梓「(…こんなに嬉しそうな唯先輩見たのはじめてかも)」
梓「唯先輩!」
唯「?」
梓「そうと決まればさっそく練習しましょうっ!」
唯「!!」オーッ!
梓「先輩、スタンドマイクなんて持ってきてどうしたんですか?」
唯「……」ハイ
梓「えっと…私が歌えばいいんですか?」
唯「……」
『二人でプチライブやろうよっ!』
梓「プチライブ…?クスッ、唯先輩らしい発想ですね」
唯「……」エヘヘ・・
梓「いいですよ、やりましょうか」
梓「ゴホン…あーあー……」
唯「……」
梓「(なんか緊張するなぁ……)」
『それじゃあ始めるよ?』
梓「は、はい!」
唯&梓「(1、2、3、4!)」
~♪~♪~♪
~♪~♪~♪
梓「ごはんはすごいよ ないと困るよ――」
ガチャ・・
コソッ
律「音に誘われて見に来ちゃったけど……」
紬「…私たちは先に帰りましょうか?」
律「……そうだな」
澪「(よくわからないけどボーカルやらなくて済みそう…)」ホッ
ジャーン・・・
梓「いまの感じすごくよかったですね!」
唯「……」ブイ!
梓「なんだか本当にライブしてるみたいな気分になりましたっ」
『いつかあずにゃんと二人で路上ライブしてみたいな!』
梓「あはは、いつかやりたいですね」
梓「それじゃ、帰りましょうか」
唯「……」コクリ
帰り道
河原にて
梓「今日の練習は楽しかったです!たまにはこんなのもいいですね」
唯「……」
『やっぱり一人で寂しかっただけなんじゃないのぉ?』
梓「なっ…、まだ言いますか!そんなことは断じてないですっ!」プンスカ
唯「(むぅ…)」
梓「…唯先輩、さっき私と路上ライブやりたいって言いましたよね」
唯「…?」
梓「だったら私は…」
唯「……」
梓「だったら私は、先輩と一緒にボーカルがやりたいです」
唯「……」
梓「いつか先輩と一緒に歌える日がくればいいなって、そう思ったんです」
唯「……」
梓「あ……ご、ごめんなさいっ!唯先輩の気持ちとか全然考えないでっ……急に変なこと言い出して…」
唯「……」
『いいんだよあずにゃん』
『だって…そしたら私が歌えるようになるまで、ずっと一緒のバンドってことだもんね?』
梓「えっ…?」
『だったら私、ずっとしゃべれないままでもいいかなぁ~…なんてねっ!』
梓「……唯先輩……」
梓「…そんなのダメです、ズルいですよ」
『えへへ、冗談だよじょーだん。きっとみんなで歌える日が来るって、私も信じたい』
梓「きっと…唯先輩なら大丈夫ですよ。ずっと一緒じゃなくても済みそうです」
『そうかもね』クスッ
――――― ・ ・ ・
梓「それじゃあ私はこっちなので」
唯「……」コク
梓「今日は本当にありがとうございました。失礼します、唯先輩」
唯「……」バイバイ
梓「……」ペコ
スタスタスタ・・・
唯「……」
ライブ前日
劇が終わって
律「いやぁ~、無事ロミジュリも大成功だったなっ!」
澪「はぁぁ…緊張したぁ……もう二度とやりたくない……」
紬「二人ともすっごく素敵だったわぁ~♪」
唯「……」パチパチ
律「さて、それじゃあ明日に向けてもう一仕事だな」
唯「……」ウム
澪「部活に行くのもすっかりご無沙汰になっちゃったな…」
紬「梓ちゃん、なんて言うかしら…」
律「そうだなあ……」
律「『もう!劇は終わったんですから、休んでる暇はありませんよ!練習です練習っ!』」
律「――とかじゃないか?」
澪「あ~…確かにありそうかも」
律「澪はどう思うんだ?」
