Ui side
こんにちわ、平沢 憂です。
早いもので私が高校に入学して、三度目の春を迎えました。
いよいよ高校生活最後の年。三年生です!
お姉ちゃんが一人暮らしを始めて家の中は寂しくなっちゃったけど・・・・
そこは頭を切り替えて!そのぶん学校では楽しく!賑やかに!
目いっぱい高校三年生したいと思います!
憂 「るんるん♪赤い~夕日が~~校舎を染めて~~~♪」
純 「おっはよー、憂!鼻歌なんか歌ってご機嫌だね!」
憂 「おはよう、純ちゃん。いよいよ練習、今日からだねー」
純 「おう!新生軽音部船出の日だぜ!梓新部長のためにも、ここは一つ気張らねば・・・・」
憂 「純ちゃん、気合はいってるね!でも、あまり気負いすぎると、息が切れちゃうよ?」
憂 「それでなくても、ジャズ研との掛け持ちでいろいろと大変だろうし・・・・」
純 「大丈夫!私のやる気は鳥取砂丘よりも高く、瀬戸内海よりも広大!」
純 「部活の一つや二つこなした位で、息を切らしてる暇なんか無いんだよ!」
憂 「そ・・・そっかぁ。あは・・・ それは、頼もしいね」
純 「うん。まぁ軽音部のことは私にドーンと任せておいて!」
憂 「くす。頼りにしてるね」
純 「はいな♪ ・・・お。前を行くのは山田じゃないか!」
憂 「やまださん・・?二年生?」
純 「うん、ジャズ研の後輩。ちょっと声かけてくるから、また後でね!(たったった)」
憂 「うん、また教室でー ノシ」
梓 「憂」
憂 「あ、梓ちゃん、おはよう」
梓 「おはよう。・・・前を走ってくのは純だよね。どうしたの?」
憂 「ジャズ研の後輩がいたって、声をかけに・・・・ あ、後輩さんに飛びかかった!?」
純 「やぁーまだー!おはよー!ちゃんと朝飯食ったかー!?(がばっ)」
山田 「うわぁ、純先輩!いきなり飛びついて来ないで下さい!ビックリするじゃないですか!」
純 「とか何とか言っちゃって、照れちゃってまぁ。本当にシャイなんだから、山田は~」
山田 「違います!変な勘違いしないで下さい!ちょ・・・もう離れてくださいよ。みんな見てます・・・」
純 「にっひっひ。見せつけたれ。見せつけたれ」
山田 「もぉ~~~~~・・・・・」
と、思ってたんですが・・・・
色々思うところの多い女子に、平穏で楽しい一年をってのは言うほど簡単ではないみたいで・・・・
私たちの軽音部に不協和音が響き始めたのは、新歓ライブを一週間後に控えたある日のことでした。
一週間後。新歓ライブを数日後に控えて。
音楽室!!
じゃかじゃかじゃん、じゃかじゃん、じゃん~~~♪
梓 「ちょっとストップ!」
憂 「・・・と」
純 「ひゃ・・・ なぁに、梓?」
梓 「純、今のところちょっと走りすぎだよ」
純 「そうだった?普通だったと思うけど・・・」
梓 「ううん、ワンテンポはやい。こっちまで引きずられて、ペース乱されそうになった」
純 「・・・そっか。ごめん」
憂 「あ、わ、私も!気が競っちゃって、ペース速かったかも!私もごめんね、二人とも!」
梓 「ううん・・・ じゃ、今のところからもう一回合わせよう」
憂 「今度はみんなばっちりだったね♪」
梓 「そうだね。じゃ、今の感覚を忘れないうちに、もう一回やってみようよ」
純 「・・・と、ごめん!私、もう行かなきゃ」
憂 「あ、そうか。純ちゃん、ジャズ研の方の練習もあるもんね」
純 「ごめんね、向こうにも顔出しておかなきゃだし。梓もごめん!またあした!」
たたた・・・ばたん!
梓 「・・・・行っちゃった」
憂 「せわしないね(くす)」
憂 「でも、仕方がないよね。ジャズ研はジャズ研で新歓の準備があるんだし」
憂 「両方に参加する純ちゃん、とても大変だと思う。だから・・・」
梓 「わかってる・・・ さっきはごめん。ちょっとイラッとしてて・・・」
憂 「あわわ・・・謝らないで!そういうつもりで言ったんじゃないよ!」
憂 「でも・・・ 何かあったの、梓ちゃん?ここのところ、余裕がないみたい・・・」
梓 「憂・・・ あのね・・・・」
梓 「・・・・・・・」
梓 「・・・・ううん、なんでもない」
憂 「梓ちゃん・・・」
梓 「ごめん、本当になんでもないんだ。それにこれは・・・・」
梓 「(部長の私がなんとかしなきゃならないことだから)」
憂 「・・・・・」
梓 「さ、二人しかいないけど、私たちだけでももう一回いっとこうよ!」
憂 「うん・・・」
練習後!
