見ないと損です。

だってこんなにも可愛くて可憐であり
あどけなさが残っていてお茶目でキュートなお姉ちゃんだから。

私にとって最愛の人です。
それがたとえ実の姉であっても。

見てるだけで癒される――それがお姉ちゃんなのです。

今日も朝から見ましょう。
見て見ていっぱい見て頭の中に刻み込んでおきたいと思います。

今日はおやすみの日です。
いつもと違って寝坊できる日です。
でも私にはそんなのはありません。

いつもと同じ時間に起き、いつもと同じように朝食の準備をします。
ある程度整ったらお姉ちゃんを起こしに行きます。

お姉ちゃんのお部屋の扉を開けるとお姉ちゃんの匂いが薄っすらと感じます。
シャンプーやボディソープ、化粧品等等。
お姉ちゃんの身の回りのものが一つになってお姉ちゃんの匂いとなっています。

その匂いは甘くて甘くてアイスのように甘くて食べてしまいたい衝動に駆られます。

少しこころを落ち着かせ、いつものようにお姉ちゃんを起こしましょう。

でも、起こす前にお姉ちゃんの寝顔をしっかりと堪能しておきたいと思います。
なぜならいつ見ても癒されるからです。

口を半開きにして、涎を垂らして
くてんと寝ている格好は愛でたくなる気持ちにさせます

いつものように可愛い――と思いながら顔を見詰めます。

髪の毛を撫でたり、たまにほっぺたをつっついたり
鼻も指で押し付けたり、色色とイタズラをしちゃいます。

――だって可愛いから。

たまにうーうー言いながらモゾモゾ動くお姉ちゃんが堪らなく可愛いから。

そんなイタズラをいっぱいしていると、漸くお姉ちゃんが起きました。

うーいー?なんて言いながら目をぱちぱちさせて起きます。

私もおはよう!と元気よく挨拶をしました。

凄い寝癖だよと苦笑しながら言います。
もうあちこち跳ねて、笑うしかない状態です。
いったいどうやったらこんな風になるのでしょうかね。
毎日毎日不思議です。

こんど一緒に寝たときに観察でもしてみましょう。
ベッドの上で寝ながら体操でもしてそうな気がします。
いえ、もしかしたらギー太を弾いてるのかもしれません。

お姉ちゃんはおやすみだからもっと寝たいよーと言います。

そうですね。おやすみの日の二度寝は気持ちのいいものかもしれません。
けど、あまり怠けていると体に悪いです。
お姉ちゃんの体が悪くなると、私は大変悲しくなります。

風邪をこじらせた時でさえ、気が重くなるのに
それ以上の病気を発症させるのは耐えられません。

憂「ダメだよ。おやすみだからっていつまでも寝てたらダーメッ」

唯「え~」

口を尖らせて言いました。
嫌々ながら上体を起こします。

憂「ご飯用意してあるから、早く食べようね」

そう言い、腰を上げ、部屋を出ようとします。
けど、お姉ちゃんに手を引っ張られ
私はお姉ちゃんに覆いかぶさるようにベッドに倒れこみました。

憂「痛いよ、お姉ちゃん」

唯「えへへごめんね」

顔に――頬にお姉ちゃんの胸の感触。
マシュマロみたいに柔らかい感触。

お姉ちゃんの手が私の背中と後頭部に周り、私をガッチリ掴んでいます。
ドキドキと鼓動が早くなります。
お姉ちゃんからもドキドキと音が聞こえてきそうでした。

お姉ちゃんの身体はとてもあたたかいです。
冬も近づき、肌寒い季節でもお姉ちゃんは変わらずあたたかいのです。

唯「ういも寝ようよー。二度寝気持ちいいよ」

憂「でも……ご飯食べないと」

