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ノモス(νόμος,nomos)→一定の集団(集合)における秩序、
           およびその秩序が保たれている状態。


-2009年 12月16日 琴吹邸

唯「重いよぉ~」

律「もっと腰を入れろ腰をっ!!はっ!」

律「重いだとぉ!!だいたいお前が…」

しゃららーん。

紬「唯ちゃん、りっちゃん、こっちの首尾はどぅ?」

律「しゅい、しゅ、しゅびだと…、それ本気でいってんのか!?
  アタシの腰のあたりをみろ!!これはいわゆる奴隷的な…」

唯「こっちのせってぃんぐはおわったよぉ!」

12月16日 京都府の某市琴吹邸の第三小広場は電飾、装飾などの準備に忙しい。
いわゆる、というかまさに、クリスマスパーティの準備である。

だのに、琴吹の使用人たちの混じって、なぜか唯や律が同作業を手伝っているがみえる。
(唯のそれはかいがいしく、律のそれは面倒くさそうに)

紬「あ、ありがとう!
  後は、"ツリー"達を運び出すだけよぉ♪」


唯と律は、琴吹邸第三小広場における、
クリスマスパーティ用のセッティングを手伝っているのだ。
(今年はこの第三小広場をあわせて、琴吹邸の三箇所は数回に分け、
 クリスマスパーティに利用される。)

なぜ彼女達が琴吹家のクリスマスパーティの準備を手伝わねばならぬのか?
…それは12月15日にまで遡らなくてはならない。

2009年 12月15日放課後 音楽室にて

さわ子「はいっ!唐突ですが…

さわ子「冬休みに約十日間を残して…律ちゃん、および唯ちゃんには
    クリスマス約一週間以上前の素敵なプレゼントがありますっ!!」

律「は、はぁ…?」

唯「やったぁーーーー!!」

澪「イライラ…」

梓「…」

唯「え、さわちゃん、なにぃ!?なんのなぉー!?
  賞品はなにがもらえるの!?」

律「いや、そんなんじゃないだろ…」

律は薄々というか、必然、という言葉は今使われるんだろうな、
という覚悟のもとにある。

冬休み前、それまでに蓄積された諸テスト及び授業態度の結果…

唯「この間の文化際で全生徒を魅了した賞… さわ子「んなわけあるかこの馬鹿どもがよぉ!!!」

さわ子「おまえら、今学期の授業態度とその"素敵に予想される"結果
    についてかんがえてみろyあ!!こらぁあ!!!」

さわ子が久しぶりにキレている。
ただ事ではない。

さわ子は数枚の小片紙切れを律&唯に叩きつける。
(とはいっても、空気抵抗でふわふわ浮いてしまたが)

噛み切れどもは今学期中における二人の成績の結果だ。
両人とも、桜が丘高校高普通科二年生のワースト10に見事にランクインしている。

さわ子「いいかしら…」

さわ子「私立高校ってね、校長先生えーんど教頭先生のチカラが
    ものすんごい強いの、公立校に比べて。」

さわ子「だ、か、ら…」

さわ子「なぜか、アタシのボーナス査定にあんたら二人の成績が加味されてんのだよぉぉぉ!!!」

唯「そうなんだ!!やったねさわちゃん!!」

律「おまmmっ!?」


さわ子「ふざけなさいっ!!
    つデー判定よ!D、Dっ!!」

さわ子「A判定と※※パーセント以上の開きがあんのよっ!!」

さわ子「…ふぅ。」

さわ子「なんでアタシがあんたらの担任の連帯責任まで負わなきゃなんないじゃこらぁぁぁ!!」

さわ子「今年度は副担任で、
    問題があるクラス担当じゃないと思ったらっ!!」

桜ヶ丘高校の教員賞罰規定を唯&律が知るはずもない。

さわ子「といううことで…」

さわ子あなたち二人に罰を下します、生ビール350缶234本分の。」


さわ子「クリスマスイブ及びクリスマス、元旦だけは休みをあげます。」

さわ子「それ以外の冬休み全日は、私が指定する冬季講習講師のもと、
    補講に勤しみなさい。」

さわ子「講師陣は、秋山澪琴吹紬、真鍋和…」

さわ子「以上っ!!」

澪「はぁっ!?先生、聞いてな… さわ子「りっちゃんとゆいちゃんを甘やかしたあんた達にも連帯責任っ!!」

さわ子「日程等は講師間で自由に決めてよし。で、もし、
    年明け期末テストで二人の成績が二年生文系普通科の過半数以下なら…」

さわ子「…講師陣およびりっちゃんとゆいちゃんをアタシが自由にさせてもらうわ。」

さわ子は、紬を真バイセクシャル化したほどの性剛だ。
女生徒にとってはまず、生涯の屈辱になることは間違いあるまい。

律「んな横暴… さわ子「異議は認めません。」

さわ子「あ、ついでだから梓ちゃんも、二人について講師陣に勉強見てもらいなさい。」

梓「はぁっ!!?なんでですか!!わたし、学年上位28番…」

さわ子「あずさちゃんが "ぱいぱん" てのは本当なのかしら?
    ぜひ確かめてみたいわぁ…」

梓「!?」

さわ子の目つきが尋常ではない。

さわ子「せっかくだから、憂ちゃんも参加させましょう。」

唯「え…」

唯と律の最終評価がどっちに転んでも、さわ子にはプラスになるように、と。

そして講師陣間で協定がまとめられる。

各講師が、三日ずつで四生徒(唯、律、梓、憂)の授業を見る。

紬→16,17,18

和→19,20,21

澪→22,23,24(24日は午前中のみ)

