#12-A
純「そっちはオッケー?」
女1「うん、できたよ」
女2「こっちも」
純「よしっ…完成!」
憂「あっ、純ちゃんできた?」
純「うん、お化け屋敷の内装はこれでバッチリ」
純「ていうか憂…かわいい~っ!」
憂「そ、そう…?」
純「うん!まさしく魔女!」
憂「純ちゃんもドラキュラの格好似合ってるよ」
純「あれ…そういえば梓は?」
憂「梓ちゃんは軽音部のほうに行ってる」
純「あぁ…なるほど」
憂「純ちゃんはジャズ研に行かなくていいの?」
純「私はあとで」
憂「そっか、ライブがんばってね!」
純「…私は出れません」
憂「あっ」
純「うぅ…いいもーん!来年は絶対に出るから!」
ジャズ研 部室
先輩「……」
先輩「……」
先輩「……」
先輩B「ビバ!」
先輩「ひゃあっ!?」
先輩B「な~にやってんですか?」
先輩「べ、別に…」
先輩B「まだ集合時間でもないのに」
先輩「……」
先輩B「あ~緊張してるんだ~」
先輩「し、してない!!」
先輩「精神統一してただけよ」
先輩B「ほうほう」
先輩「…それより、あなたの方は準備いいの?」
先輩B「私はほぼバッチリ」
先輩「なら、なんでこんな時間に部室に来てるのかしら?」
先輩「緊張してるの?」ニヤリ
先輩B「先輩をからかいに」
先輩「こらぁ!!」
先輩B「あはは、まぁ緊張せずいつも通りにやりましょうよ」
先輩B「せめて後輩にはカッコ悪いところ見せないぐらいにはね」
先輩「うっ…」
お化け屋敷
純「梓遅いね~」
憂「軽音部で大変なんじゃないかな…お姉ちゃん昨日まで風邪ひいてたし」
純「えっ、ヤバいじゃん」
憂「でも今日治ったみたい」
憂「たぶんライブには間に合うよ」
純「ドタバタだ…軽音部」
憂「そういえばこの前ね、風邪ひいたお姉ちゃんの代わりに私が練習に参加したんだ」
純「うそっ!?」
憂「私、髪の毛下ろすとお姉ちゃんにそっくりだから…」イジイジ
憂「ほらっ」
純「おー…さすが姉妹」
憂「でも失敗して…正体バレちゃった」
純「よく見分けつくね、激似なのに」
憂「そ、それは…」
憂(胸の大きさでバレたなんて言えないや…)
純「じゃあ…今日は梓と会えないのかな」
純「梓が当番のときは入れ違いだし」
憂「けどライブのときに会えるよ」
憂「純ちゃんも聴きに行くでしょ?」
純「うん、ジャズ研の演奏もあるから」
憂「お姉ちゃんたち、この日のためにいっぱい練習したんだよ~」
純「私たちなんてもっとやってるよ」
ジャズ研究 部室
先輩B「あっ、忘れた」
先輩2「どうしたの?」
先輩B「ちょっとギター忘れちゃったみたいで~」
先輩2「はぁっ!?」
先輩B「まぁ冗談なんですけどね」
先輩2「そういうのはやめて…」
先輩B「ジャズ研ジョークですよ、ジャズ研ジョーク」
先輩2「そんなジョークはない」
先輩B「…場を和ませようとしただけなんですけど」
先輩「もうすぐライブ…どうしよう…」
先輩「え~と…こういう時どうすればいいんだっけ…」
先輩「そうだ!素数を数えればいいんだ!!」
先輩B「完全にパニくってる」
先輩2「…あの子は普段ああいう子なのよ」
先輩2「いつもは部長らしく気丈にふるまってるけど…本当は気が弱いヘタレっ子」
先輩2「でも部長になったからって無理してんの」
先輩B「知ってます」
先輩「2、3、5、7…」
ガチャッ
純「おはようございまーす」
同級生「お疲れ様でーす」
先輩「31、37、41…」
純「…なにしてるんですか?」
先輩B「精神統一中」
先輩2「えらいわね、一年なのに早く来て」
純「ちょうど仕事も終わったんで」
先輩「101、103、107…」
同級生「先輩って素数数えられるんですか?すご~い」
先輩「131、137、139…」
ガチャッ
「こんにちは」
「どうもー」
ゾロゾロ
先輩B「ほら~、みんな来たよ~」
先輩「えっ」
先輩2「部長、しっかりしなさい」
先輩「……」
先輩2「最後の学園祭なのよ?」
先輩「…わかってる」
先輩2「みんな、集まって」
先輩「……コホン」
先輩「…今日の学祭はコンテスト前の予行演習みたいなものです」
先輩「でも、手はぬかないこと」
先輩「人前で演奏するんだからそれは当然よ」
先輩「今までの練習してきたことを思い出して…ミスのないように…」
先輩「真剣に!死ぬ気で!!」
先輩B「もっと気楽にやればいいのに」
先輩「いい?この学祭ライブでジャズ研の名前を広げるのよ」
先輩「私たちは演奏は素晴らしいものだって…色んな人に知ってもらうの」
先輩「私たちが頑張ればきっと認めてもらえるから、最後までしっかりね」
「「「はいっ!!」」」
先輩「出れない人もいるけど、あなた達はお客さんとして私たちのライブを楽しんでちょうだい」
「「「はい!」」」
先輩「以上!」
先輩「じゃ、舞台に出る人はまたあとで集合で」
純(先輩かっこいい!)
