――卒業式
『卒業生が入場します。拍手でお迎えください』
パチパチ パチパチ
パチパチ
パチパチ
パチパチ パチパチ
パチパチ
純(始まっちゃった…)
純「……」
純(あっ、先輩だ!)
純(かっこいいなー…やっぱり)
純(つい最近まで一緒に部活してたのに……今はなんか遠い所にいるみたい)
純「……」
純(卒業か……ずっとここにいるわけにはいかないもんね)
純(もう大人になっちゃうんだ…先輩)
純「……」
『続きまして、卒業証書授与』
―――――
―――
――
「先輩たち、卒業しちゃったね」
「あとでみんな集まろうよ」
「うん」 「この後なにする?」
「私はねー…」
純「……」
憂「卒業式終わったね~」
純「えっ…うん」
純「あー疲れたー」
梓「教室行こっか」
憂「うんっ」
純「……」
憂「純ちゃん?」
純「ん?…ああ、待って」
先輩B「やー…ようやく終わったぁ」
先輩B「長かったな~ 、校長や来賓の話なんていらないのに」
先輩A「もしかして寝てた?」
先輩B「まさか…寝かけたけど」
先輩A「しっかりしてよ、部長さん」
先輩B「部長、か……柄じゃないんだよね~」
先輩A「そう?結構お似合いだと思うけど」
先輩B「勘弁してよ~…これ以上部員が増えたりでもしたら、今よりもっと大変になるだろうし」
先輩A「けどやりがいはあるんじゃない?」
先輩B「やりがいか~……私は自分のことで精一杯なんだけどナ~」
先輩C「はぁ…なに情けないことを言ってるんだ」
先輩B「うわ、めんどくさいやつが来た」
先輩C「めんどくさいだと!?」
先輩B「なんか怒りそうだよこの人~、助けて~~」
先輩A「いやーよ」
先輩C「そんなだらしなくていいのか、部長なんだぞ!」
先輩B「副部長が部長に説教かよ~」
先輩C「お前が腑抜けてるからだ。先輩がいなくなる今、お前を躾けるのは私しかいない」
先輩B「動物じゃないんだぞ私は」
先輩C「いいか?私たちは最上級生として、後輩に模範をしめさなければいけない立場なんだぞ」
先輩C「少しはそれを自覚しろ」
先輩B「はいはい」
先輩C「返事は一回!」
先輩B「ま、私が働かない分は副部長さんが働いてくれると期待してるヨっ」
先輩C「こぉら!!」
先輩A「…新生ジャズ研究部もにぎやかになりそうね」
先輩A「ふふっ、頑張って部長さん」
先輩B「はぁー……しんどい」
先輩A「じゃ、HRが終わったら部室で」
先輩B「あいよ」
先輩C「ん?そういえばプレゼントの花束は?」
先輩B「顧問に預かってもらってる」
先輩C「そうか…」
先輩A「先輩たちに渡す時は二人で一緒に渡してね。きっと喜ぶから」
先輩B「どうかなぁ~…花なんてもらっても私は喜ばないけど」
先輩A「先輩たちは喜ぶのっ」
先輩B「は~い」
先輩A「それじゃ…またあとで」
先輩C「…今日は卒業式だってのに、いつもと変わらないなお前は」
先輩B「…私が卒業するわけじゃないし」
―― 一年生 教室
先生「―――では以上。用のない人はすみやかに下校するように」
キーンコーンカーンコーン
純「……よしっ」
憂「純ちゃん、一緒に帰ろ」
純「ごめん、これから少し用事があって…」
梓「用事?」
純「うん…」
同級生「純ー!早く行こー!」
純「あっ、ちょっと待ってて!」
憂「ジャズ研?」
純「うん、三年生の送別会みたいなもん」
梓「そっか…」
純「ごめんね、二人は先に帰ってて」
同級生「純!先輩たちが来る前に早く!」
純「分かってるて!」
純「じゃ…バイバイ」
憂「うん、バイバイ」
梓「じゃあね…」
梓「……」
憂「梓ちゃん、私たちも行こっか」
梓「あ…うん」
梓「……」
梓(純といるジャズ研の人…同い年かな)
梓「……いいなぁ」ボソッ