紬→26…

という具合だ。
ちなみに冬休みに入るまで18日~23日は各講師の家に泊まりこんで講義を受けるということになった。
なので、12月16日の午後五時には、唯と律は琴吹家に滞在しているというわけ。




12月16日に戻る。
この日の放課後、"生徒"達は琴吹家のクリスマスパーティ準備を手伝っていた。

梓「紬先輩!!」

琴吹家の第16番蔵から出てきた梓が紬に呼びかける。
梓と憂も当然琴吹邸でクリスマスパーティの準備を手伝っている。

梓「なんか斉藤さんたちがツリーを出すのに手間取ってるみたいで…」

斉藤とはご存知のごとく、琴吹家の執事である。

紬「あらあら…りっちゃん、ゆいちゃん、一緒に来て頂戴♪」

律「…わか、っりましたよぉ…」

唯「了承!」

片方は渋々、もう片方は楽しげに従う。
律はまあ、今日の力仕事に辟易しているんだろう。



-琴吹家 16番蔵-

琴吹家の16番蔵は"軽音部員達がクリスマスパーティを行う"広場のすぐそばにある。

唯「これがムギちゃんちのクリスマスツリー?」

高さ3メートルほどの小ぶりなモノ、である。

律「こんなちっこいのに、人数集まっても運べないんかよ…」

唯律紬梓憂の他に、斉藤をあわせて10人ほどがツリーの周りに集まった。
斉藤以外にももちろん男性は居あわせている。

紬「斉藤、この樹を軽音部用のパーティに使うはずよね?」

斉藤「はい、ですが…」

斉藤「実は鉢植えの方に琴吹家の御家紋封印がしてありまして…」

紬「あらあら…」

おそらくは杉ノ木でできた、封印らしきもの?
(つまり板片と縄上の綱、板には牡丹をデフォルメした琴吹家の家紋と…)
がこの樹に掛かってある。

紬「…あら?」

紬は板辺に目を向ける。

この板片の、琴吹の下に、

LIGUNUM VITAE

と墨で書かれていたのだ。

紬「リグヌム・ヴィタエ?」

斉藤「はい、ラテン語のようでございます。」

斉藤「訳すれば『生命の樹』です。
   クリスマスツリーの由来の関係で、耳にしたことのある言葉ですが…」

紬「でも、この十六番蔵にあるものでしょう?」

琴吹家本宅には一~二十番までの蔵がある。
そのうちで十六番蔵には、祭事や私的パーティ用の物品が納められている。
そして、この蔵の所蔵物の存廃は、紬の父でなくとも、執事の斉藤自身の処断で行うことができる。
つまり、それほど重要の無い物品が納められているということだ。

紬「お父さんか御祖父様より上のご先祖様方が、
  外国の方より頂いたものかしらね。」

紬「だけれど、この蔵の処断が斉藤、
  あなたに任されているから…」

唯「私はこの樹を使ってあげたいなぁ…」

律「樹っていうか、これ、造花の仲間だろ?」

この樹は実際の生ある樹ではない。
モミの樹を模した卑金属とも合成樹脂とも判別のつかぬ物質で作られている。
色など見た目は実物に極めて近いが、よくよく凝らせば、贋物由来の光沢がある。

唯がこの樹に目を付けたということか。

紬「お父さんの許可も必要ないでしょう。
  封を解いてしまいなさい。」

斉藤「…」

斉藤「はっ。」

ほんの少し躊躇したあと、斉藤は封印をはずす。
そのあと、この『生命の樹』鉢植えを数人かかりでかかえて小広場に運んでいった。」
律が少し不満げに唯に、ぶつくさ、する。

律「ゆぃよぉ、あれ偽物ジャンか~」

唯「えー、ツリーに偽物も本物もないよぉ!」

唯「カワイイか、そうじゃないか、だよ!りっちゃん!!」

唯は律の言葉をかわし、広場に置かれたこの『生命の樹』の頂点へと目を向ける。
頂点のすぐそばかつ彼方には、方角も知れず夕闇の中、いくつかの星々が光を放っていた。

-二〇〇九年十二月十六日午後七時半頃ー

十六日分の作業を終え、夕食をとった後、
唯たち仮居候は入浴を終えたあたり。
琴吹家浴室、脱衣所にて(ちなみに脱衣所だけで二〇畳はある。)

