♪♪!
律「ふぅぅー、終わったなー」

唯「つかれたねー」

澪「さすがにぶっ通しはな」

紬「ねえ、りっちゃん、りっちゃん!」

律「うん、どうした?ムギ」


紬「私、この演奏でどっちの梓ちゃんが本物か分かっちゃったかも」

唯律澪「え」

流石にムギ先輩である
そしてギターを置きながらキターとは口が裂けても言わないのが私である

律「む、ムギ、じ、実は、私もなんだ」

紬「え、りっちゃんも?」パァッ

唯「ムギちゃん、私もだよ!」

紬「唯ちゃんも!?」

澪「わ、私もだよ!」

紬「澪ちゃんまで」

澪「なんだ、みんなも」

律「さすが私達、放課後ティータイムだ!」

唯「さすがに一緒に毎日お茶してないよね」

紬「うふふ」

練習もしましょうね

唯「ねえねえ、じゃあみんなでせーので指指しっこしない?」

澪「え、でもそれじゃ…」

律「ま、いいじゃんいいじゃん」

紬「面白そうだし、いいんじゃない?」

澪「まあ、ムギもそう言うなら……」


唯「じゃあいくよ!」

ドキドキ


『せーの!!』


結果

澪・紬→梓A

唯・律→私

唯律澪紬「あれ?」


澪「……さて、今日の練習もがんばったし、そろそろ帰るか」

唯「………そ、そうだね」

律「あー疲れたー」

紬「あ、そういえば、駅前においしいお菓子屋さんが」



私「おい、待てやてめーら」


澪「それにしても、こっちの梓が本物だろ!」
 「こっちの梓Bはチョーキング全音の所が1音半くらいになってたところあるし」

紬「そう、それにミュートも少し甘かったような…」



気合入れすぎて空周りしてたのか、私

律「違う違う、梓Bはあの、なんと言うかな~」

唯「あのじゃじゃじゃじゃじゃ、じゃーんの所だよね!」

律「そうそう、そこ」
 「そのじゃじゃじゃじゃじゃ、じゃーんのタイミングがピッタリなんだよ」


私「ぐ…」
 「(なんて説得力のない)」


唯律「なんでわからないかな~?」


……
私が今立ってる場所は国境のど真ん中である
ここから左に一歩、右に一歩で
同じ人間であっても使用している語源が違う

今日も国境では
そんなお互いのコミュニケーションのため
ジェスチャーでの会話が行われている

澪「だから、言ってることがよくわからないって!」

律「だからあ」

唯「ここのジャジャーンがジャジャーーン!なんだよ!」

律「そうそう」

紬「うーん、よく分からないわ、えっと、タイミングの話よね?」

律「だからあ!」

憂「以上、現場から憂がお伝えしました」

NEWSけいおん END



律「おい、勝手に終わるな」

その後、話は至極当然に交わることなく平行線をたどったため
私達はスタジオ近くのかふえーによることになった

それにしても、理論派の人間と感覚派の人間はこうも違うものであろうか

今日、生命の神秘にひとつ触れた気がする

律「で、どうすんだ、この状況」

澪「どうすんだ、っていわれてもな…」

紬「そうねえ」

唯「ねえねえ、みてみて憂、コーラのメロンソーダ割りだよー」

律「誰かあいつを黙らせてくれ」

澪「しかし、このままってわけにもいかないだろ」

唯「そうだねえ」

律「っておまえ、さっきから話聞いてなかっただろ」

唯「えへへ」

紬「うん、じゃあとりあえず……」



ムギ先輩は今の状況に対する妥協案を提供した
それを簡単に要約すると

①よくわからない状況だから、念のために二人を離して生活させるということ
②何かの拍子で一人に戻ったときに差しさわりがないように交代交代で大学にいくこと
③先輩方と憂が二手に分かれて片方づつに付くこと

