――数分後


~♪

憂「あっ、純ちゃんからだ」

憂「…へ~、和ちゃんと」

憂「いいな~」

憂「私も図書館行けばよかったかな…」

憂「でもお姉ちゃんの帰りを待たないといけないし…」

憂「……」

ガチャッ

憂「あ!」

唯「ういーただいまー」

憂「お姉ちゃんおかわり~!」パタパタ

唯「憂、はいお土産」

憂「え…これは?」

唯「ドーナツだよ」

憂「こんなにいっぱい?」

唯「あずにゃんからドーナツの割引券もらったの」

唯「対象商品は一つだったんだけど、お店に行ってみたら美味しそうなのがいっぱいあって…」

唯「おかげで割引券の意味なくなっちゃったよ~」

憂「ふふっ、お姉ちゃんったら」

憂「ご飯できてるからドーナツの前に食べよっ」

唯「うん!」

パクパクモグモグ

唯「でね~、今日あずにゃんに叱られちゃった」

唯「真面目にしないと三年生になれないって」

憂「お姉ちゃんはやればできるから大丈夫だよ」

唯「えへへ、ありがとう憂」

唯「あっ…」

憂「どうしたの?」

唯「今日のご飯も美味しいねっ」

憂「!」

憂「あ、ありがとう…」

唯「えへへ~」

憂「えへー」

唯「ふぃ~…たべたたべた」

唯「おなかいっぱいだよ~」

憂「お姉ちゃんドーナツは?」

唯「た~べ~る~」

憂「はーい」

唯「でも全部はたべれないかも」

憂「じゃあ残ったのは明日食べようね」

唯「あ~い」

唯「うん、あまいものはおいしいね~」パクッ

憂「そうだね~」

唯「ドーナツって丸くてかわいいよね。かじっちゃうのがもったいない」

憂「え?」

唯「だってこうやって食べちゃうと…」パクッ

唯「ほら、円が欠けちゃった」

唯「なんかつながってたものが離ればなれになったみたいヤだなぁ…」

憂「ふふっ、おもしろいこと考えるね」

唯「そう?でへへ」

憂(あっ、そうだ)

憂「ねぇお姉ちゃん」

唯「なに?」

憂「ドーナツ、三つもらっていい?」

唯「え?いいよ、いっぱいあるし」


唯「ういも食いしん坊だね~」

憂「これは明日の分だよ」

唯「明日?」

憂「うん、ちょっとね」

唯「ふ~ん」

憂「あっ、もうこんな時間」

唯「ほんとだ」

憂「お姉ちゃんといるとなんだか…時間が早く感じる」

唯「そうかな?」

憂「じゃあ私は勉強してるから、お姉ちゃん先にお風呂入ってて」

唯「はーい」

唯「…ねぇ、うい」

憂「なに?」

唯「勉強頑張ってね」

憂「!」

憂「うんっ!」

唯「じゃあ私、お風呂行ってくる~」パタパタ

憂「…よしっ、勉強頑張らなきゃ」

憂「……」

憂(こういう生活がずっと続けばいいな…)


