~部室~

唯「あ~ずにゃん!」ダキッ

梓「ふにゃ!」

梓「も、もう!止めて下さいよ!唯先輩!」

律「とか言ってる割に、梓も満更じゃない様に見えますなあ~」ニヤニヤ

梓「なっ!」

澪「確かにな…」フフフ

梓「澪先輩まで!」

唯「も~、あずにゃんったら素直じゃないんだから~///」

梓「素直に嫌って言ってるじゃないですか!」

梓(最後の良心、ムギ先輩は…)チラッ

紬「今日も良いものを見れて幸せ~」ニコニコ

梓(ですよね…)トホホ

澪(本心はバレバレなんだが、このままじゃ梓も可哀想か…)

澪「唯、一応嫌って言ってるんだから離してやれよ」

梓「む、ちょっと引っかかる言い方ですが…感謝します」

唯「え~、あずにゃん絶対に嫌がってないと思うんだけどなあ~」

唯「でも分かった!今日のあずにゃん分は補給出来たからまた明日ね♪」

梓「全力でお断りします」

唯「ガーン!」

紬「あらあら」

紬(うふふ、梓ちゃんも本当は嫌がってないのが見え見えなのに~)

紬(でも、そういう素直になれない所も梓ちゃんの魅力かしら)

紬(唯ちゃんに抱き付かれてる時の梓ちゃんって本当に可愛いわ~)

紬(でも、たまには他の誰かと…そう、例えば私と梓ちゃんはどうかしら?)

紬(私が梓ちゃんにギュ~ってしてる所…)

紬(…!)

紬(見てみたい!それ凄く見てみたいわ!!)

紬(梓ちゃんに抱き付いてる私…)

紬(ううん、抱き締めてる方がもっと良いかも…)ウットリ

紬(…あれ?でも見てみたいのが梓ちゃんと『私』なの?)

紬(それってどういう…)

律「…ム……ギ…ム…ギ…」

律「ムギ~」

律「お~い、帰って来~い!」

紬「…はっ!」

紬「ご、ごめんなさい!私ちょっと考え事を…」

律「あはは、ムギは相変わらずだな~」

澪「まあこの流れも軽音部の恒例行事か…」

梓「恒例行事って…そんな月に1度のイベントの様に言わないで下さい!」

唯「そうだよ~澪ちゃん、あずにゃんは毎日して欲しいんだよね~?」

梓「もう、帰っても良いですか…」

紬「まあまあまあまあまあ、とりあえずお茶にしましょ?」


紬(相変わらず…ううん、りっちゃんそれは違うのよ)

紬(女の子同士って良いなあ…って、確かに前にはそう言ったわ)

紬(でもね、私と誰かがとは一度も思った事は無かったの)

紬(こんな気持ちになったのは初めてなのよ…)

紬(もしかして、私は梓ちゃんの事が…?)

紬(確かめてみたい…でも一体どうすれば良いのかしら…)



~翌日放課後・教室~

律「ムギ、ちょっと良いか?」

紬「ええ、何かしら」

律「今日の部活をどうするかは梓と2人で決めてくれ」

紬「え?」




律「…というわけで、あたし達3人は行けないんだ」

律「突然で悪いな」

紬「ううん、そういう事なら仕方無いと思う。でも梓ちゃんには?」

律「まだ言ってないんだ」

律「あと、今日練習するはずだった分は明日朝練をやって埋め合わせようと思う」

律「梓はもう部室に行ってるだろうから、それもムギから伝えといてくれないか?」

紬「ええ、分かったわ」



~部室~

ガチャッ

紬「こんにちは~」

梓「お疲れ様です…あれ?今日はムギ先輩1人だけですか?」

紬「ええ、実は今日の部活はね、梓ちゃんと2人だけになっちゃったの」

梓「…それはまた突然ですね」

紬「他の3人はみんな用事が出来ちゃって…」

梓「どんな用事ですか?」

紬「りっちゃんと澪ちゃんはね、中学校の同窓会に行ってるの」

梓「へ~、そう言えばあのお二人は同じ中学出身でしたね」

梓(え?でも、それなら前から分かってた事じゃ…)

紬「唯ちゃんはね、久しぶりにお父さんとお母さんが帰って来るからお食事会ですって」

梓「あ、そう言えばさっき憂が唯先輩とメールしてましたね…」

梓(それも前から…いやでも、今日急に決まったのかもしれないし…)

