車内


紬「・・・使用人のお仕事は大変だけど、みんな優しくてこれからもがんばれそうです・・・ぷぷぷ!
  なにこれ!これが貧乏民の手紙なのね!!つまんないのー!!」

紬「はー、もっと面白いと思って見てみたけど、ヒマつぶしにもならなかったわ」

紬「あ、これ捨てといて」

運転手「はい」


律「うー寒い!」

運転手「そうでございますか?今日は温かい気がしますが」

律「そうかー!?あ、おい、なんか紙ない?」

運転手「紙、でございますか?」

律「そうそう、鼻水が・・・」

運転手「え!?あ、そうださっき紬様から貰った紙が」

律「おっ!ってこれほんとに紙だな!ま、今はそんなこと言ってられないか!」ちーん!

律「・・・あーすっきりした。・・・ってこれ手紙じゃね!?」

運転手「ええ、紬様がいらないとおっしゃたので後で処分する予定でしたが」

律「あいつが手紙・・・?」

律「って、これ!!!差出人が唯じゃねぇか!!」

律「紬のやつまたこういうこと・・・」

律「んにしても・・・鼻水まみれにしちまったぜ。どうすっかな・・・」

律「へーっくしゅん!」

唯「あ、律様!おかえりなさいませ!」

律「あ、ああ」

唯「どうしました?顔が赤いですが・・・」

律「そうかー?」

唯「ちょっと失礼しますね。・・・あ!あつ!律様熱がありますよ!!」

律「どうりでダルいと思ったぜ・・・」

唯「部屋までご案内しますね」

律「頼むよ」

律「(手紙を鼻水まみれにしちまたってこと・・・どうすっかな)」



律部屋

唯「ではおかゆを作ってきますね」

律「ああ・・・」

唯「では失礼します」

律「あ、待って」

唯「はい?」

律「最近ここいらで郵便事故が多発してるんだよ」

唯「郵便事故・・・でございますか?」

律「そうそう。よく配達人が襲われ、郵便物が奪われるんだ」

唯「物騒ですね・・・けどなんのために」

律「さ、さあそれは私にはわかんねぇけど!と、とにかく手紙は今は出さない方がいいぜ!」

唯「は、はあ・・・けど今日出しちゃいました!!」

律「おー本当か。・・・そ、そういやあ今日も郵便事故があったらしいぜ」

唯「そうなのですか!?」

律「あ、ああ」

唯「私の手紙が混ざってなければいいけど・・・、けどそれなら届かないと思っておいた方がいいですね」

律「そ、そうだな」

唯「私、学校もろくに行けなかったので文字書きが苦手で・・・。そっか、書き直しかー」

律「・・・」

律「(悪いことしちまったな・・・)」



純「郵便事故ー?」

唯「うん。律様が言ってた」

純「そんな事件聞いたことないけど・・・。まぁ律様が言うんだからそうなんでしょうね」

唯「うーん・・・」



紬「りっちゃんー、風邪平気ー?」

律「ああムギか・・・」

紬「これ、お薬よ。すぐ効くわ」

律「ああ、ありがとな」

紬「どういたしまして」

律「・・・ムギ」

紬「なぁに?」

律「人の手紙を見るなんて悪趣味だぞ」

紬「あら、知ってたの?」

律「やっぱお前なんだな・・・」

紬「やだー怒んないでよぉ。ちょっと興味があっただけ」

律「それが悪趣味っていうんだ」

紬「反省してまーす」

律「はぁ・・・」


唯「律様、おかゆをお持ちしました」

律「入れ」

唯「失礼します・・・、あ、紬様!」

紬「こんばんはー」

唯「こんばんは!あ、あのさっきは手紙ありがとうございました!」

紬「ふふふ、いいのよー!届くといいわね」

唯「はい!・・・あ、けど最近郵便事故が多発してるらしくて・・・」

律「わーーーーー!!!!!ゆ、唯!早くおかゆをくれ!!飢え死にそうだ!!」

唯「え!?あ、はい!!」

律「(・・・たく)」



数日後


街にて

唯「ふー、お使いも終わったことだし、手紙出しに行こう!」

紬「あら、唯じゃない」

唯「あ、紬様!お買い物ですか?」

紬「そんなところね。唯はお使いかしら?」

唯「はい!」

紬「そう・・・あ、手紙?」

唯「そうなんです!あれから結構経ちましたけど返事もないので、やっぱ届いてなかったんだな、と」

紬「それは残念ね」

唯「はい。けど律様から綺麗な便箋を頂きました」

紬「律ちゃんから?」

唯「はい、これです」

紬「・・・・・」

唯「つ、紬様?」

紬「あ、ごめんなさい。用を思い出したわ。行くわね」

唯「え?あ、はい!お気をつけて!」


紬「(なんであんな子にあの便箋が・・・!!!)」



屋敷内

紬「ちょっと、律ちゃんいる!?」

使用人「律様ならお部屋に・・・」

紬「・・・」

使用人「どうしたのかしら、あんなにあわてて・・・」


バタン

紬「りっちゃん!!あれはどういうことよ!!!」

律「うわ、び、びっくりしたあ!急に開けるなよ!」

紬「どうして私があげた便箋をあの子にあげるの!?」

律「便箋・・・?ああ、あれか」

紬「酷いじゃない・・・!」

律「だって私、手紙書かないし・・・それに書いてもあんな綺麗な便箋使うキャラじゃねぇだろ・・・」

紬「それでも私はりっちゃんに持っていてほしかった・・・!!」

