#2
純の部屋
純「う~ん…」
純「……」カキカキ
純「うぐぐ~…」
純「あぁもう!宿題分かんない!!」
純「……」グッタリ
純「はぁ…気晴らしにベースでも弾こう」
純「えっと確か…ジャズ研で課題が出てたんだっけ」ガサゴソ
純「あった、この曲を来週まで弾けるようにか…」
純「どれどれ」
ボン♪
純「ん…」
ボボン♪ボッ…
純「……」
ボン…ボボッ…
純「むっず…なにこれ」
ボッ…
純「……」
ボボッ…
純「あー!今日はもうダメ!!」
純「寝る!!」
翌日
学校
純「はぁ…現実はどうしてこう上手くいかないんだろうね~…」
憂「どうしたの?」
純「五月病」
憂「まだ四月だよ」
純「なんかさぁ、もう高校生活絶望的かも」
純「宿題できないしベースできないし…」
梓「おはよう、憂ちゃん」
憂「あっ、おはよう梓ちゃん」
純「あぁ…梓ちゃん。おはよ」
梓「どうしたの?元気ないね」
純「ちょっと理想と現実のギャップについていけなくて」
梓「?」
憂「純ちゃんもいろいろ大変みたいなの」
梓「そうなんだ…」
純「高校ってさ、思ってたのと違うよね。理想はもっと華やかだったんだけど」
純「なんか拍子抜け。あーあ、早く大学に行きたいな~」
憂「それはちょっと気が早いんじゃ…」
純「だって大学の方がなんか凄そうじゃん」
梓「そんなこと言ってると、あっという間に卒業式になっちゃうよ?」
純「むしろ早く卒業したいかも…」
純「梓ちゃんはさ、高校生活大変じゃない?」
梓「え…」
純「部活とかあるじゃん」
梓「でも、好きで選んで…」
紬『お茶淹れたわよ~』
唯『あ~ずにゃ~ん!』ダキッ
梓「うっ…」
梓(そういえば全然部活やってないかも…)
純「私なんて難しい課題出されちゃって…もう挫折しそうだよ」
梓「課題…」
さわ子『演奏する時はこの猫耳をつけるのよ!』
梓『な、なんで…』
律『羞恥心をなくすためだ!軽音部入部の課題だと思え!!』
梓「……」グッタリ
憂「あ、梓ちゃんどうしたの!?」
梓「理想と現実のギャップにやられた…」
梓「ていうか純ちゃん部活はマジメにやってるんだね」
純「むっ?なにそれ」
梓「あっ…ごめん」
梓(てっきり適当な人だとばかり思ってたから…)
純「部活はちゃんとやるよ。憧れの先輩もいるし」
梓「だよね」
梓(私もそうだし…)
澪『梓!』
唯『あずにゃ~ん!』
梓(いや…唯先輩は違うかも)
純「あっ、そうだ……先輩がいるから頑張れるんだ」
純「よーし、私も諦めずかっこいいベーシストになってやる!」
梓(切り替えはやっ!?)
憂「頑張って純ちゃん!」
純「そういえば憂は結局部活やらないの?」
憂「うん」
純「そっか…もったいない。なんでもできるのに」
憂「ふふっ、そんな万能じゃないって」
梓(たぶん唯先輩は憂ちゃんに良い所を全部持ってかれたんだろうなぁ…)
キーンコーンカーンコーン
純「あっ…授業のチャイムだ」
憂「じゃあまた後で」
放課後
先輩「じゃあ弾いてみて」
純「はい!」
純(先輩の前だと緊張する…)
~♪
先輩「ストップ!!」
純「ひっ…」
先輩「出だしずれてるわよ!もう一回最初から!!」
純「ごめんなさい…」
先輩「いい?ジャズ研はサバイバルなの。適当にやってると、どんどん追い抜かれちゃうんだからね!」
純「すいません…」シュン
先輩「ほら、早くやって」
純「は、はい!」
純(今度は失敗しないように…)
純「……ゴクリ」
~♪
先輩「また外れてる!!もう一回!!」
純「ひぃっ!?ご、ごめんなさ~い!」
帰り道
純「あ~疲れた」
純「……はぁ」
純「あの先輩の前だと緊張しちゃう…」
純(まさかあんな怖い先輩だなんて…)
純「……」
純「やっていけるか不安だ~…」
憂「あっ、純ちゃん」
純「あれ…憂?どうしたのこんな所で」
憂「夕飯の買い物」
憂「そっかぁ、部活でそんなことが」
純「うん、なんかあの人の前だと調子出なくて…」
純「めっちゃ怖いんだよ!」
憂「へぇ…」
純「あぁ…また明日も怒鳴られるかと思うと…」
憂「でも純ちゃんならきっと頑張れるよ」
純「そんな簡単に言われても」
憂「でも部活は辞めないんでしょ?」
純「まぁ…」