――図書館


和「ふぅ…終わったわね。お疲れさま」

純「なんか…がっつり勉強しちゃいました」

和「けど、これでテストはなんとかなりそうじゃない?」

純「そうですね…あはは」

純「今日はありがとうございました」

和「じゃあ私はこれで」

純「はい、さようなら」

純「はぁー…疲れた」

純「でもいつもより勉強できたなー…」

純「さすが生徒会の人、教え方がうまい」

純「……さてと、私も帰ろ」

先輩B「あ~、図書館閉まってる~」

純「え?」

先輩「あ、純」

先輩B「ホントだ~、純がいる」

純「センパイたち…どうしたんですか?」

先輩B「なんか~この元部長が借りたい本があるとかいきなり言い出して~」

先輩B「急いで来たらこの通り図書館は閉館」

先輩B「だから間に合うわけないって言ったじゃないですか~」

先輩「…仕方ないわね。明日にしましょう」

先輩B「ちゃんと前もって借りとけばいいのに……相変わらず要領悪いな~」

先輩「うるさいっ」

先輩「純は何してたの?」

純「試験勉強を」

先輩B「えらいな~、部室で勉強してた人とは大違いだ」

先輩「アンタもしてたでしょ…」

先輩B「せっかくだし途中まで一緒に帰ろっか」

純「先輩、大学はどこ行くんですか?」

先輩「第一志望は…R大」

純「そこ結構レベル高いところじゃないですか!」

純「頑張ってくださいね!」

先輩「うん、ありがとう」

先輩B「あっ、一万円落ちてる」

純「え!?」

先輩「あんたねぇ…」

先輩B「まぁ落ちても浪人して、大学は私と同学年になるって道もありますよ」

先輩「死んでも御免よ」

先輩B「小学生のころはセー○ームーンに…」

先輩「わーーーーー!!」

純「ど、どうしたんですか?」

先輩「な、なんでもないわよ」

先輩「アンタって子は…!」キッ

先輩B「だって死んでもとか言うから…」

先輩B「ま、受かるといいですね~」

先輩B「カルボナーラでも食べて」

純「???」

先輩「もうやめて…」

先輩B「自分の言葉にはきちんと責任を持たなきゃ」

先輩「きーこーえーなーい」

純「あの…」

先輩B「ん?」

純「センパイたちって仲がいいですよね」

先輩B「そう見える?」

純「はい!」

先輩B「だってさ」

先輩「勘弁してよ……誰がアンタなんかと」

先輩B「素直じゃないな~」

先輩B「覚えておきな純。素直じゃない人って、こういう時にこっちの目を見ないんだよ~」

先輩B「恥ずかしくて直視できないから」

純「なるほど…」

先輩「純に変なことを吹き込まない!」

先輩B「私はセンパイとしてアドバイスを」

先輩「はぁ……純、この子の言うことは信じちゃダメよ?」

先輩「あなたは真面目なんだから、変な風に染まらないでね」

先輩B「私だって真面目だよ~!」

純「あははっ」

先輩「あっ…私はここで」

先輩「じゃあね二人とも」

純「お疲れさまです」

先輩B「ちゃんと寝ろよ~」

先輩「……」

先輩B「どうしたんですか?」

純「先輩?」

先輩「…ううん、別に」

先輩「帰りは気をつけてね。じゃ」

純「…行っちゃいましたね」

先輩B「うん?そだね」

純「先輩…ホントに卒業しちゃうんだ」

先輩B「誰だってそのうち卒業するでしょ」

純「そうですけど…」

先輩B「そんな悲観的になることないよ。めでたいことじゃん、無事卒業できて」

純「…そう考えればそうですね」

先輩B「私たちもそろそろ行こうか」

純「あ、はい」

先輩B「はぁ~…テストだるいな~」

純「私は今日いつも以上に勉強したんで自信あります」

純「生徒会の人に教えてもらったんですよ」

先輩B「生徒会?私あんまり好きじゃないんだよね~」

先輩B「なんかむつかしい人ばっかだから」

純「えー?そんなことないですよ」

先輩B「そう?純は交友関係広いね」

純「んー…あんまりそうは思わないなぁ」

先輩B「でもあの子とも仲良いんでしょ~?軽音部の…ほら」

先輩B「ちっちゃい子…アリサちゃんだっけ?」

純「梓ですよ」

先輩B「そうそう、それそれ」

先輩B「私、軽音部の人たちはあんまり知らないから憶測なんだけど~…」

先輩B「変な子?」

純「いや、変では…ないですよ一応」

先輩B「ふ~ん、軽音部って変わった人たちの集まりってイメージがあるからさ」

純「あ、でも……前に梓と二人で遊んだ時の話なんですけど」

純「梓って普段は真面目なんです。だから軽音部の現状に不満があるみたいで」

純「で、その日は梓の愚痴を聞いてたんですけど…」

純「梓ったら、文句言うわりには楽しそうに喋ってんですよ!」

純「本当は軽音部のこと大好きだけど口では上手く言えないみたいで」

純「あれは見てておもしろかったな~……」

純「『素直じゃないね』、って言おうとしたんですけどやめておきました」

純「そう言うと怒りそうな気がして」

先輩B「へ~」

純「しかも意地っ張りで強がりだから大変ですよ」

純「まぁ…それが梓なんですけどね」

先輩B「…純はその子のことちゃんと理解してるんだね」

純「へ?」

先輩B「大好きな友達なの?アリサちゃん」

純「え…えぇ~?」

純「…なんですかいきなり」

先輩B「楽しいんでしょ?その子といると」

純「まぁ…楽しいっちゃ楽しいですけど」

先輩B「なら大切にしなよ。気持ちが分かる相手ってのは、案外いないもんだからさ」

純「うーん…?」

先輩B「そのうち気づくよ」

先輩B「じゃ…私こっちだから~」

純「あ、お疲れさまでした」

先輩B「純~、赤点は取るなよ~」

純「はーい!」

純「ハー……」

純「帰ったら今日は早く寝よっと…」

純「……」

純「甘いもの食べたいなぁ…」

純「糖分は脳にいいって聞いたし」

純「……」

純「割引券一枚だけ残しておけばよかったかな」



――翌日


純「ようやくお昼だー」

純「早く食べようよ!」

梓「そんなあわてなくても…」

純「今日はいつもより腹すいてるんだもん」

憂「じゃあこれ持ってきて正解だったね」

純「え?」

憂「じゃーん、ドーナツ!」

憂「昨日お姉ちゃんが買ってきてくれたの」

梓「それ…私のあげた割引券で?」

純「唯先輩にあげちゃったの?割引券」

梓「一枚だけ。どうしても欲しそうな顔してたから」

純「ふ~ん…優しいなー梓は」

梓「し、仕方がなかっただけだって」

憂「お姉ちゃん喜んでたよ」

梓「そっか…」

純「よかったね梓」

梓「な、なにが!?」

純「べっつに~」

純「それじゃあ、せっかくだし食べようかな」

憂「はい、どーぞ」

梓「私も…」

純「では、いただきまーす」

パクッ

梓憂純「あまーいっ」


#15
おわり



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最終更新:2010年11月13日 00:42