ガラッ
さわ子「入るわよ」

唯「さわちゃんだ~」

紬「ホットミルクティーで良いですか?」

さわ子「それは後でもらうとしてちょっと唯ちゃん来てくれる?」

唯「ほえ? 私?」

律「また何かしたのかねぇこの子は」

梓「大方成績のことじゃないですか?」

唯「がーん ちょっと行ってくるよ~」

唯「私のモンブラン食べないでねっ」ダダダ

梓「唯先輩じゃないんだから食べる人なんていませんよ・・・」


トテトテ
唯「それでどうしたのさわちゃん?」

さわ子「どうしたもこうしたもじゃないでしょ!」

さわ子「あなた転校するってどうして私に言わなかったの!」

唯「あっ・・・」

さわ子「担任の先生から知らされてびっくりしちゃったわよ」

唯「そっか・・・先生はわかっちゃうんだ」

さわ子「! あなたまさか・・・」

さわ子「他の子には言ってないのね」

唯「うん・・・」

さわ子「はぁ・・・困った子ね」

唯「ごめんなさい・・・」

さわ子「まあいいわ 唯ちゃんも考えた末の先延ばしなんだろうし」

唯「はい・・・」

さわ子「唯ちゃん、一つ約束すること」

唯「なんですか?」

さわ子「絶対に引っ越す前に言う事」

さわ子「このまま黙って引っ越しちゃうのだけは許さないからね」

唯「はいっ」

さわ子「よし それじゃあ練習に戻ること」


ガラッ

唯「ただいま~」

律「おかえり 案外はやかったな」

梓「てっきりこってり絞られるのかと思っていましたよ」

唯「そんなぁ~ それに成績のことじゃなかったから安心してくださいっ」

律「それじゃあなんのことだったんだ?」

唯「ほえ・・・っとクリスマスライブの事だよ!」

澪「それならみんなの前で言えばよかったのにな」

唯「さわちゃんからダメ出しを受けてたんだよ」

澪「ダメ出し?」

唯「そ、そう こうもっとギュイーンっとやった方がいいって」

律「確かに唯はまだまだだしな」

唯「ひっひどい わたしだってがんばってるんだよ~」

唯「と言うわけでムギちゃん紅茶!」

紬「はいはい~」

澪「練習しろっ!」


~数日後の夜

ピンポーン
憂「はーい」ガチャ

和「こんばんは」

憂「和さん こんな時間にどうしたんですか?」

和「ちょっとね 唯いる?」

憂「お姉ちゃんならリビングでゴロゴロしていますよ どうぞ入ってください」

和「お邪魔するわ」


憂「お姉ちゃん、和さんが来たよ」

唯「ごろごろー」

和「はぁ・・・全くこの子は」

唯「あー和ちゃんだー」

唯「どうしたのこんな時間に?」

和「唯、あなた私に何か言うことない?」

唯「ほえ? ・・・はっ!」

唯「ごめんね、この前のケーキ代返すの忘れてたよ!」


和「そ・う・じゃ・な・く・て!」

唯「えと・・・怒ってる?」

和「ええ、怒ってるわ」

唯「こ、こわいよ」ブルブル

和「それと憂」

憂「はいっ」

和「このことはあなたにも関係あります!」


唯「なんで私たち正座してるの?」ボソボソ

憂「しかたないよ 和さんすごく怒っているみたいなんだもん」ボソボソ

和「ねえ唯、憂」

唯「はいっ」

憂「なんでしょう」

和「あなた達私に隠してることあるわよね?」

唯&憂「・・・っ!」

和「お引越しのことよ!」

唯「な、なんで和ちゃんがこのことを・・・?」

和「なんでもなにも唯達のご両親から直接聞いたのよ」

唯「お父さんたちから?」

和「ええ 数日前に私の家に電話があったのよ」

和「そこであなた達が引越しすることを聞いたわ」

和「長年お世話になりましたって最後言われちゃった」

唯「でも、そのことは学校では言ってなかったじゃん」

和「私は当然あなた達から言ってくるものだと思っていたのよ」

和「それなのにもう数日たってるのに何も言ってこなかったわよね」

唯「うぅ・・・」

憂「ごめんなさい・・・」


和「だからこのまま何も言わないままいなくなるんじゃないかと思って来たの」

和「そんなの寂しいじゃない・・・」ヒグッ

唯「和ちゃん・・・」ギュッ

憂「和さん・・・」


和「そういえばこのことを軽音部には?」

唯「あうぅ」

和「言ってないのね」

