翌朝
澪「すぴー……」Zzz・・・
梓「あの…澪先輩と唯先輩がまったく起きないんですけど……」
紬「でもなんだか幸せそうね」
律「…ったく…顔に落書きでもしといてやるか」
本番前の舞台裏
律「さすがにライブも5回目ともなると落ち着いていられるなー」
唯「……」キリリ
澪「なぁムギぃ…額の落書きちゃんと消えてるかな…?」
紬「大丈夫よ、澪ちゃん」
梓「……」
梓「(MCもボーカルも今回が初めてだけど…ちゃんとできるかなぁ……もし噛んじゃったらどうしよう……)」
律「お、梓が無口だなんて珍しいな?緊張してんの?」
梓「あ…当たり前ですっ!だいたい先輩たちは緊張感がなさすぎなんです!今日にかぎらずいつだってそうなんですからね!」プンプン
紬「ふふ、いつもの梓ちゃんに戻ったわね」
開演
―――……
和「それではみなさんお待ちかね、桜高祭の目玉イベント…放課後ティータイムによるバンド演奏です!」
\ワァァアアアァァアアーーーーー!!!!!!/
\待ってましたっ!!!/ \ヒューヒュー!!/
唯「!」
律「なっ、なんだぁ…?この観客の数は…」
梓「すごい…それにみんな同じTシャツを着てくれてる……」
和「フフッ、びっくりした?これは私と山中先生からのサプライズよ」
紬「和ちゃんとさわ子先生の…?」
和「そう。Tシャツは山中先生が全部手作りしてくれて、ライブが始まる前には私と先生で客寄せを兼ねてシャツを配ってたってわけ」
澪「そうだったんだ……二人とも、本当にありがとう」
和「いいえ。あとで山中先生にも伝えておくわね」
唯「……?」
和「ああ…残念だけど先生はここには来てないのよ、なんでも徹夜明けだったみたいで被服室で力尽きてるわ」
唯「(…ありがとう、さわちゃん)」
さわ子「ムニャ…みんな頑張ってね……Zzz...」
律「(ほら梓、ボーっとしてないでしゃべらないと!)」ヒソッ
梓「は、はい!えーと…みなさんこんにちわっ!放課後ティータイムです!!」
\こーんにーちわ~~~~~っ!!!!!/
梓「あの…突然のサプライズで本当にビックリしました……こんなに大勢の皆さんに集まっていただけるなんて、正直感動です」
純「梓ぁーーーーっ!!!」
憂「梓ちゃ~~~~んっ!!!」
梓「それではさっそくですが、私たちの演奏を聴いて下さいっ!!」
梓「最初の一曲目は『ごはんはおかず』です!」
\ザワ……ザワ……/
\シーン……/
律「…よし、いくぞみんな」
律「……」スゥー・・・
律「1、2、3、4!」
梓「ごはんはすごいよ なんでも合うよホカホカ
ラーメン うどんにお好み焼きこれこれ
炭水化物と 炭水化物の
夢の
澪「夢の」
コラボレーション
律「あつあつホカホカっ!」
ごはんはすごいよないと困るよ むしろごはんがおかずだよ
関西人ならやっぱり お好み焼き&ごはん」
梓「でも私関西人じゃないんですーっ!」
紬「どないやね~んっ♪」
\アハハハハハハ/
\なんだそれ~っ!!/
純&憂「いちにっさんしごーはーん!!!」
~~~~~~~~~~
梓「それでは改めまして、ここで軽音部のメンバー紹介をしたいと思います!」
梓「まずはベースの澪先輩!」
澪「ど、どうも…」