律「便箋だって使ってもらった方が幸せだろ」

紬「便箋に幸せもないわよ!!それになんであんな子にあげるの!?」

律「あんな子って・・・唯のことか」

紬「そうよ!!!使用人のくせに、あんな代物似合わないわよ!!」

律「んなことねぇだろ、それにお前が手紙捨てるから・・・」

紬「もう知らない!!」

律「あ、おい!!」

バタン



使用人宿舎

唯「ふーいいお風呂だったー」

ガチャ


唯「・・・・え、なにこれ・・・」

梓「あ、唯さん!どうしたんですか、部屋の前で立ち止まって?」

唯「・・・」

梓「?」

唯「部屋が・・・」

梓「部屋?・・・え」

梓「なにこれ、部屋が荒らされてる・・・」

唯「・・・」

梓「どういうことですかこれ!?ま、まさか泥棒!?」

使用人1「クスクス」

使用人2「やーね、廊下で大声出しちゃって。みっともなーい」

梓「!?」

使用人1「ってなにこの部屋?きたなー」

使用人2「唯さんってだらしない方だと思ってたけどここまでとはね・・・呆れた」

唯「わ、私じゃないよ・・・」

使用人1「ふふふ」

梓「・・・何か知ってますね?」

使用人2「知らないわよ。あ、もしかして疑ってるの?」

梓「・・・」

使用人1「梓さん、最初で最後の忠告よ。唯さんから離れなさい」

梓「はぁ?」

使用人2「忠告はしたわ。・・・いきましょ」

使用人1「ええ。それでは失礼」

唯「・・・どういうこと」

梓「と、とにかく部屋片付けましょう!」

唯「う、うん・・・」

梓「(何が起きてるの・・・)」



朝・食堂

唯「(昨日はなんだったんだろ・・。って今は旦那さま達の食事の準備!)」

使用人1「えい」

唯「え、うわあああ!!!」

ばしゃあああああん

紬「きゃっ!!」

唯「いたた・・・ってあああ!!」

紬「・・・冷たい」

唯「ご、ご、ごめんなさい!!すみません!!!あああどうしよう」

梓「な、なにやってるですか!?紬様タオルを・・・!」

紬「ありがとう・・・」

唯「あう・・・」



使用人1「クスクス」



澪「お前は人に水をかけるのが好きなのか」

唯「み、澪様・・・」

澪「ふん」

唯「・・・すみません」

律「おはよー!って紬!?どうしたんだよ、その有様は・・・」

紬「水、かけられちゃった・・・・」

律「かけられた?」

唯「も、申し訳ございません・・・!わ、私が躓いて、それで・・・!」

律「あはは!朝からやってくれたなー!カレーじゃなくてよかったな!」

紬「そういう問題じゃないでしょう!」

律「ほら、ついていってやるから着替えようぜ」

紬「うん・・・」

唯「わ、私も・・・!」

紬「着いてこないで!!!」

唯「ひっ」

律「おいおい、そんな怒鳴んなくても・・・ごめんな唯」

唯「い、いえ・・・」

使用人1「クスクス、嫌われちゃったわね~」

使用人2「解雇ね、あんなことやっちゃえば解雇よ」

唯「・・・」

澪「・・・」



紬部屋


紬「最悪!!!もう最悪よおお!!」

律「お、落ちけって」

紬「落ち付けるわけないじゃない!ああ、貴重な朝の時間が!」

律「はぁ・・・」

紬「あの子、全然使えないわね!!」

律「ちょっと失敗しただけじゃねぇか・・・」

紬「ちょっとお!?この私に水をかけたのよ!解雇よ、解雇!!」

律「・・・昨日、唯の部屋が荒らされたそうだ」

紬「それが何・・・!」

律「私はお前が絡んでるとみてる」

紬「はぁ!?」

紬「なんで私が!?」

律「違うのか?」

紬「違うわよ、なんで私が!!!」

律「なら信じるぞ」

紬「え、ええ、いいわよ」

律「・・・わかった」

紬「・・・」



澪部屋

梓「今日のご帰宅時間は?」

澪「5時ごろかな。・・・そうだ」

梓「はい?」

澪「唯に言っておいてくれ」

梓「ゆ、唯にですか?(澪様が唯の名前覚えた・・・)」

澪「紬には気をつけろ、って」

梓「・・・紬様にですか?」

澪「ああ」

梓「もしかして・・・」

澪「理由はわからないが、・・・とにかく気をつけろ」

梓「はい・・・」



使用人1「あのさーそこにいたら邪魔なんだけど」

唯「邪魔って・・、私ここの掃除担当だし・・」

使用人1「なに、口答えするの?」

唯「別にそんなつもりじゃ・・・」

梓「何してるですか」

使用人1「あ、梓・・・」

梓「唯さん、ここは充分綺麗になりました。他のところの掃除頼みます」

唯「え?あ、うん」

梓「行きましょう」

唯「う、うん」

使用人1「・・・・ちっ」

梓「唯さん・・・」

唯「ん?」

梓「私は唯さんの味方です」

唯「え?あ、ありがとう」

梓「辞めないでください」

唯「え?ど、どうしたの急に」

梓「私と約束してください。使用人を辞めないと」

唯「う、うん?いいけど・・・ほんとどうしたの?」

梓「約束ですよ!?」

唯「うん!?」

梓「・・・」


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最終更新:2010年11月19日 05:17