唯 「あずにゃん、落ち着いた?(なでなで)」

梓 「はい・・・ すみません、取り乱してしまって・・・ みっともないところを見せちゃいました」

梓 「私、部長なのに。もう三年生なのに。情けないですね・・・・」 

唯 「そんなことないよ。誰だって泣きたくなる時はあるよー」

唯 「あずにゃんが泣きたい時はいつだって胸を貸すから、遠慮なく飛び込んできてねー」

唯 「撫でこねくり回して慰めてあげるよ(ふんす)!!」

梓 「それはちょっと・・・・」

唯 「えへへ。それで、何があったの?」

梓 「えぅ・・・ そ、それはぁ・・・」

唯 「言っちゃいなよ。旅の恥はかき捨てだよ、あずにゃん!」

梓 「別に旅してません!唯先輩は相変わらずですね。変わってなくて、安心したような心配なような・・・・」

唯 「よせやぃ。照れるよー」

梓 「褒めてもいません!(あれ・・・でも、なんだか気分が落ち着いてきちゃった)」

梓 (瞬く間に唯先輩のペースに巻き込まれて、心がほぐされて・・・ やっぱり唯先輩はすごいな)

梓 「あ・・・あの、ですね。実は・・・」

唯 「そっかー。純ちゃんにひどいこと言っちゃったのかー」

梓 「それでその・・・ 私、これからどうしたら良いのか・・・・」

梓 「純にひどいことを言ったのは反省してるんですけど、軽音部に重点を置いて欲しいっていうのも本心で・・・」

梓 「でも、これ以上その事を言ったら、純をもっと怒らせてしまいそうで・・・」

唯 「あずにゃん、ありがとうね」

梓 「え・・・?」

唯 「あずにゃん、私達の大切な軽音部のために一生懸命になってくれてるんだね」

唯 「一生懸命すぎて、ついつい言葉がトゲトゲしちゃったんだよね」

唯 「でもそれで大切なお友達とケンカして、あずにゃんが悲しい気持ちになっちゃったら私も悲しいな」

梓 「唯先輩・・・」

唯 「私だけじゃなくて、憂や純ちゃん。あとあと、りっちゃんや澪ちゃん、ムギちゃんも悲しくなっちゃうと思うよ」

唯 「もちろんトンちゃんも。軽音部はみんながニコニコ、あったかあったかな場所じゃないとだからね」

梓 「・・・そうですよね。もし唯先輩なら、こういう時どうしますか?」

唯 「腹を切る!!(ふんす)」どどんっ!!