\みおーーーーーっ!!!!/
梓「澪先輩は、軽音部の中で一番大人っぽくて頼りになる先輩です」
梓「けど、怖いものが苦手だったり…恥ずかしがり屋さんだったり…けっこう可愛いところも多いです」
澪「ちょ、梓ぁ……」
\みおちゃんかわいいぃぃ~~~っ!!!/
澪「あうぅ……///」
梓「ドラムの律先輩!」
律「どもどもっ」
梓「律先輩、実は軽音部の部長さんなんですが…部長としてはちょっと頼りないです」
律「…ってこらこらぁーっ!頼りないとかゆーな!」
\ワハハハハハッ/
梓「だって練習はしないし、毎回書類は出し忘れるし……でも、いつも一緒にいて楽しかったのも律先輩でした」
律「梓、お前……」
\せーの…/
\りぃーーつぅーーー!!!!!/
\デコ広いぞっ!/
律「デコは余計だっつーの!!」
梓「次はキーボードのムギ先輩っ!」
紬「こんにちわ~っ♪」
梓「ムギ先輩はおっとりぽわぽわ、とっても優しくてなんだかお姉ちゃんみたいな人です」
紬「お姉ちゃん……///」
梓「それと…放課後ティータイムの原点、ティータイムの主役もムギ先輩です!ムギ先輩のお茶とお菓子はすっごく美味しいんですよ~!」
\私も食べた~~いっ!!/ \私も!!/ \むぎゅううううううう/
紬「フフ、音楽室でお待ちしてますっ」ニコッ
二年生「\あずさガンバレーーーーっ!!!/」
梓「あ、ありがとうございます……//」
梓「私だけこのメンバーの中で二年生ですが、来年は部長になって軽音部を引っ張っていこうと思います!」
梓「今日は先輩たちのライブを盛り上げられるように頑張りますので、最後までよろしくお願いしますっ!」
\いいぞあずにゃあああああん!!!!!/
\あっずにゃん!!あっずにゃん!!!/
梓「なっ…!なぜそのあだ名を……」
唯「……」ニヤリ
憂「純ちゃん、次はお姉ちゃんの番だよ……っ!」
純「まぁまぁ落ち着きなって」
梓「最後に、ギターの唯先輩です」
唯「……」ソワソワ
梓「唯先輩は、私の憧れの先輩なんですっ。だって――」
律「いつも前向きで明るくて」
澪「だれよりも一生懸命練習して」
紬「他人思いで優しくて」
梓「――そんな、軽音部の……いいえ、学校中の人気者だからです」
唯「(みんな………)」
\ゆーーーいーーーーーっっ!!!!!!/
\こっち向いて~~~~~!!!!/
唯「……」ウルッ
唯「……」ゴシゴシ
唯「……」ニコッ
\わぁぁぁあああぁぁああっっ!!!!!/
\唯ちゃんかわいいよぉぉぉうう!!!!/
\ピースして!ピース!/ \つぎはこっち向いてーっ!/
唯「……」ピース
憂「お姉ちゃぁん……っ………」グズッ
純「よかったね、憂」
梓「――今日はこんなにたくさんの方に応援していただいて、本当にありがとうございましたっ!」
梓「いよいよ次が…最後の曲になります」
\えぇぇええぇぇぇぇ!!/
\もっと聴きたかった~……/
梓「最後に歌うのは、唯先輩がみなさんに向けて想いを宛てた曲です」
梓「唯先輩は歌うことはできないけれど……唯先輩が詞に込めた想いは、きっとみなさんの胸に届くと思います」
唯「……」
梓「…それでは聴いて下さい」
梓「『U&I』」
キミの胸に届くかな?