紬「でね、今日練習するはずだった分は明日朝練をやって埋め合わせる事になったの」

梓「はい、分かりました」

紬「今日どうするかは2人で決めてって言われたんだけど…どうしましょうか?」

梓「えっと…」

梓「私は家に帰って自主練にしたいです」

紬「え?」

紬(もう少しお話してたいのに…)

紬「あの…折角だから、少しだけお茶にしましょ?」

梓「あ、はい…」

梓「…」

梓「そうですね、じゃあ少しだけ頂きます」

紬(良かった!)

紬「待っててね~、今日はとびっきりのお茶を淹れちゃうから~♪」ルンルン

梓「…」

梓「一緒に練習しましょう…って、どうして言えなかったんだろ…」

梓(私、ムギ先輩の事だけは未だに良く分からない気がする)

梓(だから良く考えないで避けちゃったのかも…)

梓(…)

梓(この前、部室で2人きりになった時は楽しかったんだけどな…)クスッ

梓(ムギ先輩の面白い所…可愛い所…本当はもっと見てみたいのに)

梓(私、本当に素直じゃないよ…)




紬「お待たせ~、梓ちゃん」

梓「いえ…じゃあ、頂きますね」



~帰り道~

澪「なあ律」

律「ん~、何だ?」

澪「今日になって急に同窓会は無理があり過ぎないか?」

律「まあ確かにそうなんだが、他に何も思い付かなくってな~」

律「それに比べて、唯の食事会ってのは上手い言い訳だ」アハハ

澪「…」

律「澪、言いたい事は分かってる」

律「だから、まずはその振り上げた手を引っ込めてくれ」

澪「…分かってるならきちんと説明して欲しいな」

澪「私達の間にこんな嘘はあっちゃいけないと思うぞ」

澪「もちろん、律は何の考えも無しにこんな事はしないはずだが…」

律(はは、微妙に照れる言い方だな…)

律「ムギと梓を2人きりにしたかった理由だろ?」

律「そりゃ、正直あたしにも良く分からん」

澪「何だと?私の信頼をあっさり裏切るのか!?」

律(まただよ…)

律「まあ分からないっていう言い方は良くなかったな」

律「何て言うかその、自然とそうしてやりたくなったんだよ」

澪「…どういう事だ?」

律「この前ムギと一緒に遊んだ話はしたよな」

澪「ああ(私も一緒に遊びたかった…)」

澪「どうして私も呼んでくれなかったんだ…って、言ってちゃ話が進まないな」

澪「それで?」

律(一番に誘ったのは澪だったじゃんかよ…)

律「ああ、それでな」

律「何時もの軽音部は、あたしや唯が暴走してそれを止めるのが澪と梓」

律「ムギはそれを見守ってる感じだ」

澪「分かってるなら少しは自重しろよ」

律「あはは…」

律「まあとにかく、ムギはそんなに積極的に動くタイプじゃない…そう思うだろ?」

澪「まあ確かにそうだな」

律「でもな、あたしと2人で遊んでた時には結構~振り回されたんだぞ~」

澪(ムギに振り回される律か…見てみたいな)フフッ

律「それに、はしゃいでるムギは唯以上に天然な所もあってな」

律「普段は見せない面白い所、可愛い所が沢山あったよ」フフフ

澪「!」

澪(今少しだけ…ムギに嫉妬したかもしれない…)

澪「…まあ、何を言いたいかは分かって来たよ」

澪「ムギのそういう積極的な所は、みんなが集まってると見れないって事だろ?」

律「ああ、その通りだ」

澪「それは分かるんだが、どうしてそれを梓に見せたくなったんだ?」

律「昨日のムギはな…何時もと違ってたんだよ」

澪「何時もと違う?あのボ~っとしてた時の事か?」

律「そうだ」

律「相変わらずって言ったけど…あの時のムギの目は何時もと違う」

律「そう、あれは恋する乙女の目だったよ」キッパリ

澪「恋する乙女って…ぷぷっ」

律「…」

澪(しまった!律は真面目に話をしてるのに…)

