紬「じゃあ、梓ちゃん、あなたたちはどちらと組みたい?」

そうと言われると迷う

は、そうか
ムギ先輩のことだから
この質問には意味があるんだ

即答すべきか

答えは否である

なぜなら私はこの集団での冷静なキャラというポジションにいるからだ

ならここでとる行動はひとつ

私「そうは言われましても」

と一度言っておいてから

梓「では、私はムギ先輩達と一緒に」

かかったな、偽者め

唯「じゃあこっちのあずにゃんが私たちと一緒だね」

紬「うん、決まりね」

あれ

紬「じゃあ私達はいったん帰って、お泊りの準備してまたここにくるわね」

律「じゃあちょっとばかしまっててくれ」

澪「おい、律、待ってよ」タタタ


さくさくと話は進まなかったであるが

これからのその場しのぎの大体の流れを造れた

しかしそれにしてもさくさくと話が進まなかった


唯「それにしても、このあずにゃん達は、そっくりだねえ」

憂「うん、私も見分けが付かないよ」

梓「そんなぁ」

私からみてもそっくりなんだから
言わば他人である唯先輩や憂先輩が見分けが付かないのはもっともであろう
それにしても、これは一体どういう事なのだろうか…

唯「ごめん、私ちょっとトイレ行ってくるね」トテテ

憂「えと、梓ちゃん達、いくつか質問してもいいかな?」
 「ちょっと私も状況が把握しきれなくて……」

私「う、うん、別にいいけど……」
 「(私にやましいことはないはず……たぶん)」

憂「私達の大学に来たのはほぼ一緒の時間だよね?」
 「その間に二人が会うことはなかったの?」

梓「うーん」 
私「なかったかなぁ」

憂「えと、梓ちゃんAは今日電車で来たんだっけ?」
 「いつもは自転車なのに」

梓「うん、5限の経済学出た後にそのまま向かったんだけど」
 「今日は電車でちょっと寝過ごしちゃったから」

憂「で梓ちゃんBの方はいつもどおり自転車で来たんだよね」

私「うん、で憂に会ったんだよね」

憂「(うん、どちらも嘘を言ってるようには見えないけど……)」

唯「おまたせー」パタパタ

憂梓私 ピクッ


憂「で、その後は、梓Aちゃんは20分くらい先に教室に着いてるんだよね」
 「うーん」

私「(そうだ、ここだ!)」

 「異議あり!」ドーン!

この『中野梓』が言っていることはおかしい、矛盾しているのである
私はいつも、KO大学からの帰り道に一度家に寄って準備をしてくるのだ
何故なら、KO大学では軽音部などに所属していないから
ギターをわざわざ持って移動する理由など何もないからである
それなのに、この『中野梓』はギターを現に持っている
電車で寝過ごし、家に寄らずに直接N女子大へ向かったにも関わらずだ