唯「ご飯は後でも食べることできるよ」

そう言いながら大きなあくびをしました。

唯「うい、ちょっと冷たい」

憂「今日も冷えるもん」

唯「じゃあ、私があたためてあげましょう」

背中と頭に回していた手を私の頬に添えました。
冷やりと冷たい感触がします。

ごめんねお姉ちゃん。お姉ちゃんの手は冷たいや。
起きたばっかりだからね。
あたたかいご飯でも食べれば直ぐにでもあったかになるのにね。

唯「おお、ういのほっぺたあたたかい!」

憂「お姉ちゃんの手が冷たいんだよ」

憂「代わりに私があたためてあげる」

両手で、お姉ちゃんの手を包み込むように触れ
そのまま私の頬にぎゅっと押し付けました。

唯「わー、あったかーい」

けらけらと子どものように笑うお姉ちゃん。
そんなお姉ちゃんを私は暖かい目で見詰めます。

憂「ほら、段々お姉ちゃんの手もあたたかくなってきたよ」

私の頬と変わらないくらいあたたかくなったお姉ちゃんの手。
キメの細かいその手は何度擦っても気持ちのいい感触でした。

そんな手が私の頬に触れている。
そう思うと自分で押し付けておいてなんですが
ちょっとばかり恥ずかしくなります。

でも、頬も身体もこころも、ぽかぽかとあたたかくなって来た気がします。
これもお姉ちゃんのおかげですね。

唯「ういは、体はもう冷たくないの?」

憂「うん、お姉ちゃんがほっぺたに手をおいてくれたから」

そっかーと言いました。
お姉ちゃんはにこにこと笑顔です。

唯「それじゃあ、もっともーっとあたたかくしてあげる」

そう言うとベッドのカバーを私の上に掛けます。
そしてそのままぎゅっと先ほどより強く抱きつかれました。
お姉ちゃんと一緒にベッドに寝ている状態です。

憂「わっ。お姉ちゃん寝ちゃダメだよ」

唯「まだ眠いもん……。ういと一緒に寝ればあたたかくなるよー」

私の胸に顔を押し付け目を瞑るお姉ちゃんは
寝る準備が万端と言えそうでした。

憂「先にご飯食べようよ。ほ~ら~」

私が何を言っても反応がなくなりました。
私の胸の中が心地よいのか、すやすやと寝息が聞こえてきます。

憂「もうっ……」

そう言いましたが別に嫌なわけじゃありません。
ただ、ご飯が冷めちゃうな――と思うばかりです。

そんななかリビングの方から
チン!と云う音が聞こえてきました。

はい、パンが焼けましたね。
今日はイチゴジャムたっぷりのパンに、目玉焼き
栄養満点の野菜サラダ。そしてオレンジジュース。

このままじゃパンも目玉焼きも覚めちゃうかな。
ふふっと苦笑してお姉ちゃんの寝顔に目を移します。

お姉ちゃんの寝顔って何でこんなにも可愛いのでしょうかね。
いつもいつも見ているけど、この疑問は解決しません。
知ってる人が居たら教えて欲しいくらいです。

お姉ちゃんの髪の毛を人差し指でくるくると絡めます。
目が覚めないのでちょっと暇です。
お姉ちゃんは離してくれそうもありません。

寝ているお姉ちゃんを見ているのもいいけど
起きて活発に動いているお姉ちゃんもいいのです。
特にギー太を弾いているお姉ちゃんは格好いいこと間違いなしですから。

文化祭でのステージ上のお姉ちゃんはとても輝いていました。
中心に立ち、みんながお姉ちゃんに注目しています。
キレイな歌声と力強いギターの演奏。
その二つがミックスされお姉ちゃんの魅力となり
私をひきつけています。

目が離せません。終わるまでずっと見ていました。
凄いですお姉ちゃんは!