唯「あずにゃんて、ホントになんにも生えてだねぇ!」

竹づくりの浅敷に腰掛けて、下着姿の唯がそう言う。

梓「…」

疲れた表情の梓。

憂「おねいちゃんっ!!失礼だよっ!!」

律「マァ、発育の度合いには個人差がありましてェ…」

"手団扇"をひらひらとさせる律も、上下、下着姿。
紬、梓、憂も同じく。

律「例を出せばさ、」

律「あの某超有名コピーライターなんてさ、
  高校生まで"チンゲ"が生えなかったらしいぞ。」

梓「…」

紬「あらあら♪」

紬はうれしそうだ。

梓「もう…いいです…」

梓は伏目。

紬「さてさて♪」

紬「艶話はお休み中、お布団の中にして…」

紬「私のお部屋でさっそくお勉強をしましょう♪」

紬がそう切り出す。

浴室を出て、紬たち一行は琴吹家の母屋、紬の私室へ向かう。
その途中の回廊のこと。

律「ずいぶんと、ヴェルサイユ宮殿みたいなお屋敷ですな!」

半分以上皮肉だ。
とはいっても、嫌味ではない。

紬「うちの母屋はヴェルサイユ宮のプチトリアノン(小宮殿)を見て感動された
  御祖父様が模して作られたのよ。」

紬の方にも嫌味は無い。


回廊の途中、そういうたわいも無いおしゃべりのなか、唯が目をとめる。

唯「この絵の人、眉毛ぶっといねぇ!!あ、となりのオジサンの絵も!」

唯が指差す絵画の下には

琴吹○○,子爵 18○○~19○○

と書かれた金属製のプレートがある。



※以降○○という記述は個人情報保護とおもっていただきたい。


唯「琴吹○○??ムギちゃんのおじーちゃんかなんか??」

律「おいおい、"なんか"て…」

紬「私のひいひいひい御祖父様よ、その左お隣がひいひい御祖父様、その又隣が…」

紬は自分の祖父までの祖先の絵画について説明する。

梓「子爵ってことは、ムギ先輩の御先祖は
  やっぱり華族だったんですか?」

梓が質問する。

紬「そう、そのとおりよ。」

紬はそれだけ答える。それ以上は続かない。
高貴さの自覚は、簡潔さか無視にあらわる、ということか。

唯「ねえ!」

唯「"かぞく"ってなんなの?"かぞく"はふつうにあるんじゃないの?」

唯の頭の中にあるのは、いわゆる"家族"だ。

憂「おねいちゃん、華族っていうのは貴族、偉い人たちのことだよ。」

そう説明する憂。


梓「お公家さんですか?」

紬「そうよ、藤氏の末端だけれどね。」

藤氏とは藤原氏一族のことだ。
まゆげ太いお公家とはこれ如何に?と、梓は続けなかった。

唯「日本にも貴族っていたの?伯爵とか独身貴族とかのことだよね??」

紬「そんなところね。」

紬は短く答える。
それ以上は言わない。
それ以上言うことが、多数の反感を招くことを紬は知っている。

唯「すっごーーーい!!
  やっぱりムギちゃんはすっごいねぇ!!!」

唯は驚きと、興味(キュリオ、というやつか)、
偉大な人物を見るような感じで紬を見る。

唯「いいなぁ!かっこいいなぁ!!」

紬は覚え返す。そう、これが唯ちゃんなのね、と。
桜高軽音部なのね、と。

律「まあまあ、ムギのじいちゃんたちがムギ似のイケ面なのはわかったから、
  はやくムギの部屋行こうぜ。」

すっきりとした律のウィンク。

紬「そぉね、ドリンクとお菓子も用意するわ♪」

紬はうれしそうにそう言う。



  • 紬の部屋-

いったいどのくらいの広さがあるんだろうか?
一年生の頃からたびたび来ている唯と律は、すでに慣れている。
梓もようやく。

琴吹家の母屋が欧風王侯貴族の館なら、紬の私室は、
一般的、と思える女子高生の私室をだだっ広くした様。
とはいえそれでも、律や澪の意見を取り入れたほうなのだが。

中央にあるテーブルで五人はお茶にする。

紬「澪ちゃんや和ちゃんも初日から来れれば良かったんだけれど…」


律「澪は冬期講習の準備もあるし、それに、なんかさ
  『この休みで律と唯を変える!』とかいってるぜ。
 『イエス、ユー、ツー、キャン!!』だってよ!」

唯「和ちゃんもねぇ、生徒会長だからねぇ…」

和は今秋に生徒会長となった。
桜高は生徒自治の気風が高いだけに、生徒会長の裁量と多さに比例し、その労苦も絶えない。
澪のことは…気にしないでおこう。

紬「澪ちゃんや和ちゃんと相談したして…
  二人も知っているように私が、二人のを教えるわ♪」

律「え?」

紬「教科関係なく三人が二人の弱点を教えるわけ♪」

律「大丈夫…なのか?」

紬「もち、大丈夫よ♪私と澪ちゃん、
  和ちゃんのをあわせて均等にお勉強できるシステムにしたから♪」


注 このSSは高校生用の学習SSではありません。


紬「梓ちゃんと憂ちゃんは二人の勉強する内容に従ってね♪」

梓「え…?」

憂「わかりましたぁ!」


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最終更新:2010年01月25日 15:31