#10

純「高校でも遠足ってあるんだね」

憂「楽しみだね~」

梓「どこ行くんだっけ?」

純「えーと…なんとか自然公園だったと思う」

憂「結構広くて秋の紅葉がきれいなんだって」

憂「栗拾いもできるから、いっぱい取ってお土産にしなきゃ」

純「松茸も取れるらしいよ」

梓憂「うそっ!?」

純「いや…嘘だけど」

梓「驚かさないでよ!」

純「そんな驚くとは思わなくて」


バス移動中


純「おぉ~」

純「バスに乗ってるとなんかワクワクしてきた!」

憂「これから到着まで二時間だっけ」

梓「長いなぁ…」

純「わっ!ビルがいっぱい並んでる!!」

憂「バス酔いとか大丈夫?」

梓「うん、平気」

純「ねぇ、お菓子持ってきたから食べようよ!」

梓「純は楽しそうだね…」



パーキングエリア


純「うわぁ~!パーキングだよパーキング!」

憂「色々あるね~」

純「地域限定のお菓子とかもある…」

純「お土産買わない?」

憂「ふふっ、まだ早いよ」

純「でもなんかストラップを買おうとしてる人が」

憂「え?」

梓「か、可愛いからちょっと見てただけだって!」


再びバス


純「たこ焼き買ってきたよ」

梓「もう?」

純「えへへ、見てたらお腹すいちゃって」

梓「ただの休憩で寄っただけなのに…」

純「食べる?」

梓「…じゃあ一個」

純「はい、憂も」


純「焼きそばもあるからね」

梓「どんだけ買ったの!?」

純「ぐぅー」

梓「全部食べて寝ちゃった」

憂「朝早かったからご飯とか食べてこなかったのかな?」

梓「しょうがないなぁ…」

憂「あ、着いたみたい」

梓「純、公園に着いたよ。起きて」

純「う~ん…」

憂「ちゃんと朝ご飯は食べてこないとダメだよ?」

純「朝ご飯…?」

純「食べたよ」

梓「なら食べ過ぎでしょ…」

憂「わぁー!紅葉がきれい!」

梓「まっ赤だ…」

純「写メ撮ろう!写メ!」

憂「あ、うん」

憂「1+1は?」

梓純「に!」

パシャッ

純「次は私が撮るね」

純「8785-7964は?」

梓「え…えっと…」

梓「2じゃないし!?」

パシャッ

純「それにしても…本当にすごいね」

憂「このもみじ持ち帰りたいな~」

純「あっ、ドングリも落ちてる」

梓「広いなぁ…辺り一面紅葉だらけ」

憂「風も気持ちいいし、秋って感じだね」

梓「うん、なんか葉っぱの良い匂いもするし…来てよかった」

憂「きれい…怖いくらいに」

純「見て!ドングリいっぱい拾った!」

純「う~ん…歩いても歩いても、紅葉ばかり」

純「この道どこまで続いてるんだろ?」

憂「散歩しながらゆっくり楽しもうよ」

純「でも他のものも見たいな……あっ」

純「梓」

梓「なに?」

純「肩に毛虫」

梓「ひいぃっ!?」

純「あっはは!冗談だよー」

梓「こ、こら純!!」

憂「あっ、純ちゃん。肩に毛虫」

純「またまたぁ、憂が冗談なんてらしくないよ?」

憂「でも本当に…」

純「えっ」

毛虫「……」

純「ひいぃぃいっ!?」

純「あー……心臓止まるかと思った」

梓「悪いことした罰だよ」

純「すいません」

憂「あっ!見て、湖がある!!」

純「うわ…でかっ!?」

憂「周りの景色が水面に映っててきれいだね~」

梓「すごい…」

純「ネッシーとか住んでるかな」

梓「それはないでしょ」

純「なら何が住んでるの?」

梓「……モッシー」

純「は?」

梓「もみじだから…モッシー」

純「……ぷっ」

梓「なし!今のなし!!」

憂「ボートに乗れるみたいだよ」

純「じゃあ乗ろうよ!」

憂「すいません、ボート貸してください」

純「梓はボートに乗ったことある?」

梓「…ないかも」

純「じゃあ溺れないように気をつけないとね」

梓「溺れるものなの!?」

純「いや、私も乗ったことないから知らないけど」

梓「なにそれ…」

憂「ボート借りてきたよ~」

純「私漕ぐね!」

憂「お願い純ちゃん」

純「よしきた」ギィッ

純「よいしょ…よいしょ…」

梓「いいね…こういうの」

憂「うん、水面は涼しくていいね」

梓「葉っぱが浮かんでる」

憂「ふふっ」

梓「はぁ~…のんびり」

憂「秋だねー」

純(あっ、腕がヤバい)

憂「はぁ…」ウットリ

梓「ふぅ…」ウットリ

純「はぁ…はぁ…」

憂「……」

梓「……」

純「うっ…ぐぐぐ…」

憂「……」

梓「……」

純「うぅ…~~~ッ」

憂「……」

梓「……」

純「ぷはぁっ!!」

憂「代わる?」

純「お願いします…」

純「あ~…ボート疲れた」

憂「大丈夫?」

純「ちょっと休んでいこうよ」

梓「うん…歩き疲れたし」

憂「あそこでアヒルさんにエサあげられるんだって。私ちょっとやってくるね」

梓「憂は元気だなぁ…ねぇ純」

梓「……」

梓「純?」

純「私もやってくる!」

梓「あっ!?」

梓「…」

梓「ずるい!私もやる!!」

憂「えいっ」バッ

アヒル「クワックワッ」

純「おぉ!いっぱい食べてる」

梓(かわいい…)

