唯「は~、今日も美味しかった~! あずにゃんは平沢家に嫁げばいいよ!」

梓「まだその話引き摺ってたんですか。あ、そういえばお隣のお婆さんに会いましたよ」

唯「え、そうなの?」

梓「お砂糖切らしちゃって買いに行くとこだったんですけど、偶然会って分けてもらいました」

唯「あ~、私も前に分けてもらったことあるよ。お婆ちゃん、やっさしいよね~」

梓「そうですね」

唯「でも私、醤油と間違えて砂糖分けてもらったんだぁ。その後、憂に返しにいってもらっちゃったよ」

梓「何かその話、聞いた覚えあります……」

唯「そうだっけ? まぁ、あずにゃんも気をつけなよ」

梓「そうそうそんな間違いはしないと思いますよ」

唯「そうかなぁ。私、しょっちゅうあるよ?」

梓「忘れないようメモしといたらどうですか? それより私は食器洗うんで、唯先輩は先にお風呂入って下さい」

唯「え~、あずにゃんも一緒に入ろうよ~」

梓「け、結構ですよ! 遠慮しておきます!」

唯「ぶー。合宿の時は一緒に入ってたじゃん」

梓「あれはみなさん一緒でしたし……二人っきりはちょっと……は、恥ずかしいです!」

唯「大丈夫だよ~。私は困らないし」

梓「私が困るんです! いいからさっさと入って下さい!」

唯「あはは~。は~い」

……

唯「じゃあお休み、あずにゃん」

梓「はい、お休みなさい」

唯「Zzz……」

梓「凄く寝付きいいなぁ」

梓「うーん、まだまだ唯先輩を真面目にするには時間が必要かな」

梓「唯先輩には悪いけど、もう少し厳しくしよう」

梓「全く、憂は甘過ぎるよ……Zzz……」

唯「」ムクリ

唯「あずにゃん、そんなこと考えてたのか~」

唯「あ、それなら」

唯「ふふ~ん、この平沢唯さんを舐めてもらっちゃいけねぇなぁ」



木曜日!


梓「(ん……唯先輩起きてる……? 時間は……まだ7時前?)」

梓「(なんで唯先輩がこんな早くに?)」

唯「んー……あずにゃんより早く起きちゃったなぁ」

唯「でも、もうすぐ起きちゃうだろうし。寝とこう!」

梓「(……一体どういう事……?)」

ピピピピピピ

梓「(あ、目覚まし鳴っちゃった)ん……と」

梓「(唯先輩は……寝てる。寝たフリ、だよね)」

梓「ゆ、唯先輩。朝ですよ、唯先輩」

唯「ん~……あずにゃん~? あと10分……」

梓「(昨日と同じ反応! まさか昨日も先に起きててわざと!?)」

梓「ほ、ほら、遅刻しますよ! 早く起きて下さい!」

唯「う~ん、仕方ないなぁ」ムクリ

梓「……」

梓「ほら、早く朝食とって下さいよ」

唯「うん、わかったよ~」ヌリヌリ

梓「……唯先輩、何してるんですか?」

唯「え? 何ってパンにジャムを……うおっとぉ! これはジャムじゃなくてごはんですよだったぁ!」

梓「……(わざとらしすぎる! 馬鹿にしてるの!?)」

唯「じゃあ行ってきま~す」バタン

梓「…………はぁ」



夏期講習会場!


律「お、唯、おっはよー。何か機嫌よさそうだな?」

唯「んふふ~、今日もあずにゃんに怒られちゃったんだ~」

澪「怒られたって、何でそれで笑ってるんだよ」

唯「だって~、怒ってるあずにゃんも可愛いんだもん。これってあれ? 好きな子にはいたずらしたくなっちゃうっていう」

律「そーゆーのは小学生の話じゃないのかぁ?」

紬「折角梓ちゃんが、心配でお世話しにきてくれてるのに悪くない?」

澪「そうだぞ、唯。梓だっていつ爆発するかわかんないぞ」

唯「えー、大丈夫だよ~。あずにゃん嫌がってても、最終的には何でもしてくれるもん」

律「うーん、そういうとこもあるかもな」

唯「でしょー?」

澪「……」

紬「澪ちゃん」

澪「ん、何?」

紬「唯ちゃんはああ言ってるけど、本当に大丈夫かしら?」

澪「私も何とも言えないけど……様子見かな? いつもの通りって言えばいつも通りだし」

紬「そうね……」

唯「みんな、じゃーねー」

律「おう、お疲れー」

紬「お疲れ様」

澪「あんまり梓に迷惑かけるなよー?」

唯「だーいじょうぶだって、澪ちゃんは心配性なんだからー」

唯「キミを見てると、いつもハートDOKI☆DOKI~♪ 揺れる思いは――お、あそこに見えるは買い物途中のあずにゃん!」

唯「お~い、あっずにゃ……あっ」

梓『もー、こんな人が多い所で大声で呼ばないで下さいよ! 恥ずかしいじゃないですか!』

唯「……ってことがあったっけ。ぬふふ~、それじゃあわざとやっちゃいますか~」

梓「今日は何作ろうかな……えっと」

唯「お~い、あっずにゃ~~ん!!」ダキッ

梓「うわわっ! ゆ、唯先輩!? いきなり何ですか!?」

唯「店の前からあずにゃんが見えたから、あずにゃんに会いにきたんだよ、あずにゃん!」

梓「ちょちょっ、そんなに大声で連呼しないで下さいよっ」

客A「あら、あの子、あずにゃんとか呼ばれてるわねぇ」

客B「姉妹かしら? 可愛らしいわぁ」

梓「――!!」

唯「? どうしたの? あずにゃん、あずにゃん?」

梓「い、いいから早く出ましょう!」タッタッタッ

唯「待ってよ~」

唯「わぁ、今日の晩御飯も美味しそうだね! いっただっきま~す」

梓「唯先輩」

唯「うん? 何~」

梓「私、前にも言いましたよね? 人前で大声で呼ばないで下さいって」

唯「え、う、うん」

梓「どうしてそんなことするんですか?」

唯「え……何か怖いよ、あずにゃん」

梓「それだけじゃないです……今朝、私より早く起きてたのにまた寝ちゃいましたよね」

梓「それでわざと遅れて起きてきたじゃないですか。昨日もそうだったんですか?」

唯「あ、あずにゃん……」

梓「私をわざと困らせて、怒らせて……た、楽しいですか?」ポロポロ

唯「あずにゃん! そ、そんなつもりじゃ……」

梓「う、うぅっ……っ」グイッ

梓「……憂が帰ってくるまでは厄介になります」

梓「でも唯先輩は私がいなくても大丈夫みたいなんで、明日からは一人で何でもやって下さい」


唯「あ、あずにゃん、私の部屋で寝ないの?」

梓「……すみません。私は憂の部屋をお借りします。お休みなさい」バタン

唯「あ……」

梓「(ちょっと言い過ぎたかな……でも……ううん、いいよ。ハッキリ言わないと唯先輩の為にもならないよ)」

梓「はぁ……」

梓「憂に怒られちゃうかな……」



金曜日!


梓「これで朝食完成、と。後は唯先輩を起こす――」

梓「はっ!? 昨日の事忘れてて二人分の朝食作っちゃった」

梓「どうしよう」

唯「あ、あずにゃん、おはよう……」

梓「あ、お、おはようございます」ササッ

唯「あ、もう朝食用意したんだ。そ、それじゃ私も自分の朝食作るね」

梓「……」

梓「仕方ない。二人分食べようかな」

梓「何か……自己嫌悪」


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最終更新:2010年11月15日 21:44