紬「え?」
律「はっ!」
律(いったい私はなにを言ってるんだ?
ムギがかわいい? いや、それはある意味世界の真理と言っても過言でもないけど)
紬「りっちゃん。はあはあしてるけど大丈夫?」
律「ああ、全然。いやあ相変わらずムギはかわいいなあ!」
紬「え?」
律「あ゛?」
紬「り、りっちゃん……?」
律「い、いや違う! ムギのイれるお茶は美味しいなあって言ったんだよ! う、うははは……」
紬「そうなの? ごめんなさい。もっとべつのなにかに聞こえたから」
律「気のせい風のせい北極星」
紬「りっちゃん汗やたらかいてるけど……」
律「いやあ今日は暑いなあ!」
律(冷や汗が止まらない!)
律(落ち着け私! ムギがかわいいのは今に始まったことじゃない!)
紬「はい、りっちゃん。今日のお菓子はラスクなんだけど、どの味がいい?」
律「えっと……プレーン味で」
紬「はい、どうぞ」
ぴとっ
律「む、むぎゅううううううううっっ!」
紬「りっちゃん!?」
律(ムギの指の先っちょが私の手に……って、なにをパニクってんだ!?)
紬「今日のりっちゃんなにかおかしい気がするんだけど」
律「そ、そんなことはない! 私はいたって正常だって」
紬「そう? なんだか悪い薬でも飲んだみたい……」
律「とんでもありません。私、
田井中律は
琴吹紬様に誓って絶対に麻薬とタバコはやりません」
紬「そ、そう?」
律「ああ、だからムギ」
紬「なあに?」
律「結婚してくれ」
紬「……え?」
律「え゛?」
律(ぐわあああああああああああ私はなにをほざいてんだああああああ)
紬「やっぱり今日のりっちゃんはおかしいと思うの」
律「うん。さすがに私もこれはおかしいかもしれない」
紬「ちょっといい?」
律「ん?」
ぴとっ
律「!!!!????」
律(私とムギのおでこが触れ合っているだと!?)
紬「……うーん、少し熱があるかも」
律「あ、あばばばばば……」
紬「りっちゃんの顔色が赤を通り越して土気色になってる……!」
律「だ、大丈夫だ! 私はいたって正常だ!」
紬「でも……」
律「大丈夫! 大丈夫だから信じて!」
ガチャ
澪「お待たせ」
唯「掃除疲れたよ~。今日のお菓子はなに、ムギちゃん?」
紬「今日のお菓子はラスクだよ」
唯「むーぎちゃん♪」ダキッ
紬「きゃっ」
律「!!」
澪「珍しくムギに抱き着いてるな、唯」
唯「だって今日あずにゃんお休みなんだもん」
紬「うふふ。唯ちゃんあったかい」
唯「ムギちゃんはもっとあったかいよ」
律「ユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネユイシネ
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澪「律?」
律「……はっ! また私としたことが!」
澪「?」
律(本当に今日の私はどうしてしまったんだ?
ちょっとこれはやばいかも)
澪「なんか様子が変だけど大丈夫か?」
律「うるせー。私は大丈夫だ」
澪「む……人が心配してるのにその言い方はないだろ」
紬「澪ちゃんの言う通りよ。今日のりっちゃんは絶対変だもの」
律「いや、私は変じゃない! 恋してるだけだ!」
澪「は?」
紬「え?」
唯「りっちゃんが恋愛!?」
律「え? あ、ああ……」
紬「りっちゃんに好きな人ができたの!?」
澪「そ、そんな……」
律(さっきから私はなにを口走ってんだ!?)
唯「誰? 私の知ってる人!?」
紬「私、りっちゃんの好きな人知りたい!」
律「ああ! もう! 澪、ちょっと来い!」
ぐいっ
澪「え? 私?」
律(さて、勢いにまかせて音楽室を飛び出してしまったわけだが)
澪「律、急になに?」
律(今私が怒っている異常を話せるのは澪しかいない気がする……ていうか妙に澪の顔が赤いな)
澪「律?」
律「ん? ああ……いや、そのさ。ちょっと今言った恋のことで悩みがあるんだ」
澪「……」ポッ
律「顔めちゃくちゃ赤いけど大丈夫か?」
澪「……大丈夫」
律「どうもさっきから私は変なんだ」
澪「うん」
律「胸がやたらキュンキュンするし、変なことばかり口走るし」
澪「その原因が恋のせいだと?」
律「いや、恋じゃないと思う……思いたい」
澪「珍しく煮え切らない感じだな。はっきり言えよ」
律「うん」
律「ムギを見てるとハアハアしちゃう」
澪「」
律「それだけならまだマシだと思う」
澪「あらヤダ私の友達が変態だわ」
律「いいから最後まで聞いてくれ」
澪「うるさい! 私は音楽室に帰らせてもらうぞ」
律「お前しか相談できる相手がいないんだ!」
澪「……わかった。一応最後まで聞くよ」
律「ありがと」
澪「それで? 律はムギにハアハアしてどうなるんだ?」
律「いや、もしかしたらこれは恋なんじゃないのかなって……」