同級生「あ~ぁ…先輩たちとも今日でお別れかぁ」
同級生「なんだかな~…」
純「寂しいけどさ、しょうがないって」
純「先輩たち…ずっと高校にいるわけにはいかないんだし」
純「私たちは笑って見送ろうよ」
同級生「…なんか大人な考えだね」
純「そう?泣いて見送るよりはいいじゃん」
同級生「確かになー…」
純「ほら、笑顔笑顔」
同級生「こう?」
純「もっとこうだよ」
同級生「こうだ!」ニパァァ
純「それはちょっと…」
先輩B「やりすぎだナ」
純「あっ」
先輩B「部室行くの?一緒に行こうよ~」
同級生「この笑顔ならよくないですか!?ほら!」ニパァア
先輩B「…たぬきみたい」
同級生「たぬき!?」
純「ぷっ」
――ジャズ研 部室
先輩A「ではもう一度打ち合わせを」
先輩A「案内された先輩たちが扉を開け…」
先輩A「先輩たちが入ってきたところでクラッカーを――パンッと鳴らす」
純「クラッカーは私が買ってきました」
先輩A「そして、私たちが花束を渡してお祝いの言葉を…」
先輩B「大げさだな~…そこまでやる必要あるの?」
先輩C「先輩たちともコレで最後なんだから、いいだろ」
先輩B「最後…かぁ~」
先輩A「はい、じゃあみんなクラッカー持ってて」
先輩B「…クラッカーなんて久しぶりに使うな」
純「考えてみればあんまり使いませんよね」
先輩B「普通はクリスマスパーティーとかで使うんだけどナ~」
純「うちじゃそんな華やかにやりませんよ」
先輩B「恋人とはやらないの?」
純「…いないです」
純「先輩はクリスマスの時使わなかったんですか?」
先輩B「だって私バイトだったし」
純「……」
先輩B「……」
先輩B「まぁクラッカーなんて高校生のクリスマスとは無縁のものさ」
純「ですよねぇー…」
――職員室
先輩「先生、三年間ありがとうございました」
先輩2「ありがとうございました」
顧問「ん…お疲れさま」
顧問「て言っても、顧問として私は三年間力不足だったかもしれないけど…」
先輩「そんなことないです、先生が支えてくれたから…今のジャズ研があるんです」
顧問「……そう言ってもらえると嬉しいもんだ」
顧問「あんた達も三年間よく頑張ったよ。ゼロからのスタートだってのに」
先輩2「自分たちでも嘘みたいです」
先輩2「最初はどうなるかと思ったけど…」
顧問「実力だよ、ここまでやれたのは。大したもんだ」
先輩「そ、そんな…」
顧問「それじゃあ私は仕事があるからこの辺で。二人もジャズ研で集まりがあるんでしょ?」
先輩「あ…はい。では失礼します」
先輩2「ありがとうございました」
顧問「そうだ…」
先輩「なんですか?」
顧問「いつか、一緒に飲みに行こっか」
先輩「!」
先輩「はいっ!」
先輩「失礼しました」
先輩2「失礼しました」
ガチャッ…バタン
先輩「……」
先輩2「……」
先輩「いい先生だったよね」
先輩2「えぇ…あんまり練習には顔出さなかったけど、裏で色々お世話になったし」
先輩「私…お酒飲めるかな」
先輩2「あんた、すぐに酔いつぶれそうだよね」
先輩「そ、そんな弱くはない…と思う!」
「あっ、先輩ー!」
先輩「え?」
――ジャズ研 部室
先輩A「今迎えの子たちが先輩を連れてくると思うから、もうちょっと待ってて」
先輩B「はいは~い」
純「なんか緊張してきたー」
同級生「一回試しにクラッカー鳴らしてみようかな…」
純「あ~…手もとにあるとなんか鳴らしたくなるよね――…」
純「パンッ!!」
同級生「わっ!?びっくりー…ホントに鳴らしたのかと思った」
純「えへへ」
コンコン
純「!」
先輩A「来た!みんな準備して!」
先輩B「へ~い」
ガチャッ
先輩「みんな――」
「「「ご卒業、おめでとうございます!!」」
先輩「!?」
純(今だ…クラッカーを!!)
