澪「なんで憂ちゃんが謝るんだよ。私の方こそ助かったよ」

憂「いえいえ。雨が降る前に家に入ってもらってよかったです」ニコッ

澪「そうだな・・・土砂降りだな・・・」

憂「今ココア淹れますね」

澪「いや、遠慮しとく」

憂「え?」

澪「帰る」

憂「・・・いいんですか?律さん、来るんじゃないですか?」

澪「だからだよ」

憂「・・・澪さんと律さんの事情はわかりませんけど、でも」

澪「一人で、考える時間が欲しいんだ」

憂「・・・そうですか、わかりました。家に帰るんですか?」

澪「あぁ、律が来たら適当にかわしておいてくれ」

憂「・・・わかりました」

澪「ホント、色々とごめん」

憂「いえ、お姉ちゃんも悪いですし。気にしないでください」


澪「・・・」

憂「・・・」

澪「それじゃ、また明日」スクッ

憂「えぇ、学校で会えたら」ニコッ

澪「あぁ。ありがとう」ガチャ

憂「風邪、引かないようにしてくださいね」

澪「ん。じゃあね」ダッ

ザー・・・ザー・・・

憂「すごい雨・・・」

憂「澪さんって、足速かったんだ。へぇ」

憂「・・・今日は冷えるなー」バタンッ

憂「・・・さってと。晩ご飯でも作ろうかなー」ノビー!


ピンポーン


憂「ん?・・・はーい」ガチャ

律「よっ・・・」ゼェハァ

憂「あれ?律さんどうしたんですか?お姉ちゃんならいませんよ?」

律「そんなことは知ってるよ・・・澪、来てるんだろ?」アハハ

憂「あはは・・・来てましたけど?」

律「えっ・・・」

憂「・・・」ニコニコ

律「え、なんで過去形なんだよ・・・」

憂「そうそう、今日ハンバーグなんですよ、食べてきます?」

律「そんな場合じゃないのわかってるだろ!?」

憂「律さん、気付いてます?」

律「え?」

憂「私が喋ったんですよ、律さんとお姉ちゃんのこと」

律「」

憂「澪さん、知りたがってたから。話す手間が省けたでしょう?」ニコッ

律「いい姉妹だよ、お前らホントに」ハァ・・・

憂「ありがとうございますっ」

律「ったく・・・で、澪はどこに行ったかわかる?」

憂「自分の家に帰るって言ってましたけど、すれ違いませんでした?」

律「気付かなかった・・・」サーッ・・・

憂「あっはっは」

律「憂ちゃんこのやろっ・・・なぁ」

憂「なんですか?」

律「澪の性格だと、行き先は黙っててくれって言ったりとか・・・」

憂「・・・どういうことですか?」

律「もしかして、追いかけて欲しいのかな・・・だからあえて行き先を」

憂「あぁ、口止めされましたよ。私」

律「」

憂「それが何か?」ニコッ

律「いや・・・なんでもない・・・」

憂「早く行ってあげてくださいね」

律「行くよ。澪は来て欲しくないみたいだけど」

憂「何言ってるんですか」

律「何って・・・」

憂「それでも来てくれるって、心のどこかが信じてる筈ですよ」

律「そう、かな・・・」

憂「このまま逃げてても解決しないって、きっと澪さんもわかってると思いますし」

律「ん、だな」

憂「それじゃ、私これからお肉こねこねしないといけないんで」

「え・・・?律・・・?」

律「へっ?」クルッ

憂「和ちゃん!」

和「あんた、人の家の玄関先で何してるの?」

律「今すぐ帰るよ」

和「そ、そうなの?」

律「それじゃ、行ってくる。二人とも!・・・またな!」ダッ

憂「あ、はい。頑張ってください」ヒラヒラ

和「いってらっしゃい?・・・これは、どういうこと?なんで律が?」

憂「あれ?和ちゃん怒ったの?」ニコニコ

和「これくらいで怒るわけ無いでしょ、唯じゃあるまいし」

憂「ちぇー」

和「律って、ことは・・・やっぱり唯絡み?」

憂「ううん、澪さん絡み」

和「へぇ・・・進展あったんだ」

憂「進展っていうか・・・どうだろ、わかんないや」

和「え」


憂「それより、和ちゃんもハンバーグ食べてくでしょ?」

和「うーん、どうしようかしら。ちょっと寄っただけだし・・・」

憂「あはは、強制連行だよ」グイグイッ

和「全く・・・」ヤレヤレ

憂「嫌なの?」ニコニコ

和「・・・嫌じゃないから困ってるの」

憂「えへへー、こんな土砂降りの中、せっかく『ちょっと寄って』くれたんだもんねー」ギュー

和「・・・それにしても、すごい雨よね」

憂「あ、話しそらしたね・・・お姉ちゃん風邪引いてないといいけど」

和「とりあえず、中に入りましょ」

憂「だね」バタンッ


ザー・・・ザー・・・





律「・・・」タッタッタッ・・・

律「・・・」タッタッタッ・・・

律「澪・・・」

律「駄目だ、足が、もう、動かね・・・」

律「・・・」

律「いや、諦めんな私」

律「・・・」

律「あ、あれは・・・」

澪「・・・」

律「みお!!」

澪「!!?」

律「やっと見つけたぜ・・・!!」

澪「り、つ・・・!」ダッ

律「待てよっ・・・!」ガシッ

澪「やっめろ!離してくれ!」

律「うるせぇ!」

澪「こんのっ・・・!」ブオンッ!