今は自信ないけれど
笑わないで どうか聴いて
想いを歌に込めたから
ありったけの「ありがとう」
歌に乗せて届けたい
この気持ちはずっとずっと
忘れないよ
想いよ 届け―――
ライブ終了後
部室
シーン・・
「……」
律「……終わったんだなぁ」
澪「……うん」
梓「まさかサプライズがあるとは思いませんでしたね」
紬「そうね…あんなに大勢の人がいるなんて思わなかったもの」
律「Tシャツもな」
梓「あんまり突然だったからビックリしてよくわかんなくなっちゃいました」
律「私もだよ、気がついたときにはもう終わってた」
澪「本当にあっという間だったな……」
唯「……」
紬「もう高校でのライブは今日が最後だったんだよね……」
律「……そうだな」
紬「そう思うと…なんだか寂しくなってきちゃった」グス
律「ムギ…」
澪「……」
澪「……ゃだ」
律「澪……?」
澪「ぃやだ……いやだよ……」
澪「私だって…私だってっ……みんなとまだまだやりたいこと…、たぐざんあるのに……っ…」
澪「ひぐっ…もう終わりなんて嫌だよっ…!最後だなんて嫌だよっ!!」
紬「…澪ちゃん……」
澪「うぅっ……うわぁぁぁん……」
律「そんなに泣くなよ澪……ライブは成功したんだからよかったじゃないか、なっ…?」
澪「……」グスン
澪「うんっ……ありがとう律…」
律「……みんな澪と同じ気持ちだよ、だから澪だけ泣くなんてズルいぞ」
紬「ふふっ…りっちゃんだってずっと涙目だもんね」
律「う…うるせー!」グスッ
唯「……」
梓「…唯先輩は泣かないんですね」
唯「……」
『私はみんなの前では明るく振る舞うって決めたから』
梓「…でもメンバー紹介のとき泣きそうになってましたよね?」
唯「……」ギクッ
梓「…けど確かに唯先輩のいう通りですよっ、私たちに涙なんて似合わないです!」
唯「……」ニッ
律「へへっ…それもそうだな、ええーい!しんみりするのはもうやめだ!こんなの私たちの放課後じゃないだろっ?」
紬「ええ…そうね」
唯「……」コク
澪「うん…ごめんなみんなっ……」
律「そんな謝ることないって。もう細かいことはパーッと忘れてさ、いつも通りのティータイムにしようや!」
紬「そうそう、なんたって私たちは放課後ティータイムなんだからっ♪」
唯「♪」
ガチャ
和「みんなお疲れ様~」
唯「!」
律「お、ちょうどいいところにきたな和!いまからお茶にするんだけど一緒にどうだ?」
紬「本日のおやつはショートケーキです♪」
和「えっと…それじゃあいただいていこうかしら」
和「軽音部のライブは大盛況だったじゃない、成功してよかったわね」
律「えへへ、おかげさまで…」
澪「和もいろいろありがとうな」
梓「本当に感謝してますっ」
和「そんな大したことしてないわよ…みんなが頑張った結果だと思うわ」
唯「……」ヒョイ
梓「あーっ!?どさくさに紛れて私のイチゴ取らないで下さい唯先輩っ!!」
アハハハ
ワイワイ ギャーギャー
・ ・ ・ ・ ・
ソーッ・・
さわ子「やれやれ…放課後ティータイムはいつまでたっても放課後のままね」
そして月日は流れ―――今日は先輩たちの卒業式。
思えばあっという間の二年間だったな……ずっとこんな毎日が続いてくような気がしてた。
先輩たちは全員揃って無事N女子大に合格。
大学でもみんな一緒にバンドを続けるそうです。
今日で先輩たちと過ごす高校生活も最後、これからは私の手で軽音部を守っていくんだ。
でもやっぱり卒業なんて寂しいし、できることなら卒業してほしくないよ…
ちゃんと先輩たちにお別れ言えるかな……―――
2年1組
梓「……」ボーッ
純「あーずさっ!」ポン
梓「純…」
憂「梓ちゃん、卒業式終わったみたいだからお姉ちゃんたちのところ行こっ?」
梓「うん……」
純「今日は元気ないね、ははーん…そんなに先輩とお別れするのが寂しいんだ?」
梓「うん…寂しい」
純「(これは重傷だ……)」
梓「……」
純「…行かなくていいの?先輩たち帰っちゃうかもよっ」
梓「……うん、わかってる…」
憂「そろそろ私は下におりるけど……二人ともどうする?」
純「あ、待って憂!私も行く~」
梓「私は…まだ心の準備が…」
純「梓もちゃんと来てね、きっと先輩たちも寂しがってるよ」
憂「またあとでね、梓ちゃんっ」
キィィ バタン
梓「(……はぁ)」
梓「(どんなこと言えばいいんだろ……)」
最終更新:2010年12月09日 01:43