憂「大丈夫、いつもの純ちゃんなら乗り越えられるって」
純「いつもの私…?」
憂「たぶん純ちゃんは…急に環境が変わったからまだ戸惑ってるだけなんだよ」
憂「それで最近元気が出ないんじゃないかな?」
純「……」
憂「けど私の知ってる純ちゃんは、すごくマイペースだから…そういうのにもいつの間にか慣れちゃうと思うよ」
純「…それって褒めてるの?」
憂「うん!」
純「マイペースってねぇ…私は別にマイペースやってつもりはないんだけど」
憂「自分じゃ気づかないだけだよ」
純「えぇ~…そう?」
憂「いいじゃない、マイペース。悪いことじゃないんだし」
純「う~ん…」
憂「純ちゃん」
純「うん?」
憂「ファイト!」
純「…ぷっ、なにそれ」
憂「あれ?おかしかった?」
純「ううん…ありがと憂」
純「確かにちょっと、気をはりすぎてたのかもしれないね」
純「私らしくなかったかな?」
憂「今の純ちゃんは純ちゃんっぽいよ」
純「そう?ならこのままでいよっと」
純「でも私はマイペースに生きてるわけじゃないからね!」
憂「はいはい♪」
翌日
ジャズ研
純「……」
ボボン♪ボボッボン♪
先輩「…うん、いい感じ」
純「あっ、本当ですか!?」
先輩「昨日より断然良いわよ。どうしたの急に」
純「いや~、ちょっと小難しいこと考えるのやめてみたんですけど…」
先輩「小難しいこと?」
純「えへへ、まぁいいじゃないですかそんなことは」
先輩「……ま、なんとなく分かるけどね」
純「え?」
先輩「ねぇ純」
純「は、はい」
先輩「ジャズ研にはもう慣れた?」
純「えっと…とりあえずは」
先輩「ジャズ、楽しい?」
純「はい!なんか段々好きなってます!」
先輩「そう…なら良かった」
純「先輩?」
先輩「やっぱり好きことは、楽しまないとね」
純「はぁ…?」
先輩「ふふっ…さて、続けましょうか」
純「あっ、はい!」
純(なんか今日の先輩は優しい…なんでだろう)
ボン♪ボボンッ♪
純「……」
純(ひょっとして…今まで私が勝手に怖い人って決めつけてただけなのかな)
純(だとしたら悪いことしちゃったな…先輩は憧れなのに)
ボボッ♪ボンボン♪
純(憂の言う通り、もっと肩の力を抜いてやれば案外上手くいくかもね)
先輩「今日の純、すごく良いわよ」
純「ありがとうございます!」
純(私は私らしくでいいんだ…その方が私にも、先輩にも良いんだし)
純(よし!今日から心機一転がんばるぞー!!)
先輩「じゃあ今日からもっと厳しくいきましょうか」
純「えっ」
翌日
純「練習がものすごくハードになりました」
憂「大丈夫?」
純「うん…疲れたけどさ、前より楽しくなったかも」
憂「そっか、よかった」
純「やっぱ楽しまなきゃ損だよね」
梓「はぁ…」
憂「あっ、梓ちゃんおはよう」
純「どうしたの?元気ないね」
梓「まだ理想と現実のギャップに苦しんでる…」
純「梓ちゃん、そのまま流れに身を任せて楽しんじゃえばいいんだよ」
梓「あのまま楽しんだら軽音部は終わりだよ…」
憂「?」
梓「はぁ…」
梓(もっと音楽に情熱をそそいでる人はいないのかな…)
梓「……」ジーッ
純「な、なに?」
梓「ちょっと聞きたいんだけどさ…純ちゃんってどうしてベース始めたの?」
純「え?」
梓「いや…気になって」
梓(純ちゃんは音楽には真剣だし…ちゃんと答えてくれるかな)
梓(憧れのミュージシャンがベース弾いてたとか…なんでもいいからこの学校で音楽の話をしたい!)
梓(お願い純ちゃん!軽音部は音楽やってないからせめてここでは…)
純「ベースねぇ…弦が四本で簡単そうだったからかな」
梓「……」
純「梓ちゃん?」
梓「そんなんばっか!!」
純「えぇっ!?」
梓「ごめん…なんでもない」
梓(始める理由は別になんでもいいのにね…)
梓(純ちゃんらしいって言ったら純ちゃんらしいけど)
梓(でも…)
梓「あぅ~…」グッタリ
憂「梓ちゃん大丈夫?」
梓「なんで現実ってこう…上手くいかないんだろう」
純「それが現実だからよ」
憂「純ちゃんかっこいい!」
純「へへ~」
梓「はぁ…」
梓(こんな調子で本当に大丈夫なのかなぁ…私)
#2
おわり
最終更新:2010年11月13日 00:02