【パラレルワールド2】
紬「……起きて朝だよ」
唯『うっ……ふぅん』
紬「……朝だよ」
唯『……ほぇ?ムギちゃん?』
紬「……学校に行かなきゃ」
唯『何でムギちゃんが……あ、そっか!私パラレルワールドに来たんだった!』
紬「……うん」
唯『ムギちゃん起こしてくれてありがとね~』
紬「……うん」
唯『はぁ……目が覚めたら帰れると思ったけどダメだったね~』
紬「……そだね」
唯『あ、憂は?』
紬「……まだ寝てるよ」
唯『起こさなきゃ!』
紬「……あの」
唯『どうしたのぉ?』
紬「……急に泊めて貰ってごめんね」
唯『別にいいよ~早く憂を起こしに行こ~』
紬「……うん」
唯『憂より先に起きるなんて何だか私凄いね!』
紬「……凄いね」
唯『うーいー朝だよー!』
憂「うん……えへへ」
唯『起きないと遅刻しちゃうよー!』
憂「んっ……ふわぁ~」
唯『わ、私が憂を起こしてる!』
憂「……おはようお姉ちゃん」
唯『うん!おはよーっ!』
憂「あ!弁当!」
唯『弁当?』
憂「お姉ちゃんが何時も作ってくれてるから忘れてた!」
唯『そう言えば私も弁当の事すっかり忘れてた!ど、どうしよう?』
憂「どうしよう……」
紬「……あの」
唯『今から作っても間に合わないよね?』
憂「うん……多分」
紬「……あのね」
唯『うぅ……今日のお昼ご飯もしかして抜き!?』
憂「それだけは嫌だよー!」
唯『授業中にお腹が鳴っちゃうよ~!』
紬「……あの、ね」
憂「私もお昼ご飯がないと勉強出来ないよー!」
紬「購買部で買えばいいよっ!」
唯『ほぇ?ムギちゃん?』
紬「……購買部でパンとか買えばいいと思う」
憂「あ!それいいですね!」
唯『ムギちゃん凄いね!』
紬「……そうかな?」
憂「はい!凄いですよ~!」
紬「……ありがと」
唯『あぁ!朝ご飯は?』
憂「昨日のカレーの残りがあるからそれを食べよっか!」
唯『うん!一晩寝かせたカレーは美味しいんだよ~ムギちゃん』
紬「……知ってる」
【パラレルワールド】
唯「行ってきまーす」
憂『行ってきます』
唯「はぁ~……結局起きても元の世界には帰れなかったね」
憂『そう……ですね』
唯「学祭まであと三日後か……大丈夫かな?」
憂『多分……あ、弁当作っていただいてありがとうございます!』
唯「ううん。いいよ別に」
憂『お昼が待ち通しいです。早く食べてみたいなぁ~』
唯「ねぇ憂?」
憂『はい?』
唯「向こうの私と喧嘩とかした事ある?」
憂『どうしてですか?』
唯「いや、私ね憂と喧嘩した事ないから姉妹同士の喧嘩ってどんなのか知らないんだ」
憂『喧嘩か……二回だけならした事がありますよ』
唯「へーどんなのだった?」
憂『う~ん。ただの口喧嘩でしたよ』
唯「え?そんなもんなの?叩き合ったりとかはしてないの?」
憂『それは流石に……』
唯「向こうの私が憂を投げ飛ばして全裸で家の外に出したりとかは……」
憂『無いですよ。私達の喧嘩は口喧嘩だけです!』
唯「冗談だよ。仲が良いんだね」
憂『そちらこそ仲が良いんですね~喧嘩した事ないなんて』
唯「憂には酷い事言えないからね」
憂『大好きなんですね。向こうの私の事』
唯「ち、違うよ!大好きとかじゃなくて……守ってあげたくなるだけ!」
憂『顔赤いですよ~』
唯「赤くないし!」
憂『向こうの世界のお姉ちゃんは素直じゃないですね!』
唯「素直だよ!」
憂『向こうの世界のお姉ちゃんも可愛い所があるんですね~』
唯「アハハ……こっちの世界の憂は人をからかうのが上手だね」
憂『からかってませんよ~あ!そろそろ学校に着きますよ』
唯「そ、そっか……」
憂『早く弁当食べたいなぁ~』
いちご『……平沢さんおはよう』
唯「だ、誰ですか?」
憂『同じクラスのいちごちゃんだよ』ボソボソ
いちご『……?』
唯「あ、あぁ!いちごちゃんか!」
