部室


紬「ということで、今日は唯ちゃんの入部祝いと軽音部の発足を記念してお赤飯炊いてきました~♪」

律「おぉ~…相変わらず豪華だなぁ…」

紬「和菓子もあるのよ♪」

唯「……?」

澪「ああ、ムギの家はお金持ちらしくてな、毎回こうやってお茶やお菓子を持ってきてくれるんだ」

唯「……」ナルホド

紬「じゃあお茶いれてくるわね」スタッ

唯「♪」

律「まんじゅう食べてお茶すすってると日本に生まれて良かったーっ!って思うよな」ズズズ・・・

澪「ひぃぃ……まんじゅうこわいよぅ……」ガタガタ

律「そんな古典じみた手には乗らんぞ」パクッ

澪「ちぇっ、つれないなぁ律は」

紬「あらあらうふふ♪」

唯「……」はむっ

律「あー食った食った!」

紬「お粗末様でしたぁ」

澪「ところで律…4人揃ったのはいいとして、これからどうするんだ?」

律「いかんいかん、いつの間にかムギのお菓子だけ食ってれば部が成立してるような気がしてた」

澪「まったく…武道館を目指すんだろ?部長の律がしっかりしないと」

律「そうだよな!なんてったって部長だもんなっ!」エビゾリッ

紬「りっちゃんファイト!」

唯「……」オーッ

律「とりあえず、私がドラムで澪はベース。ムギは…」

紬「私はピアノ習ってたからキーボードね♪」

澪「となると…必要なのはギターか…」

律「唯はギターとか持ってんのか?」

唯「……」ポカーン

律「あれっ…じゃあ何か弾ける楽器とかは?」

唯「……」ポクポクポク

唯「…!」チーン

唯「……」ウンタン♪ウンタン♪

澪「あははっ、カスタネットかぁ」

紬「かわいいわぁ…♪」

律「いや待て、これって笑い事なのか?」

律「つまり、唯には楽器の経験がないと…ってことはギターも持ってるはずないよな」

唯「……」

澪「ま、まぁまぁ…最初のうちはいいんじゃないか?しばらくは楽しくお茶しててもいいような気がしてきたっ!なんて…」

律「なに言ってるんだよ澪!みんなで唯のギターを買うぞっ!」

澪「えっ?」

紬「まぁ…それは楽しそうね♪」

唯「……」

律「つまり、唯には楽器の経験がないと…ってことはギターも持ってるはずないよな」

唯「……」

澪「ま、まぁまぁ…最初のうちはいいんじゃないか?しばらくは楽しくお茶しててもいいような気がしてきたっ!なんて…」

律「なに言ってるんだよ澪!みんなで唯のギターを買うぞっ!」

澪「えっ?」

紬「まぁ…それは楽しそうね♪」

唯「……」

澪「とは言ったものの…ギターを買うにはそれなりにお金がかかるけど、唯は大丈夫なのか?」

唯「……」

唯「……v」

澪「ブイ…?ああ、2万円なら持ってるってことか。でもそれじゃあちょっと心もとないな」

律「じゃあさ!バイトなんてどうだ?日払いのバイトに入ってみんなで出し合うんだ!」

紬「アルバイトっ!?わぁぁ……私、アルバイトするのが夢だったの~~♪♪」パアァァ・・・

律「ほら、ムギは大賛成みたいだし…澪だってそれでいいだろ?」

澪「まあ私は構わないけど…でも……」

唯「……」

律「そんな心配するなって!唯も一緒にできるアルバイト、必ず探しておくから!な?」

唯「……」

唯「……」コクッ

澪「なんだか本当に楽しくなってきたなっ」

紬「ええ♪」

律「それじゃ、話もまとまったことだし今日はお開きにしよーぜー!」



帰り道


律「ムギは電車だっけ?私と澪はこっちだから!」

紬「ええ、また明日ね♪」バイバイ

律「じゃなー」

澪「また明日な」

唯「……」バイバイ

~~~~~~~~~~~~~~~

律「じゃあ、唯ともここでお別れだな」

唯「……」

澪「明日また会おうなっ」

唯「……」コクリ

律「んじゃ、気ぃ付けて帰れよー!」ノシ

唯「……」ノシ


唯「……」クルッ トコトコ・・・


律「…にしても、まさか唯がしゃべれないなんてなー…」

澪「そうだな……」

律「……」

澪「…でもさ、なんだかうまくやっていけそうな気がしないか?」

澪「そ、そりゃあいろいろ大変なこととかあるだろうけど…けど私はすごくワクワクしてきたよ、本当に武道館目指せるんじゃないかって」

律「澪?急にどした、熱でもあんのか?」ペタ

澪「ちゃかすなぁ!ぁぁぁ…真面目語りした私がバカだった…///」

律「(コレだから澪をからかうのは面白い…)」フッフッフ

律「…私もそう思うよ」

澪「へっ?」

律「だから、私もそう思うって。澪の言ってることなんとなくわかるなーって思ってさ」

澪「律…」

律「それに、なんだか唯っていいやつなんじゃないかと思うんだよ。いや、もちろん嫌なやつなワケないけどさ」

澪「頼もしいな、律は。その調子で早くみんなのバイト先も探さないとな」

律「おう!」



唯の自室


唯「……」


みんな、すっごく優しい人たちだった。

私のためにいろいろ考えてくれて、楽器もできない私のことを受け入れてくれて……

なのに……

それなのに、私は……

私は…

「ありがとう」の「あ」の字すら言えないんだ……

こんなに優しくしてもらって、こんなに感謝してるのに

ありがとうも言えないなんて

そんなの悲しいよ

