京都 ホテルの一室
唯「ムギちゃんも寝ちゃった?」
律「みたいだな……唯はまだ起きてる?」
唯「んー、まだ寝れそうにないよ。もうちょっとお話ししよ」
律「だなぁ。……な、唯」
唯「んー?」
律「ちょっとこっち来てくれよ」
唯「おーらい」ズリズリ
モゾモゾ
唯「お、りっちゃんの布団ひんやりしててきもちーね」
律「お前の体温が高いだけだ。で、ちょっと耳貸せ」
唯「なんだね」
律「……なあ。私たちと、澪やムギって……違いすぎないか?」ゴニョゴニョ
唯「それはズバリストレートに言いますと……」
律「ああ。胸の話だ……」
律「それに澪やムギは私たちよりも、圧倒的にこう……女らしい」
唯「ウム、確かに」
律「でな、唯……あ、梓には内緒な」
律「こないだ澪に聞いたんだ。あいつ……昔っからよく牛乳飲んでるらしい」
唯「牛乳……そういえばお風呂でもりっちゃん飲んでたね」
律「ああ。それはひとえに……乳デカ効果を狙ってのことだ」
唯「その言語センスは無しだね」
律「るせ。それで、実はかれこれ1ヵ月くらい牛乳を飲み続けてるんだけどさ」
唯「えー、早く教えてくれたらよかったのに……」
律「悪い……けどな、実際のところ結果は見てのとおりなんだよ」
唯「かわってないね……」
律「そこで思ったんだ。もっと女らしくなる必要があるってさ」
唯「女らし、くっ……ぶぷふぅ」
律「聞けよ」
唯「ごめん、別に笑えなかった」
律「だろうな。……さて、澪やムギを女たらしめているもの……何だと思う?」
唯「なにって……分かんないな」
律「ズバリ言おう。経験だ」
唯「セックスの?」
律「お前はズバリ言うなよ」
唯「セックス」ズバリ
律「お前ぜったい経験ないな」
唯「なんで分かったの……?」
律「唯の記憶にアクセスさせてもらったんだ」
唯「りっちゃん超能力者だったんだ。エッロ」
律「で、私たちも経験を積もうと思う」
律「そうすれば絶対に澪のようなおっぱいが手に入るぞ」
唯「りっちゃん、質問」
律「どうぞ平沢さん」
唯「セックスセックスと簡単に言うけど、相手はどうするの?」
律「唯、そろそろ誰かに『三村「セックス!」』って書き込まれるぞ」
唯「りっちゃん質問に答えて。でないとセックス!」
律「まともに合わせる気のないパロディはやめろ」
律「あぁ、もう、間が悪い……相手ならここにいるだろって言いたかった」
唯「んー、あぁ……」
唯「え、えぇーっ」
律「リアクションくれてありがとうよ」
唯「質問に答えても答えなくてもセックス!」
律「一人で盛り上がってんじゃねー!」
唯「でも、りっちゃん……私たちおちんちん付いてない……あっ、ペニス。ペニスついてない」
律「修学旅行の夜ってそういうストレートな下ネタ使いたくなるよな。でもやめろ」
唯「ねぇ、ペニスないのにどうやってセックスするの? ノーペニスノーセックスだよ?」
律「あぁ。確かにそれは無理だな。だからその一歩手前までだ」
唯「それってあの……ええと……」
唯「なんだっけ、演技?」
律「深いこと言ったな。確かに本物の一歩手前だわ」
律「って違う。エッチの手前と言ったら、その……キス、だろ?」
唯「え……?」
律「え、じゃねーよ」
唯「私、あずにゃんと部室で、みんなの前でセックスしようとした……」
唯「和ちゃんとも憂ともセックスしようと……私まだ小学生だったのに」
律「あー、あー、それはセーフ! 大丈夫だ」
唯「大丈夫なことないよ、何でそんなことが言えるの!?」
律「ほら、そのぉ……一歩手前のキスは、普通のキスとはちょっと違うから……」
唯「……あ、あぁー。そっか。アレね。そっかそっか。取り乱しちゃったよ」
唯「いやーほら、私取り乱したら全然ダメじゃん? だからちょっと忘れてたよー」
律「……なぁ、唯」
唯「普段は完璧なんだけどねーマジ。知らないこととかないし。Gスポットって知ってる?」
律「知らん。いいから唯、ちょっとそのキス実際にやってみろよ」
唯「ふぇ?」
律「知ってるんだろ? 私、聞いただけでよく知らないからさ……」
唯「あ、そっか……お互いで経験積むんだったね」
律「ん……そうだ」
唯「……ちょっと、待ってね」
律「あぁ……」
唯「普通とはちょっと違う……どういう……」ブツブツ
唯「……こういうことかな?」
律「準備できたか?」
唯「うん。じゃあいくよ、りっちゃん」
律「い、いつでもこいっ」
唯「……んっ」チュ
律(あ、やわらか……)
ゴツッ
律(く、ない……)
唯「ふー、すー、ふー」
律(おもっきし歯を押し当ててきてる……)
律(これが……あの有名な、“ティースキス”……!)
