#9
純「ひさしぶりー」
梓「あっ、おはよう純」
憂「おはよう」
純「まだあっついねー」
純「ん?…梓、背伸びた?」
梓「…嫌味?」
純「あれっ!?」
梓「全然伸びてないよ…」
純「そっか…久しぶりに会ったからそう見えた」
純「ドンマイ!」
梓「慰めなくていいから…」
純「それにしても夏休み明けって、みんなあか抜けた感じに見えるよね」
憂「うん、なんだか大人っぽくなったみたい」
梓「どうせ私は…」
純「あーほらほら、いじけないの」
純「梓も変わったと思うよ?」
梓「本当!?どこらへんが?」
純「………髪が」
純「伸びた」
梓「……」
純「……ごめん」
梓「謝らないで…」
憂「純ちゃんは大人っぽくなったね」
純「あっ、分かる?色々経験したからねー」
憂「経験!?」
純「うん」
純(夏休みはジャズ研で色々あったな~)
純(ほぼ毎日練習してたからすっかりベースが上達したし)
梓「じゅ、純が…」
憂「純ちゃん…経験ってまさか///」
純「二人はなに考えてんのよ」
純「はぁ~…今日からまた学校が始まると思うと憂鬱だな~」
梓「私、朝起きるのつらかった」
純「夏休みの生活習慣が抜けないよね」
憂「お姉ちゃん起こすのも大変だったなぁ」
純「今日は始業式だからすぐ終わるけどさ…」
純「あぁ…その後ジャズ研があるんだった…」
純「うぅ~…できれば今すぐ寝たい」
梓「なに言って…」
純「ぐぅー」
梓「本当に寝てる!?」
憂「寝ちゃダメだよ純ちゃん、始業式始まっちゃうよ」
純「んん~…」
梓「純のことだから、昨日遅くまでゲームやってたんでしょ?」
純「そんなことやるわけないじゃん…」
純「漫画読んでたんだよ」
梓「同じことじゃん…」
純「そして帰ったら続き読むの」
梓「寝なくていいの?」
純「!」
純「ど、どっちにすればいいのかな…?」
梓「好きにすればいいんじゃない?」
始業式
校長「え~…夏休みも終わり心機一転、新たな気持ちで…」
純「ねむ…」ウトウト
梓(また寝ようとしてる…)
梓「起きて、純」ツン
純「ちょ…くすぐったいよ」
梓「起こしてあげてるの」
純「もう…お返しだ」ツンツン
梓「ひゃうんっ!!!」ビクンッ
シーン
校長「……」
梓「あっ……///」
梓(じゅ、純!!)
純(他人のふり他人のふり…)
梓「もう!さっきは最悪だった!!」
純「ごめんごめん、まさかあんなに敏感だなんて」
梓「むぅ…変なとこつつくから…」
憂「えいっ」ツン
梓「にゃっ!?」ビクッ
純「かわいいな~梓は」
憂「ね」
梓「や、やめてよもうっ」
純「でも顔が赤くなってるよ?」
梓「変なとこ触るから…」
憂「梓ちゃんを見てると抱きつきたくなるな~」
梓「唯先輩みたいなことは本当にやめて」
純「真顔だ」
純「さてと…」
憂「どうしたの?」
純「ん?二学期の目標でも考えようかなって」
梓「へぇ…」
純「なにか良い目標はないかな」
純「う~ん…」
憂「思いついた?」
純「お金を…拾うとか」
梓「目標なの?」
純「お金欲しいなー」
梓「まぁ…そりゃ欲しいけど」
純「どっかに一億円落ちてないかなー」
梓「そんな夢みたいなことあるわけないじゃん」
純「でも一億あればなんでもできるし…」
梓「一億円でなにするの?」
純「床にお札をばらまいてダイブしたい」
梓「使うんじゃないのか…」
純「梓は一億あったらどうする?」
梓「……」
梓「まず自分専用のスタジオを作って…それで新しいエフェクターとか機材を…」
純「結構本気で考えてるね」
憂「私もなにか目標を考えようかな~」
純「憂はどんな目標にするの?」
憂「えーっと…」
憂「お姉ちゃんにおいしい料理を作れるようにして、お姉ちゃんに気持ちよく過ごせるように掃除を頑張って」
憂「お姉ちゃんに…」
純「全部お姉さんのためかい!」
憂「うんっ」
梓「憂も相変わらずだね…」
純「自分自身のためになる目標とかはないの?」