パスッ…
純「……え?」
先輩A「あれ…鳴らない」
同級生「なんで?」
先輩2「な、なに??」
先輩B「…ねぇ~これ湿気ってるよ~」
純「えっ!?」
「本当だ、こっちも」「こっちもこっちも!」
パスッ…
パスッ… パスッ…
パスッ…
先輩C「鈴木ぃ!!これはどういうことだ!?」
純「ちゃ、ちゃんとコンビニで買ったやつなのに…」
同級生「でも湿気って鳴らないよ」パスッ…
先輩B「たぶん純には…買ったクラッカーを全部湿気させる能力があるんだよ」
同級生「うわっ、このタイミングに最悪な能力」
先輩C「鈴木…お前ってやつは!!」
純「ええぇぇぇぇ!?そんなー!」
先輩「ちょっと…これなに?」
先輩B「サプライズパーチー」
先輩A「ごめんなさい…本当はクラッカーが鳴るはずだったんですけど」
先輩2「あ、うん…そうだったの」
先輩「えっと…」
先輩A「そ、それじゃあ気をとりなおして…」
先輩C「これ、お祝いの花束です」
先輩2「ありがとう」
先輩B「はいどうぞ~」
先輩「あ…」
先輩B「うん?」
先輩「……」
先輩B「どうしたんですか?」
先輩「なんか…花束に変なもの仕掛けたりしてないわよね…」
先輩B「どんだけ信用ないんだよ~!」
先輩「まぁ……ありがとう」
先輩A「それじゃあ続きまして、お祝いの言葉を――」
先輩B「純が言います」
純「え!?」
先輩A「ちょ、ちょっと…」
先輩B「いいじゃん、まずは一年代表からってことで」
先輩B「ほら純早く~」
純「そ、そんな急に無茶振りされても…」
先輩B「憧れの先輩と話せるんだから別にいいだろ~?」ボソッ
純「なんで私が先輩に憧れてるってことを…!?」
先輩B「私はなんでも知ってるのだ」
先輩B「はい、いってらっしゃ~い」ドンッ
純「わっ!?」
先輩「純…」
純「えっと…その…」
純(な、何を言えば……とりあえず感謝の気持ちを)
純「さ、三年間ご指導していただきありがとうございました!!」
先輩B「お前は三年間もお世話になってないだろ~」
純「あ…」
先輩「ぷっ…あはははは!」
純(うわああああ!やっちゃったあああああ!!)
先輩「こちらこそ、ありがとうね」
先輩「純も、他の一年のみんなも」
純「ぁぅ…」
同級生「ほら純、笑顔笑顔!」
純「い、今はムリ!」
先輩B「お疲れさん。なかなか良かったよ」
純「良くないですよ~…」
先輩A「次は部長ね」
先輩B「誰が部長だっけ」
先輩C「お前だろ!」
先輩B「は~い…」
先輩「……」
先輩B「そんじゃまぁ~…時間とらせるのも悪いから手短に」
先輩B「楽しかったですよ、一緒に部活できて」
先輩「……」
先輩B「特に先輩をイジってた時が一番楽しかったです」
先輩「…一度でいいからあんたの頭を殴りたいんだけど」
先輩B「暴力はダメですよ~」
先輩A「もうちょっとしっかりした挨拶してよー」
先輩B「そんなこと言われてもなぁ~…」
先輩2「別にいいわよこれで。あんまり湿っぽくされるとこっちも困るし」
先輩C「そ、そうですか?」
先輩B「…そうだ、もう一言」
先輩B「これは私一人だけじゃなくて、みんなの気持ちだと思うんですけど~…」
先輩B「私たちに、ジャズ研という居場所を作ってくれてありがとうございました」
先輩「……」
先輩B「…はい、挨拶はこれでおしまい」
先輩「……うん」
先輩B「……」
先輩「……」
先輩2「…ありがとね」
最終更新:2010年11月13日 00:53