律「ってやかましいわ!」スパン
唯「はうぅ!」
律「まったく……唯も経験が足らないな」
唯「うぅ……」
律「……と、とりあえず。でぃーぷきす、教えてやるから」
唯「ん……ありがと、りっちゃん」
律「じゃあちょっと待ってろ、唯……」モゾモゾ
ガチャ
唯「冷蔵庫?」
律「の中から?」
唯「牛乳、だね」
バタン
唯「……なんで牛乳?」
律「いやなに、私の見た漫画じゃコーヒーだったけど」
律「私コーヒー苦手だし、牛乳でディープキスしたら豊胸効果も増加するんじゃないかと思って」
唯「牛乳で、でぃーぷきす?」
律「あぁ。唯、体起こせ。その体勢じゃ辛いぞ」
唯「う、うん」モゾッ
律(牛乳パックにストローさしてと)
律「じゃあいくぞ……私が男役な」チュー
唯「ん……」
律「……」チュ
律(これで、舌を入れて口を開けさせて)ニュル
唯「ふぇう?」
律(ちょっとだけ舌の上に隙間をつくって、そこから牛乳を流す……)
唯「んぅ……」チュパ
律「……」ゾクッ
唯「ん?」
律(なんでもないぞ)フルフル
唯「んー……」チュウウ
律(……牛乳をこぼさないためなんだろうけど)
律(唯が唇と舌を吸ってきて……)
律(あっという間に飲まれちまった)
唯「んん」チウチウ
律(まだ……けど)グイッ
チュッ…
律「もうないって……」
唯「あう……りっちゃん」
律「ん?」
唯「……」
律「……唯?」
唯「今のが……えっと、ディープキス?」
律「ああ、これが本物らしいぞ」
唯「そっか。……なんか、えっちかったね」
律「言うなよ、恥ずかしいな……」
唯「ん……」
律「……」
律「な、唯」
唯「ねぇりっちゃん」
唯「あ、えっと……」
律(……同じ、だな)
律「もう一回、やってみるか?」
唯「……うん」コクッ
律(……牛乳、もっとでかいの買えばよかった)
チュー
唯「……」モジモジ
律(窓からの光は障子のせいですごく弱いんだけど)
律(それでも唯の息の熱さとか、荒さとかで)
律(唯の顔が真っ赤になってるっていうのは、分かる)
律「ん」
唯「……ん」
律(真っ暗な部屋で、友達が寝ている横で)
律(“友達”と、こんなことしてる……)
律(……そう思ってるんだろうな、唯は)
チュッ チュ…
唯「んっ……」チュウ
唯「ふぅ、ふ……」コクッ コクッ
律(わかってるか、唯? 私たち、友達同士でこんなキスしてるんだぞ……?)
唯「……」ゴクッ
律(……無くなった、けど)
唯「ん、ふっ……りっちゃぁん」
律「どうした、唯?」
唯「ね、もっと……」
律「……牛乳?」
唯「ん……うん、牛乳……」
律「……ああ」
チャポ
律(……ラスイチだな)
唯「あ、ねぇっ、りっちゃん」
律「ん?」
唯「今度は私がやってみていい?」
唯「りっちゃんも牛乳飲まなきゃ、意味ないし」
律「……そう、だな」
唯「じゃあ、今度はりっちゃんが上向いてね」
律「お、おう」
律(ヤバ……いざ唯にあんなことされると思うと)ドキドキ
唯「牛乳かして」
律「……ほい」
唯「うまくできなかったらごめんね?」
律「いいさ、そんなの」
唯「……」チュー…ズズッ
律(我慢、できるか……? 私)
唯「いっふぁん……」ヨタヨタ
律「ん……」ギュッ
ちゅう
律(……)
唯「……」ニュ
律(あ……舌が)ピクン
唯「んー」パシャ
タラッ…
律(そうだ、吸うんだった)
律「……」チュウゥ
唯「んふ……」
律(唯のツバが混ざった牛乳を、キスされながら唯の口から吸いだすのか)
律(……頭がくらくらする)
チュ…ズ
律(さっきまで口に入れてた牛乳と同じはずだけど……少し、甘くも酸っぱくも感じる)
律(唯の……口の中の味なのか?)コクン
唯「ぷはっ……」
唯「……もう、おしまい?」
律「牛乳は。な」
唯「……」
律(……あ)
唯「じゃあ……もっとしていいよね」
律「……」コクッ
律(でも、そのまえに唯に気持ちを伝えないと……)
唯「んぅ」ガバッ
律「むぐっ」
律(言わな、いと……好きだって)
唯「ふ、んぶっ」プチュ
律(舌、入って……口の中ぺろぺろしてる……)
ニチャ チャッ
唯「んむ、うぅ……ふ、……はぁっ」
律「ふぁっ……ひゅ、んむうぅっ」
律(なにやってんだろ……こんな舌絡めて)
律(でも、これ……気持ちいい)
チュポン…
唯「は、は……ふぅ」
律「ゆ、唯っ……」
トロッ
唯「んんむぅっ」
律「んぁ、むっ……」
チュパ チュ…
律(唇をふさがれるのは、問題じゃなかった)
律(もう、分かってるんだ。分かり合ってる)
律(牛乳のないままキスをしてしまった、この時点で……もう気持ちは通じ合ってる。けど)
律(言葉にはどうせ出せない。私たちは女同士だから)
律(女同士で好き合うなんて、変だから)
律(そのおかしな自分たちをはっきり確認しないために、好きとは言わないんだ……)
唯「んはぁ……」
律(好きと言えない代わりに……私たちはキスをする)
おわり
最終更新:2010年11月14日 03:51