梓 「さ、サムライ!?」

唯 「で、話し合う!!!(ふんす)」

梓 「・・・いやそれって、普通に死ぬじゃないですか。そこは腹は割って話すころですよね?」

唯 「やだよ、あずにゃんや。腹は割っても死んじゃうよぉー。まぁそれは置いといて。とまぁ、このように私は頭が悪いです!!(ふんす!)」

梓 「そんな自信満々に言われても・・・・」

唯 「頭悪いから、言葉にして言ってくれないとイマイチ伝わらないんだー」

唯 「言葉ってとても大切だと思うんだよ。場合によっては気持ちを心に秘めるのも必要かもしれないけど」

唯 「だけど本当に分かって欲しいことがあったら、言葉にしてはっきりと伝えなくちゃダメだと思うの」

梓 「・・・・・・」

唯 「今あずにゃんが抱えてる悩みや想い、全部純ちゃんに打ち明けちゃったらどうかな?その上でこれからをどうするか、軽音部のみんなで考える!」

唯 「そこでどんな答えが出るか私には分からないけど、あずにゃんとあずにゃんの大好きなみんなで話し合うんだもん」

唯 「ぜったい全員が納得のいく答えが出ると、私は思うよ!」

梓 「・・・・唯先輩」

梓 「で、でも・・・ 純、戻ってきてくれるかな。私の話、聞いてくれるかな・・・・」

唯 「大丈夫だよ。言ったよね。はっきり伝えなきゃダメだって。ごめんなさいも一緒だよ」

唯 「ちゃんと謝ればぜったい許してくれるよ。ほら・・・・(ちょいちょい)」

梓 「え・・・?」

純 「・・・・梓」

梓 「純!戻ってきてくれたの!?」

憂 「純ちゃん連れてきたよー。ていうか、お姉ちゃん!え?どーして??」

唯 「うーいー♪あいたかったよぉ~(ぎゅっ)」

憂 「ああ、お姉ちゃんお姉ちゃん!本物のお姉ちゃんだ!(ぎゅっ)」

唯 「みんなの顔が見たくなって。それと、憂のご飯が食べたくなって、抜き打ちで帰ってまいりました!!(敬礼)」

憂 「はぁう!嬉しい!食べて!私のご飯を食べて!何でも好きなの作ってあげる!このさい私を食べても良いよ!!」

唯 「ふぉおおお!むしろごはんはおかずで主食は憂だ~~♪ 憂、好き好きーーー(ぎゅぎゅううう)」

憂 「私もお姉ちゃん大好きーーーー♪(ぎゅううううう)」

梓 (先輩が一人暮らし始めて一月も経ってないのに、まるで運命の再開を果たした恋人のような抱擁シーン・・・)

純 (・・・この姉妹って・・・・)

唯 「というわけで・・・・ あとは若い二人に任せて、年よりは退散しましょうかねぇ」

唯 「あ、そうそう。せっかくだし今晩はうちでみんなでご飯食べない?ね、憂。良いよね?」

憂 「あ、うん。それは大賛成だけど・・・・」

唯 「そうと決まったら食材の買出しだー!料理は私も手伝うから、憂、いこー!」

憂 「え・・・ でも、・・・」

唯 「良いから良いから~♪じゃ、あずにゃん。あとでお腹すかせて私の家に来てね。純ちゃんもー」

梓 「え、ちょっと唯先輩!(今二人っきりにされるのはさすがに気まずいです!)」

唯 「(大丈夫だって言ったよ?あずにゃん、ガンバレ)」

憂 「ひっぱらないで~。ちょっとお姉ちゃ~~~ん・・・」

とてとて・・・・ばたん。


純 「・・・・行っちゃった」


しーーーーーん・・・

梓 「・・・・・・・・」

純 「・・・・・・・・」

梓・純 (き、気まずい!!)

梓 「・・・・・・・・」

純 「・・・・・・・・」

梓・純 (このまま黙ってても埒が明かないし、ここは意を決して!)

梓・純 「あのっ!」

梓・純 「!??」

梓・純 「あ・・・・純(梓)からどうぞ!」

梓・純 「・・・・・」

梓・純 「じゃあ、私から!」

梓・純 「!!??」

梓 「・・・・ぷっ」

純 「くくく・・・」

梓・純 「あははっ」

梓 「あはは・・・は・・・ あの・・・純・・・」

梓 「・・・・さっきは・・・ほんっとゴメン!!!」

梓 「私、色々考えることあって、上手くいかなくって、それでイライラしちゃって・・・・・」

梓 「つい純に当たるようなことしちゃって。私、どうかしてた。本当にゴメン!!」

純 「良いよ。許す」

梓 「本当に
純 「ただし!それには条件が二つあります!」

梓 「え・・・う、うん。私が悪いんだもん。出来ることだったら、何でもするよ」

純 「では一つ目の条件ー!! ・・・私のことも許してね!」

梓 「え・・・・」

純 「私さー、色々と甘く考えてたみたい。ジャズ研と軽音部の両立とか・・・・」

純 「考えてみたらさ、それってそれぞれの場所で一生懸命がんばってる人に対して、ずいぶん失礼なことだったんだよね」

純 「両立といったら言葉は良いけど、要は片方ずつ半分の手間しかかけられないって事だもんね。そりゃ怒られるよ・・・」

梓 「純・・・・」

純 「ジャズ研のさ、部長と後輩からも怒られちゃった。へへへ・・・ ちょい凹み中」

純 「だから・・・ごめんね?でも、軽音部に入ったのはいい加減な気持ちからじゃない。それだけは分かって欲しいんだ」

梓 (分かってる・・・ 私のためになんだよね・・・・ 純・・・・)

(今あずにゃんが抱えてる悩みや想い、全部純ちゃんに打ち明けちゃったらどうかな?)