いちご『今、誰って言わなかった?』
唯「言ってない!言ってない!空耳って奴だよ」
いちご『……そっか』
唯「向こうの私の友達?」ボソボソ
憂『うん、そうだよ』ボソボソ
唯(うわぁ、向こうの私の友達か……どうしよう。こんな人全然知らないし……)
いちご『……平沢さんも一緒に教室に行こ?』
唯「え?一緒に?」
いちご『嫌なの?』
唯『い、嫌じゃないよ……じゃあね憂』
憂『はい、さようなら!』
唯「はぁ……」
いちご『……どうしたのため息なんかついて』
唯「ううん。別に何でも無いよ」
いちご『……そっか』
唯(何か少し違和感があるなぁ……)
いちご『……平沢さん部活は楽しい?』
唯「あ、うん楽しいよ」
いちご『……そっか』
唯(う~ん……何だろうこの違和感)
律『お!唯!』
唯「田井中さん、おはよう」
律『その呼び方だとまだ戻ってないみたいだな』
唯「まぁね」
いちご『田井中さんおはよう』
律『おっはよーう!なぁなぁヘアピン付けてない唯の顔どう思う?』
いちご『……平沢さんは何時もヘアピン付けてないよ』
律『え?毎日付けてたじゃん』
いちご『……付けてないよ』
姫子『みんな、おはよう』
律『おはよう立花さん!』
姫子『何の話しをしてるの?』
律『ヘアピンを外した唯を見てどう思った?って話しをしてる』
姫子『あれ?唯ってヘアピンなんて付けてたっけ?』
律『一年の時からずっと付けてたじゃん』
姫子『いや、付けてないよね?』
いちご『……うん』
唯「ちょっと田井中さん話しがあるから着いて来て」
律『う、うん分かった』
唯「ねぇ?私がヘアピン付けてた時と付けて無い時の雰囲気ってやっぱり違うの?」
律『かーなーり違うぞ!それにお前は何時も眉間に皺を寄せてるからなぁ~全然違う』
唯「そんなに違うならおかしくない?」
律『何が?』
唯「あの、いちごって人も恐面の人も最初にヘアピンの事に触れるはずじゃない?」
律『確かにおかしいな~前からヘアピンを付けて無いとか言ってたしな』
唯「何でそんな事言ったんだろう?」
律『さぁ?』
唯「こっちの世界の私は一年の時からずっとヘアピンを付けてるって言ったよね?」
律『あぁ、言ったな』
唯「だったら尚更おかしいよ。何でヘアピンを付けて無い事に触れなかったんだろう?」
律『気付いて無かったんじゃないか?』
唯「それは無いよ。二人共私の顔を見て話してた」
律『たかがヘアピンの事で考え過ぎじゃないのか?』
唯「いやいや、まだおかしい事があるよ。私が田井中さんって呼んだ時にあの人達は顔色一つ変えなかった」
律『そうだったか?』
唯「うん、向こうの世界の私は田井中さんの事何て呼んでたっけ?」
律『りっちゃん』
唯「何で名字で呼んでるの?って普通聞くよね?」
律『あぁ、私なら絶対聞く』
唯「何であの二人は聞かなかったんだろ?ヘアピンの事も呼び方の事も……」
律『う~ん……』
唯「変だと思わない?」
律『確かに前からヘアピンを付けて無いって言われた時は変だと思ったな』
唯「でしょ?何であの二人はそんな事言ったんだろ?」
律『何でだろうな?』
【パラレルワールド2】
唯『みんな、はよ~』
律「平沢さんおはよーっ!」
唯『りっちゃんおはよーっ!』
律「りっちゃんって呼び方可愛いね~」
唯『そうかなぁ?』
和「ヘアピン付けてるアナタも可愛いわっ!」
唯『あ、和ちゃん!』
和「可愛いわ~」
唯『何か和ちゃん目がギラギラしてて怖いよ~』
和「そ、そう?」
紬「……怖いよ」
和「それより何でいきなりヘアピン何か付けだしたの?」
唯『えーっとね~』
紬「……イメチェンだよ」
和「そうなんだ。それなら制服からチャイナ服へイメチェンしてみない?」
唯『ほぇ?』
和「アナタにチャイナ服はどうかと思うけど……物は試しって奴よね」
唯『和ちゃん何だかさわちゃんみたぁ~い』
律「さわちゃん?」