澪「うーん……練習しましょうって言うと思うよ」
律「ムギは?」
紬「『先輩たちがいなくて私…ずっと寂しかったです……』」
紬「『責任とってくださいっ…!その…、先輩の唇で……///』」
律澪「「それは絶対ない」」
音楽室前
律「どんな反応か楽しみだなぁ…」ニシシ
唯「……」ワクワク
澪「あんまりからかうのはよくないぞ…?」
律「わかってるって!んじゃ開けるぞー」
ガチャ
梓「あっ、おかえりなさい先輩!お茶ですか?お菓子にしますか?それとも……私?//」
律「これは予想できなかった」
…
梓「先輩たちの劇見ましたよ!澪先輩も律先輩もカッコ良かったです」
律「そ、そうかな…?」
澪「ありがとな、梓」
梓「ムギ先輩も唯先輩もお疲れ様でした」
紬「ありがと~♪」
唯「……」ニコッ
梓「それはそれとして…明日のライブのほうは大丈夫なんですか?もうあんまり時間ないですけど…」
律「なぁに、そう心配するなって」
澪「今日は泊まり込みで練習していくからな」
梓「へ?泊まり込み?」
律「そうだぞ、あとでさわちゃんが寝袋とかいろいろ持ってきてくれるってさ」
梓「そうなんですか!それならまだまだ練習できますね!」
律「いや、まずはお茶だろ?」
紬「賛成で~す♪」
梓「(ホントに大丈夫なのかな……)」
その夜
澪「いよいよ明日は桜高最後のライブだな」
律「…そうだな」
唯「……」
紬「大丈夫、きっとうまくいくわ」
律「やるだけのことはやったさ。な、梓?」
梓「すー」Zzz・・
律「…ってもう寝てるし」
澪「一番練習はりきってたもんなぁ」
律「さて…私らもそろそろ寝ようか」
澪「うん、みんなおやすみな」
紬「おやすみなさいっ」
唯「……」オヤスミ
律「んじゃ電気消すぞー」
パチン・・
スー・・・ スー・・・
唯「……」
唯「(……眠れない)」
唯「(だれか起きてないかな…)」
唯「(…って起こしちゃ悪いか)」
唯「……」
唯「(ちょっと散歩でもしてこよう)」
徘徊中
唯「……」
唯「(夜の学校って雰囲気あるよね…なにか出てきそうで怖いや)」
唯「(女の子が一人でうろつくような場所じゃないのは確かだね)」
唯「……」
唯「(あ、被服室の電気ついてる)」
唯「(さわちゃんかな…きっと明日のみんなの衣装つくってくれてるんだ)」
唯「(こんな時間までありがとう、さわちゃん)」
一方の音楽室
パチ
澪「……んん…」
澪「ぅ……ふぁぁ~…」
澪「……」
澪「……」パッチリ
澪「…目が覚めてしまった…」
澪「やっぱり素直にウサちゃん持ってくるべきだったかな…」
澪「日頃の感謝をこめて律の顔に落書きでもしてやろうか」
律「Zzz…」スヤスヤ
澪「…やっぱりやめとこう、倍返しにされそうだし」
澪「う~む……」
澪「…ってあれ?唯がいないぞ」
澪「トイレにでも起きたのかな?」
澪「うぅっ…寒…私もトイレ行こ」
廊下
澪「ひえぇ~…真っ暗じゃないか……」
澪「一人でトイレまで辿り着けるか不安になってきた…」
澪「……」
澪「お化けとか出たらどうしよう……」
トントン
澪「ぎゃぁぁああぁあああ!!!??」
唯「……」オッス
澪「な、なんだぁ…唯か……脅かさないでくれよぅ………」ヘナヘナ
唯「……」エヘヘー
澪「まったくもう……で、唯もトイレに起きたのか?」
唯「……」エート・・
澪「…もしかして寝れないとか?」
唯「……」・・コクリ
澪「唯もそうだったんだ、実は私も目が覚めちゃってさ」