唯「うん・・・」

憂「お姉ちゃんは悪くないんです!」

憂「私がクリスマスライブ終わるまで言わない方がいいって言ったから」

唯「憂、違うよ 私も」

和「唯、憂 いつ言うかはあなた達に任せるわ」

和「みんなに心配掛けたくなくてライブが終わってからってのも良いと思う」

和「でもね、どうせ知ることになるのなら早い方が良いと思うわ」

唯「和ちゃん」

和「それじゃ私は帰るわね」

和「こんな時間に家に押しかけてごめんなさい」


和「それじゃあまた明日学校で」

和「ちゃんと明日までに結論だすのよ」バタン

憂「お姉ちゃん・・・どうする?」

唯「うん・・・ 一晩考えさせて」

憂「わかった」

唯「それじゃあおやすみ」

憂「おやすみなさい、お姉ちゃん」


~翌日

唯「おはよー」

憂「おはようお姉ちゃん」

唯「憂、私決めたよ」

唯「やっぱりライブ後に言うことにする」

憂「お姉ちゃん」

唯「軽音部でのライブを私は守りたいんだ」

唯「だから・・・ごめんね」

憂「ううん お姉ちゃんが決めたことなんだもん」

憂「それじゃあ朝ごはん食べよっ」


~通学中

唯「のーどーかーちゃーん」ガバッ

和「ちょっと唯、いきなり抱きつかないでよ」

唯「えへへ~ 目の前に和ちゃんがいたんだもん」

和「まったく」

唯「そうだ、和ちゃん 私決めたよ」

唯「やっぱり言うのはライブ終了後にする」

和「わかったわ」

唯「反対しないの?」

和「唯たちが考えついた結論なら私はそれを尊重するわ」

和「でもなにかあったら私にすぐ頼るように」

唯「うん! ありがとう!」


こうして、時間は流れた。

私は朝学校へいく、昼憂のお弁当を食べる、放課後練習する、夜荷造りと練習のサイクルを繰り返した。

あれ以来毎日和ちゃんは家に来てくれて、アルバムを広げて思い出を語ったり、荷造りを手伝ってくれたりした。

一緒に夕飯を食べもした。

うちに泊まってもくれた。

一緒にお風呂・・・は断られた、和ちゃんのけち。

和ちゃんはときおり何か言いたそうな顔をしていたが、私と憂はあえて気づかない振りをしていた。

そうして、ついにクリスマスライブの前日へと時は進んだ。


~クリスマスライブ前日

澪「いよいよ明日だな!」

紬「ええ」

紬「なんだかドキドキしてきたわ」

律「そんなことよりなんでうちの学校はクリスマスまで授業があるんだよ」

澪「明日は授業がないようなものだろ」

澪「それに終業式の後に体育館を使わせてもらえることになってるんだから文句言わない」

澪「ところで唯はどうした?」

紬「それがHRの時にあとで来てくれと先生に・・・」

律「こんどこそ成績の問題だな」

澪「ほぉ よく律が呼ばれなかったな」

律「ひどっ」

紬「そういえば梓ちゃんもまだ来てないわね」



~職員室前

梓(うー遅くなっちゃったです)スタスタ

梓(ん、あれは唯先輩と憂の声だ)ピタッ

梓(二人揃って呼ばれるなんてどうしたんだろう)

梓(ここからだとよく聞こえないなぁ)

梓(ところどころ単語が聞こえる)

梓(てんこう ひっこし?)

梓(・・・)

梓(・・・っ!!)



~数分後

ガラッ
唯&憂「失礼しました」

梓「唯先輩! 憂!」

唯「わっ!」

憂「梓ちゃん?」

梓「どういうことですか、説明してくださいっ!」

憂「えっと?」

梓「だから転校とか引越しとかのことです!!」

唯「っ!」

唯「聞こえちゃってたんだ・・・」

梓「盗み聞きについては謝ります でもそれより先に説明をお願いします」

憂「うぅ・・・」

唯「・・・わかったよ」

憂「お姉ちゃん!?」

唯「でもそれは音楽室についてから話すよ 憂も一緒に来て」

憂「うん・・・」


唯「・・・」スタスタ

憂「・・・」スタスタ

梓「・・・」スタスタ

ガラッ
律「遅かったなーってどうしたんだみんなそんな顔して?」

紬「ホットミルクティーでいいかしら? 憂ちゃんも飲んで行ってね」


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最終更新:2010年01月26日 00:31