悔しすぎるよ……


唯「……」

唯「……」


――でも、りっちゃんの言った通り

一緒に頑張るって言ったのは私なんだ。

みんなが私のために頑張ってくれてるのに、とうの私が頑張らなきゃそれこそ迷惑だよね。

みんなの前では明るく振る舞わなきゃ。

それが、いま私にできる感謝のカタチだと思うから。

…よくわからないけど、そんな気がする。…たぶん。


――いろいろ考えてたら疲れちゃったな。

今日はもう寝ちゃおうっと…


唯「……」

パチン ゴロン・・・



翌朝


憂「お姉ちゃん、最近早起きになったね」

唯「…?」

憂「うん、だって高校生になってからお姉ちゃん、すごくしっかりしてるもん」

唯「……」

唯「……」エヘヘ・・

憂「今日ももう行くの?」

唯「……」コク

憂「そっか、気を付けて行ってきてね」

唯「……」ガッテン!


憂「(…頑張れ、お姉ちゃん)」



数日後の部活


律「突然だが、今日はみんなに大事なお知らせがあるっ!」ドーン

澪「お、なんだなんだ」

紬「まぁ…何かしら?」

律「ゴホン、えー…それはだな……」

唯「……」ドキドキ

紬「……」ワクワク

律「……」テカテカ(おでこ的な意味で)

律「実はこの前話してたバイトの件が決まったんだ!」

澪「おぉっ、やるじゃないか律」

紬「ついに私がアルバイト……」キラキラ

唯「……」パチパチ

紬「ねえねえ、それでどんなアルバイトなのっ?」

律「おう、交通量調査のバイトだよ」

澪「交通量調査…ってアレか?あの交差点とかでカウンター回してるやつ」

律「そーそー、んでもう4人分申し込んどいたから」

澪「ホントこういう時は仕事が早いよな…感心するよ」

紬「でも確かに…それならみんなでできるわよね?」

唯「……」フンス!

律「んじゃ、そういう事だから今度の土曜は12:00に学校の前集合な!」

澪「わかった。唯も予定とか大丈夫か?」

唯「……」コクッ!

紬「どんなお洋服着て行こうかしら…♪」

律「普通に私服でいいと思うぞ…」

紬「交通といえばやっぱりおまわりさん?それとも仕事だからスーツかしら……あっ、探偵風にタキシードとかいいかも~♪」

律「なぜにそんな服を持っているんだ…?」

澪「いや、そもそもそういうバイトじゃないから」



今度の土曜 校門前


唯「……」

唯「……」ソワソワ

唯「…!」

紬「唯ちゃん、おはよう」ニコッ

唯「……」チッス!

紬「りっちゃんと澪ちゃんは…まだ来てないのね?」

唯「……」コク

唯「……」ジーッ

紬「…?どうしたの…?」

唯「……」チミチミ(←服をつまむ)

紬「あ、洋服はね、いろいろ悩んだんだけど…やっぱりみんなと同じがいいかなって私服にしたの♪」

唯「……」

紬「唯ちゃんの私服もとっても可愛いわぁっ」

唯「!」

唯「……」プイッ//

紬「うふふ♪」



澪「おはよう、唯にムギ」

律「結局ムギは普通の恰好か…内心なに着てくるのかと思ってヒヤヒヤしたよ」

紬「あはは…それ唯ちゃんにも言われちゃった」

律「だろうな」ハハッ

唯&澪「……(でもちょっと見てみたかった…)」



バイト


ガーッ カチッ

ブロロロ・・・ カチッ

唯「……」

ドドドド カチッ

ブーン カチッ

紬「……」


律「向こうの2人はやる気が違うな…」

澪「唯は自分のことだし、ムギはバイトするのが夢だったくらいだからな」


律「……」カチ

律「ふぁぁ……」カチ

律「……」カチ

律「暇だなぁおぃ……」カチ

澪「バイトだからそれでいいんだ」カチ

律「……」カチ

律「オチも無いけどいいのか?」カチ

澪「バイトだからそれでいいんだ」カチ

律「……」カチ

澪「カチカチすることに価値があるってね」カチ

律「それがオチ?」カチ

澪「……忘れてくれ」カチ


そんなこんなで終了


律「いや~、お疲れさん!」

紬「ちょっと疲れたけどすっごく楽しかったわぁ♪」

唯「……」クタッ・・・

紬「ふふ、唯ちゃんもお疲れ様」

澪「なんだかんだでいいお金にはなったな」

律「うし、じゃあ一仕事したところでスウィーツでも食べに行くかぁ!?」

紬「はい!賛成ですりっちゃん隊長!」

唯「♪」ゴー!

澪「こらこら…せっかく稼いだのに無駄遣いするなんて私は反対だぞっ」

律「そうか?んじゃ3人で行こうぜ!澪もお疲れ、また明日な!」

紬「お疲れ様♪」

唯「……」バイバイ♪

律「ドコにする?近くのファミレスで――」


澪「え、あの…ちょ……」


澪「私も行く~~っ!!」ダッ



さらに数日後


律「よーし!じゃあ今日はお待ちかね、唯のギターを買いにGOだっ!」

紬「私の知り合いがやっているお店があるの。そこへ行きましょ♪」

澪「(めちゃくちゃ豪華な楽器屋だったりしないだろうな…)」

唯「……」wktk

律「唯もこの日のために下調べはバッチリだよなぁ!?」クワッ

唯「……」ブンブン

律「ですよねー」


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最終更新:2010年11月29日 21:42