私「……というわけで、裁判長、この証人の発言は矛盾していますよね」

憂「裁判長?(私のこと?)」
 「うん、もしそうならそれはちょっと変かも」


梓「え、何を言ってるの?」

私「何って」

梓「昨日、メンテナンスするのに大学の駅の所にある楽器屋にギターを預けたじゃない」
 「それを帰りに取り行ったんだけど」 

え、預けてないけど
てか、私、メンテナンス自分でやるけど

梓「やっぱり、ネックのねじれとなると自分じゃちょっと難しいかな」

え、むったんネックねじれてるの?
えっと

ああああああああ

確かにねじれてる

憂「えっと、じゃあ二人の違いは楽器屋さんにギターを預けたか、預けてないかだよね」

梓「そういうことになるね」

むったん、ごめんね

唯「あのー、私も話に混ぜてくれないかな……」



律「全く、澪は準備に時間がかかりすぎだよ」

澪「しょうがないだろ、律が早すぎるんだよ」

律「そうかぁ?」
 「っていうか、まだみんないるよな?」

ガチャ
店員「いらっしゃいませー」

律「って」

律澪「ぎょええええええ、憂ちゃんまで二人になってるーーー」

唯「(は、初めてのリアクション!)」
 「流石はりっちゃーん、澪ちゃーーーん」ダキッ

律「近寄るな」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイ…」

唯「ふぇぇぇん」


律「全く…」

憂「めっ!だよ」

唯「ごめんなさい……」

カランカラン

律「お、ムギも来たみたいだな」

憂「そうですね」



澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイ…」

律「おい」


律「じゃ、こんな時間だし、そろそろ行くか」

澪「もうこんな時間だったんだ、えっと、私達は梓のアパートに行くんだよな」

紬「うん、じゃあ何かあったらすぐ連絡ね」

律「ああ」

唯「私達もいっこっかー」

憂「そうだね、おねえちゃん」

梓「待ってくださいよ、唯先輩」タタタ

くそ、あの偽者め、ドヤ顔しやがって



ファミレスの外にて

律「で、私達は明日この梓と一緒にKO大学に行けばいいんだっけ?」テクテク

澪「ああ」テクテク

私「そういうことになりますね」テクテク

律「じゃあ明日澪は大変だなー」テクテク

澪「へ?」

澪「何で?大変なのは梓だろ?」テクテク

律「だってKO大学っていったら共学だぞ、共学!」

私「ええ…まあ」

律「共学って言ったら、欲求不満の男どもの集合体だぞ」
 「そんな中に澪みたいな小動物が足を踏み入れようものなら」

私「(何だよその偏見……)」

律「一瞬の間にとって食われてしまうであろう!」

澪「全く、なに言ってんだよ」

律「あはは」

律「で、ここが梓のアパートか」

私「はい」

澪「本当に唯のアパートから近いんだな」

私「はい」

ん、何か忘れているような

あ、そうだよ
あれやこれやそれ
後、枕の上の…の片付けだよ

私「ちょっと先輩達はここでまっててください」
 「ちょっと部屋を片付けてきますんで」ダッ

えと、アレをこうして
それをこうして
…についてはもう実物がなくても大きさから内容から何からすべてを把握している
だから片付けのプランは完璧である


律「梓って片付けられない人だったり?」

澪「まさか」


……

私「はい、どうぞ」

律「おっじゃまー!」

澪「おじゃまします」


律「おい、なんだよこのシンプルな部屋は」

澪「ベッドとギターしかない……」

ふむ、どうにかなったようだ


澪「で、梓、明日は学校は何時からあるんだ?」

梓「明日は1限からなので9時からですね」

澪「早いな」
 「って律、何やってんだ?」

律「へ、エロ本探しだけど」ガサゴソ

澪「お前は男子中学生か!」ゴン

部屋がこの状況でもやるのか

澪「じゃあ今日はもう遅いし明日にそなえて寝るか」

私「そうですね」

律「え、もう寝るの?」
 「せっかく女子大生が3人もお泊りで集まってるんだからお話しようよー」

私「では、昔々あるところにおじいさんとおばあさんが……」

律「馬鹿にすんな」

澪「じゃあ何の話が良いんだよ?」

律「んー、せっかくだから、恋バナとかぁ」

澪「恋ばなって」

私「では、律先輩からお願いします」

律「うーん」
 「特にないかな」

パチン(強制消灯)


急にこんなことになってしまったが
とりあえず今日は寝ることにしよう

律「ショウヘイヘーイ!」

……
朝起きたらこれが全部夢でしたなんて展開なら良いのだが

律「ショウフクテイ、ショウヘーイ!」

………ぷっ


―朝 チュンチュン

早起きは3文の得であるというが
誰が考えたのだろうか

今現在言えることは
二人分の体重を支えながら快眠をすることは人間には難しいということである

そして昨日の夜に借りて来たガキの使いのDVD罰ゲーム1~3巻を返さないといけないということである

さてと
目覚ましに手を伸ばす

時間は

10時30分

どうやら早起きでもなかったらしい

律「今日はもういいんじゃね?」

私「いえ、午後の講義には出ます」

私達は揃ってKO大学に向かうことにした
一瞬、いや今も心にある感情に流され学問への道を閉ざすほど
私は愚かではないのである

ここから大学の講義が終わるまでの間の話は非常に恐れ多いが割愛させていただく
何故なら、私が講義を受け
その隣で律先輩がだりぃと言い
そのまた隣で澪先輩がそれ戒め

講義の合間に澪先輩がナンパ受け
律先輩が私の澪に手を出すなーと吼え

澪先輩が、り、律などと言い律先輩を見つめ
律先輩が照れて

あ、やっぱり面倒だ

とりあえずこんな感じの展開がだらだらと続く


―帰り道

律「で、この後は私の家に来ればいいんだっけ」

澪「ああ、そのはず」

この間、唯先輩とムギ先輩からメールが入ったが
とりわけあちらの組もおかしな点はないらしい


―律先輩のアパートにて

私「おじゃまします」ペコリ

律「まー入りたまえ」

澪「何だよそれ」

律先輩の部屋を一言で表すと
律先輩らしい
が一番しっくりくるのかもしれない

律「んと、じゃあお茶でも」
 「あ、あれ、冷蔵庫にあまり物がないなあ」

律「って、梓、さっきから何ガサゴソやってるんだよ」

私「はい、とりあえずエロ本探しを」

澪「おい」

さて律先輩は今出かけている
別に棚から卑猥文書が発見され逃げ出したわけではない

食料調達である

その間、澪先輩とは色々な話をした

音楽のこと、これからのこと、律先輩のことや唯先輩のこと
澪先輩とは実に無駄なく会話が進む

え、別に味気ないなんて誰も言ってないけど?

律「たっだいまー」ガチャリ

澪「お帰りー」
 「って、お前、何を買ってきてるんだよ」

律「へ、食材だけど」

澪「その左手に持っているものは何だ…」

律「へ、お酒だけど」

律「まあまあまあまあ」

澪「まあまあって、お前なあ」

律「ま、さっさと料理でもつくっちまうか」

そういうと、律先輩は料理の準備に取り掛かった

実に手際が良い

憂には劣ろうとも、料理をするときの律先輩の手際は素晴らしいものがある
料理をしながら
使ったお皿を片付けつつ
これから使うお皿を用意して

くそ、律先輩が輝いて見えるよ
うう、これがギャップがある女というものか、そうなのか

律「はい、お待ちー」

出前のような掛け声と一緒に出てきたのはムニエルである
く、しかもそれにあわせるはさっき買ってきたらしい白ワイン

なんて、素晴らしいんだちくしょー

律「おい、ブツブツ言ってないで、冷めないうちに食べろよ」

まずは一口

お、おいしい

非の付け所がない出来である

そして魚料理と相性が良い白ワインを一口

私「ぶ」

澪「お、おい、どうした?梓?」

私「ってこれ、焼酎じゃないですか!」

律「あっはっは!」

おのれ狸め、人をだましやがって

さっきの感動を返せ


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最終更新:2010年11月22日 23:00