出てきた。ずっと探してたんだよ」
律「やっぱり、掃除をして正解だな」
澪「お前が言うな」
紬「まあまあ。これは、入学したての頃かしら」
律「こっちはムギの別荘に行った時だな」
澪「これは学園祭か。あはは・・・」
梓(先輩達の、1年生の頃の写真か。私はその時いなかったから、会話に入りづらいな) しゅん
唯「あずにゃん、あずにゃん。これ見てよ、澪ちゃんが初々しいよ」
梓「はぁ」
唯「あー、この時は本当に楽しかったなー」
梓「そう、ですか」
唯「でもあずにゃんがいたら、もっと楽しかったと思うよ。何倍も何十倍もね」
梓「・・・唯先輩」
唯「ん?」
梓「写真、もっと見せてもらえますか?」
唯「うん。一緒に見よう♪ほら、これ見て見て」
澪「それは見せるな」
律「・・・あれ、一枚無いな」
澪「無いんじゃ無くて、ほら。あれは、封筒に入れて」
紬「ああ。あれって結局、見つかってないのよね」
唯「私達も、見つけられなくなったけどね」
梓「何がです?」
唯「私達にとって大切な写真が、どこかへ行っちゃったんだよ」
梓「学園祭や新歓ライブの写真ですか」
唯「それも大切だけど、もっともっと大切な写真だよ」
澪「片付けてれば、その内見つかるだろ。さて、また始めるか」
唯「今日はもう良いんじゃ無いの?」
澪「駄目だ。ほら、早く来い」 きゅっ
唯「あーん。引っ張らないでー」
律「澪は姉さん女房だなー。だははー」
梓(え、何々?何が面白いの?私、全然分かんない。あははー)
収納庫
澪「床も掃いたし、棚を戻すか。ムギ、頼む」
紬「了解♪」
唯「私も手伝うよ」
律「しゃーない、私もやるか」
紬「せーので持ち上げるわよ。・・・せーの」 ひょい
唯「おっと、よっと。おお、おおお」 よたよた
律「唯、大丈夫か?」 よたよた
澪「もう、仕方ないな」 さっ
唯「澪ちゃん、ありがとー」
澪「良いから、しっかり運べ」
唯「はーい。よいせ、よいせ」
律「本当、掛け声だけは一人前だな」 よたよた
梓(律先輩を助けるべきなのかな。でもそうすると、ムギ先輩はって話になるし)
紬「よっこらせと。どうにか運び込めたわね」
梓(悩んでる間に終わっちゃったよ。はぁ)
唯「お疲れ様ー」
澪「ああ、お疲れ様」
律「よーし、そろそろお茶にするか」
澪「いい加減にしろ」 ぺた
唯、紬「あははー」
梓(結局私は何もしてないし、全然笑えないな) しゅん
律「梓、棚へスコアを収めてくれ。ああ、その前に拭き掃除も」
梓「あ、はい」
律「それが終わったら、ゴミも捨てといてくれよ」
梓「はい」
律「後は梓に任せて、私達は部室の掃除を始めようぜ」
梓(厳しいな、律先輩。でも今は、その厳しさが嬉しいな)
軽音部部室
梓「片付け、終わりました」
紬「ご苦労様。床は掃き終わったから、後は壁と窓の拭き掃除ね」
唯「・・・あれは?」
紬「どれ?」
唯「天井のあれ。何か、ふらふらしてる」
紬「紐?目地に引っかかってるのかしら。でもあの紐って・・・」
唯「しゃーっ」 ぴょんっ
澪「全然届いてないし。掛け声変だし」
律「蛇か、お前は」
紬「唯ちゃん、可愛いー♪」
梓(価値観は人それぞれだなー) にまー
澪「とはいえ、気付くと気になるな」
唯「しゃーっ」 ぴょん
律「それはもう良いんだ。椅子を使っても、・・・届かないか」
澪「高枝切りばさみは?」
律「どこにあるんだよ、それは」
紬「肩車する?」
梓「いくら何でも、それは」
律「グッドアイディア♪」
梓「・・・どうして私を見るんですか」
唯「あずにゃん、あずにゃん」 すたっ
梓「一応聞きますけど、どうして屈んだんですか?」
唯「なんたって、ゆいあずだからね。それとも、あずにゃんが下になる?」
梓「・・・まあ、色んな意味で乗ってみますよ」 ひょい
唯「よっこらせ」 ぐい
梓「済みません。床が顔に近付いてるんですけど」
唯「奇遇だね。私もそんな感じだよ」
梓「そろそろ突っ込んだ方が良いですか?」
唯「・・・名前を呼んだところで、突っ込んで欲しかったかも」
律「やっぱり下がムギで、上が梓だろ」
梓「結局、逃げられませんか」
律「まあまあ。ムギ、頼むぞ」
紬「任せて♪」 すたっ
梓「・・・では、失礼します」 ひょい
紬「ゆっくり立つわよ」 すーっ
唯「おお。ムギあず誕生っ」
澪「でも梓が上なんだから、あずムギじゃないのか?本名で考えても、あずつむぎ。うん。やっぱり、あずムギだっ」 ぽんっ
律「無限大にどうでも良い台詞だったな」
最終更新:2010年11月08日 02:08