唯「むー」
律「なぁに唸ってるんだ?」
唯「いやぁ、なんか最近物忘れがひどくて…」
律「例えば?」
唯「んー、コード忘れたり…」
律「いつものことだろ」
唯「でも、ギー太の名前も忘れちゃうこともあるの」
律「そりゃ重症だな」
唯「でも別に気にすることはないよね!」
律「そうだな」
部室
紬「今日はアイスよ~」
唯「わ~い、あいすあいす~!」
唯「りっちゃん、食べさせて~」あーん
律「赤ん坊かっ!」
唯「あ~ん、いいじゃ~ん」あーん
律「……ったく」ひょい
唯「おいひ~」
澪「ほんと、ざ・恋人って感じだな」
紬「お熱いわね~」にやにや
律「う、うるさいぞ!茶化すなっ///」
唯「いいじゃ~ん!ほんとのことなんだし~!」だきっ
律「うおわっ
ぶ、部室で抱き着くなっ!///」
唯「もうっ、りっちゃん恥ずかしがりやさんなんだから~」すりすり
律「うう…///」
紬「いいわ~和むわ~」
澪「まぁ、ほどほどにしろよ」
澪「とりあえず、練習するぞ」
唯「え~!りっちゃんともっとイチャイチャしたぃ~!」
律「そんなこと堂々というなっ…」
唯「二人きりだといつもはりっちゃんが言ってる癖n…」
律「わー!わー!」
紬「うふふふふふ」
澪「れ・ん・しゅ・う・す・る・ぞ!!」ずりずり
唯「あ~ん、いけずぅ~」
じゃじゃじゃじゃ じゃ~ん!!
澪「唯、途中から弾けてなかったぞ?」
唯「おっかしいなぁ~」
律「まぁた、忘れたんじゃないのかぁ~?
忘れっぽいからなぁ、唯は~」
唯「んもぅ!りっちゃん、意地悪ぅ!!」
律「ははははっ」
澪「また?」
律「ん?」
澪「またってなんだ?」
律「いやぁ、この前唯が最近コード忘れるって言い出してさぁ~」
澪「でも今の…
弾き慣れてる『ふわふわ』だし」
律「それでも忘れるのが唯なのさ~」
唯「もうっ!りっちゃん」
澪「………」
澪「ふう…今日はもうこんな時間だし、終わるか」
律「おっしゃあ!帰り、みんなでカラオケ行こうぜ!」
唯「え~、りっちゃんと二人がいい~」
律「なっ…」
紬「私達、お邪魔かしら♪」
澪「そうだな♪」
律「お前ら…」
唯「もう、冗談だよ冗談!」
律「…」
律「それはそれでなんか傷つくな…」ぼそ
紬「ん~?りっちゃん、なにか言ったかしら~?」にや
律「なっ、なにも言ってねえ!!」
紬「うふふふふふ」
カラオケ
唯「きみをみてるといつもはあとどきどき♪」じろじろ
律「唯、ふわふわなら歌詞みなくても分かるだろ~?歌詞も忘れちゃったのか~?」
唯「え、えへへ…
ゆれるおもいはましゅまろみたいに…」じろじろ
律「?」
澪「………」
唯「楽しかったね~!カラオケ」
律「そうだな!」
唯「今度は二人で行こうね」
律「いいぜ!」
紬「やっぱりお邪魔だったかしら♪」
律「うぁ、いや、今度もみんなで行こう!」
唯「え~!たまには二人っきりで密室にさぁ~」
律「変な言い方すんな!」
紬「うふふふふふ」
澪「………」
次の日の部室
じゃじゃじゃじゃ じゃ~ん!!
澪「(まただ……)」
律「しっかりしろよー!唯」
唯「えへへ…ごめんねぇ
楽譜よめなくて…」
澪「………」
律「よし、帰るかぁ!」
紬「うん♪」
唯「今日はアイス屋に行こう!」
澪「ごめん
律、話があるんだ
唯ムギ先帰っててくれ」
律「?」
唯「うう…まぁいいや、ムギちゃんアイス食べに行こう!」
紬「ヨシキター」
律「んで、なんだよ
話って」
澪「唯のことなんだけど」
律「ん?」
澪「いや、最近物忘れがさ…」
律「ああ、あれくらいどうってことないって
コード忘れるなんて、いつものことだし…楽譜もな」
澪「でも、歌詞さえ忘れてるって…」
律「いやー、カラオケってなんか覚えてても歌詞見ちゃうじゃん?そんな感じじゃね」
澪「んー…」
律「まぁ大丈夫だぁって!別に私達を忘れたってわけじゃないしさ
気にすることはないよ」
澪「そう、かな…」
律「そうだよ!まったく心配性だな澪は」
澪「はは…」
澪「………」
律「(あ…でも、ギターの名前を忘れてたって言ってたな…
大事なギターなのに…………まぁ気にすることはないよな)」
日曜日
律「……」ちら
唯「ごめ~ん!待ったあ~?」
律「待った待った30分も待った」
唯「りっちゃん、そこは『待ってないよ♪』って言うのが普通だよ!」
律「どんな普通だよ!