律「離さないっての!」グッ

グラッ・・・

律澪「っ・・・!?」

バシャーン!!

律「・・・うっわ」

澪「サイッテー・・・」

律「ごめん・・・」

澪「律を攻めたわけじゃ・・・」

律「そっか・・・立てるか?」

澪「・・・」

律「澪?」

澪「無理」

律「え」

澪「もう、疲れたよ・・・」

律「・・・それじゃ、私もしばらくここにいていいか?」

澪「ここって、私の上?別にいいよ。好きにしろ」

律「・・・」

澪「やっぱり通行人の目が気になる。降りてくれ」

律「いいよ。・・・話が終わってからな」

澪「律、私は律と話すことなんて・・・」

律「あるだろ。憂ちゃんから・・・全部聞いたんだろ?」

澪「・・・」

律「違うのか?」

澪「なんで、憂ちゃんかr」

律「憂ちゃんとさっき話したんだよ」

澪「そう、だったのか・・・」

律「・・・なぁ、澪」

澪「りつ」

律「なに?」

澪「正直、私・・・律と唯のこと軽蔑してる」

律「・・・」

澪「唯は梓が好きで、律は私が好きで、でも上手く行かなくて・・・それで」

律「うるせぇよ・・・」

澪「なん、だと・・・?」

律「そうだよ、私たちは臆病者で、卑怯で、弱い。だから、こんなことになっちゃったんだ」

澪「・・・」

律「でも、それを澪にとやかく言われたくない」

澪「・・・!」

律「なぁ、私は・・・澪の側にいて、何をしたらいい?何が出来る?何をして欲しい?」

澪「えっ・・・?」

律「澪は私と一緒にいたいんだろ?」

澪「あ、あぁ・・・」

律「じゃあさ、一緒にいて、私はどう澪に接したらいいんだ?」

澪「・・・」

律「友達、親友として接すればいいのか?」

澪「そう、だよ・・・決まってるだろ・・・」

律「じゃあ、私の色恋に口出しすんなよ」

澪「それは・・・」

律「・・・私が澪以外に時間を割くことに、苛立つなって言ってんの」

澪「そんな・・・」

律「間違ってるか?私」

澪「ううん・・・」

律「そういう態度が、勘違いさせてるって・・・気付いてくれよ・・・!」

澪「ごめん・・・」

律「澪は、どうなりたい?今後どうしたい?」

澪「律は?」

律「質問に質問で返すなよ。それに・・・私がどうなりたいかなんて、わかりきったことだろ」

澪「・・・わかんないよ」

律「・・・本気で言ってんのか?」

澪「・・・」

律「おい・・・!」

澪「わかるよ・・・!でも、律の言葉で、ちゃんと聞きたい・・・!」

律「えっ・・・?」

澪「ごめんな、また勘違いさせるようなこと言ったよな」

律「自覚あんのかy」

澪「していいよ」


ザー・・・ザー・・・


律「え・・・?」

澪「勘違いでもなんでも、すればいい」

律「・・・」

澪「私は、その責任は一切とらない」

律「」

澪「私を好きなのは、律の気持ちだろ」

澪「私だって、律と一緒にいたい」

律「・・・」

澪「律を恋人として見るのは私にはやっぱり無理だよ」

澪「でもな、律に恋人が出来るのはもっと嫌」

律「なんだよ、それ・・・じゃあ私と・・・」

澪「だから、それは無理。律とは、そういうことは考えられない」

律「意味わかんね・・・」

澪「私、わがままだろ」

律「あぁ、すっごく」

澪「だから、嫌いになったらなったで、それは仕方がないと思ってる」

律「・・・」

澪「律も思っただろ?唯とそういうことして、それが私にバレたら・・・」

律「確かに、嫌われても仕方がないって思ったよ」

澪「それと一緒だよ。私は律の気持ちに応えることはできないけど・・・」

澪「律のしたことを知った上で、なお友達でいることはできる。律も・・・こんな私でよかったら、ずっと友達で居て欲しい」

律「・・・唯とのこと、いいのか?」

澪「・・・それは、ちょっと、いや、ショックだったぞ。すごく」

律「だよ、な・・・」

澪「うん・・・」

律「・・・」

澪「ごめんな、こんな答えしか出せなくて」

律「・・・一緒にいてくれるだけで、十分だよ」

澪「律のこと、全然わかってやれてなくて・・・」グスッ

律「泣くなよ・・・澪は全然悪くないし・・・」

澪「でも・・・」

律「いいんだって・・・」

澪「律・・・」ギュー

律「!?///」

澪「これからも、よろしくな」

律「・・・あぁ」ギュ





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最終更新:2010年11月10日 00:02