#13
軽音部 部室


律「んじゃ、明日の練習は休みってことで」

唯「やったー!休みだー!」

唯「はっ!?でもそれじゃムギちゃんのお茶が飲めない!!」

紬「残念ねぇ」

澪「一日ぐらい良いだろ」

梓「……」

唯「あずにゃ~んっ!明日休みだよ~どうする~?」ダキッ

梓「はぇ?なんですか?」

唯「あれっ…あずにゃんなんかボーっとしてる」

梓「してませんよ」

唯「え~?してたよね、りっちゃん」

律「あぁ、まるで病におかされて病室でただジーっとしている時に空を飛んでる鳥を見て」

律「『あっ、いいなぁ。私もいつかあんな風に飛べたらなぁ』」

律「って想うか弱い少女みたいにボーッとしてた」

澪「どんな例えだ!!」

唯「うっ…うぅ…かわいそうだよぉ」

紬「早く病気が良くなるといいわねぇ…」

澪「なんでホントの話みたいになってるんだ!?」

梓「……はぁ」

律「実はその病におかされた少女は澪だったのだ!」

澪「なんで私なんだよ!」ボカッ

梓(あんなライブの後だっていうのに…先輩たちは相変わらずだなぁ…)



翌日

キーンコーンカーンコーン


梓「……」

梓「……」

梓「……」

梓「……」

梓「……はぁ」





純「梓…どうしたの?」

憂「さぁ…?」


梓「……」

憂「梓ちゃんっ!」

梓「憂…」

純「なにボケっとしてんの?」

梓「え?なにが?」

純「いや、ずっとボーッとしてるじゃん」

梓「あぁ…うん…」

梓「……」

梓「え?なに?」

純「ダメだこりゃ」

憂「あはは…」

憂「なに考えてたの?」

梓「…この前のライブのこと」

梓「なんかあれが終わったあとずっと何も考えられなくて」

純「燃えつきちゃったんだ」

梓「あー…そうなのかなぁ」

純「ほら、元気出して」

梓「……」

純「梓?」

梓「え?なに?」

純「重症だ…」



放課後


純「梓は?」

憂「あそこに…」

梓「……」

純「また黄昏てる…」

憂「梓ちゃん!!」

梓「ふにゃっ!?」

純「さっさと目覚ましなよ」

梓「さ、覚めてるよ」

憂「梓ちゃん、部活は行かないの?」

梓「あっ…今行くとこだったの!」

純「ホントに?忘れてたんじゃ…」

梓「わ、忘れてない!!」

梓「さぁ今日も部活だ、がんばろがんばろ」

梓「ファイトー!」

純「なんか無理してる感がすごい…」

憂「大丈夫かな」

梓「あっ、澪先輩!」

純「!」

澪「あぁ、梓じゃないか」

純(わっ…生澪先輩だ!!)

梓「これから部室に行くんですか?」

澪「うん?なんで?」

梓「えっ…だって今日も部活あるんじゃ…」

澪「なに言ってるんだよ、今日は休みだろ?」

澪「昨日そう伝えたじゃないか」

梓「……うっかりしてました」

澪「ライブも終わったばかりだし、ゆっくり休むんだぞ」

梓「は、はい!」

澪「じゃあ私は職員室に行かないといけないから…」

梓「おつか…」

純「お疲れ様です!!」

梓(なんで純が!?)

純「か~…っこいいね!澪先輩!!」

梓「とうぜん」フフン

純「私もいつかウチの先輩や澪先輩みたいな、かっこいいベーシストになりたいなー」

憂「なれるよ、純ちゃんなら」

純「えへへ、そう?」

梓「そういえばジャズ研は?」

純「え?私は休み」

純「今日練習があるのは大会のメンバーだけだよ」

梓「なんか本格的だ…」

純「それじゃあこれからどうしよっか?」

純「久しぶりに三人で遊ぶ?」

梓「いいよ」

憂「あっ、ごめんね。今日は早く帰らなきゃいけないの」

純「そうなんだ…それじゃあしょうがないね」

憂「本当にごめんね。また今度」

純「うん、バイバイ」

梓「バイバイ、憂」

純「なんだろ…唯先輩のお世話かな?」

梓「あはは、そうかも」

純「さてと、私たちも行こっか?」

梓「うん……で、どこに?」

純「…そういえば考えてなかった」

梓「もう…誘ったんだから考えてるかと思ったのに」

純「今考える…」

純「……」

純(ん?……そういえば梓と二人っきりで遊ぶのって初めてかも)

純「……」

梓「……」

純(どこ行こう…)

純「……」ジーッ

梓「……なに?」

純「ん?なんでも」

純(梓ってなにするのが好きなのかな…)

純「う~ん…」

梓「純?」

純「わかんないや、梓にパス」

梓「へ?」

純「梓の好きなところでいいよ」

梓「私の好きなとこって言われても…」

梓「……」

梓「純にパス」

純「えーっ…梓にパス」

梓「いや、だから純にパス」

純「パス」

梓「パス」

純「決まんないよ」

梓「決めてよ」

純「もう、梓ワガママだなぁ」

梓「ワガママって…」

純「んじゃー…適当にぶらぶらしよっか」

純「高校生らしく」

梓「なにそれ?」

純「なんか学校帰りにぶらつくのって高校生っぽいじゃん」

梓「高校生だけどね、私たち」

純「それに最近部活や学祭で忙しかったし…こういうのもいいでしょ?」

梓「まぁ…いいけど」

純「じゃ決定!行こ行こ!!」



繁華街


純「ここは相変わらずにぎやかだね」

梓「そうだね…」

梓「……」

純「またボーッとしてる」

梓「し、してないよ」

純「あっ、かわいいバッグ発見…」

純「って高っ!!」

梓「私たちの買うものじゃないね」

純「じゃあ誰が買うんだろう…」

梓「大人とかでしょ」

純「私も大人だもーん」

梓「それはどうだろう…」

純「えー…」

純「うーん…目新しいものとかないなー」

純「どこ行く?」

梓「そうだ、楽器店行こうよ!」

純「楽器?」

梓「うんっ!」

純「…好きだねぇ、梓」

梓「いいじゃん、別に」

純「まぁ他に行くとこもないし…」

純「うん、行こう」


楽器店


梓「ここに来るとなんか落ち着くよね」

純「そう?」

梓「あっ、見てみてこのモデル!かっこいいよねっ!?」

純「うん…よく分かんないけどかっこいいのは分かる」

梓「こっちはベースの限定モデルがあるよ。見ないの?」

純「…いい。自分のベース以外興味ないから」

梓「へぇ…一途なんだ」

純(本当は高いベース見るとなんか悔しいから見たくないだけなんだけどね…)

純「ふーん…」キョロキョロ

梓「なにか欲しいものあった?」

純「ん?特には…」

純「梓はなんか買わないの?」

梓「私もいいや。ネットで買った方が安いものもあるし」

純「へぇ~、梓ってネットで買い物したりするんだ」

純「私そういうのめんどそうだから使わないんだよね」

梓「簡単だよ。今度なにか買ってみれば?」

純「んー、考えておく」

純「でも別に買うものない…」

純「……あっ」

梓「なにか見つけた?」

純「これ欲しいかも」

梓「…ベースの教本?」

純「しかもDVDつきだよ!これならすぐに上達できるかも」

梓「やめときなって…絶対に続かないから」

純「そんなのやってみなきゃ分かんないじゃん!」

純「すいませーん、これくださーい」

梓(絶対無理だろうなぁ…)

純「ねぇ梓、お腹すいたし何か食べていかない?」


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最終更新:2010年11月13日 00:28