まぁいいや、とりあえず昼飯は唯の奢りな」
唯「うえ~!?」
律「ははっ、冗談だっつの」つん
唯「もうっ///」
律「じゃあ、行くか」
唯「どこだっけ?」
律「映画館だよ
昨日言っといただろ?」
唯「あ、そ、そうだったね!よし、行こう!」
律「?ああ」
律「面白かったなー!映画」
唯「う、うん!」
律「特にあのシーンがさ…ん?どした?唯」
唯「え…あ、ちょっと寝ちゃってて覚えてないや…」
律「寝てたのかよ!」
唯「ごめんね……」
律「いいよいいよ
んじゃ次、ゲーセン行こうぜ~」
唯「うん!」ぐ~
唯「あ…」
律「…とりあえず昼飯だな」
唯「えへへ///」
ファミレス
律「んじゃ、私はたらこスパゲティーで」
店員「たらこスパゲティーおひとつ」
唯「じゃぁ、私は…ちちゅ…………これください」
店員「地中海風ハンバーグですね」
唯「は、はい」
律「?あとドリンクバー二つで」
店員「かしこましりました」
ゲーセン
唯「そこ!そこ!右だよりっちゃん」
律「おう!任せろ」ぽち
がたん
律「よっしゃ!
やるよ唯!」
唯「わぁい!ありがとお♪」
律「へへ」
唯「ねえ」
律「ん?」
唯「このくまさん、なんてお名前だっけ?」
律「テディベアだろ?
唯、好きだっただろ」
唯「あ、そっか!そうだよね
ありがとね!」
律「?」
律「もう夜だなあ」
唯「りっちゃんといると時間が速いよ~」
律「へへ、私もだぜ」
唯「///」
律「んじゃ帰るか、送るよ」
唯「うん!」
律「んじゃまた明日学校でな!」
唯「へっ?がっこ…
…あ、そうだね!明日ね!」
律「?
ん、じゃあな」
唯「りっちゃん!今日は楽しかったよ!ばいばい♪」
律「おう!」
次の日の部室
澪「よし、練習するぞー」
律「おうよ!」
紬「ええ」
律「どうしたんだ?唯
まぁたコード忘れたとかかぁ?それともまだお茶してたいとか?」
唯「…てないの……」
律「ん?」
唯「ギターが…持てないの……
持ち方が……分からないの……」
律「え…」
だだっ
律「あ、待てよ!ちょ唯…」
律「唯……」
澪「律、まさか唯…ギターの持ち方を…」
律「……」
紬「…ごめん、状況がよく…」
律「ああ、実は…」
紬「そんな…私気づけなかった…」
律「……」
澪「……」
紬「…いつもの唯ちゃんだな…って…
いえ、それよりもりっちゃん、唯ちゃんを追い掛けなくていいの…?唯ちゃん、自分のギターのこと、ギー太って言ってなかった……これってかなり深刻なんじゃ…」
律「!!」だっ
澪「あっ、律!」
紬「私達も行きましょう
澪ちゃん」
澪「ああ」
唯「うう…」ぽろぽろ
律「唯!!」
唯「うう…あ、りっちゃん……」
律「大丈夫か!?」
唯「りっちゃあん!私…私……
ギターの持ち方、忘れちゃったよお……
ギターの名前も……思い出せなくて……
私、どうしちゃったんだろう………私、どうすれば………うう……」
律「唯……!
とりあえず、病院で診てもらおう!病気かもしれない!」
唯「りっちゃん…」
病院
紬「りっちゃん、唯ちゃんは!?」
律「病院だから静かにしろよ
今診てもらってる」
澪「大丈夫なのか…?」
律「わからない…」
紬「憂ちゃんは?」
律「さっき呼んだよ
もう来ると思う」
ぴっ
律澪紬「!!」
かちゃ
律「先生!唯は…」
医者「ええ、症状は分かりました
それで家族の方は?」
律「もう来ると…あ!」
憂「律さん!皆さん!
お姉ちゃんは…!?
あ、先生!お姉ちゃんは、お姉ちゃんは大丈夫なんですか!?」
紬「落ち着いて、憂ちゃん」
憂「あ…すいません…」
医者「いえ、それで症状の方ですが…」
律「逆向性健忘…?」
医者「ええ」
澪「どんな病気なんですか?」
医者「記憶がだんだん失われていくというものです」
医者「ドラマでよくある記憶喪失のようなものですね
過去の記憶がなくなっていくのです」
律「過去の、記憶…」
澪「その中に私達との記憶もあるんですよね?」
医者「はい
直にあなた達のことも…いや、すでに手遅れの可能性も…」
紬「そんなっ…!」
律「なんとかできないのかよっ!?」
澪「律、落ち着け…」
律「だってよ…!」
医者「申し訳ありませんが、少しでも記憶が失われていくのをふせぐこと以外どうすることもできません」
律「…くそっ!」
憂「お姉ちゃんに会えないんですか?」
医者「会えることは会えます…
ですが……」
律「いえ、会います」
憂「律さん…」
澪「はい、私も会います」
紬「私も」
憂「…会いたいです、お姉ちゃんに」
医者「……分かりました、こちらです」がちゃ
唯「……」
律「唯!」
唯「……」
律「大丈夫か!?唯、心配した……
…唯?」
唯「あなた…だれ?」
律「!!」
憂「お姉ちゃん…」
紬「唯ちゃん…」
唯「あ、うい~!
きてくれたの~?」
憂「え、あ…うん」
唯「このひとたち、だれ?
ういのともだち?」
憂「え…」
澪「私たちは唯の友達だよ」
律「澪…」
唯「わたしの?」
澪「うん。覚えて…ないか?」
唯「ごめんなさい」
最終更新:2010年11月25日 23:14