憂「自分自身の…」
憂「うーん…お姉ちゃんのためにがんばるのが自分自身のためにもなるかな」
純「いや…まぁいいけどさ」
純「梓は?」
梓「え?」
純「二学期の目標」
梓「私は…ギターをがんばるとか」
純「なんか普通」
梓「いいじゃん、普通でも」
純「普通はダメだよ。せっかくの目標なんだからもっと壮大な感じじゃないと」
梓「じゃあ例えば?」
純「……」
純「クラスの全員からあずにゃんって呼ばれるようになる、ってのは?」
梓「絶対イヤ」
純「ダメかぁ…良い案だと思ったんだけど」
憂(あずにゃんって呼びたいなぁ…)
梓「…軽音」
純「ん?」
梓「軽音部でライブを成功させる」
梓「それが私の目標っ!」
憂「梓ちゃん…」
純「梓は軽音部が大好きなんだね」
憂「そうなの!お姉ちゃんも梓ちゃんはすっかり軽音部色に染まったって言ってたし」
梓「そ、染まってないもん!」
純「ていうか軽音部色って?」
梓「でも先輩たちがもうちょっと真面目に練習してくれれば…」
純「そうか…梓の目標は軽音か……」
純「けいおん!」
梓「…なに?」
純「言ってみただけ」
純「そういえばさ、ひらがなで『けいおん!』って書くとなんか可愛くない?」カキカキ
憂「あっ、本当だ」
梓「…いいかも」
純「『K-ON!』」カキカキ
憂「かっこいい!」
純「なんか文字的にヴィジュアル系バンドっぽいよね」
純「そういうの挑戦してみたら?」
梓「え、遠慮しておく…」
梓(さわ子先生みたいなのは勘弁)
純「私の場合は…『ジャズけん!』になるのかな」
純「憂は…」
憂「『おねえちゃん!』」
純「結局そうなるんかい」
憂「じゃあ『ひらさわ!』」
憂「あっ、やっぱり『ゆい!』」
憂「はっ!?お姉ちゃんを呼び捨てにしちゃった!!」
憂「ど、どうしよう!呼び捨てだなんて///」
純「とりあえず落ち着きなさい」
梓「憂が壊れた」
純「『けいおん!』『ジャズけん!』『おねえちゃん!』」
純「目標もこうやって書くとゆるく見えるね」
憂「でも良いんじゃない?かわいいし」
純「そだね」
梓(ゆるい、かぁ…)
梓(そういえば高校に入ってから毎日ゆるい感じかも)
梓(そう考えると『けいおん!』って字はぴったり…)
梓「……」
梓「って、ゆるいままじゃダメでしょ私ー!!」
憂「ど、どうしたの!?」
純「今度は梓が壊れた」
純「あっ、もうそろそろ時間だ」
憂「帰らないとね」
梓「私は軽音部で打ち合わせがある」
純「私もジャズ研」
憂「そっか、二人とも頑張ってね」
純「それにしても、今日はなんか楽しかったなぁ」
純「久しぶりに二人に会えたからかも」
憂「……」
梓「……」
純「え?なに?」
憂「えへへー。寂しかったんだね純ちゃん」
純「さ、寂しい!?」
梓「ごめんね、夏休み会えなくて」
純「べ、別に寂しいとか思ってないし!!」
憂「本当は?」
純「寂しくないもん!」
梓「でも本当は?」
純「寂しくないもん!!」
梓「強がってる…」
憂「かわいいー」
梓「そういえば憂とは夏休み中しょっちゅう会ってたよね」
憂「うん、けっこう遊んだね」
純「……」
梓「律先輩に会った時はビックリりしたよ」
憂「あの時は楽しかったよねー」
憂「紬さんの執事さんが電話に出たりして」
梓「あはは、おもしろかったー」
純「あーもー!!二人ばっかりずるいー!!」
憂「やっぱり寂しかった?」
純「寂しくないもん!!」
梓「まだ言う…」
夜
梓「はぁー…久しぶりの学校疲れたなぁ」
梓「それにしても、ちょっと拍子抜けしちゃった」
梓「みんな何だかんだで変わってないんだもん」
梓「……私もか」
~♪
梓「?」
梓(純から電話だ)
梓「もしもし…」
純『あっ、梓?』
純『今すっごく眠いんだけどさ、マンガ読破した方がいいかな!?それとも寝た方がいいかな!?』
梓「……好きにして」
#9
おわり
最終更新:2010年11月13日 00:14