憂 「梓ちゃん、本当に手伝わなくっていいの?」
憂 「新歓ライブの講堂使用申請や必要な機材の調達とか・・・色々・・・手伝えることがあるんじゃないかな?」
梓 「ありがと、憂。でも部長の仕事はきっちり自分でやる。これは決めてたことだから」
梓 「手伝って欲しいことが出来たらちゃんとお願いするよ。でも、今は平気だから」
憂 「・・・・そう?じゃあ私帰るけど・・・・・ 本当に出来ることがあったら何でも言ってね?」
梓 「うん。お疲れ様、憂」
バタン。
梓 「静かになっちゃった・・・・」
梓 「さて。目を通して提出しなきゃならない書類は山積みだ」
梓 「がんばろう」
梓 「それが終わったら、少し自信のないパートの練習をしてから帰ろう」
梓 「純に偉そうな事を言っちゃったし、私がとちったら格好つかないもんね」
梓 「しっかりしなきゃ。私が部長なんだから・・・・」
梓 「・・・・・・」
(数日前)
職員室!
梓 「廃部・・・ですか?」
さわ子 「そう。新歓ライブ後一週間。つまり新学期開始から一ヶ月以内に部員が四名に満たない場合は、ね」
梓 「で、でも!そんな話聞いてないです!」
さわ子 「りっちゃんたちから聞いてなかった?」
梓 「え・・・」
梓 「あ。唯先輩が四人の中で最後に入部したって聞いたとき・・・確か・・・」
さわ子 「そう。その唯ちゃんが入部してくれなかったら、部員不足で軽音部は廃部になっていたかもしれなかったの」
さわ子 「そうならないためにりっちゃん達、唯ちゃんをずいぶん強引に引き止めたって聞いたわ(くす)」
梓 「・・・・」
さわ子 「ね、梓ちゃん。新歓ライブを頑張って、何としてもあと一人、入部したいっていう子を見つけなさい」
さわ子 「うちの軽音部、校外でもけっこう話題になっていてね。きっと新入生の中にも、中学生の頃に学祭でライブを見て興味を持っている子がいるに違いない」
さわ子 「その子らを確保して、去年以上の軽音部をあなたが作り上げて、りっちゃんたちに自慢してやりなさい!」
梓 「先生・・・・」
さわ子 「無くなって欲しくない。だって今や、軽音部は私にとってもかけがいの無い場所なんだもの」
さわ子 「私が軽音部出身ってだけだからじゃない。唯ちゃんたちみんなが確かにそこにいた、証の場所なんだもの」
梓 「じーん・・・」
さわ子 「なにより、ムギちゃんのお茶は飲めなくなったけど、憂ちゃんのお茶も負けず劣らず美味しいからね☆」
梓 「私の感動を返してください」
さわ子 「てへ☆」
さわ子 「とにかく、期待しているわよ。中野部長!」
梓 「・・・・・・うん」
梓 「さわ子先生もああ言ってくれてるんだ。頑張らなきゃ」
Jun side
たったったった・・・・
純 「やっべー・・ 軽音部の練習が押しちゃって、遅くなっちゃった!」
純 「ジャズ研って去年まではわりかしノンビリムードだったけど、今年の部長は厳しいからなーー」
純 「ま、それは軽音部もいっしょか・・ たはは」
ジャズ研部室!
がらっ!!
純 「こんちゃー!」
純 「(う、なんだかみんなの視線が突き刺さるように・・・?)」
部長 「・・・鈴木さん、遅かったのね」
純 「い、いやー、ごめんごめん!遅れた分は精一杯練習することで代えさせていただきまっす(敬礼!)!!」
純 「お、私のパートは山田がやっててくれてたんだ。悪いね!じゃ、換わるからね!」
山田 「・・・・・」
純 「(ん?今睨まれたような??)」
部長 「・・・・」
練習後!
部長 「それじゃ今日はこれで上がりましょう。みんなお疲れ様」
おつかれさまでしたー!
純 「いやー、疲れた疲れた♪さて、憂たちまだ残ってるかな??まだいたら一緒に帰
部長 「鈴木さん」
純 「お、部長。どうかしたの??」
部長 「今日、良かったら一緒に帰らない?」
純 「う、え?いいけど・・・ 珍しいね、帰りに私を誘うのなんて」
部長 「たまには良いじゃない。三年間同じ部活で頑張ってきた仲間なんだし」
純 「そりゃそうだね!じゃ、すぐ支度するから待ってて♪」
帰り道!