ということである

私「あの……ムギ先輩、二人を離してって言うのは具体的には?」

紬「今ここにいる私達を2手に分けて、出来れば目の届くところにおいておきたいのよね」
 「あ、みんなは大丈夫?」

律「私達は大丈夫だよな、澪」

澪「あ、ああ、そうだな」

唯「私はもちろん大丈夫だよー」

紬「そうなると、後は家だけど……」

紬「うん、一つは当然梓ちゃんの家よね」
 「大学にも通わなくちゃならないし」

 「もうひとつの家はどうしましょうか・・・」

ふむ、私の部屋と先輩方のどれか部屋を交代交代で移動するわけか

ん、ちょっと待て

ちょっと待て
ちょっと待ってって

これでは私が先輩方の部屋に行ってる間
私の部屋は先輩方とこの偽者だけになるではないか

それはまずい
それはまずいよ

机の引き出しにあれとか
ベッドの下にはこれとか
枕の下には唯先輩の…

唯「じゃあもうひとつは私の部屋でいいよ~」

紬「そう、じゃあお願いしようかしら」

律「それなら好都合だな。家も近い分楽そうだし…」
 「じゃ、次の日には私の家を提供するとして」


梓私「ちょっと待ったー!」


紬「どうしたの?梓ちゃん?」

澪「ハモってる…」

梓「どうしたもこうしたもこれは」

私「私の空いた部屋に他人が生活するって事じゃないですか!」

律「え、だって梓いるじゃん」

私梓「そのとき私はそこにいないじゃないですか!」

律「(めんどくせ)」

澪「私達だっているんだし」
 「私達を信用できないか?」

私梓「うぅ、そういうわけじゃ…」
  「(微妙に出来ない)」

唯「大丈夫だよあずにゃん!私もついてるし」

唯先輩は自分の部屋を他人に預けて私の部屋に来るつもりであろうか

憂「だ、だめだよおねえちゃん」

唯「でもでも、あずにゃんが不安がってるんだよ」

私「わ、わかりました」

梓「大丈夫ですよ、唯先輩」

私には唯先輩を犠牲にすることなどできません

律「よし、家については決まりな」

ぐ、さらっと決まってしまった

紬「で、次に、私達をどうに分けるかだけど……」

律「それじゃ、私が唯の所に行こうかな?(憂ちゃんのご飯うまいしな)」

唯「うん、いいよー」

澪「じゃあ、私がムギと組んで……」

紬「いえ、りっちゃん、澪ちゃん、それは愚作と言うものよ」ビシッ

澪「え」

律「愚作ぅう?」

紬「ええ、愚作よ」
 「何故なら」
 「私達も梓ちゃんと同じく大学には行かなくてはならない」
 「いずれか一方の梓ちゃんに付いていくと一日交代で講義に出なくてはならないことになるわ」
 「そうすれば、同じ講義を多く取っている私と澪ちゃん、そして、唯ちゃんとりっちゃんは分けるのがまず妥当」

紬「それに」

律「それに?」

紬「さっきの事があるわ」

 「中立的な憂ちゃんは別として、私と澪ちゃん、それに唯ちゃんとりっちゃんはそれぞれ別の梓ちゃんを指差した」
 「ここで私と澪ちゃん、唯ちゃんとりっちゃんが組めば、何かあったときに私達事態が対立したり、混乱する可能性が高くなる」
 「だから、少なくとも私と澪ちゃん、唯ちゃんとりっちゃんは分かれて組むべきじゃないかしら?」

紬「それに、今起こっているのは非日常的ないわば異常事態」
 「それなら、出来るだけ平静を保てるように、いつもどおりの生活の方を送った方が自然」
 「だから澪ちゃんとりっちゃん、唯ちゃんと憂ちゃんが組んだほうがいいと思うの」