純「アヒルって変な顔してるよね」

憂「えー、かっこいいよ?」

梓「……」

梓(どうしてこうも感性が違うのだろうか…)

アヒル「クワックワッ」

純「私もなんだかお腹すいてきちゃった」

梓「あんだけ食べたのに?」

純「歩いたりしたから平気だもん…たぶん」

憂「栗拾い行こうよ。終わった後は栗ごはんも食べられるんだって」

純「栗ごはん!?」

純「メリー栗スマス!!」

梓「……」

純「……」

憂「え?」

純(すべった…)



栗拾い


純「うわ!もう他の班は始めちゃってるよ」

梓「拾った栗は持ち帰っていいからみんな一生懸命だ…」

純「私たちもちゃっちゃとやろうか?憂」

憂「うん!!」ビシッ

純(わぁお…)

梓(すごい気合い入ってる…)

憂(栗…いっぱい拾って帰らなきゃ!!)

純「ツンツンだ…ウニみたい」

梓「痛そう…」

純「う~ん…大きいやつはどこかな」

純「あっ、梓!そこにあるよ!」

梓「えっ?本当だ」ヒョイ

純「よーし、私も…」

純「あっ!大きいドングリがある!!」

梓「栗は?」

純「あんまり拾えないもんだね」

梓「はぁ…腰が痛い」

純「年ですか?」

梓「違います」

純「あれ?そういえば憂は…」

憂「お待たせー」ドサッリ

梓(えぇーっ!?)

純(拾いすぎでしょ!?)

憂「あまり拾えなかったね」

梓純「その量で!?」


昼食


純「こ、これは…!!」

純「栗ごはん!サンマ!お味噌汁!なんかのキノコの和え物!」

純「ここに住みたい!!秋限定で」

憂「美味しそうだね~」

梓「予想以上に豪華…」

純「梓、大きい栗が入ってたからあげる」

梓「えっ…ありがとう」

梓(なんか純が優しい…)

純「じゃあそのサンマと交換ね」

梓「等価になってないー!!」

純「満腹だー幸せー」

憂「これからまた散策しよっか」

純「えー疲れたよぅ」

梓「私はどっちでも…」

憂「ならじゃんけんで決めようよ。勝った人のしたいことをするの」

純「いいよ、じゃんけん――」

三人「ポンッ!」

梓「勝った!」

純「あっち向いてホイ!」

梓(追加ルール!?しかも私が勝ったのに!?)

純「で、梓はなにしたいの?」

梓「えっ…う~ん」

憂「なんでもいいよ」

梓「うぅ~ん…」

梓(いざ決めるとなると迷う…)

梓「えっとね~…」

純「あっ!リスだ!!」

梓憂「え?」

リス「……」

梓「うわ…か…っ」

憂「かわいい~!!」

リス「……」

純「おいでー、おいでー」

リス「……」

憂「かわいいー!かわいいよ梓ちゃん!!」

梓「う、うん」ドキドキ

リス「……」タタタッ

純「あれっ!?」

憂「行っちゃった…」

純「追いかけよう!」

純「確かここにいるはず…」

梓「リスとかいるんだね、この公園」

憂「また会えないかな…」

憂「あのシッポがかわいいよね~」

梓「手足がかわいいよ」

純「口が可愛くない?」

梓「なんか私たちって、見てるところが全然違うね」

純「じゃあ全部かわいいってことで」

梓「…そんなんでいいの?」

憂「あっ、いた!」

リスA「……」

リスB「……」

リスC「……」




憂「三匹いるね」

梓「親子かな…?」

純「友達だったりして」

憂「なんか楽しそう…」

梓「……」


リスA「……」

リスB「……」

リスC「……」





純「仲良いね、あの三匹」

梓「うん」

憂「そっとしておいてあげよっか…」

純「…だね。邪魔しちゃ悪いし」


純「いやーでも可愛かったね」

憂「うん!」

梓「リスが見れただけでもラッキーだった」

純「やっぱリスと言えばあの口だね」

憂「えー?シッポもかわいいよ…」

憂「あっ、コスモス」

純「えっ?」

憂「たくさん咲いてる…きれい」

梓「ここは…花がいっぱいだね」

純「色々あるねぇ」

憂「楽しいなぁ…」

憂「おもしろいものがいっぱいあるんだもん」

純「うん、本当は最初乗り気じゃなかったけど…」

純「案外楽しめるもんだね」

梓「……」

梓(そっか、見てるものは違うけど…)

梓(楽しい気持ちは同じか)



帰りのバス


純「……」ガサゴソ

梓「なにやってるの?」

純「お土産をちょっと食べようかと…」

梓「はやっ!? 」

純「でもどうしよう…お腹いっぱいだ」

憂「あれだけ食べればそうなるよ」

純「……」

純「一口だけなら」

梓「食べるんかい」


#10
おわり



11
最終更新:2010年11月13日 00:16