澪「ねえよ」
律「うん、普通そうだよな。ありえないよな」
澪「だいたいそれって……れ、レズビアンってことだろ?」
律「……まあ、そうなるのかな」
澪「女子高の中じゃあレズビアンも珍しくないって聞くけど……まさか律が?」
律「そんなしゃべるナマゴミを見るような目で私を見るな」
澪「悪いけど私には理解できない」
律「まあ、お前みたいに恋に恋してるやつにはわからないだろうけどさ」
澪「なんだと?」
律「あ、いや、ごめん。ガンつけないで」
澪「ていうか律は結局、私になにを相談したいんだ?」
律「わからん」
澪「音楽室に帰らせてもらいます」
律「待て。待て待て。今、私が音楽室に帰ったらもしかしたら悲劇的なことが起きる」
澪「悲劇?」
律「……かもしれない」
澪「やっぱり戻る」
律「待て。聞け。私はさっきからやばいんだ!」
澪「なにが? どんなふうに?」
律「私、さっきからムギ見る度に無意識にハアハアしてるんだぞ」
澪「……」
律「ついでに言うならかわいい、とか呟いちゃったりさ」
澪「キモチワルイ」
律「わかってるって。自覚はしてるけど、でも芽生えた思いは抑えれない……みたいな?」
澪「……」
律「なあ、澪」
澪「なに?」
律「助けて。さすがにこのままだと危険な気がするんだ」
澪「と、言われてもなあ」
律「私がレズビアンになってもいいのかよ!?」
澪「それは……」
律「イヤがるムギを無理やり押し倒してあんなことやこんなことをしちゃうかもしれないんだぞ!」
澪「……」プシュー
律「あ、悪い。ちょっと過激な発言だったな」
澪「……ばか」
律「うーん、今の澪の『ばか』もなかなかかわいかったけど、やっぱりムギみたいにときめけないな」
澪「どうでもいいわ」
律「ていうか、マジでどうしよう?」
澪「いったん音楽室に戻ってみたら?」
律「え?」
澪「案外、そういうのって勘違いだったりするだろ?」
律「……澪が恋愛を勘違いとか言うとなんか泣けてくるな」
澪「うるさい」
律「というかさすがに勘違いでハアハアはしないと思うんだけど」
澪「いいから戻ろう。お腹すいた」
律「……実はお前、めんどくさくなっただけだろ?」
澪「まあ、少なからずそんなことを思わなかったこともなかった」
律「まあ、解決策も見つからないし、とりあえず音楽室に戻るか」
澪「うん。そうしよう」
唯「あ、りっちゃん澪ちゃんおかえりー」
律「や、やあ」
律(ただ音楽室にいるだけなのにムギと同じ空間にいると思うと……やばい、昇天しそう)
紬「りっちゃん、さっきの話なんだけど……」
律「んん? な、なんだったっけ?」
紬「恋愛の話」
律「あーあ。……その前にムギのお茶飲みたいなあ」
紬「じゃあみんなでお菓子食べながら、りっちゃんの恋愛話しましょ」
唯「恋ばなだね!」
紬「~~♪」
律(落ち着け。いや、今のところ私は落ち着いている)
唯「にしてもりっちゃんが恋愛かあ」
澪「……」チラッ
律「澪、こっち見んな」
律(大丈夫だ。私はきわめて落ち着いている)ハアハア……ムギ、かわいいよお
紬「え?」
律「あ゛?」
唯「りっちゃん、今なんて言ったの?」
律「え、ええと……」
澪「……」
律「む、ムギ、喉かわいたなあハアハアって言ったんだよ?」ムギ、かわいいよお……ハアハア
紬「……」
澪「……」
紬「ねえ、りっちゃん」
律「な、なんでしょうか?」
紬「私にはりっちゃんが私のことをかわいいって言ってるようにしか聞こえないんだけど」
律「ハアハア……かわいいよおムギいぃ」そ、そんなことねえから!
唯「……私にもそういうふうにしか聞こえないよ」
律「み、澪?」
澪「唯とムギと同じだ」
律「あ、あははははハハハハアハア」
律「すいません、今日は帰らせてもらいます」
紬「う、うん。トラックにひかれたりしないようにね」
律「はい、気をつけます」
澪「明日もきちんと学校来いよ」
唯「バイバイりっちゃん」
律「はい、ありがとうございます」
律(死にたい……)
律「……」トボトボ
律(ああ、今まで同性愛とかキモいとか思ってたけどいざ自分がなると恐ろしいな)
「あれ? そこにいるのは律先輩じゃないですか?」
律「……梓じゃん」
梓「今日は部活はどうしたんですか?」
律「いや、梓こそなにしてんだよ? お前部活来てないじゃん」
梓「私、今日学校を風邪で休んだんです。今も病院の帰りです」
律「そうなんだ」
梓「それにしてもどうしたんですか?
うっかり勢いでセックスしたら、妊娠してしまった不倫妻みたいな顔してますよ」
律「マジかよ」
梓「はい、すごく深刻そうです」
律「……梓」
梓「なんです?」
律「少ししゃべらない? 相談に乗ってほしい」
梓「あまり私も体調がよくないからアレですが、少しだけなら」
律「サンキュ」
最終更新:2010年12月01日 19:23