律「確かに」

唯「そうかもねー」



澪「べ、別にムギは私と組みたくなかったわけじゃないよな」

紬「後は、私がどちらにつくかだけど」

澪「ムギは私達といっ」

紬「やっぱり、私は唯ちゃんたちの方かな?」


澪「」

律「うん、いいんじゃないかな」

唯「わーい、今日はムギちゃんがお泊りだよ」

憂「うん、じゃあ今日はお料理がんばっちゃうね」

唯「わーい」

律「(まあ、憂ちゃんは心配してないけど)」
 「(あの能天気な姉じゃ、まともな人間をもう一人おいたほうがいいだろ)」

紬「うん、じゃあ私達の組み合わせは決まりね」

澪「」


紬「(ぐふふ、これでまずは唯×梓待ちでのテンパイ)」
 「(そのうえ、唯×憂、憂×梓の三面張とは!)」

 「(神様、仏様、鷲頭様)」

 「(ぐふぐふ、わしのイーピンはどこじゃ?)」
 「(わしのイーピン、イーピン…)」ヨロヨロ

律「おい、ムギどうした、大丈夫か?」


私「それにしても、ここ冷房効きすぎてない?」ブルブル

梓 コクコク

憂「うん、ちょっと寒いよね」ブルッ

唯「そうかなあ?」

紬「(それにしても、澪ちゃんは一体何を考えているのか……)」

 「(りっちゃんと言うものがありながら、私と組みたいなんて)」

 「(………)」ポワーン

 「(澪×紬とか、やっぱりただのガチレズじゃねーか!)」
 「(まったく、これこそ誰得だっつーの)」プンプン

律「お、おい、ムギ、大丈夫か?」



澪「(私、ムギに嫌われるようなことしてないよね?)」ブツブツ



律「おい、ムギ」

紬「は、いけないいけない、で、後は二人の梓ちゃんがどう分けるかだけど」

律「全く、大丈夫かよ・・・?」

澪「何かいい手があるのか?」

紬「うん、その方法は」

律澪「その方法は」ゴクリ




紬「それはじゃんけんでいいんじゃない?」


ズデン!

紬「え、どうしたの?みんな?」

律「あのなあ」

澪「こんな重要なことをじゃんけんって」

紬「え」

律「えって…」

紬「だってこの梓ちゃん達は見分けがつかないでしょ?」
 「そうしたら、どちらと組んでも同じじゃないかしら?」

澪「言っていることはわかるが」

律「なんだか納得がいかない」

唯「そうかなぁ?」

唯「じゃあいくよ!」

 「じゃんけん、ぽん!」

 「あいこでしょ」

 「あいこでしょ」

 「あいこでしょ」

 「あいこでしょ」

 「あいこでしょ」


 「…………」

 「なかなか決まらないねー」ニコニコ
 「こいつらいいかげんにしろよ、チッ」ボソッ


梓私「ゆ、唯先輩……?」

唯「ん、どしたの?あずにゃん」


TAKE2

憂「ぐっとぱっ」

 「ぐっとぱっ」

 「ぱっ」

 「ぱっ」

 「ぱっ」

 「ぱっ」

 「ぱっ」ニコニコ


梓私「(憂の笑顔が怖い……)」


憂「ぱっ」ニコニコ

律「なあ、で、パーの梓がどっちにつくんだ?」

憂「ぱっ」ニコニコ

澪「さあ…」

憂「ぱっ」ニコニコ

紬「そういえば決めてなかったわね…」

憂「ぱっ」ニコニコ


ならばさっさと止めてください


TAKE3
律「じゃあこの100円で決めるぞ」
 「表が出たら梓Aが私達のほう、裏が出たら梓Aが唯達のほうな」
 「後々面倒くさくないようにこっちが表でこっちが裏な」

 「じゃあいくぞ!」

ピーン

クルクル
カツン!
コロコロ

ストン!

一般客 ヒョイ


律「あ、ああ……」グスン


4
最終更新:2010年11月22日 22:59