梓 「(唯先輩・・・)」

梓 「純・・・ 今、こんなこと言ったら怒るかもだけど。やっぱり私、純と一緒に軽音部で頑張りたい」

梓 「純には軽音部で、ずっと私の隣でベースを弾いていて欲しい!わがままなのは分かってる!」

純 「梓・・・・」

梓 「でも今の軽音部には、私には! ・・・純が必要なの・・・・ だから・・・ お願い・・・・」

純 「いいよ!!(あっさり)」

梓 「・・・へ?」

梓 「い、いいの・・・・? そんなサラリと!」

純 「うん。純様に二言はないぜ!ていうか、戻ってくる前に決めといた事だったし」

梓 へなへな・・・・

純 「なにへたり込んでるの?」

梓 「一大決心して言ったのに・・・・誰のせいよ・・・」

純 「気を抜くのはまだ早いぜ!私の話には続きがあるんだけど!」

梓 「へ?・・・・なに??」

純 「・・・うん!」

純 「掛け持ちはやめる。新歓ライブまでは・・・・違うな。新入生が入部して軽音部が安泰になるまでは、私も梓と一緒にこの場所を全力で盛り立てる!」

純 「・・・だから、その後のことは保留にしておいて欲しいんだ」

梓 「保留って・・・・純、ジャズ研に戻っちゃうの?」

純 「まだ自分でも分からない」

純 「でも自分の中で優先順位をつけるとしたら、まずは梓の大切な軽音部を守ることだと思うんだ。廃部になんて、絶対にさせない」

梓 「え、純・・・廃部の件・・・」

純 「さっき憂から聞いた。水臭いぜ。こんな大事なこと、親友には真っ先に相談するべきじゃないのかなぁ」

梓 「あぅ・・・ごめん」

純 「そこで二つ目の条件。もう何でも一人で背負い込もうとしないこと」

純 「憂もそうだし、目の前のこの可愛い純ちゃんは何のためにいるの?」

純 「大好きな友達と一緒に、手を取り合って頑張っていくためにいるんだよ。さ、いつまでへたり込んでんのさ」(すっ)

梓 「・・・純」(ぎゅっ すくっ)

純 「ま、というわけで、だ・・・」

純 「まずは目の前の脅威をなんとかしなきゃだね。先のことは・・・・ごめん。その時になったら考える」

純 「どっちに残るかとか、自分でもどうして良いか決めかねてるんだ。でもその時になったら答えはきちんと出すから・・・・」

純 「なんか無責任なこと言ってると思うけど、今はこれで何とか納得してくれないかな?」

梓 「・・・ううん」

梓 「ううん! 充分だよ。ありがとう、純!」

純 「ほいさ。・・・じゃあ、仲直り。はい、しぇいくはーんど!」

梓 「ぷっ、なにそれ。ただの握手じゃん。たく・・・ はい、しぇいくはーんど・・・!」

純 「・・・へへっ。じゃ、次ははーぐっ!」

梓 「ハグ!?、そ、それはいいや!遠慮しておk
純 「そりゃーーーーー!(ばたーん!ぎゅうう!)」

梓 「ちょ!押し倒された・・・もぉー・・・(ぷくー)」

純 「いいではないかいいではないか。仲直りの場は無礼講だよん♪」

梓 「し・・仕方がないなぁ。はい、ハグ。・・・今回だけだからね(ぎゅうっ)」

純 「にひひっ。このツンデレめ♪」

梓 「・・・・違うから。もー、どさくさで撫でないでよ」

梓 「・・・・・純」

純 「んー?」

梓 「ほんとごめん、ありがと」

純 「もう良いよ」

梓 「・・・・うん。しばらくこうしていて良い?」

純 「・・・良いよ」

梓 「・・・・へへ」


4
最終更新:2010年12月07日 01:33