#8
梓「憂!」
憂「あっ、梓ちゃん」
梓「こんなところで会えるなんて思ってなかったよ」
梓「買い物帰り?」
憂「うん、今日の夕飯の」
梓「重たそうだね…半分持ってあげる」
憂「えっ、いいよそんな」
梓「遠慮しないで」
憂「じゃあ…お願いしちゃおうかな」
梓「うん、よいしょ…」
梓(おもっ!?)
憂「大丈夫?」
梓「だ、大丈夫大丈夫」
憂「本当?」
梓「なんとか…」
梓「それより、今日はなに作るの?」
憂「えっとね、ミートボールとかぶのトマト煮」
梓(また凝った料理だなぁ…)
学校
純「あ゛~…夏休みなのに練習厳しいな~…」
同級生「研究会だと思ってなめてたわ…」
純「かき氷食べた~い」
同級生「私オレンジ味…」
純「じゃあ私メロン…」
純「…てかオレンジ味ってあるの?」
同級生「どこかにあると思う」
純「オレンジかぁ…意外とイケるかも」
同級生「ところでさぁ、中野さんって軽音部だっけ?」
純「うん、そうだよ」
同級生「ギターだよね?」
純「そう」
同級生「いいな~、私もギターやればよかった」
同級生「ドラムはもう嫌だ。疲れるし」
純「じゃあなんでドラム始めたの」
同級生「…私さ、昔おじいちゃんがいたんだ」
純「おじいちゃん?」
同級生「うん」
同級生「それでさ、覚えてないんだけど小さい頃おじいちゃんを叩きまくってたんだって」
純「ひどっ」
同級生「それでまた覚えてないんだけどさ、おじいちゃんに『よく人を叩く子だね~』って言われたんだって」
同級生「だからドラム始めたんだと思う」
純「よく分かんない理由…おじいちゃんはドラムじゃないでしょ」
同級生「純はなんでベース始めたの?」
純「おしえなーい」
同級生「私は教えたのに」
純「ちょっと休ませてよ、練習で疲れてるんだから」
純「ジャズ研って、研究会なのに活動が本格的だよね」
純「なのになんでまだ部じゃなくて会なんだろう…人数だって少ないわけじゃないのに」
同級生「実は実は実は、それについて黒い噂を聞いたんだよ!」
純「黒い噂…?」
同級生「うちの学校は文化部が多くて管理が難しいから、生徒会が意図的に減らそうとしてるの!」
純「えぇ~!?」
同級生「ほら、音楽系でも合唱部、吹奏楽部、軽音部とかがあるでしょ?」
同級生「多くて目障りだからジャズ研は会から部に上げてもらえないのよ!」
純「なっ、そうなの!?」
同級生「世の中って薄汚れてるのね」
純(生徒会って確か…この前図書館で注意してきたメガネの人がいるところだ)
純(ムッカ~…今度会ったら文句言ってやる!)
先輩「そんなわけないでしょ」
同級生「あっ…先輩」
先輩「ジャズ研究会はできて間もないし、活動実績がないから部に昇格できないだけよ」
先輩B「…音楽系の部が多いから昇格しにくいってのは当たってるけど」
純「なんだ…そういうことか」
先輩B「だから今年は練習を頑張るんですよね~。10月のコンテストで賞取るために」
先輩「そう、その通り。よく言ったわ」
先輩B「まぁ人数も揃ってるくせして研究会だなんてダサすぎますからね~」
先輩「ちょっと黙ってなさい」
先輩B「あ~こわい」
純「コンテストかぁ」
同級生「それに学祭でもライブやるんだよね…」
先輩B「まぁ~学祭はコンテストのリハーサルみたいなもんだから気楽にやりなよ」
先輩B「二人が出れるかは知らないけど」
純「うっ…」
先輩B「ジャズ研はサバ~イバ~~ル」
先輩「あんたも練習しないと危ないわよ」
先輩B「ギターは上手いんで問題ないですよ~」
先輩「はぁ」
先輩「少し休憩したらまた始めるわよ」
純「きついな~…軽音部は楽だって聞いたのに」
先輩「軽音部?」ピクッ
純「あれ、知らないんですか?」
純「軽音部って、練習ほとんどやらないでお茶飲んだりおしゃべりしてるらしいですよ」
同級生「なにそれ!?いいな~」
純「ねー」
先輩B「それってありなの?」
先輩「…休憩はなし。今すぐ練習を再開するわよ」
純「えぇ!?」
同級生「で、でも少し休憩って…」
先輩「そんな暇はない!」
純「ひっ!?」ビクッ
同級生「どうしたんだろう急に…」
先輩B「…嫉妬か」
純「え?」
先輩「なんでお茶ばっか飲んでるところが部で私たちが会なのよ…」ブツブツ
先輩「絶対昇格してやる…」ブツブツ
純「あー…なるほど」
先輩B「繊細だからね~~彼女は」
先輩「ほら、早く準備しなさい!」
先輩B「まぁ~いいじゃないですか。休んでからでも」
先輩「ダメよ!少しでも練習して、コンテストで賞を取るんだから!!」
先輩「絶対に見返してやる…」
先輩B「見返すって、誰と勝負してるんだろうナ~…ねぇ?」」
純「は、はぁ」
先輩「とにかく、練習するわよ!」
先輩B「いや、休んだほうがいいですって」
先輩B「途中で疲れて集中力が切れたら効率の良い練習できないですよ?」
先輩「……」
先輩B「ね?」
先輩「……しょうがないわね」
先輩「ただし、休むなら本気で休みなさい」
純(本気で休むって…?)