純 「いやぁー。すっかり春らしくなったね。日も高くなったし、良い陽気だし!」
純 「とはいえ、さすがにこの時間になると、まだまだ寒いね。早く暖かくならないかなぁー」
純 「あ、ねぇねぇ。そこのコンビニで肉まん買ってかない?お腹減っちゃってさぁー」
純 「腹から暖まろうぜ!にっひっひ!」
部長 「そうね(賑やかな人・・・)」
純 「てなわけで、いただきまーす(ぱく)」
純 「ふぁぁあー、おいひいー。部活上がりの疲れた体に肉の滋養成分が染み渡るー」
純 「お、部長はチョコまんか!チョイスが通ですな!ね、一口ちょうだい!私のも上げるから!」
部長 「遠慮しておく。間接キスしてるみたいで、なんか嫌だわ」
純 「うわ、部長ったらそんなこと気にしちゃうわけ?憂たちとだったら、何てことなしに食べ合いっこしちゃってるけどな」
部長 「憂って、平沢さん?あなたと同じクラスで軽音部の」
純 「そうそう。可愛い子なんだよー。料理や家事も出来てしっかり者で、でもって優しくってさ
部長 「その軽音部なんだけど」
純 「・・・はい?」
部長 「鈴木さん」
純 「純でいいよ?」
部長 「・・・鈴木さんにお願いがあるの」
純 「(うぁ、スルーされた・・・)」
部長 「軽音部は部員も少なくて、色々大変なのは分かってる。新歓ライブに真剣に取り組んでいることも」
部長 「でも、それは我がジャズ研でも一緒なの。部員を獲得したい気持ちは軽音部と一緒で切実」
部長 「新入生歓迎会では、万全の準備をして臨みたい。分かるわよね」
純 「うん。分かるよ」
部長 「鈴木さんには、ジャズ研の練習にも本腰を入れて欲しいのよ」
純 「!」
純 「・・・あ、あは。それってどういう意味かなー・・・」
部長 「言葉通りの意味だけど」
純 「な・・・なっ」
純 「っ私がいい加減にやっているって言いたいわけ?」
部長 「そこまでは言ってないわ。ただ、二束の草鞋をはく以上、そう取られてもおかしくはないって言うこと」
純 「なにそれ、意味わかんない!」
部長 「分からないかしら?じゃあ、単刀直入に言うけれど、掛け持ちはやめてこちらに専念してもらえないかしら」
部長 「これなら分かるわよね?」
純 「はぁ?なんでそんなことを部長とはいえ、あんたから指図されなきゃいけないの?」
純 「部活をするのは個人の自由だもん、両方ともきちんとこなしてりゃ、誰に文句言われる筋合いのものじゃないでしょ!」
部長 「・・・・分かってもらえないか」
純 「分からないよ!」
純 「私にとっては軽音部も大切な場所なの。大切な友達が守りたいって言ってる、大事な場所なの!」
純 「ジャズ研も一緒!どっちも大切!だから両立させてみせるよ!だから部長ももう、そんな指図はしないでよね!」
部長 「・・・・・両立させて見せる・・・か」
部長 「出来たらいいね(にこ)」
純 (むかーーーー!)
純 「じゃあ私こっちだから!ばいばい!また明日!さよなら!!ふん!(ノシ ぶんぶん!)」
部長 「また明日・・・(本当に賑やかな人)」
純 「なにさなにさ!なによ、あの言い草!まるで私が適当にやってるみたいに!」
純 「絶対両立させてみせるんだ!だって、いま私がいなくなったら軽音部は梓と憂の二人だけになっちゃう・・・」
純 「・・・私と憂が軽音部に入るって言いに行ったあの日・・・」
(梓 「ふ、二人とも軽音部に入ってくれるの!?」)
(純 「前に約束したでしょ!私は約束を守る女!できる子!」)
(憂 「私もお姉ちゃん一人暮らしするって言うからすごく暇になるし」)
(梓 「(ぷるぷる・・・)確保ーーー!!」)
(憂・純 「ぎゃーーーーー!!」)
純 「あのときの梓、本当に嬉しそうだった。だから決めたんだ」
純 「新歓ライブを成功させて、あの梓の笑顔に応えるんだって」
純 「腹くくったんだから、今さら軽音部をやめるとかありえないから!ちきしょう!」
純 「どちきしょう!誰が何と言おうと、やってやるぜ!!!」
翌日!の軽音部!
(掛け持ちはやめてこちらに専念してもらえないかしら)
(・・・・・両立させて見せる・・・か。出来たらいいね(にこ))
ぴんっ。
純 「・・・あ、やべ」
梓 「・・・・ストップ。もう一回最初っから行こう」
純 「ごめん」
憂 「大丈夫だよ。気を取り直して次ガンバろ!」
純 「う、うん!」
梓 「じゃ、わん・つー!」
純 (ちぇ・・ 昨日の部長の言葉が気にかかって集中できない・・・・)
純 (なんでこんなに心に引っかかってるんだろう)
最終更新:2010年12月07日 01:30