唯「……」
澪「…だったらさ、これから二人で出かけてみないか?」
唯「…?」
澪「どうせすぐには眠れないだろうし、きっと誰にもバレないから大丈夫だよ」
唯「……」コクリ
澪「よしっ、じゃあ行こうか」
テクテク・・
澪「さすがに秋ともなると夜は冷えるなぁ…」
唯「……」トテトテ
澪「でもさ、こうして夜の道を歩いてるとワクワクしてこないか?こういう夜の空気…私は好きだな」
唯「……」
『私はなんだか夜逃げしてるみたいでドキドキだよ~…』
澪「あははっ、なんだそりゃ」
夜の公園
澪「さ、着いたぞ」
唯「…?」
澪「この公園はさ、昔律とよく遊んでた場所なんだ」
唯「……」
澪「二人で真っ暗になるまで遊んで…毎日のように親に怒られてたっけな」
唯「……」フフッ
唯「……」
『星が綺麗だね』
澪「ああ…この公園は星を眺めるにも格好の場所だからな」
唯「……」
澪「そういえば律がバンド組んで武道館に行くって言い出したのも、こんな星空の日だったよ」
澪「律が『あの一番星に向かって走るぞーっ!』ってね、走ってるのはドラムだっての」ハハッ
唯「……」
『澪ちゃん!私とも約束しようよ』
澪「うん?なにをだ?」
『澪ちゃんが、みんなを武道館に連れてってくれるって』
澪「えぇっ!私がみんなを連れていくのか…?ちょっと自信ないなぁ……」
澪「…でもわかった、約束だぞ」ユビキリ
唯「……♪」ゲンマン
さわ子「ちょっとあなたたち!こんな遅くに何やってるの!?」
唯「!」ビクッ
澪「ひぃっ!?」
さわ子「夜中にコッソリ出て行くから何かと思えば…こんなところでおしゃべりしてたのね…」
澪「気付いてたんですか…」
さわ子「当たり前じゃないっ。なにかあってからじゃ遅いんだからね?」
澪「ご、ごめんなさい……」
唯「……」シュン・・・
さわ子「……ほら、ホットココア買ってきてあげたからコレでも飲んであったまりなさい」
澪「…さわ子先生……」
さわ子「私だって楽しく話してる所割り込みたくはなかったのよ?でも仮に風邪なんか引いたら大変じゃない、明日本番なんだし」
唯「……」
さわ子「それに私の一世一代の見せ場を勝手に潰されちゃたまらないものっ!!」クワッ
澪「(この人いっつも一言多いんだよなぁ……)」
さわ子「それで…ライブの準備はもうバッチリなの?」
澪「はい、やるだけのことはやりましたから」
唯「……d」グッ
さわ子「そう、大丈夫そうでなによりだわ」
さわ子「…それじゃ、私はまだ仕事の続きがあるから…あなたたちも早く学校に戻って寝るのよ?」
唯「……」コク
澪「なんだかありがとうございます、先生」
さわ子「いえいえ~」
澪「…私たちもそろそろ帰ろっか」
唯「……」コクリ
キラッ☆彡
澪「あっ、流れ星……と思ったけどもう遅いか…」
唯「……」
『3秒ルールだよ、澪ちゃん』
澪「…そうだな、じゃあ願い事しておこうか」
唯「(ずっとみんなと一緒にバンドを続けられますように…)」
澪「(……いつか唯の歌声が武道館に響きますように)」
澪「唯はなんてお願いしたんだ?」
唯「……」
『ずっとみんなとバンドができますように、って』
澪「…そっか」
『澪ちゃんは?』
澪「うん、私は武道館に行けますようにってお願いしたよ」
―――――――――――――
ちなみにさわちゃんの願い事↓
さわ子「(彼氏ができますように彼氏ができますように彼氏ができますように)」
最終更新:2010年12月09日 01:40