なのでいつまでも寝てるわけにはいきません。
早くお姉ちゃんを起こしましょう。

憂「お姉ちゃん~」

ちょっと力強く体を揺さぶり声を掛けます。

唯「ふぇ……」

憂「はい、起きた起きた!ご飯食べる時間だよ」

唯「ねーむーいー」

いやいやと首を振りました。
うん、仕方ありません。ここは無理矢理起きてもらいましょう。

唯「わっ」

お姉ちゃんを担ぎ上げるとずしっと腕に重さが加わりました。
そのまま部屋の外まで行きます。ちょっと疲れました。
いえ、そろそろ限界です。

腕もぷるぷると震える感覚です。
お姉ちゃんは私にしがみつき言います。

唯「このままリビングまで運んでー」

へらへらと言いました。
私は苦笑いです。
お姉ちゃん途中で落っことしたらゴメンね。

ゆっくりゆっくりと階段を下りていきます。

唯「わーうい凄いー」

ありがとうお姉ちゃん。でも腕の感覚が無いんだよ。
早く下まで行かないと本当に落としてしまいそうです。

唯「ういーがんばれー」

うん。がんばる!
その言葉のおかげでがんばれるから。

まあ、そんなこんなで無事落とさずに下りれました。

憂「ふ~」

唯「ありがとう!憂!!」

憂「えへへ。どういたしまして」

憂「早くご飯食べよう。もう冷めちゃってるけど」

唯「ういのは冷めててもおいしいよー」

そんな嬉しいことを言ってくれたので
笑顔でお姉ちゃんにありがとうと言いました。

そして椅子に座り朝食を摂ります。

おいしいご飯を食べて笑顔満点。
ちょっとした雑談をしつつ食を進めます。

私の前に座るお姉ちゃんは笑顔のオーラを振りまいています。
それに触れると何だかとってもあたたかくなるのです。
朝からこれを味わえる私は幸せ者ですね。

ああ、なんでおいしい物を食べるとこんなにも笑顔になるんだろう。

お姉ちゃんのその笑顔は私と違い、一段と輝いてるようでした。
いつまでもおいしいおいしいと言い続けるようです。

作った身としては大変嬉しいばかりです。
それがお姉ちゃんに言ってもらえることがもう堪りません。

朝食を済まし、私はお皿洗いです。
お姉ちゃんは――テレビを見ていますね。
アニメかな。
尻尾の生えた変な模様の人が映っています。

ちょっと可笑しくてふふっと笑いが零れました。

洗い物を済ませ、お姉ちゃんの隣へ座り
一緒にこたつに当たりました。

リビングは広い分少し寒いです。
ぬくぬく出来るこたつは大変ありがたいのです。

お姉ちゃんはもっと寒くなるとこたつに篭り
カメのように顔だけだします。
そしてそこから動こうとしません。
どこへ行くにしてもこたつを離さない感じで――本当にカメさんみたいです。

これもまた可笑しくてついつい笑っちゃうんですよね。

ちょっと冷えた手をあたためるためにこたつの中へ手を入れました。
そして軽く触れる私の手とお姉ちゃんの手。
その手はとてもあたたかかったです。

唯「ひゃっ!」

憂「あわわっ。ごめんね」

唯「うい……手すごい冷たい。さっきはあたたかかったのに」

憂「お水に触れたからね。お湯使うとガス代かかっちゃうし」

唯「ういの手こんなに冷たくてかわいそう」

憂「もう平気だよ。こたつに当たれば直にあったまるもん」

唯「そっか。じゃあ私の手も手伝ってあげる」

そう言うとベッドの上でしたように、手を包み込んでくれました。

憂「……あったかーい」

唯「よかった」

唯「ういー。体も冷えちゃうからもっとこっちにおいで」

憂「うん」

ぴったりと寄り添うように肩を並べます。
お姉ちゃんと私の間には隙間がなくなりました。
手はお姉ちゃんが握ってくれたままです。

私は頭をちょこんとお姉ちゃんの肩に乗せました。
なんとなく、自然に頭が動いてそこについたのです。

そのまま特に何をするわけでもなく
ただただぼーっとテレビの方に顔を向けているだけでした。

ニュースキャスターの声が静かにリビングに響くと
なんとも言えない心地よさに襲われました。

催眠術にでもかかったような感覚です。

ふとお姉ちゃんに目をやると目を瞑っています。
また眠ってしまったのでしょうか。
本当によく眠るお姉ちゃんです。

でもそこが――可愛い!

はっと気付くとちょっと陽が傾いているようでした。

いったいどれだけ寝ていたんだろう。
ケイタイを開くと3時過ぎ。

うん、幾ら何でも寝すぎだよね。
やすみだからってだらけちゃいけません。

再びお姉ちゃんを起こしましょう。


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最終更新:2010年11月25日 06:59