先輩B「いや~よかったよかった。これで落ち着けるよ」
同級生「さすがです!」
先輩B「…まぁ~あの人の気持ちも分からんでもないけどね」
先輩B「私は2年だけど、あの人は3年で今年が最後だし」
純「あっ…そっか」
先輩B「自分の在学中になんとかして、ジャズ研を部に上げたいんだろうね~」
純「……」
同級生「そういえば、先輩がジャズ研にこだわってる理由ってなんなんですか?」
同級生「さっきも軽音部に反応してたりしてましたけど」
先輩B「あ~~~なんだっけ」
先輩B「聞いた話だと…」
先輩B「あの人、確か軽音部に入部するはずだったんよ」
純「えっ、そうなんですか!?」
先輩B「でも当時の軽音部は怖い人だらけだったらしくてね~。あの人ビビって入部するのやめちゃったんだって」
先輩B「かっこわるいよね~」
純「あんまり聞きたくなかった話ですね…」
先輩B「でもどうしてもベースがやりたいからって、同じクラスの…先輩2を誘ってジャズ研を立ち上げたんだとさ」
純「へぇ~」
先輩B「それで徐々に人が集まって、今のジャズ研があるわけ」
先輩B「ま、自分で作ったチームなんだからそれなりに誇りがあるのは当然だね~」
先輩B「それなのに廃部しかかった軽音部が復活して、しかもお茶ばっか飲んでのんびりしてるのに部活として認められるなんて笑えちゃうよねー」
純「わ、笑い事ですか…」
同級生「けどなんかレアな話が聞けたなぁ」
先輩B「あの人には内緒だよ~。バレたら頭グリグリされるから」
先輩「聞こえてるわよ」グリグリ
先輩B「アウチッ!」
先輩「まったく…なにを話してるかと思ったら」
純「すいません…」
先輩B「じゃあ猥談でもしましょうか?」
先輩「しません!休憩時間をもっと有意義に使いなさい!!」
純「ま、まぁまぁ…」
先輩B「やれやれ、厳しいナ~」
先輩「はぁ…来年はあなたが部長になるかもしれないんだからしっかりしてよ」
先輩B「え~めんどくさ~い」
先輩「…そうね、部長って顔でもないし」
先輩B「んなっ!?」
先輩「この部はまだまだ甘いわ」
先輩B「部じゃなくて会ですよ~」
先輩「私が残っている間に存続できるかも危ういわ」
純「そんな…大丈夫ですって!なんとかなりますよ!!」
先輩「純…ありがとう」
先輩B「そうそう、私もいますから安心して引退してください」
先輩「あんたがいるから不安なのよ…」
先輩「純」
純「あ、はい」
先輩「あなたは真面目にやりなさいよ。この子に影響されちゃダメだからね」
先輩B「失敬な。ビビりなくせして」
純「はい!頑張ります!!」
先輩「あなたもね」
同級生「は、はい!」
先輩「じゃ…練習再開しましょうか」
先輩B「だるい~~~」
先輩「そんなんじゃすぐ後輩に追い抜かれるわよ」
先輩B「だって私ギター上手いもん」
純「あっ、私のクラスメイトもギター上手いんですよ」
先輩B「あぇ?そうなん?」
純「はい」
純(あれ…そういえば私、梓の演奏聴いたことないや…)
純(まぁたぶん上手いんだろう…)
先輩「へ~そんな子が軽音部に」
先輩「ジャズ研に入ってくれればよかったのに」ボソッ
純「でもなんか、ジャズ研のジャズはジャズとは違うとか言って入るのやめちゃったんですよね」
先輩「ッ!?」カチンッ
先輩B「言うね~。自信家だ」
先輩「……」
純「せ、先輩?」
先輩「…今日は通常メニューにプラスして特別メニューもやりましょうか」
純「えっ」
先輩B「あ~ぁ、その友達のせいで大変なことになっちゃった」
先輩「たかが一年のくせに…チッ」
純「!?」
先輩B「純、その友達に言っておいて」
先輩B「夜道に気をつけなって」
純「えぇっ!?」
先輩B「さてと、冗談はおいといて」
先輩B「私も気合い入れるか~…ジャズじゃないなんて言われたら腹立つし」
純(ひょっとして…ジャズ研で梓株が大暴落!?)
平沢家
梓「ふぅ…」
憂「ごめんね梓ちゃん、家まで運ばせちゃって」
梓「いいのいいの…にゃっ!?」ゴトッ
憂「梓ちゃん大丈夫!?」
梓「ごめん…かぶ落としちゃった」
憂「あぁ、気にしないで。洗えば平気だから」
#8
おわり
最終更新:2010年11月13日 00:13