澪「ご、ごめんな…」

律「いや、良いんだよ」

澪(つい条件反射で笑ってしまったけど…律なら分かってくれるよな?)チラッ

律(澪は今、馬鹿にして笑ったんじゃない…それは分かってるよ)ニコッ

澪「…」

澪「そ、それでだな…ムギは梓の事が好きって事か?」

律「ああ、間違いない」

律「ただな…ムギ自身はそれにはっきりと気付いてないかもしれない」

律「あたしも恋する乙女だから…そういうのが良く分かるんだよ」

澪「そうだな、律は正真正銘の恋する乙女だ」

律「…」

澪「…」

律「ば、バカ!そういう風に反応されるのも困るんだぞ…///」

澪「じゃあどう反応すれば良いんだ?」

律「し、知るか!///」タッタッタッタッ…

澪(そんなに照れるなよ…可愛過ぎるぞ?)


澪「つまりはムギの背中を押してやりたいって事か…」

澪「2人きりになれば普段は遠慮するムギも積極的になれる」

澪「魅力的な所も引き出せる…」

澪「律は凄いよな、どんな時でも部員全員の事を考えていてくれるから」

澪「…」

澪「私も…私も背中を押されたいな…」

澪「いや、そうじゃない」

澪「律だって誰かに背中を押されたいって思ってるはずだ」

澪「それを…それを私がやらなくてどうする!」


律「遅いぞ~澪」

澪「ははっ、何も家の前で待ってなくても良いじゃないか」

律「だってよ…また明日なって言ってなかったし…」

澪(律…お前本当に可愛いぞ)

律「じゃ、じゃあまた明日な、澪」

澪「待て律、今日は家に寄って行かないか?」

澪「その…何だ、今日はもう少し律と一緒に居たい気分なんだ…」

律「え!?」

澪「律と一緒に居たいんだ…」

律「…う、うん///」



~再び部室~

梓「」ズズー

紬「」ジー

梓「」コクコク

紬「」ジー

梓「あの…」

紬「な、何?梓ちゃん」アセ

梓「いえ…」

梓「あ、今日のお茶は何時もと違った感じで美味しいですね」

紬「あら、お口に合ったみたいで良かったわ~」

紬「今日のお茶はね、梓ちゃんをイメージしてブレンドしてみたのよ~」ニコッ

梓「私をイメージですか…はは、何だかちょっと照れますね///」

紬「うふふ」

紬(照れてる梓ちゃん…可愛いわ♪)

梓「」ズズー

紬「」ジー

梓「」コクコク

紬「」ジー

梓「あの…」

紬「な、何?梓ちゃん」アセ


紬「そうそう、お菓子を出すの忘れてたわね!」

梓「いえ、そうじゃなくてですね」

梓「さっきからずっと見られてる気がするんですけど、気のせいでしょうか…」

紬「あ!ご、ごめんなさい!」アセアセ

梓「?」

梓「まあ、別に良いんですけど…」

紬(いけないわ、ちょっと意気込みすぎよ…)

紬(何時もの私なら…このまま何もしないんでしょうね)

紬(みんなと一緒に居ると、どうしても一歩引いた立場から見守ってしまうから…)

紬(でも…りっちゃん、ありがとう。今やっと気付いたの)

紬(私の事を分かってくれて、梓ちゃんと2人きりになれる様にしてくれたのね)

紬(この一歩…今日は進めそうな気がするわ)

紬「ねえ、梓ちゃん」

梓「はい、何でしょう」

紬「私ね、梓ちゃんにお願いしたい事があるの」

梓「お願いですか…」

梓(ムギ先輩のお願いって…何だろう?)

梓(でも、何故か嫌な予感がする…)

紬「唯ちゃ…」

梓「ごめんなさい、嫌です」

紬「んが良くやって…って、あれ?」

梓「大体想像は付きますが、それは私も迷惑している事なのでお断りします」

紬「…」

梓「…」

紬「やっぱり…唯ちゃんじゃなきゃ嫌なのね…」ショボーン

梓「ち~が~い~ま~す~!」

梓「唯先輩にも嫌だって何回も言ってるじゃないですか!」

紬(ううん、梓ちゃんが嫌がってないのはみんなが知ってる事…)

紬(という事は…私、梓ちゃんに嫌われてるのかしら…)ガーン

梓「でも、全然聞いてくれなくて…って」

紬「」グッスン


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最終更新:2010年11月11日 20:10