唯『あ、私の先生だよっ!』
和「ん?今気付いたけど唯ちゃん色気が無いわね」
唯『えぇー!和ちゃん酷い!』
和「おかしいわね。昨日は色気もあったのにまるで別の人みたい」
唯『ううっ!和ちゃん鋭い!』
紬「……パラレルワールドから来た事は言ったらダメだよ」ボソボソ
唯『ふぇ?』
紬「……混乱すると思うから言ったらダメ」ボソボソ
唯『う、うん。わかったぁ~』
律「あ、そろそろ先生来るよ~」
唯『え!?まだホームルームの時間まで5分もあるよ!』
さわ子「席に座れー!」
唯『さわちゃんジャージ!』
紬「………………」
さわ子「平沢ぁ!何だその服装は!」
唯『さ、さわちゃん……』
唯(こっちのさわちゃんも彼氏いなさそうだなぁ~)
さわ子「制服の襟が立ってるぞ!平沢ぁ!」
唯『あ、本当だ!』
さわ子「服装の乱れは心の乱れだ!すぐに直せ!」
唯『は、はいっ!』
唯(この世界のさわちゃん怖いよぉ……)
さわ子「一年生の時から平沢は何時も何処かが抜けてるな!」
唯(向こうの私は一年生の時から何処かが抜けてたんだぁ~)
【パラレルワールド】
昼休み。
唯「ん……?田井中さん襟が立ってるよ」
律『あ……本当だ。サンキュー』
唯「だらしないな……シャツもちゃんとスカートの中に入れなよ」
律『暑苦しいから嫌だ!』
紬『何だかパラレルワールドの唯ちゃんはしっかりしてるわね~』
唯「そうかな?」
澪『ちょっと怖いけどな……』
梓『唯先輩みたいにほんわかして無いですよね』
唯「へー悪かったね。可愛いらしくなくて」
紬『でもカッコイイわよ~』
唯「ふぅん……で、話しの続きだけどさ……おかしく無かった?」
澪『あぁ、確かに少しおかしかったな』
紬『そうよね~クラスのみんな唯ちゃんとの接し方が何時もと違かったわね』
唯「でしょ?何でこっちの世界のクラスメイトは私の趣味が分かるの?」
梓『クロスーワードでしたっけ?』
唯「うん」
唯「普通、知らないはずだよね?向こうの世界からこっちの世界に来たのに……何でみんな知ってるの?」
律『何でだろーなー』
唯「もしかして、こっちの世界の私の趣味もクロスワードとか?」
澪『いや、趣味は寝る事って言ってたな』
梓『食べる事も趣味ですよね』
紬『さわ子先生も唯ちゃんと話す時ー少しおかしかったわね~』
唯「そうなの?」
律『だって唯はしっかり者だとか言ってたじゃん』
澪『言ってたな!』
梓『唯先輩がしっかり者……ぷふっ』
唯「こっちの世界の私はアレみたいだね」
澪『でも、何でみんなはパラレルワールドから来た唯の趣味を分かったんだろうな?』
律『だよなー私でも知らないのに』
唯「こっちの世界に来てからは誰にも趣味の事は喋ってないのにおかしいよね」
梓『何だか少し怖いですよね。パラレルワールドの唯先輩の事を最初からみんな知っているみたいで』
唯「どう言う事?」
梓『こっちに来てから誰にも趣味の事とか喋ってないんですよね?』
唯「うん」
梓『喋ってもないのにみんな唯先輩の趣味を知ってるんですよ?それもパラレルワールドの唯先輩の趣味をですよ!』
唯「不思議だね」
梓『何だか唯先輩の趣味を、みんな最初から知ってるみたいじゃないですか』
唯「話しても無いのにどうして私の趣味が分かるのか……私の事を最初からみんな知っていた……」
律『そんな分けないじゃん昨日来たばかりなんだし、いくら唯と同じ姿をした人でもパラレルワールドから来たんだぞ?』
唯「だよね。やっぱり考え過ぎかなぁ……流石に話してもない趣味をみんな知ってたって事は気味が悪いけどね」
律『考え過ぎじゃないのか?クロスワードの事とかも忘れてるだけで話してたかも知れないし』
唯「う~ん……まぁあれこれ考えないで早く元の世界に戻れる事を祈るよ」
澪『うん、それが1番だな』
最終更新:2010年11月12日 02:30