先輩(3037、3041、3049…)
純「ライブか…いいなー」
同級生「私たちはしょうがないっしょ、一年なんだし」
純「そうだけどさー…」
純(梓がうらやましい…)
同級生「ねぇねぇねぇ、純のクラスはなにやるの?」
純「前も言ったじゃん、お化け屋敷」
同級生「そっか、絶対行かないね」
純「来ないんだ」
同級生「だって怖がらせるのは好きだけど、怖いのは嫌いなんだもん」
純「あー…わかるわかる」
お化け屋敷
純「ただいまー」
憂「わっ!!」バッ
純「わっ!?」
憂「あはは、驚いた~」
純「ちょっ、憂!いきなりなに!?」
憂「本番前に練習しておこうかなって思って」
純「私で練習しないでよ…」
憂「ごめんごめん」
憂「それより純ちゃん、そろそろ私たちの当番」
純「はいはーい、了解しました」
律「みーおっ!」
澪「なんだよ律」
律「いま暇だろ?どっか回ろうぜ」
澪「別にいいけど…」
律「さてと、どこ行こうかな」
澪「…律、今日のライブのことはちゃんと考えてるのか?」
律「んー?」
澪「このまま唯が来ないと…」
律「…きっと来るよ。とりあえず今は学祭を楽しもうぜ」
律「あっ、お化け屋敷がある!」
澪「!?」
律「行こう!」
澪「や、やだ!」
律「よし決定!!」
澪「やだー!!」ズルズル
律「すいませーん、二人ですけどいいですか?」
女「どうぞ~」
澪「いやぁぁああ!!」ズルズル
律「えぇいっ!観念しろぃ!!」ニヤニヤ
ガラッ
純「!」
純(誰か来た!)
憂(がんばろうね!)
純(まっかせて!)
律「意外と真っ暗だなー」
澪「ははっ…もう夜になったのか」
澪「早く寝なきゃ…」
律「おーい、しっかりしろー」
律「たかが学園祭のお化け屋敷だぞー?」
澪「そ、それで本当にオバケが出たらどうするんだよ!?」
律「でねえよ」
律「そんな怖いんだったら早く進んで終わらせようぜ」
澪「うぅ…」
純(こっちに近づいてきた)
純(よーし…とびっきり驚かせよう)
純「ふふ…」
澪「な、なんか声がしなかったか!?」
律「え?聞こえなかったけど」
澪「うぅ…」
澪「オバケなんてないさ…オバケなんて嘘さ…」
律「なに歌ってんだよ」
純「ドラキュラッ!!」ババッ
澪「ひぃぃいいいっ!?」
律「うわっ、びっくりしたぁ…」
律「澪に」
澪「あわ…あわわわわっ」ガクガクブルブル
憂(よし、私も…!)
憂「わーっ!!」ババッ
澪「だーーーっ!?」
純「ドラキュラッ!!」
憂「魔女ーっ!!」
澪「……」ブクブク
澪「」ドサッ
律(ありゃー…澪のやつとうとう気絶しちゃったか)
澪「」グッタリ
純(あれ…?どうしたの?)
律(しょうがない、出口まで引きずって運ぼう…)
律「失礼しましたー」
澪「」ズルズル
純「……」
憂「……」
純「だ、大丈夫かなあの人…」
純「暗くてよく見えなかったけど、気絶した?」
憂「う、うん」
憂(ひょっとして律さんと澪さん…?)
純「すごいね私たち!お客さんを気絶させるなんて!」
純「オバケの才能あるよっ!!」
最終更新:2010年11月13日 00:21